2024/08/10 のログ
■焔誼輝夜 >
「め、め、めめめーわくなんてかけてないよ?」
完全に目が泳いでいますね。
きっと帰るたびに怒られているのでしょう。
もしかしたら、GPSとか持たされているかもしれません。
「おっほん――そっかーしずかなところがすきなんだー?
ここはしずかなところ?
でもだれかのおうちみたい」
そんなふうに見える、ようですね。
ちなみに、自分が静かな場所を騒がしくしたというような自覚はさっぱりないのです。
もちろん、それを言われたら頑張って静かにしようとしますが。
努力は出来ても、不可能な事は世の中に存在しますからね。
「そうなの?
くろめちゃんはさみしくないの?
かぐや、ママだいすきだから、いないとさみしーよ?」
そう、自分がそうだから、という理由だけで無邪気に。
悪く言えば無遠慮に聞いてしまいます。
自分がママたちと別れたら、きっと寂しくてたまらないと思うのでしょう。
もちろん、本人はお留守番をしたくない理由を言っているだけですが。
■クロメ >
「本当に、か?」
じっと、冷めた目を向ける。
咎めるわけでもなく、ただ問いかける瞳。
「神の別荘だったところだ。
誰も世話をしなくなったようだが」
神を敬い、慕い、世話をするものが絶えて失せたのだ。
だから、こんな残骸になってしまった。
人間の度し難い一面の発露……だが、そこまでこの幼女に語って聞かせることもないだろう。
「好きも、嫌いもない。
さみしいも、さみしくないも、ない」
想いを馳せるものがない。そこには、空白しかない。
ないものには、なんの感慨も抱くこともない。
それが、伝わるかは……わからない
「かぐやは、好きなんだな?
……なら、想いを言っておけ」
さみしいから脱走する。脱走して、好き勝手にあちこちして遊び倒す。
おそらく、その結果として怒られたりしているのだろう。
……余計なことを言ったか。
■焔誼輝夜 >
「ほ、ほん」
ちょっとだけ嘘を吐こうとしましたが。
すぐに俯いて肩を丸めてしまいましたね。
「――ほんとは、いつもおこられちゃうの。
めーわく、だよね」
ほんの少しだけ、落ち込んでしまったようです。
自分が家族に迷惑をかけているのはわかっているみたいですね。
それでもやめないのは、寂しさと、無限大の好奇心でしょうか。
「――ほにゃあ。
かみさまのべっそー?
かみさまのおうち?」
廃れた神社を眺めながら、不思議そうな顔を真っ正直に浮かべちゃいます。
いまいちよくわかっていなさそうですが。
なんだか寂しい気がして、ぱんぱん、と拍手を二回鳴らしました。
「かみさま、かえってきたとき、おうちがこわれてたら、きっとかなしーね」
そんなふうに、率直な気持ちを零すのでした。
そしておなじように、なんともないというお姉さんにも、なんだか寂しい気持ちになったのです。
「うん、みんなだいすき。
ねえねえ、くろめちゃんはすきなひといないの?
さみしくないの?
かなしくないの?」
無邪気な、無遠慮な質問が連続します。
でも好奇心でいっぱいだった瞳は、いつの間にかどこか切なそうにゆらゆら揺れていました。
■クロメ >
「……………」
少し、黙り込む。
人ではない、とわかっているとどうも余計なことを考えてしまう。
「迷惑だな。
だから、想いを話せ。」
さみしいのなら、さみしいと。冒険したいというのなら、冒険したいと。
そう伝えておけ、と。もうすでにしているのかも知れないが。
せめて話し合いでもしておけばいいだろう。
「……そうだな。さみしい、かも知れないな」
自分を慕っていたと想った人間たちが、自分を捨て、忘れ、家すらも無くなったとしたら。
それを識った神はどう思うのか。
さみしい、なのか。無礼な、と怒り狂うのか。
それとも……諦観とともに、見捨てるのか。
「好きな人、など……いない。
哀しみも、寂しさも――」
ほんの僅かに、考える。
最近、どうも昔を思い出したりする羽目になる。
「……はるか昔に、置いてきた」
つい、口が滑る。
子どもに話すようなことでもないというのに。
■焔誼輝夜 >
「おもいをはなす?」
どうにもよくわかっていないみたいです。
ただ。
「うん、ちゃんとおはなしはしてる」
そう足をプラプラさせながら答えます。
きっとちゃんとお話しはしたのでしょう。
その上できっと閉じ込められず、自由にされていて、その上で叱られているのでしょう。
家族からとても大事にされている事が、わかってしまうかもしれません。
「おうちがなくなっちゃうの、かわいそう。
おかえりっていってくれるひと、いないんだね」
なんだか悲しくなってしまったようで、目元がじんわり潤んでしまっています。
自分だったらおうちに帰って、おかえりって言ってもらえなかったら哀しいと思うのです。
勝手にお出かけしたらだめでしょ、って怒られないと、寂しくなっちゃうのです。
「ふにゅ――」
お姉さんをじっと見ていると、神社を見ている時と同じような気持ちになってきてしまいます。
なんだか悲しくなっちゃうのです。
「くろめちゃん、ずっとひとりだったの?
くろめちゃん――すごくさみしそう」
そんなふうに見えてしまうのです。
大事な人も大事にしてくれる人もいないなんて、自分だったら耐えられないって思うものですから。
■クロメ > 「そうか。なら、いい」
他所に口出しするものではないし、なにより。
それでいいとされているのなら、それでいいのだろう。
大事にされているのなら、それで十分だ
「そうだな。
そんなことも、わからない者たちがいる。
だから、忘れるな」
こどもらしいと言えばこどもらしい感性。
家がなくなるのはかわいそう、おかえりを言ってくれる人が居ないのはかなしい。
ただ、その原始的かつ、原初的な気持ちは、大事なもののはずだ。
そんなことすら忘れて、人々は生きている。
そう、忘れてしまうのだ。あっさりと。
「勘違いするな。ずっと、ではない。」
悲しそうに問いかける幼女に、変わらない冷えた顔で見つめ返して答える。
「それに……置いてきたのだ、そういうものは」
わずかに視線を上に動かし、遠くを見やる。
空は憎らしいほどに晴れ渡り、雲一つない晴天であった。
■焔誼輝夜 >
「うん、わかった」
いい、と言われたら素直にお返事です。
今の自分がとても大事にされているのだと、気付くのにあとどれくらいかかるのやら。
けれどきっと、その時には今のたくさんの冒険が、きらきら輝く宝物になるのでしょう。
「ほにゃ?」
お姉さんの言葉にまた、不思議そうに視線を傾けます。
ずっとじゃないならいつまで?
どうして置いて来ちゃったの?
やっぱり沢山のなんでとどうしてが浮かんできます。
でも、お姉さんはあんまりお喋りが好きじゃなさそうで、ぐぐっと我慢するのです。
「くろめちゃん、くろめちゃん!」
それでも、すっごく寂しそうに見えてしまうのです。
だからお転婆娘は、なにかしたくなってしまうのです。
お姉さんを呼びながら、自分の右手の平を向けました。
「てのひらあわせしよ!」
そう言いながら、ぐい、と体を乗り出しながら手の平を向けます。
そのとても小さな手の平は、華奢に見えるお姉さんと比べても、ずっと小さい事でしょう。
■クロメ > 「…………」
大事にされ、幸せに包まれている少女。
留守番を捨てて、好奇心いっぱいにあちこちを冒険し、怒られてもまた挑む。
そうして、成長していくのだろう。
そんな少女に聞かせるような面白い話など、そこにはなかった。
語る価値もそこには存在していない。
「私は千歳を超えている。
それだけ生きれば、色々ある。」
不思議そうに首を傾げる少女。
その疑問に答える……わけでもないが、多くの疑問を流す言葉を与える。
少女の人生がどれだけはわからないが、その間にも色々あったことだろう。
それが更に引き伸ばされたら……それでイメージだけでも出来れば十分だ。
詳細は……語ることでもない。
「なんだ?」
子どもは、本当に何を考えるか想像もつかない。
まだなにかあるのだろうか……と思ったら、妙なことを言い出す。
「やれやれ」
小さく吐息をついて、手のひらを合わせる。
クロメ自身も大きい方ではないが、少女のそれは更に小さかった。
ただ、その体温はクロメよりも遥かに温かかった。
「……」
元々クロメ自身が冷たいこともあるが、この温度差は……
そういうもの、なのだろうか。と、冷徹な頭の中で考える。
「……これでいいか?」
しかし、いつまでこうすればいいのだろうか。
■焔誼輝夜 >
「せんさい?」
まだ百まで数えるのが精一杯なお子様には、数字とすら認識できなかったみたいです。
ただそれでも、なんとなく、とっても長生きなのだとは分かったみたいです。
「えへへ~」
お姉さんの冷たい手と、手の平を合わせると、とっても嬉しそうに笑います。
そうして、どことなく自慢げにするのです。
「あのね、あのねっ?
てのひらあわせは、おまじないなの!
あのね、こうやってね――」
そう言って、手の平を合わせたまま、目を閉じてお祈りをするように。
けれどおっきな声で、お願い事をするのです。
「くろめちゃんが、いつかさみしくなくなりますよーに!」
そう言ってから再び顔を上げると、にこーっと、満面の笑みです。
これで心配ないと、本気で思っているような笑顔です。
「こうやって、お願い事をすると、いつか必ず叶うんだよ!
ねっねっ、くろめちゃんもやってみて!」
そう言って、特別なおまじないを、子供だましのおまじないをお姉さんに伝えるのです。
■クロメ > 「とても、とても長い時間だ。
10年を10回。それをまた10回くりかえす。」
少しだけ数字を落として、説明する。
なんとなく、長いとわかっていればそれでいいのだけれど。
つい、口にだしていた。
「……呪い」
自分は怪異の類で、少女は神の類だ。
その両者が合わせて行えば、もしかすると何かが起こるかもしれない。
それは流石に、どうなのだろう、と思ったのだが……
「そう、きたか……」
本当に、ほんとうの意味での、"おまじない"
呪詛でも、呪術でもなく……ただの、願い事。
それも、具体性がなく叶えるにしてもどう叶えたものかもわからない、曖昧な内容。
そんなもの、成就するはずもない
仮に成就したように見えたとして、それは単なる偶然に過ぎないだろう
もしくは……本人の努力の賜物だ。
「私もか?」
きらきらの目で、満面の笑みで自分もやれ、と言ってくる少女。
断ろうとしても、きっと全力で勧めてくるのだろう。
小さく息をつく
まさか、呪詛を撒くわけにもいくまい。
少女に習って、目を閉じる。
「かぐやちゃんが、立派なレディになりますように」
静かな声で、祈った。
祈りは風に乗り、廃神社の境内に溶けていった。
「……これでいいか?」
■焔誼輝夜 >
「ほにゃぁぁ~――」
ぽかーんとしてしまいます。
想像もつかないくらい、とーっても長い時間でした。
それでも、『手の平合わせ』は、お子様にとってはとっても大事で嬉しい時間のようで。
「えへへ、うんっ、くろめちゃんも!」
そう、どんな願い事をするんだろう、なんて。
わくわくとドキドキを湛えた、きらきらの目で見つめるのです。
だから、仕方なさそうにでも、お姉さんがお願いをしてくれれば――
「――ほわ」
最初は驚いた顔をして。
すぐにちょっと恥ずかしそうな顔をして。
でもやっぱり、結局はお日様よりも眩しい笑顔になって。
「くろめちゃんすごーい!
かぐやのもくひょー、おみとーしなんだ!」
そう、とっても嬉しそうにしながら。
そんな子供だましの『おまじない』は、風に吹かれて晴れた空に昇っていくのです。
「えへへ~っ、くろめちゃん、だいすきーっ」
そう言って、迷わずその胸に飛び込もうと、ダイブするでしょう。
きっと避けられてもうれしそうで、抱き留められてもうれしそうで。
なにをしても、きらきらした笑顔でお姉さんを見つめるには違いないのです。
■クロメ >
「そうか、目標だったか。」
これこそ、ただの偶然の一致。
天真爛漫で、好奇心旺盛で、やんちゃなところのある少女。
それはそれで、おそらく世の中としては好ましいのかも知れない。
だがもう少し、落ち着きを持った大人になれ、と祈りにのせた。
もっとも、少女の望む"立派なレディ"というのが自分の想像する姿と同じとは限らないが。
では、なぜ少女のことを祈ったのか。
クロメ自身に、祈るべき望みなどない。叶えたい願いなどもう今更だ。
なら、子供だましでも自分のことを願った分を返すのが道理であろう。
それだけの理由だった。
「……ぐ」
胸に向かってダイブしてくる。
躱す手段はいくらでもあるが、此処で躱すほど不義理でもない。
正面から受け止めたが、想像通り、このサイズの少女とは思えないような突進であった。
「……好き、か。
私を好きになってもいいことなどないぞ」
無邪気な満面な笑みと、無垢な感情の発露。
その二つを受けて、小さく息をついて、それだけを応えた。
「まあ……満足はしたか?」
これだけ色々話して、"おまじない"もしたのだ。
好奇心いっぱいの少女も多少は満足して帰る気になっただろうか。
■焔誼輝夜 >
「うんっ、ママたちみたいな、オトナでムテキなれでぃーになるの!」
どうにも少しズレた理想のようですが。
それでもお姉さんが、自分の事を祈ってくれたり、『もくひょー』を言い当ててくれたのが嬉しくて。
それはもう、言い表すのも大変な喜びようです。
そうしたらもちろん、ボディランゲージが始まってしまうのもやむなしなのでしょう。
「えへぇ~――ほにゃ?
なにか『いいこと』がなくちゃ、すきになっちゃいけないの?」
しっかりお姉さんに抱き着きながら、視線を上げて困った顔になっちゃいます。
そうなると大変です、お姉さんに『いいこと』があるようにアピールしないといけないのです。
「えっとえっと――かぐやとおともだちになるとっ、なんとっ、きもちのいー、おひるねすぽっとをおしえてもらるのですっ!」
なんて、セールスポイントをアピールするのです。
お昼寝スポット――お姉さんには有益なのでしょうか。
静かな場所があったら喜んでもらえる、かもしれませんが、あんまり喜んでるお姉さんも想像できなかったりしました。
「ん~、うんっ!」
お姉さんの問いに、きらきらの笑顔で答えます。
すりすり、と。
刺さってるように見える杭を不思議そうに見ながら、頬ずりしまして。
お子様は大満足な様子でぴょーんと大きくジャンプすると、ノックアウトした熊さんの前に着地します。
着地した時は両手を挙げてびしっとキメ。
体操競技では大事なポイントですね。
「くまさん、くまさん、おきてー?
いっしょにおやまをぼーけんしよーよー」
そういいながら、お子様が倒れた熊さんをゆすっていると。
熊さんはいつの間にか元気になったようで、のっそりと起き上がります。
愚かさんな熊さんですが、もうお子様を襲ったりはしなさそうです。
「それじゃーくろめちゃんまた――あ~っ!」
無理に起こした熊さんの前で、お姉さんにバイバイしようとしたときに大きな声を出しました。
何かを忘れていたとばかりに、お姉さんに駆け寄って、一枚のアルミカードを差し出します。
「あのねっ、ママがおともだちができたら、これをあげなさい、っていってたの!
よくわかんないけど、そしたら、またいっぱいあそべるんだって」
そのアルミカードには、ふにゃふにゃの平仮名で『ほむらぎかぐら』と名前が掘ってあったり。
裏面には住所や保護者への連絡先が書いてあったりするのでした。
また、学生手帳などでスキャンできるコードも刻んであり、それらの情報を電子的に保存も出来るようでした。
■クロメ > 「そうか」
自分の思い描いたレディとはやはり違うらしい。
だが、それは大した問題ではない。こんな物は気持ちの問題だ。
そもそも、成就などするはずもない、児戯そのものである"おまじない"だ。
真剣に考えるだけ、馬鹿馬鹿しい。
もし、かなったのだとしたら。よくがんばった、とでも言えばいいだけの話だ。
「……そうだな。
好きになると、悪いことがある。
そういうこともあるんだと、それだけ識っておけ」
なるほど、そういう解釈をしたか。
一々否定するのも面倒なので、噛み砕いて説明し直す。
「そうか。それは、いい場所なのだろうな」
少女の必死のアピールを静かに聞く。
眠る頃すら必要としない彼女にはさほど魅力的ではないが。
この一生懸命な少女がいうのだから、特別な、いいところなのだろう。
「ああ、また……ん?」
熊を起こして、共にさろうとする少女。
伝承にある金太郎のつもりなのだろうか。だが、妙にあっている、とも見えた。
その一人と一匹を見送ろうとした矢先、少女が戻ってくる。
「カード……ああ」
渡されたのはアルミカード。
少女の名前が刻まれた、連絡先も描いてある一品
なるほど、こうして友達を広めろ、という親の心遣いか
「そうだな。これなら、たしかにな」
アルミカードを受け取り。
「暗くなる前に帰れ」
ただそれだけを告げて、改めて見送りをするように、空に腰掛けた
そして、見送れば……しばし神社でつかの間の休息を過ごそうとするのだろう。
■焔誼輝夜 >
「わるいことー?」
案の定、よくわからなかったようですが。
知っておけと言われたら素直に頷きました。
さてさて、言葉の意味を理解するのは何時になる事でしょうか。
「えへへっ、うん!
とーってもいい場所だから、こんどおしえてあげるね!」
そんなふうに喜んで熊と戯れたお子様がしたことは、本当に好奇心と衝動に任せた、ちょっとしたお騒がせ。
アルミカードの意味すら、お子様自身は、まるでよくわかっていないのです。
「はーい!
くろめちゃん、『またね』っ!」
そう云うと、熊さんの背中に乗っかって、山の中へとボーケンに出かけていくのでした。
ちゃんと暗く前におうちに帰れたのかは――きっとかみさまじゃなくたってわかった事でしょう。
ご案内:「青垣山 廃神社」から焔誼輝夜さんが去りました。
ご案内:「青垣山 廃神社」からクロメさんが去りました。