2024/07/20 のログ
■橘壱 >
『……は?』
不意に頭上を影が覆う。サブカメラが捉えたそれは……。
■橘壱 > 『デッッッッッカ!?!?!?』
■橘壱 >
デカァァァァァァァイッ!!説明不要ッ!!
まるでそれは特撮のヒーロのような巨大さだ。
成る程、これが彼女の自信の源の力のようだ。
しっかりワイヤーを掴んでいる姿はその見た目通りのパワーを発揮している。
『……とは言え、見惚れてる場合じゃないな!』
彼女が頑張ってくれているなら、自分も頑張らなければ意味がない。
鋼の足が土を跳ね除け、オオカブトへと一直線に駆け抜けていく。
確かに此の機械は兵器だ。だが、弊社の強みは医療器具に通ずる。
AFにもしっかり、その機能は備わっている。
『やるぞ、Fluegele!』
<Main system engaging surgery mode.>
無機質なCOMの音声とともに、バックパックから伸びるサブアーム。
その場で医療技術を行うためのモードだ。
少年はまだ学生で医学は専攻していても卵だ。その技術は未熟。
だが、それは機械の力がカバーしてくれる。
伸びたサブアームがオオカブトの頭部を掴むと、放たれるのは特殊な音波。
麻酔薬を使わない、特殊な音波によるリラックス効果を誘う音波麻酔だ。
薬を使わない分効力は短時間だが、その分生態的相性を懸念しなくて済む。
事実、昆虫にだって効果はある。ギリギリと張り詰めるワイヤーが次第に緩んでいき
最後には大人しく、撓むだろう。網の中でスン、とするオオカブト。
『……捕獲成功、だな。』
振り返り彼女を見上げ、そう告げた。
■ゼア >
「作戦せいこーっ。どやー」
網の中で大人しくなったカブトムシを見て、無邪気に喜ぶ。ぴーす。
「ゼア一人だったらふっとばされておわりだったかもー。それはそれで楽しかったけど。
ふふ、ありがとねー、ロボットのお兄さん」
しゃがんで機械の体に笑顔を飛ばす。
「んー。これでいっぱい自慢できるなー♪
相撲大会に出す分のカブトムシ探さなきゃだけど」
大変満足そうに、巨大カブトムシの角の先をちょいちょいと弄った。
■橘壱 >
『…………ふむ。』
実際見上げてみると悪くない。
いや、見られても良いタイプの下着っぽいけど、"逆にそれがいい"。
オタク、しっかり男の子。モニターの向こうでガン見していた。
『そんなに大きいなら一人でも余裕そうだけどな。
……まぁ、役に立てたのならよかったよ。』
大きさ=パワーである。
とは言え、オオカブトも大分いい勝負してたからわからないな。
役目を終えれば全身がまた液体のように溶けていく、あっという間にトランクに形を変えた。
少年はふぅ、と一息吐けばトランクを持ち上げて眼鏡をかちゃり。
「まだ動き回る元気はあるのか……此の暑さで凄いな。
まぁ、乗りかかった何とやらだ。このまま事故にあっても困るし、よければ付き合うよ。」
「普通のカブトムシなら、捕まえる方法も知ってる。
僕は橘壱。ご覧の通り風紀委員だ。お前は?」
オオカブトはちょっとくすぐったそうだ。
■ゼア >
「…………そっか。おっきくなればよかったのか。
でも、うん。こんなふうに捕まえるのはできなかったかも。
だから、ありがとー」
元々「大きくなれば何とかなる」という発想はなかったが。
仮にゼアがそれに思い至ったとして、ここまでうまく事を運ぶことはできなかっただろう。
「"なつやすみ"だからねー。やりたいことがたくさんあるの。
暑さにやられてる場合じゃないのです」
今年の夏の目標。「人間の夏休みを満喫する」。
そんなわけで、ゼアはやる気に満ち溢れていた。
夏用の帽子も手に入れて、とてもご機嫌な現在なのである。
カブトムシの角を弄るのに満足したら、姿を元に戻して自己紹介。
「ゼアはゼアだよ。妖精なのです。
普段はー……いろいろやってるよー。商店街でお手伝いとか」
■橘壱 >
「……頭の使い方次第だとは思うけどね。
礼を言われるようなことはしてないよ。僕はちょっと力添えしただけさ。」
思ったよりも中身も外見もほわほわしているらしい。
良くも悪くも子どもっぽい無邪気な感じが危なっかしさを感じる。
…良く一人で山なんかにこさせたな、とは思わなくもない。
懐から取り出す冷却用魔法道具を使えば周囲もひんやりだ。
オタクが…というか最早、今の環境でアウトドアするためには必需品だ。
「妖精か、成る程な。通りでデタラメな事も出来るわけだ。」
あんなに大きくなれるのも納得だ。
幻想生物なら何が出来ても不思議じゃない。
にしても、本当に人間と姿形が変わらない。まるで、神様の悪戯だ。
「まぁ、やりたいことが多いのはいいことだよな。
何もなく怠惰に過ごすよりはとてもマシだ。帽子も良く似合ってるよ。」
かちゃりと眼鏡を上げてから、網の中のオオカブトを一瞥した。
「……でっかい虫かごも持ってくるべきだったか?
まぁいいか。暫くは大人しいはずだし。問題は……運搬か……。」
■ゼア >
「え、それならゼア運ぶよ?」
力仕事――特に運搬には慣れている。流石に生物を直接運んだことはないけれど、まあなんとかなるだろう――そんな希望的観測。
「どっか適当なとこに置いておいてー、後でゼアが運べばいいんじゃないかなー」
それまで麻酔の効果が保つだろうか、という発想はゼアにはない。
ともかく。
「それじゃあ次は大会に出るカブトムシを探そー。
ふふ、まだ一杯時間はあるからたくさん探せるねー。目指せ横綱」
何せ、オオカブトでは大会に出れそうにないので。ノーマルサイズの虫かごと網が似合うカブトムシを探しに出るのだ。
逸る気持ちを抑えようともせず、疲れを感じさせないバイタリティーを全身から溢れ出させていた。
■橘壱 >
「えっ?あ、ああ……まぁ、あの大きさならいけるか……。」
一瞬マジか、みたいな顔をしたが思えばあの大きさだ。
或いは巨大化しなくてもパワーだけなら随伴するのだろうか。
「……まぁ、多分麻酔の効果は持つと思うけどな。
あんまり長居するとまた暴れ出すかも知れないぞ?」
今は強烈にリラックスしてるだけであり、網が絡まっている不快感はあるだろう。
此の効果が切れればまた暴れ出すに違いない。が、なんとなく心配はなさそうだ。
「横綱ってな……階級まであるのか?
……わかったわかった。とりあえず昼間でも薄暗い場所とかをだな……。」
本当に凄いバイタリティだ。インドア派のオタクはちょっと圧倒されてしまう。
とは言え、一度言ったことはしっかりと守ろう。やれやれ、と肩を竦めながら彼女に付いていくだろう。
実際、しっかりと知識はあるようで、何事も無ければカブトムシは問題なく捕まえられる。
その後商店街とオオカブトの扱いに関しては…まぁ、彼の関与するところではない。
暑い夏の1ページに、一人の少年との行いがしっかりと刻まれることでしょう。
ご案内:「青垣山」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「青垣山」からゼアさんが去りました。