2025/01/10 のログ
ご案内:「転移荒野」にルメルさんが現れました。
■ルメル >
ばしゃーん!
未開拓地域の端っこの海岸。盛大な水しぶきをあげながら何かが揚がる。
「えいやってしたら、なんか陸に上がれたわ!」
青い髪に白い肌に赤い瞳。それだけ見れば人形のようないでたちだが──下半身が魚だ。
「で……ここが人間の島ね!」
ぴちぴち跳ねさせて、喜ぶ人魚が一尾。
■ルメル >
「……思ってたより寂れているわね。
私の記憶だともうちょっと賑やかだったのだけれど……」
見渡す限りの荒野。
思っていたものと違う──少々のがっかり感に肩を落とす。
人類は滅びたのだろうか? まさかそんな……。
……いやいや、住処を変えただけかもしれない。
気を取り直しながら、進もうと思った所──一つの問題にぶちあたる。
「どうやって動けばいいのかしら……。」
勢いで陸に上がった。
水のない所での動き方がわからない。
■ルメル >
ぴちぴち、ぴちぴち。
ふわぁ……。
「あ、なんか浮けたわ!」
その場で跳ね続けること30分。
跳ねたまま落下せず、地面から1cm程浮いた所で身体が止まる。
水面を泳ぐように、ふわふわと浮いている。
■ルメル >
「乾きそう……。」
とは言え、ここは未開の荒野。
浮きながら移動する手段は会得したものの、日照りで身体が乾く。
寒さは平気だが、大気もそこそこに乾燥していて少しつらい。
「人間はこんな過酷なところで生きているのね……。
……このままじゃ乾きすぎてかつおぶしになっちゃうわ……。」
人の気配か、水のある場所を見つけなければ。そう考えて尾を進める。
歌って人を誘う手段も考えたが、喉も乾いて歌う気分にもなれない。
■ルメル >
「……いやいや、ヒトデみたいに干乾びるなんてまっぴらよ!
人の気があるところを探って進むわ! 太陽になんて負けないんだから!」
自分の頬を叩いて喝を入れる。
乾いた肌がヒリヒリと痛い。少し強く叩いてしまった。
「水が恋しいわ……。」
気を取り直した人魚は、再び転移荒野を彷徨い始めた。
ご案内:「転移荒野」からルメルさんが去りました。