2024/06/24 のログ
ご案内:「列車内」に先生 手紙さんが現れました。
先生 手紙 >  
――ガタンゴトン、ガタンゴトン、ガタンゴトン。

動く密室は一定のリズムを刻みながら環状線を走っている。

乗客はまばら。本土首都にあるものと同じで、この電車には始発と終電はあってもスタートとゴールはない。

その様に、『敷かれたレール』という言葉について言及したことを思い出す。そのレールが円周上をこうして廻るためだけのモノだったら、確かに外れる他はない。

限られたどこかへは行けるけれど、目指す場所が『先』ならば――堂々巡りの円環は、何処へも行けないことと同義である。

…………などとぼんやり考えながら、男はがたん、と揺れる電車に合わせて頭を揺らした。停車する。

お降りの方ではありません。

先生 手紙 > プシュー……

ガタン、

中身を入れ替えた列車が再びゆっくりと動き出す……

先生 手紙 >  
(ぴこん。)

端末が次の停車駅で降りることを告げている。

男は――それを、わかっていながら無視した。

巡る環状線。一駅くらい大差はないし、逆回りに乗り換えてもいい。

……もっと言うのなら、このままもう一周してもいいのだ。時間はある。

何も起きなければ――何者にも出遭わなければ、その時は、そう。

巡り合わせが良くなかっただけ、ということだ。

何も起こらないことを不満がらない。あらゆる立場から見て、先生手紙の日常は平穏であって欲しいと思っているがゆえに。

ご案内:「列車内」から先生 手紙さんが去りました。