2024/12/31 のログ
エルピス・シズメ >   
「ん、大丈夫だよ。
 かわいいところだけじゃなくて、カッコいい所見せたいし……」

 何だかんだで体力は身体能力はそれなりにある。
 ちょっとだけ気恥ずかしくて、言い淀みながらも自信を見せた。

「そうだね。整備されている観光地の山でも5倍ぐらいの値段になるって聞いたから、山道に自販機を置くのは大変なのかも……。」
 
 何か座れる場所はないかと周囲を見渡す。
 岩も切り株もないと変われば、ううんと唸る。

「ちょっと汚れちゃうけど、休む方が大事だね。」

 意を決して、イーリスと隣り合う様に地面に座る。
 ひんやりしてるけど、アスファルトでもソファーでもない土の感触はちょっと新鮮。

Dr.イーリス > 「えるぴす……さん……。ありがとうございます。なら少し、頼ることにしますね。ほんとに無理はなさらなくて大丈夫なので、休憩が済んだ後にちょっとだけ負ぶってください」

少し頬を染める。
えるぴすさんはかわいらしくて、そしてカッコいい。

「それはもう、山岳地帯に物資を運ぶのは苦労しそうですよ。それでも、その苦労の末に設置される山道の自販機はあったらとても助かるものですよね。よければえるぴすさんも水分補給、どうぞです」

いーりすは水分補給を終えた後、微笑みながらえるぴすさんにも水筒を差し出す。
直飲みタイプの水筒。中身はスポーツドリンク。

「整備されていないお山の登山なので、少し汚れるのは覚悟ですね。休憩に適していない場所かもしれないですけど、それでも少しでも体力回復です」

体力を回復できるよう意識して呼吸していた。
体を動かしてちょっと温まったけど、それでもちょっと寒くはありえるぴすさんと体に寄せ合おうとする……けど、登山して流した自身の汗が気になってふとえるぴすさんに寄せようとした体をとめた。

エルピス・シズメ >  
「いざとなったら、変身して空を飛んでもいいしね。」

 折角だから歩いて登り切りたい気持ちはあるけれど、
 能力を使ってアルターエゴ・サイキッカーに変身して空から日の出を見るのも悪くない。
 選択肢として頭の片隅に入れながら、休憩に入る。

「ありがとね、イーリス。……ん、美味しい。
 ちょっと甘いから、ついつい沢山飲んじゃいそうになるよね。」

 スポーツドリンクの仄かな甘さが身体に染みる。
 飲み過ぎないように意識して、数口飲んでイーリスに返した。

「そうだね。休憩しながら山道を歩く経験も、色んな所をおさんぽするには大事なのかも。」
 
 肩を寄せ……ようとして身体を止めたイーリス。
 何かあったのかと、意図に悩む。

「……どうしたの?」

Dr.イーリス > 「メニー・レインボーのステッキは持ってきてないですね。ほんとに、いざとなったら正義のロボットさんに頼ることになるかもしれないですね」

イーリスは正義のロボットさん(アルターエゴ・サイキッカー)の背中に乗せてもらった事があるけど、変身と聞いてまず思い浮かべたのはふたりで変身して空を飛ぶ事だった。最近、イーリスが所有するステッキは地下ラボの机の引き出しに入れられっぱなしで、全然持ち歩いてなかったりする。自衛手段とすれば、右腕に《イリデッセント・リング⦆はつけてある。
このいざという時というのは、変な強そうな生物が突然出現して襲われたりなど、本当にいざという時の想定で口にする。

「ふふ、そうですね。甘くて飲みやすい分多く飲んでしまいがちですが、ちゃんと切らさないように調整しなければです」

ペース配分と、あとえるぴすさんの分も考えて、いーりすがお口に含んだスポーツドリンクの量は少し。

「おさんぽするために体力をつけないといけない事を考えると、安易にえるぴすさんを頼るわけにもいかないかもしれないですね。もう少し、自分の脚でがんばってみます」

えるぴすさんのやさしさについ甘えそうになっていたけど、おさんぽ同好会として活動するなら自分の脚で歩く事も大切で、体力をつけないといけない。
休憩も挟んでいるので、もう少しがんばってみようと思った。

「あ、あの、えっと、な、なんでもないです……! なんでも……! 体力も回復しましたし、初日の出を見るべく登山を再開しましょう!」

不意の問いにいーりすは立ち上がって、頬を染めながら慌てて両手をぶんぶんと振る。
そうして歩き出そうとする。

エルピス・シズメ >  
「うん。いざと言う時は任せて。多分大丈夫だと思うけれど……。」

 こくんと頷く。
 特に危険はなさそうだし、抱えて登るのも問題なさそうだから本当にもしものこと。

「ん……了解。がんばってね、イーリス。」

 自分の足で頑張ると聞けば、その意気を応援する。
 ギリギリまでは手を出さないで一緒に歩こう。

「……? う。うん。それじゃあ、歩こう。」

 匂いを気にしていることに気付くことも実際にイーリスの汗を意識することもなく、
 気付かぬままに立ち上がって登山を再開。

 エルピス自身もほんのり汗を掻いているものの、それも意識していない。
 特に気にせず、イーリスの隣を歩き進める。
 

Dr.イーリス > 「少なくとも、現時点で私のセンサーに引っ掛かる危険な生物の類はありませんね」

未開拓地区の山ではあるけど、危険な生物と遭遇するいざという場面はなく安全に登れそう。

「ありがとうございます、えるぴすさん」

にこっ、と笑みを浮かべて、自身の汗の匂いをちょっと気にしてしまっているのを誤魔化すようにえるぴすさんの隣を歩いていく。
疲労が回復して、瞳に輝きが戻り、前を向いて歩く。

「山を登った先に日の出が昇り、今年一年がとても素敵な一年になることを想像すると、とても胸躍ります。除夜の鐘で起こされる前の夢は、えるぴすさんと山登りしている光景だったのですよ。これって、初夢って事になりますよね! どのような鳥さんか忘れましたけどお空を飛んでいました。なすび……ではないですけど、山道の近くに唐辛子の畑がなぜかありました。一富士ニ鷹三茄子で、とても縁起がいいですよ!」

山登りしているというだけの夢なので、その山が富士山かどうかは分からない。鳥もよく覚えていないので、鷹かどうかも不明。なすびに至っては、唐辛子を物凄く強引になすびと結び付けている。極めつけは、除夜の鐘で起きているので新年を迎えて即夢が終わったという事になるので、ぎりぎり大晦日に見た夢ということになる。結構ガバガバ。
初夢が「大晦日から元日の夢」や「元日から2日の夢」、「2日から3日の夢」説あったりするかもだけど、縁起の良い夢を見た時にそのいずれかで都合よく初夢と言う人もいるかもしれない。今のイーリスがそれ。

エルピス・シズメ >  
「ふしぎな夢だね。確かに縁起がいいのかも……?
 僕は滅多に夢を見ないから、あんまり分からないけれど……」

 こてん、と小首を傾げる。
 少なくとも悪い夢ではなかったみたいだから、きっと縁起が良い夢なのだろうと判断した。

 エルピス自身は滅多に夢を見ない(ゆめをみない)──それこそ干渉などがない限りは夢を見ない性質。
 初夢に於いても例外ではなく、夢を見るという感覚はあまり分からない。

「……ひらけた場所が見えてきたよ。もうちょっとだね。」

 もう少し登れば、拓けた場所が見えてくる。
 道をまちがっていなければ、山頂の筈だ。

Dr.イーリス > 「えるぴすさんと初日の出を見に行くのが楽しみにしていて、それが夢になったのかもしれませんね。えるぴすさんはあまり夢を見ないタイプなのですね……?」

正夢という言葉が脳裏に思い浮かんで、周囲を見渡す。
もちろん、唐辛子の畑がこんなところにあるわけがなかった。

えるぴすさんは夢を見ない。
今のイーリスには、そういった体質なのだろう、という認識にとどまっていた。

えるぴすさんと頑張って歩いて、そして開けた場所が遠くに見えてくる。

「あれが山頂ですね! あと、もう少しです……!」

ゴール地点が見えて、イーリスの表情がどんどん明るくなっていく。

エルピス・シズメ >    
「そうだね。少なくとも、ここ半年は見ていないと思う。」

 エルピス・シズメとして生きてからは夢を見たことがない。
 エルピス自身もそう言う体質なのだろうと、深くは考えていなかった。
 実際に構造的な理由であるため、体質と言えば体質。

「何とか初の出には間に合いそう。後ひといき。」
 
 長かった道のりも残り数歩。
 ほんの少し名残惜しく思いながらも、ゆっくりと登る。

「……到着。頑張ったね、イーリス。」
 
 抱えることなく独力で登り切った。
 そのことを自分の事のように嬉しく思えば、微笑みと共に労う。

「見て、陽が登り始めてる。……とっても綺麗。」

Dr.イーリス > 「半年……それは随分と、長い間、夢を見ていないのですね」

夢を見ないにしても半年は長い気がするけど、少し引っ掛かることもある……。
エルピス・シズメさんとして生まれた頃から夢を見ていないのだろうか……。
単なる体質から、認識を改めるには十分だった。

(モアちゃんなら、何か知っているでしょうか……)

次の機会に、モアちゃんに尋ねてみようと思った。
えるぴすさんにもモアちゃんの事を紹介してみたいとも思うけど、そのあたりもモアちゃんと相談したい。

ともあれ、もうすぐ、やっとの山頂……!
だんだん近づく頂きに、イーリスの瞳の輝きが増していく。
疲れてはいるけど、ちょっと足が早まったりもして。

「つきました! やりました! ありがとうございます、えるぴすさん! えるぴすさんもおつかれさまです!」

山頂につけば、ジャンプしながらバンザイして喜んだ。
労ってくれるえるぴすさんに笑顔でお礼を言う。
そして水平線から登り始める太陽。

「わぁ! 初日の出、とても美しいです! えるぴすさん、撮影しましょう!」

先程は汗の匂いを気にしてえるぴすさんに体を寄せ合う事をちょっと躊躇ったいーりすだったけど、山頂に辿り着いた達成感とか嬉しさとかで、普通にえるぴすさんに体を寄せて。
《イリスフォン》を取り出して前方に投げる。すると《イリスフォン》の自撮り機能が働き、浮き出した。

《イリスフォン》のレンズに向けて満面の笑み。
水平線の日の出を背景に、えるぴすくんといーりすを撮影する。

エルピス・シズメ >
「うん、陽が登り始めている今のうちに撮っちゃおう。」

 ぎゅっと身体を寄せ、浮いているイリスフォンに視線を向ける。
 エルピス自身もスマートフォンを出して、映り具合を確かめながら二人で撮影。

 良い写真が撮れたことを確かめてから、スマートフォンを仕舞う。

「えへへ……ちょっと大変だったけど、登ってきた甲斐があったかも。
 改めて……あけましておめでとう。今年も一緒に過ごそうね、イーリス。」

 スマートフォンを仕舞ってから、イーリスの瞳を覗き込んで笑みを浮かべる。
 寄せ合っても抱きしめても、そこに人や服の香りはあれど血の匂いがないことがとても嬉しい。
 

Dr.イーリス > 太陽を背に、えるぴすさんもスマホで撮影。
やがて《イリスフォン》がイーリスの手元に戻ってくる。
とてもよく撮れた写真で、イーリスは嬉し気ににこっと笑った。

そしてえるぴすさんに向き直る。

「ふふ、とても苦労して険しい道を突き進んで、ここに辿り着いてよかったです。改めて、あけましておめでとうございます、えるぴすさん。はい、楽しく幸せに、共に過ごしていきましょうね」

いーりすはえるぴすさんの背中に両手を回して、背伸びをし、自身の唇をえるぴすさんの唇に近づけていく。

「える……ぴすさん……」

そして、えるぴすさんの唇に自身の唇を重ね合わせようとする。
初日の出の前で、新年初めての口づけを交わそうとしていた。

輝かしい朝日に照らされての幸せな口づけ。湧き上がる愛情。
《パンドラ・コアMk-Ⅱ》も桃色に輝く。
年が明け、えるぴすさんといーりすは恋と愛をいっぱい注ぎ、注がれるところから始まるのだった。

エルピス・シズメ >  
 朝日のもと、口付けを交わし合う。
 口付けを交わし合うと、とても幸せな気持ちになれる。
 恋も愛もめいいっぱいに受け取り、注ぎ合う。
 
「……いーりす……。」
 
 初夢のような、だけれど確かにある幸せなひととき。
 とても幸せな気持ちで、一年を始めることができた。
  

ご案内:「青垣山」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「青垣山」からエルピス・シズメさんが去りました。