2024/06/14 のログ
ご案内:「女子寮 とある部屋」に部屋のテーブルに置かれた手紙さんが現れました。
■部屋のテーブルに置かれた手紙 >
女子寮のとある一室。
綺麗に掃除された部屋のテーブルに手紙が置いてある。
「緋月どのへ。
入院中はお見舞いに行けず申し訳ありませんでした。
この手紙を書いている次の日あたりに退院、と言う話は伺っております。
なので、これを読んでいると言うことは退院されたと言うことでしょう。
病院を抜け出してきたのでなければ、ですが、緋月どのならばそう言うこともないでしょう。
生徒を守ってテンタクロウと立ち合ったと聞いています。
緋月どののおかげで、生徒がテンタクロウの魔の手にかからずに済んだとも聞いています。
我々が遅れたことで怪我をさせてしまい、また本来我々が相対すべき相手を交戦させてしまった事、大変申し訳なく思っております。
そのお詫びと言うには足りないかもしれませんが、お時間ありましたら土曜日に浜辺で行う風紀委員主催の懇親会にいらしてください。
生徒登録はまだかかるとは思うのですが、私の招待と言う扱いにさせていただきます。
是非ご検討ください。
最後に、ふがいない我々に代わり、生徒を守って頂き大変ありがとうございました。
襲われた女子生徒も大変感謝しておりました。
風紀委員としてではなく、緋月どのの友人として大変誇りに思います。
でも次からは無理はなさらないよう。
追伸。
この手紙の横にあるお菓子は、緋月どのが助けた女子生徒から頂いたお菓子です。
お召し上がりください。」
ご案内:「女子寮 とある部屋」から部屋のテーブルに置かれた手紙さんが去りました。
ご案内:「Free1」に部屋のテーブルに置かれた手紙さんが現れました。
■部屋のテーブルに置かれた手紙 >
手紙の横には焼き菓子の詰め合わせが置かれている。
ご案内:「Free1」から部屋のテーブルに置かれた手紙さんが去りました。
ご案内:「常世総合病院 屋上」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
あの雨からすっかり貼れた晴天の空。そろそろ夕暮れが近いのか日が沈み始めていた。
青空は徐々に夕の色に染まっていく。誰もいない病院の屋上で少年はそれを眺めていた。
腕に繋がれた点滴が鬱陶しいし、上手く動かせない体は車椅子行き。
今の車椅子は便利なものだ。大体の機能がオートで動くし、階段だって上り下り出来る。
「…………。」
前回の負傷。更には前々回の負傷も相まって、ついにはドクターストップだ。
内蔵、骨、身体の損傷。全てが著しい。医療レベルが進んでいなければ、障害も残っていたかもしれない。
「……遠いな。」
だが、少年にとっては何もかもがもどかしい。
余りにも遠くに広がる空を見ながら、ぼんやり呟いた。
■橘壱 >
何もかもが遠い。頂点というものの遠さは知っている。
かつて、ゲームの世界で頂点に居続けた男だ。
たかがゲームと言えど、生半可な実力じゃ出来ない。
それが現実の中にと来れば、当たり前だ。
「…………このままじゃダメだ。」
"この程度で手こずるようではダメだ"。
誰をも凌駕する、例外としての強さ。
わかっている、非異能者の自分にできることもたかが知れている。
AFの問題じゃない。装着者の問題だ。
AFはパワードスーツ。非異能者向けであれど、用途自体は異能者でも着れる。
手にれた翼は唯一無二ではない。ルーツは違えど、現に異能者でマシンを操る難敵と対峙したのだから
「……下地、な。努力は惜しんでないさ……。」
才能なんてからっきし無い。昔からそうだ。
全て、全て、無いなりで無いなりに積み重ねてきた。
凡人の非異能者。此の変容した世界では余りにも小さい。
車椅子にもたれ掛かり、力なく笑った。
「異能もなけりゃ、武術も魔術の才能もない。
装着者としては一流だけど基盤は平凡。」
「────…どうすりゃいいってんだよ。」
■橘壱 >
どいつもこいつも気軽に言ってくれる。
非凡な怪物、特別共にわかるはずもない。
同時に、腐っていたって頂点にいけないのもわかっている。
「…………。」
やるしかないんだ。今まで通り、積み重ねるしか無い。
奥歯を強く噛み締め、どんな苦渋を飲み干して上に立つ。
全てを力でねじ伏せる。チャンピオンであった、あの時と同じように。
車椅子に備えていたタブレットを一瞥すれば、少し気まずそう。
「……約束は、破っちゃうな。」
流石に病院を抜け出せるほどではない。フリューゲルも修理中だ。
せめて詫びの返事位は入れておこう。タブレットを操作すれば、一息。
「僕は、どうしたんだろうな。」
圧倒的な例外か、それとも全てを焼き尽くす黒い鳥になるのか。
人に諭されたことが全て雑音と成って悩ませる。
何故、此処まで優しく出来るんだ、アイツ等は。こんなことなら……。
「……他人に興味なんて、持つべきじゃなかったな。」
■橘壱 > 絞り出し吐き捨てた言葉を最後に、屋上から少年は消えていた。
ご案内:「常世総合病院 屋上」から橘壱さんが去りました。