2026/02/17 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」に御雷 天華さんが現れました。
■御雷 天華 >
静かな足音が、仄暗い山道に反響する。
山を歩く少女の姿は、登山にはあまりに軽装なもの。
とはいえ……この道は比較的舗装されている場所。
崖や木の根に足を取られぬよう気を配る程度でも辿り着ける。
「……祭祀局から聞いていた通り、ですね」
そんな山奥の、実に寂れた神社の境内。
少女は社を見上げながら、誰に言うでもなく呟いた。
■御雷 天華 >
ここに彼女が来た理由はそう大したものではない。
彼女は己の素性故に、"確認"と"挨拶"をしに来ただけの事。
「管理できなくなってどれ程たっているのやら。
……しかし、結界は張ってるようですね、必要最低限ですが」
周囲の様子を探る様に少女は視線を巡らせる。
鳥居も半壊し、注連縄も千切れかけ。
社もあちこちが朽ち果て、神を奉る場所として相応しいとは言えない。
だが、それでもこの社は"まだ生きている"。
最低限の手入れをしに来ている者の存在を感じ取れた。
■御雷 天華 >
「しかし本題は……祭神はどうなっているか、ですね」
社に祀られていたとされる二柱、その"現状"。
少女はそれを確認すべく社へと足を進めた。
荒れ果てた社殿を覗き込むように、少女は境内を歩く。
社殿には注連縄が未だ張られているものの、 建物は酷いものだ。
カビやコケなどがこびり付き、 少なくとも数十年以上は放置されているように見える。
それでもなお手入れをしている者が定期的に来ているのだろう。
床に積もった埃や枯葉はさほど多いものではないようだ。
■御雷 天華 >
神殿にまで足を踏み入れ、少女は瞳を静かに閉じる。
祈るように、或いは何かを探るように。
その様はまるで、神と対話しているかのよう。
「………」
……数分、或いは数十分か。
やがて、少女は静かに瞳を開く。
"確認"は終わったのだろう。
その表情は僅かな憂いを帯びていた。
ご案内:「青垣山 廃神社」に枢さんが現れました。
■枢 >
「そうしていると当代の退魔師様は実に静謐で儚げな美少女でございますね」
そんな言葉からは背後から。
唐突に少女の耳へと届けられることになる。
当然、直前までその気配はなかった。
もっともこの女が神出鬼没であるのは、御雷家の彼女であれば十分に知っていること。
そういう存在である、ということを。
「こちらの生活にはもうお慣れになりましたか?
共通する文化はあれど、列島とは異なる部分もあるでしょうし、大変かしら」
くすくす。
童女の面影を残すような白髪の少女はそんな薄い笑いを浮かべていた。
■御雷 天華 >
聞こえた声、怪訝な表情を浮かべて少女は振り向く。
視線の先に在るのは、彼女にとって実に覚えのある姿。
尤も、その瞳には明確な不の色が混ざっていたが。
「……よもや、貴女まで此方に来ていましたか。
まだ本殿の転移も中途でしょうに」
分かりやすくため息を付き、少女は目の前の悪妖にそう告げた。
「して、何用ですか?
まさか揶揄いに来た…なんて言いませんよね?」
■枢 >
「ふふ。私のように比較的安全に封じられている獣は、先立って此方に移されているの。
調伏すら出来ていない、危険なものほど後回し…。まぁ、何が起こるかわかったものじゃないものね?」
振り向き、向けられる視線など何処吹く風。
薄い笑みを浮かべたまま、淡々とした声色で言葉を返す少女。
冷えた風が大陸風のドレスの裾を浚う。
覗く白磁の肌、揺れる髪。そのどれもがただの人間にしか見えない。
しかし目の前の彼女が向ける視線は、ただの少女に向けるには剣呑が過ぎる。
「あら、まだお若い御雷のお嬢様を心配してあげてるっていうのに」
心外ね、と。小さく細い肩を竦めて見せる。
「新たな生活の場に移りて、
自身が大変お世話になっている家の方に挨拶に訪れるのは当たり前の礼儀でしょう?」
■御雷 天華 >
「……その代表が貴女というのが、実に忌々しい話ですがね」
まだこの地に移され切れていない那岐流四家の本殿。
其処に封じられている妖らの事を思えば、当然の判断。
少なくとも目の前の存在は確かな制御下にある存在。
とてもそうは思えぬ振る舞いが目立つが、明確な敵にだけはなる事は無い。
だからこそ、余計に忌々しくも溜息を付くしかないのだが。
「であれば、もう少し真っ当な時と場所であれば嬉しかったですね。
このような場を隙あらば巡っている私にも非はあるかもですが」
ともあれ、挨拶と成れば納得はする。
社の外へと歩を向けて、枢の方へと歩み寄る。
「ちなみに、貴女の主は此方に?」
■枢 >
「厭ですね、その言い方。私が傷ついたらどうするのかしら」
少なくとも薄笑いのままの女が傷ついているようには見えはしない。
むしろ、そういった言葉を向けてくる彼女を楽しげに見下しているようにすら見える。
故にこそ、余計に忌々しいのだろうが。
「こういう場であるからこそ。
この青垣という山、あちらこちらから妖しの気配を感じるんだもの。
…未熟な継承者サマが襲われては、万が一もあるかと思いまして?」
わざわざ棘のある言葉を選ぶ辺りも意地が悪い。
彼女の知る通り、この獣は御雷家の制御下にある存在。
不遜な物言い、振る舞いくらいしか出来ない…筈である。
しかし、この山に巣食う怪異や妖の類は違う。
もしそれらに襲われた場合…彼女にあえて不利な行動をとる可能性もなくはない。
薄い笑みに包まれたその真意は伝わるべくもないのだが。
「閂のお家は残念ながらまだ。
本殿の移設の関係で私の真体が先んじて。
ですので、あるじさまがいなくて寂しい思いをしているのですよ?」
こう見えても、なんて言いつつくすりと笑う。どこまでが本心なのやら。
■御雷 天華 >
「それで傷心するタマなら私も気楽でしたね」
どの口が言うのか、としか言いようのない在り様。
今だって、どこかその表情は此方を下に見たそれなのだから。
「……ソレが命じられた振る舞いなら信用に値するのですけど。
万が一のその時に、身内に敵が居るのは嫌ですよ?」
尤も、そうは言いながらも最低限の信頼はしているのか。
一人で十分だ、と言えば済む話であるというのに。
ある種の護衛の役割だという言葉を、少女は否定しない。
……まぁ、言った所でついて来るだろう、と思っているのかもしれないが。
「なるほど少なくとも今は貴女だけと。
……あの子に早めに来るように催促しておくべきでしょうか」
などと、流石に冗談ではあろうがそんな言葉を零しつつ。
「しかし、そうであれば一度、私も確認に赴くとしましょう。
大人に任せてはいましたけれど、貴女が在ると聞いて不安も増しましたし」
■枢 >
「妙なレッテル貼りは止めてくださらない?こう見えても乙女だというのに」
どこまでも軽い口。
薄ぺらな言葉だけをただ返して、あら…と眉を上げる。
「随分と甘い認識だことで。私の退魔師嫌いは知っておいででしょうに。
…まぁ、あるじさまとの契約は絶対ですし、彼が悲しむようなことはしませんよ。フフ…」
ひとまずはね、と笑う。
逆に言えば、主が知らぬ存ぜぬであれば…とも取れる言葉ではあるのだが。
「では、あるじさまにそうお伝えしておきましょうか」
冗談交じりの言葉には笑顔でそう返す。
真体が離れたとはいえ式獣として結ばれている契約は有効。
いまはまだ遠い地にいる主の元へと顕現することも可能なのだろう。
「本家封じの怪異が何らかの事故で野に放たれては気が気ではありませんか。
それでも、心配性でございますね。当代の退魔師様は」
「まぁ…数年前の事件のようなことがあっては無理もないのかもしませんけれど?」
■御雷 天華 >
「貴女は信用なりませんが、閂の術は信用してますので」
やるにしても、そんな"わかりやすい"手では無かろう。
もっと陰湿で人目に付かず、公にならぬ手段を取るだろう。
少なくとも、そう確信して少女はそう口にする。
「伝言すれば、まるで急かしたようになるではないですか。
……とはいえ此方は、早く来て損はない場ではありますがね」
島から本土までの距離であっても、契約で結ばれているならばそれを無視できる。
古来に於いては通信端末の代わりにもなったその性質は、少々羨ましくもある。
気軽に各地に出入りできるのならば、実に便利に使えるのだから。
「それは勿論、なにせ本殿の移転など前代未聞。
用心に越した事はありませんし、懸念は必要でしょう」
最期の枢の言葉に、僅かに眉を歪ませて。
溜息を付きながら少女は応える。
「……ともあれ、こちらの用も済みましたし下山します。
本殿までの道案内くらいは、できますよね?」