2025/09/14 のログ
ご案内:「遺跡群」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「遺跡群」にクロメさんが現れました。
■橘壱 >
吹き抜ける砂風が月と夜空を覆い隠していく。
此処は転移荒野と呼ばれる未開拓地区。
此処での行いは自己責任。所謂"法は関与しない"とも言って良いのかもしれない。
有り体に言えば自然、野生のありのままがそこにある。
『砂嵐……という程ではないけど、余り視界は良くないな』
そんな砂風に紛れるのはノイズ混じりの少年の声。
砂風を切り裂き、冷たい鋼鉄が突風のように吹き抜ける。
一つ目が青白く輝く鋼鉄の鎧、AF。その装着者橘壱。
風紀委員である彼がこの地に来ることは珍しくない。
特に、このAFというパワードスーツはこういった劣悪な環境の調査に最適だった。
蒼と白と鋼鉄の鎧が、砂埃を巻き上げて着地する。
一つ目を通して見える映像は、砂風に陰る建物群。
転移荒野に点在する、未調査のダンジョンだ。
『学園で、ひいてはこの世界でやっていけるかの適性検査。
所謂奉仕活動として各種委員会の仕事を手伝ってもらう』
『……って、言えば聞こえは良いけどね。
体の良い使いっ走りさ。所で、砂は大丈夫なのかい?
一応、支給品としてマスクとかはあった気はするけど……』
少年は、恐らくしっかりと付いてきているであろう少女に訪ねた。
■クロメ >
風が吹き荒ぶ。荒野を砂とともに駆け抜けていく。
奔放なる自然が溢れ出る。
「……」
悪くない――怪異はそう考える。
初めて味わう環境だが、どこか郷愁のようなものすら感じる。
もっとも――
側にあるのは、似つかわしくない鋼鉄の塊。
科学と現代の結晶のようなそれから言葉がかけられる。
「試そうというのか。」
適性検査、手伝い
人を試し、人を手先のように扱う
傲慢であり、強欲なことだ
だが……そのほうがまだいい
「……少し鬱陶しい、が。」
手短に答える。
「それで……どうしろ、と?」
確認も込めて相手に問う。
そもそも、自分を引っ張り出すようなことだろうか。
■橘壱 >
相変わらず態度だな、と胸中独り言ちた。
外の気温は暑いはずなのに、それを忘れさせるほどのひんやり具合だ。
モニターの奥で、苦笑にも近い笑みが溢れた。
『言い方は悪いけどそんな感じかな。
怪異の危険性の無さに関しては報告をしているんだけどね。
それでも何かしら"形"として欲しかったりするのが組織ってものさ』
言葉を信じるのは簡単だが、不確定なものなのも確かだ。
そういう意味では委員会の仕事を手伝うというのはわかりやすいものだ。
『大丈夫そうなら良かった。砂まみれ……にはならなそうだね。
ああ、うん。僕が受けたのはこの遺跡群の調査、かな。
此処一帯は所謂未開拓地区で、調査隊とかが時々調べたりもしているんだ』
『これはその一環、って所かな。
人の役に立つものがある可能性もそうだけど、危険性が高い場合は"処理"も必要だしね』
未開拓地区と言えど、手に負える範囲での事はしなければならない。
広大な荒野ではあるが、時に自己責任で訪れる人々の安全に繋がれば十分だ。
『他に質問はあるかいお姫様。なければ早速調査に向かうよ』
■クロメ >
相も変わらず、軽い声だ
怪異は独り考える。ただ、それくらいのほうが面倒がなくて良い。
……面倒? そう、面倒だ。
「度し難いな。」
いつもの言葉で切って捨てる。分かり易いまでの小賢しさだ。
だからか、その言葉はいつもよりは平坦だった。
それが相手にわかるかはわからないが
「人の役に? 度し難いな」
人に何でも御せると思わないことだ。そのための、"処理"ということだろうが……
人の手に余るからと消去しようというのもまた、傲慢だ。
人は、変わらない。
「お前たちは……」
口を開きかけて、閉じる
眼の前の人間に何を言ったところで、今この瞬間の話は何も変わらない。
そも、そんなことをこの相手に言ったところでどうだというのか。
それこそ子どもじみた八つ当たりかなにかにしかならない。
「……いや、いい。面倒は早々に終わらせる」
先に目を向ける。
砂の風の向こうには何が見えるのか。
■橘壱 >
相変わらず冷たくて、拒絶的で、寄せ付けない。
とは言え、それなりの付き合いだ。何が言いたいかは何となく分かる。
はは、と乾いた笑みが溢れて首を振った。
『社会的貢献……まぁ、しっかりと学園の外でやっていけるかみたいなものさ』
今や"人"のくくりは非常に広いものとなった。
その社会を構成する多くの人種に混じっても問題がないかどうか。
この学園の意義はそういうものである以上、避けて通れない。
少なくとも今、学園の参加にいる以上は必然だ。
『仕方ない……って、言い切っちゃうのも良くないかもしれないけどね。
本当に危険性があるなら、放っておくことも出来ないよ。そこはわかってほしい』
あるがままが自然ではあるが、此処には一つの社会がある。
人がいるんだ。社会を脅かす危険性があれば、"処理"するのが必然だ。
なんとも言えない表情がモニターの光で照らされたまま、壱は正面を向いた。
『……そうだね、行こうか』
こんな砂の中、おしゃべりしに来たわけじゃない。
これは仕事なのだ。気を引き締め、鋼鉄の足音が荒野を踏み鳴らす。
砂を踏み分けて進んでいくと、砂風の向こう側は最早廃墟と言うべき有り様だった。
石造りめいた遺跡の数々は最早ほとんどが瓦礫と化しており、影で見えたのはかろうじで残った壁ばかり。
後はもう、ほとんどが砂に埋もれたか路傍の石と変わらない。
手がその残骸を拾おうと触れると、いとも容易く崩れてしまう。
『随分と古い素材……なのか?相当時間が経っているみたいだ』
モニターに表示される成分は未知なるもの。該当項目は無し。
周囲には生物の気配どころか、死者の気さえ感じないのはこの場の誰もが理解出来るだろう。
スキャンレーダーが周囲に地形を感知すれば、地下の存在は感知できた。
『下に何かありそうだけど、入口はないな。
無理に壊すと一帯がまずそうだし……すり抜ける方法とか持ってたりしない?クロメ』
■クロメ >
「……ふん」
社会的貢献。実に耳触りのいい言葉だ。
だからこそ、胡散臭くもあるが。この相手と論議するようなことでもない。
それに、それを受け入れないほど狭量でもない。
「人は弱いからな」
人は弱い。弱いからこそ未知を、脅威をより恐れる。
それはわかる。
しかし恐れ、離れるのではなく、抑え込もうとする。
そして、ときに過ちを犯す。
そして、ときに過ちに気づかず……
考えても詮無いことだ。
「そういうことだ」
鋼鉄の足音に合わせ、軽く宙に浮きながらついていく。
たどり着いたのは、廃墟と見まごうような遺跡。
原型を止めず、ただ荒れ果てた瓦礫の山ばかりが転がる。
それはいかなる者の手によって作られたのか。
それすらも、此処からではうかがい知ることはできない。
「さて……」
見たところだけで言えば、風化のようにも見える。
それだけの時を経ている……のだろうか。
鋼鉄の手が崩した残骸を見ながら、小さく呟く。
……これらも、見捨てられたのか。
それとも……いや、考えたところで答えなど得られまい
「――例えば、だ」
バサリ、と小さな音がして手が崩れる。
崩れた先から小さなコウモリと化していく。
それらが瓦礫の隙間から潜り込むことはできるだろう。
「が。お前は……潰れてみるか?」
小さく畳めば入れないことはないだろう。
命の保証?それはできないかもしれない。
「他、となると……」
少し考え込む。如何に強大な力を持つといえど、できないことはできない。
特に、他者の操作、ともなれば。
「そもそも、大きすぎだ」
鋼鉄の鎧を見上げて言う。調査には不向きだろう、と。
■橘壱 >
相変わらず、人に対して排他的だ。
推測の範囲の経歴を考えればその辺りは仕方ないのかもしれない。
ある意味聞き慣れたやり取りだ。ふぅ、とため息混じりに肩を竦めた。
『悪いけど、魔法とかそういうのはからっきしなんだ。
そういう適性はないんだってさ。0には何かけても0だよ』
『……だからといって、畳まれるのは困るなぁ』
流石に死ぬ。見事に赤いシミになってしまう。
自分から使える魔法など有りはしないし、人間は小さくなる能力はない。
超越者と言えど、出来ないことは出来ないのは当然だ。
万能というわけにはいかないようだ。
『通り抜けの魔術とか……も、無理?
静かに穴掘りが出来る手段とかはないかな。』
『僕がやったら、此処一帯を潰すことになりかねないからね』
ご覧の通り、と軽く両手を広げて見せつける。
各種部位にマウントされた黒光りする兵装達。
外用の実戦向けの兵器だ。その破壊力は言うまでもない。
だからこそ、こんな場所でぶっ放せばどうなるかは語るに及ばず。
機械に加減なんて出来はしない。
『そういうキミが小さすぎるんじゃないかな?』
軽口で返してみた。
彼女から案が出なければ、此方からやるしかないが、さて。
■クロメ >
「別にそこは期待していない」
ないものはない。現実とはそういうものだ。
……ないものを与えることは? 時としてありうるのだが。
しかし、なんであろうと今からは現実的ではあるまい
いや、一つだけ――
その考えに至って、首をふる。
それだけは、ありえない
「通り抜け……は、私ならできるだろう。
お前は……生身なら……だが。失敗するかもな」
途中で途切れる可能性もある。かべのなかにいる、というやつだ。
そのリスクを背負ってもいいなら。いずれにしても鋼鉄の鎧ごと、とはいかない。
「……穴掘り、か」
穴掘り自体ならできなくもない。
が、この瓦礫の様子からして下手なことをすれば崩れ落ちそうでもある。
「で、あれば。こう、か」
指を鳴らす。途端に瓦礫が少しずつ宙に浮き始める。
パラパラと崩れる砂粒すらも、宙にとどまる。
次第に、下へと続く……どこまでも暗い空間が見える。
「その図体ほどになる気はない。が、大きくくらいはなれる」
意味も必要もないからそうしていないが、と付け加え
「さて、どうする?」
黒ぐろと口を開けた穴を指し示す。
瓦礫は宙に浮いたまま。その気になれば、鋼鉄の鎧ごと入れそうではある。
■橘壱 >
『確かにAFには対攻性魔術用の防御が施されているけど……相性かな?』
機械と魔術。技術と奇跡。
よく対立テーマとしてあげられるし、今は融和性だって持つこともある。
しかし、言ってしまえば彼女は古い存在だ。
最新技術、未来の塊であるこのAFとは相性が悪いのかもしれない。
『まぁ、穴じゃなくてクレーターを作ってもいいなら……っと、流石』
そうこう言っているうちに目の前で瓦礫が、砂粒が宙に浮いていく。
魔術の奇跡。宙に浮かす魔術の類だろうか。
ただ、此処まで細かいものを浮かせるのは精度もきっと凄いものなのだろう。
身につかぬものとは言え、その凄さは何となく理解できる。
こうして出来た暗い昏い深い穴。
一つ目が覗き込み、センサーの類も届かない。
どうやら相当深く、広いことだけはわかった。
『勿論、降りるさ。片道……ってことにはならないだろうけどね。
一応聞くけど、抱えて飛び込んだほうがいいなら手を貸すよ?』
勿論確証はないが、やめる理由もない。
万一にないことを聞いておいた。
勿論、承諾するなら冷たく硬い両腕で抱えて飛び降りるだろうが、実際は一人で真っ先に降りることになるだろう。
■クロメ >
「相性だな。ただの鎧くらいならいいが」
それなら服と大差ない。まさか全裸で通り抜け、などとも言わない。
だが、科学満載の鋼鉄の塊となれば別だ。
それはクロメの理解の範疇の外でもあるし、まともに術の効果を反映できる保証がない。
要するに、機械を魔術で直せないという話に近い。壊すだけなら別なのだが。
ただそこまで説明をする義理もないので、あえて言わない。
「術、というほど大層なものでもない」
現代人の認識でいうのであれば、テレキネシスに近いものか。
不可視の力場で一体の瓦礫を浮き上がらせている。
細かいものまで浮かんでいるのも、まとめて持ち上げているからである。
「残りたければ、残れ」
片道になるかもしれないからな
怯えるなら、ここにいれば良い、と言わんばかりである
「無用だ」
手を貸すという言葉をあっさりと切り捨てる。
そのまま、ばさり、と羽を広げ迷いなく穴に飛び込みゆっくりと降りていく。
「私を何だと思っている?」
降りる。当然、鋼鉄の鎧も飛び込んでくるだろう。
それにしても……この空間は、正しく見たとおりであろうか。
どこか魔術的に歪んだりしているのだろうか。
先も見通しづらい黒い空間は様々に考えさせられる。