未開拓地区に存在する小高い連山の総称である。
古くから常世島に存在する連山であり、その名の由来はヤマトタケルが大和を偲んだ歌から来ている。
古代から祭祀の場であったらしく、祭祀の遺構が数多く見つかっている。
世界の変容後、一種の異界となったらしく、神話上の存在などが山の中に潜んでいるなどのうわさも存在する。
入山は自由であるが、整備されているわけではないので注意が必要である。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:21:08 更新
ご案内:「廃神社 星の試練」から緋月さんが去りました。
ご案内:「廃神社 星の試練」からノーフェイスさんが去りました。
■緋月 >
「は――?」
流石に、驚愕が隠せない。放った斬撃に、星空が映る。
こんな事は、今までになかった。
少しの混乱の中、出来ちゃったか、という声に、思い当たるはひとつ。
「……斬月に、神山舟を、乗せたんですか。」
形の無い神器。意の儘に姿を変える代物とはいえ…まさか、自分の異能という「形」を
与えられるとは、全く以て想像はしていなかった。
悪用法、とはよく言ったもの。使い方は、それこそ使い手の発想力次第だろう。
流石に自分の自由になるのは此処までだろうし、それも「使い手」の許可がなければ扱えないだろうが。
それにしたって、ないよりはあった方がずっと手が広がる。
「……お互い、色々覚える事が増えますね。」
そう、声をかける。
自身は手札を、彼女は手に入れたものをより「上手い事」扱う方法を。
「…ええ、それはもう、望む所です。
でも、ご飯の前にしっかり傷の手当と消毒はして置きましょうね。
噛み傷は悪化すると、色々と洒落にならないらしいですから。」
自分でつけてしまったという事もある。
責任、というほど重大には考えないようになったが、それでもこれを放置するのはよろしくない。
きっちりと傷の手当をしてから、食事へと繰り出そう。
-あの時教えた名前、他言無用です-
-本当は、封じてないといけない名前ですから-
こっそりと、そんな言葉をかけて置く事も忘れずに。
■ノーフェイス >
僅かばかり。
使い手にのみ視える世界。不可視の斬光に星空が宿る。
――異能に乗せたのだ。形を変える不滅を。
「もしかしたらと思ったケド、出来ちゃったかぁ」
苦笑して、瞬き。双眸がもとの黄金に戻る。
あのとき使い手の内部に在った存在もまた、これを振るうに能うものとして選ばれている。
使用者としては自分に主導権はあるが――権能は双方扱えるわけだ。
花形も殺陣師も、なれ同じ舞台に立つ者同士、別はないということだ。
「……ホントに覗かれてたんだ……そっかあ~~」
天井を仰いで、溜め息。
じくじく痛む首の傷跡を撫でれば、改めて顔が赤くなるものの。
「――ま。いくらでも悪用法が思いつく玩具だし、せいぜい遊ばせてもらうか」
使い道も、すぐに来る気がするし。
指に滲む血液を見下ろして。
「神を造り出すなんてのは、残念ながら承服できない。
この世に星が唯一つならば、ボクがそうなるべきだから。
……あの連中の家族問題、横からめちゃくちゃにしてやろうぜ」
家族に過去に、問題を抱えているふたりではあるけれども。
半ば巻き込まれた形になるのだ。望む結末に向かって道を敷いたとて、
神の罰など求める身でなければ。
「じゃあ。 あしたのためにそのイチ。
美味しいモン食べにいこ。ご褒美になんでも奢ったげる。
んで、そしたら作曲だ――行こ?」
にひ、と笑いかけた。
傷がそのまんまではあるのだけれども、そう。どうあっても、明日は来てしまうのだから。
死に物狂いで生きるしかない。結論は、変わらない。
痛みをともなう、あえかな、しかし確かな成長とともに。
■緋月 >
「つまり、私が紛れ込んだのは完全に事故、ですか…。
いや、危ない所だったのかも…ですし、結果良ければ何とやら…なんでしょうか。」
むくれてらっしゃる彼女に、ちょっと立場が逆だった場合を考えてみる。
……確かに、少しどころでなく、見られるのに抵抗があるというか、恥ずかしいかもしれない。
ともあれ、問題の代物に目をやれば――記憶のものと少しばかり形は違うが、その現象には見覚え。
確か、元の持ち主が以前に手にした扇を刀に変えていた事を思い出す。
「――あの時のあーちゃん先生とそっくりです。
確か、扇から刀に変えてた筈。」
少しの間、刀を目で追いながらそんな事を言いつつも、返事がないのに少し首を傾げれば、自分を呼ぶ声。
見れば――左の瞳が、見覚えのある色。
自分の瞳と、全く同じ色だ。
「ちょっと、その眼は――いや、それは置いておいて…アレ、って、これ……ですか?」
流石に刀を振り回すのはちょっと躊躇われる社の中。
ふ、と息を吐き、ここは指で扱う事に。
「斬る」という念を込め、右手の人差し指と中指を立てて、ふつ、と振るう。
今回はシンプルなもの。斬撃を飛ばすタイプの「斬月」だ。
■ノーフェイス >
「もともと、持ち込もうと思ってたのは月白だけだったんだよ。
……意識が混ざるなんて。さいきん、そういう事象が多いからかな……」
むすくれてた。
だめだったときの自分。そして、だめだめな自分。
誰にだって見せたくはないものを覗かれると。
くしゃ、と自分の紅の髪をかき混ぜて。
「…………神山舟か」
ふ、と拝殿の出口のほうに手を伸ばした。
掌の前に出現した八面体が、開く――
二秒ほどの時間差をもってそれらが粒子にまで霧散し。
「こう、かな」
手を握る。
刀の形状へと凝った星空の流体に、手首を返し、指を跳ね上げる。
空中へ放られ、そのまま回転しつつ――拝殿の床にとすり、と突き刺さる。
本来の使い手ほどの瞬間変形とはいかないが、応えている。
無事に試練を超克できていた、ということであるものの・
「…………」
少し考えて、眼を瞑ってから、顔を向けた。
――そして、瞼をあげる。
「緋月」
その双眸は。
――左の瞳が、深い赤に。眼の前の少女と同じ色に変じていた。
「異能、やってみ?」
ほら。と同じく、拝殿の出口の方向を指さした。
■緋月 >
「――――」
「ありがとう」の言葉に、何かを答えるより先に口づけを落とされて、
言葉にする機を逸した所に、
「むぐ。」
頬を摘まれてしまった。
痛くはないが、ちょっと伸びてしまいそう。
「なんですかー、連れてったのはあなたでしょー…。」
少し顔を赤くしながらも、ちょっとむくれたような抗議の声を上げた所で、肝心なことに気が付く。
「うみゅ…そう言えば、神山舟は、どうなってるんでしょう。」
頬を摘まれたままなので、視線でなんとかこの事態を齎した代物を探してみる。
これで駄目だったら一回くらい斬っても…斬ったところで元に戻るだろうし、
そもそも斬れるか疑問だが、それ位しても罰は当たらない、と思う。多分。
■ノーフェイス >
「…………」
あふれる感情のなかで、少女の独白を聞く。
ああ、やっぱり、と合点がいった。
自分が絶対に知り得ない情報を彼女から打ち明けられていたから。
その答え合わせが済んで、あらためて彼女を抱きしめる。
「……ありがとう。応えてくれて」
その役回りを押し付けたことを詫びるよりも。
臆せず、傷つきながら伝えてくれたことが、道を続けた。
鋭く傷をつける剣こそが、安らぎのまどろみのなかに求めた役割。
まだ――まだいけない。死にたがりながらも生きる己の。
生きるに、殺すに値する命のありかたでは、なかったから。
「………」
そっと。
頬に手を添えて、向かせると、額に、目元に、鼻先に。
接吻を落としてから。
「えっち」
むい。
頬をつまんだ。
「勝手に覗くなよ」
顔を赤くして、拗ねたように告げた。
――視られたくもないものを随分見られたものである。
■緋月 >
「――――」
何かを伝えようとして、口の中に、鉄錆のような味を感じて。
意識が、戻る。
真昼の、廃神社。
確かに、居た所だった。
「………。」
牙を立てた首筋から、口を静かに放して、
そこで、自分が涙を流している事に気が付いた。
――随分、酷い事を言ってしまったな、と、また少し罪悪感。
「………どんな理由があっても、」
少し掠れた声。
「ひどい事を言うのは、やっぱり苦しいですね。
それが、大事なひとなら猶更――。」
涙声、とまではいかない。
ただ、涙が流れて、簡単に止まってはくれないのだ。
■ノーフェイス >
「――…………」
呼吸が乱れて、瞼があがる。黄金の瞳が覗いた。
意識が戻るのは、ほぼ同時。
頬を伝う涙が陽の光にかそけく輝く。
真昼の廃神社。
ほんのわずかな時間だった。その間、首に埋まる頭を抱いていた。
灰色の髪を優しく撫でながら、痛み続ける首の孔を感じた。
「こうなるのか……」
ぽつりと呟く音。
深い溜め息。
そのあとに、抑え込んだ嗚咽が続く。
■ノーフェイス >
「胸を張って逢えるように、なれればいいんだよ。
……いつか挨拶にいくんじゃなかったっけ?」
でしょう?
そうやって微笑んだ。
まだ、生きているはずで――まだ、なにかが起きるかもしれない。
自分の分まで、なんて傲慢は伝えない。
「見せたげよっか。
曲がどうやってできるのか、さいしょっからぜんぶ。
公演も、もしかしたら、もうすこしで」
にひ、と子供っぽく笑う、いつもの顔だ。
「―――」
手をつなぐ。
向かうは、どこだろう。ハロウィンの喧騒からは、遠くなる。
ああ、でも、懐かしい。確か、こうやって……。
「迷子のふりして、ねえさんにかまってもらおうとしたんだ。
……本気で怒られて、こうやって手をぐいぐい引っ張られたっけ」
出てくるのはやっぱり、微妙な思い出ばかりだけれども。
「道は」
何処にある。
「意志あるところに」
――きっと。
■緋月 >
「――そうですか。
私の……姉上は、どうだったでしょう。
会う事も碌になかったから…どんなひとだったか、よく思い出せません。」
話を聞いていて、思い出すのは血を分けた姉の事。
恐らく、自分が帰らなければ姉が子を産み育て、流派の命脈を繋ぐのだろう。
あるいは既に、そういう話になっているのかも知れないが。
「それじゃ、帰ったら聞かせて下さい。あなたの歌。
一番にとは言いませんけど、できるだけ早い内に。」
流石にそこまで欲張る事はしない。
でも、ちょっと位は早めに聞いてみたい、というのもある。
軽い我儘みたいなものだけど。
出発を促されれば、一度目を擦ってから小さく笑い、手を繋ぐ。
「方角が分かればいいんですけど…現実じゃないから、星の方向を見てもアテにできないですね。
此処を斬って脱出する事も…壊したらまずいですし、其処まで力が届くかも怪しいですし。
それじゃ、あっちに向かって歩きましょうか。」
そうして、静かな別れの声を聞けば、黒い海に足を沈めないように気を付けて、浜辺を歩き始める。
どこに歩くのが正解かは、流石に分からない。
だけど、歩いているならきっと辿り着くだろう。
自分達は幻に縋る事はしないで、先に進む事を選んだのだから。
歩いていればきっと見つかる。違う?
■ノーフェイス >
「パパ、ママ。……エレオノーラ」
ただ、静かに。
「……Farewell.」
そちらを、振り向かない。
だって、誰もいないのだ。
すでにいなくなったものたちに、届く言葉などないのだから。
別離も、祈りも、すべて自分が進むための儀式だ。
喪失の痛みも苦しみも、癒えることはなくとも。
■ノーフェイス >
「ねえさんはもっとふわふわしてた」
まあいいけど。と妥協を滲ませて顔を埋めたままあげない。無礼。
「むかしはやさしかったのかな。
あの小さい家に住んでたときは、あったかかったのかな。
それももう、はっきりしなくて…………だから……」
幻覚に楽園を映して、お人形遊びに興じていた。
過去を過去とできぬまま、やり直しに期した弱さ。
「この孔が、わたしの原点。
……すべての原動力である、餓えのはじまり……」
抱きしめられると、自分からは抱き返さなかった。
ただ、受け取る。受け止める。眼を伏せて、相手を感じた。
根本から、金糸の髪が、紅へとその色を変えてゆく。
晴天が、黄昏に灼かれるように。
「だから、ふさぐことは、できない。
……ただ、うん……そうだね……」
どうすれば、乗り越えられるのか。
それがずっと、わからなかった。
忘れてしまえば、埋めてしまえば、自分はきっと歩けなくなる。
「…………この痛くて苦しいきもちを、いまは。
歌いたくて、しょうがないんだ。
そうしてるときが、いちばん生きていられるから。
……いちばんかっこいいボクだから」
在るべき理想の己へ。
向かうべきは、きっとそう。
……彼女に言葉をぶつけた自分も、そうなるように生きていたはず。
求めたる完全と、テレビの向こうの憧れと、自分の激情の行く先が。
たったひとつ、歩くべき人生ならば。
「行こ。 連れてって?
いまはひとまず、遥か東の彼方まで……線路をたどっていけばいいかな?」
古い映画みたいに。
顔をあげて、笑った。
■緋月 >
「わるかったですね、大して大きくない胸で…。」
最後にかけられた言葉には、そう返してしまう。
でも、簡単に涙は止まってはくれない。
仕方がなかったといえば許されるかも知れない。
必要だったといえばそうなのかも知れない。
それでもやっぱり、ひどい言葉をかけるのは、つらかった。
「……つらかった、ですね。
自分で、自分の家族を…どんなものであっても、壊してしまうのは。」
軽く頭を抱くと、そっと撫でる。
普段の彼女は自分より上背があるから、少しだけ新鮮な気持ち。
「だったら、せめて幻に決着を着けて、戻りましょう。
言えなかったお別れを言って、二人で帰りましょう。
私たちは、お互い、こんな所で立ち止まっててはいけない。
そうでしょ?」
言いながら、何とか顔を擦り、涙を拭う。
別れの時は、涙くらいはなしで見届けたい。