2024/06/11 のログ
伊都波 悠薇 >  
「でも、一緒に出たほうが助けてあげられることおおいし。監視は側のほうがいい、し……お姉ちゃんなら説得力も、あるし。
ホロウさん、困らないと思うんだよね」

そう、監視役、にもちゃんと力がないといけないのだ。

「だから、一緒に出て、側で監視役という名目の元助けてあげて?」

く、と首を傾げて。

「それとも、なにか他に用事、あった?」

伊都波 凛霞 >  
「(私が困るう!!!!)」

内心で顔を覆った。

とこコレ!は制服の着こなしを競うイベントだ。
新進気鋭のデザイナーなども参加し、彼らの宣伝も兼ねる。
サイズが合わない制服で出るなんて、もっての外なのだ。
全力で採寸から逃げ続けてきたのに、ここにきて最強の刺客が…。

しかし…。

他ならぬ、最愛の妹からの頼み…。

「わ……」

「わかりました…出ます…」

姉の負け。

伊都波 悠薇 >  
「やった」

花が咲いたように、笑い。

「お姉ちゃんの、制服楽しみにしてる」

助けてあげてほしいのも本音で。こちらも本音。

「よろしくね、お姉ちゃん。あ、道場の片付けは私がするから、お姉ちゃんは先にお風呂行ってて。私もすぐいくから」

伊都波 凛霞 >  
笑ってくれた。
花が咲いた…。
可愛い…。
やっぱり、私の妹は宇宙一。

「…? うん。それじゃあ、先にいってるね…?」

少しだけ、妙に思ったけど。
じゃあ、と片付けを任せて、先に湯浴みの準備をしに、道場を出る。

「………」

少し、振り返って。
──笑っていたけど、きっと…。
小さく首を振る。
大丈夫、すぐそばにいて、力にさえなれれば。
きっと大丈夫の筈。

そう言い聞かせて、その場を後にする。

伊都波 悠薇 >  
姉が道場を出たあと、掃除道具を取りに行き、手に取る。

そして。

汚れを布巾で、拭おうと、力を、込める。

布巾に、皺が、寄って。

「ーー…………」

ぽつり、なにか、呟いたあと。

ーードン

大きな音が響いた。

「よし」

汚れは、消えて。

掃除道具をしまったあと、道場を後にした。

汚れがあった、ところは、少しだけ。

湿っていた。

ご案内:「伊都波家・道場」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「伊都波家・道場」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「駄菓子屋『おおげつ』」に宇賀野 実さんが現れました。
宇賀野 実 > 「よいしょー!」
古びた木造の建物…看板には『おおげつ』の文字である。
元気よくその店のシャッターをあげながら、小さな姿は一声吼えた。

「よし、今日も頑張るぞ!」
軒先に小さなお菓子類を広げさらには店の扉を開く。
駄菓子屋『おおげつ』…生徒たちの小腹を満たす場所だ。
もちろん駄菓子屋であるから、小腹しか満たせない。
きちんと食べる生徒たちならファミレスなりに行くであろう。

だが、駄菓子屋の存在意義とは満腹感ではないのだ。
まだお客さんが来ないうちに、お店の製品を
チェックしながら店内を歩く。

「おいしい棒、ちゅるちゅる、オイルに、すっぱいガム…」
チープなお菓子にはチープなお菓子ゆえの魔力があり、
それが人を惹き付けることを実は知っている。
シーズニングがたっぷりかかったスナックや、
獣人にてきめんに好かれるペースト、
マシンに喜ばれるハイオクタンなオイル…。
そういったもののに対する欲を満たすのが『おおげつ』なのだ。

きちんとストックと並べられた商品を確認してから、
お店の奥…カウンターに陣取った。
ちょこんと正座するさまは、行儀のいい子供のようでもある。

宇賀野 実 > 「ふんふんふふーん…♪」
軒先においてある古びたアーケードゲームが、
アドバタイズ画面のBGMを響かせる。
それに合わせて軽く目を閉じ、音楽に体を左右に揺らす。
何年も聞いてきたこのBGMはまさしく名作のそれであり、
何人もの生徒たちを楽しませてきた調べでもあった。

「いらっしゃーい。」
のんびりとしていたところに物音が響くと、ゆっくりと目をあけ、
お客さん…現れた生徒たちに手を振る。
それぞれが買う商品の代金を受け取りながら、生徒に声をかけた。
「ゆっくりしていってね。 座る所もあるし、飲み物も…。
舌が青くなるやつとかもあるから。」
苦笑する生徒にスマイルを返しながら、再度BGMにゆったりと身を任せる。

宇賀野 実 > 徐々に日が暮れてくる。
生徒たちがちらほらと帰っていくのを見送り、
日が落ちたのを確認すると手元のボタンを押した。

ぱたぱたと商品棚がひっくり返り、先程とはまるで様相の異なる
商品がずらりと並ぶ。 ここからは夜の駄菓子屋である。
魔術師、科学者、研究者、夜の一族…そういった連中を
少しだけ”満たす”ためのものを売るお店だ。

「ダブルワークはおじさんにはこたえるなあー。」
全く疲れていない口調で一人ごちながら、夜の客を待つのでありました。

ご案内:「駄菓子屋『おおげつ』」から宇賀野 実さんが去りました。