2026/02/21 のログ
ご案内:「学園地区駅 ホーム前」に御雷 天華さんが現れました。
■御雷 天華 >
少女がこの島に来てもう幾日になるのであろうか。
街並みや道にも少しずつ覚えが増え、歩き回るのにも慣れてきた。
「ふむ…おおよそ、普段立ち入りそうな場所は見て回りましたけれど」
だが、この島は実に広い。
未だに少女が足を運べていない場所も多い。
今日はそういった場所にも訪れてみる事としたのだが……。
その候補はまだまだ多く、少女は駅のホーム前で頭をひねる。
少女の眼の前には広間に設置された島全体の全体図MAP。
このうちの何処を今日は目指してみようかと、うむりと唸る。
ご案内:「学園地区駅 ホーム前」に天琴 衣詞さんが現れました。
■天琴 衣詞 >
縦ニットの少女が唸っている間に、電子音の音楽と共にホームに電車が到着した旨を報せる放送が響く。
開いた電車のドアとホームドアを潜り、何人かの乗客が駅に降りて来る中、やや異質な姿がひとつ。
「………。」
ゆらり、と降り立ったのは、白衣に浅葱色の袴姿の上から千早を思わせる薄い上着を着た、小柄な少女。
ふわりと広がる、抜けるような白い髪に白さの強い青い瞳という、日本人離れした風貌でありながら、
顔立ちそのものは日本人のそれ。
背に楽器のケースらしきものを背負い、履いている浅沓が軽い音を立てる。
「………む。」
ゆらゆらと足を進める中、その視線がふらりとホーム前で頭を捻る少女へと向けられる。
■御雷 天華 >
電車の到来を知らせる音と、程なくして改札を通りすぎていく人々。
なんとなしに横目で一瞥したその中に、ひとつ覚えのある姿が見える。
「おや…」
自らと同じ那岐流の、分家とはいえ尾羽張の家の者。
そう交流は深くないが、それでも顔と名前くらいは知っている。
「貴女は確か天琴の家の……お久しぶりです」
全体図MAPの前から少し外れて、彼女の方へと歩み寄る。
■天琴 衣詞 >
「………。」
薄い色の瞳が、どこか胡乱な雰囲気で声をかけて来た少女を見やる。
暫しの間を開け、ああ、と、口から漏れる声。
「――御雷本家の、次代殿か。
何某かの、集いの折に、見た覚えがある。……何時で、あったか。」
紡がれる声は可憐な響きでありながら、ひどく情動に欠けた無機的なもの。
どこか絡繰仕掛けじみた、そんな印象を与える。
「先んじて、この島に入っていたと、聞いてはいたが。」
何時の事だったか、と考えるも、然程も時を置かず、何時の事でもよいか、と思考を断ち切る。
――天琴の次期当主、そのかんばせ、立ち居振る舞い、絡繰人形の如し。
口さがない者にはそう揶揄される、情動の薄い…あるいは欠落したような物言いと振る舞いであった。
■御雷 天華 >
「えぇ、御雷天華です」
丁寧な、礼装を弁えた一礼。
見知った顔ではあるが、事実上の初対面。
まずは名を名乗り、一先ずの挨拶を行なう。
「まだ一週程しか経っておりませんけれどね。
……今日は、何処かに行かれていたのですか?」
視線の先の少女の振る舞いは何処か無機質。
天琴という家の性質を知らなければそれは少し異様にも見える光景か。
幸い、天華は彼女の家の業を知っていた。
御雷次期当主として持つ、最低限の知識故に。
だが、同時に体感するのもまた初めて。
なるほど、『最適化』とはこう言う事か、と秘かに思う。
■天琴 衣詞 >
「次代殿の、名か。失念していた。」
たおやかな礼に対し、かけられたのはそんな声。
嫌味でも何でもなく、本当に失念していたのであろう事は、変わらぬ表情から分かる事だろう。
少しの間を置いて、はた、と気づいたように、巫女服を思わせる姿の少女も一礼を返す。
「天琴、衣詞。
尾羽張の分家、天琴の……次期当主、ということに、なっている。」
ひどく事務的な挨拶。事情を知らねば、眉を顰められても仕方がないだろう。
「器」は魔性を払うものであればよい。その力は強ければ強い程、良い。
情動、人間らしさ、そんなものは二の次三の次。
知る者が知れば、厭な顔しかしなさそうな、それが天琴の家に見えぬ所で根深く張り付いた主義だった。
御雷本家の者である少女が、幼少の砌に数える程度に顔を合わせた事を覚えていれば、
凡そ小学生の高学年程度の辺りから、まるで成長というものが感じられない容貌の少女。
それが、天琴が幾多の年月と試行錯誤の末に完成させた理想の「器」である。
――これでも、縦ニットの少女より二つも年上というのだから、尚更信じがたい。