2024/07/25 のログ
伊都波 悠薇 >  
「っ……」

ばっと、手を引き金から離して。

「そ、そんなことより! びょ、病院!! 病院に。橘くん!!」

慌てて、そう口にして。

「は、早くしないと、し、しんじゃ……」

狼狽える。

死ぬとは言い切れなかった。言葉にしたら、実現するのを今、見ていたから。

水仙 萌音歌 >  
するり、不意に手に持つ筆と紙。

『うーん、そうですね。実際後2時間位が限界やもです。
 あー!壱殿がちゃんと私を守ってくれたらなー!入院せずにすんだのになー!』

どくどくと血を流しながらニヤニヤ笑う。
わざわざ死にかけながらもきちんと冗談めいてまくしたてる。
"中々にいい根性"をしているようだ。
それを伝えるために一筆取ってニヤニヤ、壱を嘲笑いつつもぺちぺちと悠薇の頬を叩いた。

「……♪」

大丈夫、と言わんばかりのウィンク。
此の状態だ、つよがりなのかどうかもわかりはしない。

橘壱 >  
『わ、わかってる。けど……今滅茶苦茶僕の救護欲削がれたぞ……。
 いや、事実何だから仕方ないけど……コイツ……。』

わざわざ死にかけの状態で余計なことを。
もしかしてほっといてもいいんじゃないか、と思わせてくれる。
しかし、機械は嘘をつかない。モニター越しに見える、バイタルサインの危険信号。
損傷は大きいが、幸いにも操縦士(パイロット)のダメージは軽微。
バックパックは捨ててしまったが、残りのサブバーニアだけでも航空は可能だ。
はぁ、と溜息を吐いて船の上へと接船。

『わかってるよ。船じゃ間に合わないから飛んでいく。
 先輩はソイツを抱えてて。僕が持ち上げていくから。』

両手を差し出し、抱きかかえる体勢だ。
生憎、パワードースーツ式のメカ。中にはこれ以上人は入らない。
大人しく応じてくれるのであれば、後は病院までひとっ飛びだ。
眩く夜空を、鋼の翼が運んでくれるだろう。

その後の事後処理も含めて、こうして海の平和は陰ながら守られた。
犠牲者は出ること無く、誰もが日常に戻っていくだろう────。

ご案内:「常闇の水平線」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「常闇の水平線」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「落第街・封鎖区域」に先生 手紙さんが現れました。
先生 手紙 >  
残渣と呼ぶべきモノが、ずらりと遺棄されているような土地だった。

かつては在った生活の営みの。在り得べからざる人外の。

――瘴気が濃いな、と男は思った。長居なンざする気もないが、成果皆無(ぼうず)で戻るわけにもいかない。

舗装など元からされていない瓦礫の道を、口に銜えた煙草の紫煙を引き連れて歩く。

先生 手紙 >  
「ふーっ……」

吐き出す。見渡す。目新しい営みの痕跡を、探している。

ソレはヒトガタの歩いた後か。四足のケモノが縄張りを主張する傷跡(しるし)か。何でも構わない。

――自分は餌で。同時に鉤の付いた釣り針で。ついでに言うなら釣り人そのものでもあった。

この状況で襲い掛かって来るモノが居ればそれはそれでいい。脅威の排除は金にならないが、傾向は掴める。

「……は。ほんとうに、釣り餌だな」

諧謔的に笑う。

夏の夜。霞んだ月は湿度の高さを示している。梅雨は明けたのだし、夏休みらしい悩み事をしたいのだ、おれは。

先生 手紙 >  
がん、と瓦礫を蹴飛ばしながら思索する。

……怪異に対してのプロファイリングなンざ本来するだけ不毛な行為だが。出来る奴がするべきだろう。この場合はおれ。

「強い自己顕示欲と生殖本能」「傲慢性と臆病さの両立」「自尊心と隠蔽体質」「ふーっ……それと、強い縄張り意識

ぽつりぽつりとワードを零しながら。蟻塚のような雑さで積み上がった瓦礫を見つける。

ごきり、と首を鳴らし、そこへ踏み込む。

「怪異としての特性か?暗がりを好むが人工の光を厭わない」

蹴り崩す。これは、積み上がったモノではない。積み上げられたモノだ。

「共存する暴露欲求」

蹴り崩す。蹴り崩す。蹴飛ばし――その『穴』を、見つける。

「……まァ、どちらにせよ穴住まいだよなァ」

本来ならば人を寄越すか連れ立つか。それでも男は単独行動だった。

徒に被害を増やさないための対策と、単独で対応しきるという実際がある。

先生 手紙 >  
「……《हूँ》」

フーム、と。単一の詠唱と刻印。下に向かう壁に見つけたのは三本の爪痕だ。それを上書きするように刻む。


なお濃くなる瘴気の下り坂。習うまでもなく、そして習いもしたのだが。こういったモノは沈殿する。

階段と言うほど親切な設計でもないその、深部への入り口を。

煙草の先端だけを明かりにして、進む。

先生 手紙 >  
――――――果たして。そこには広大な空洞が存在した。

これ以上踏み込むな、と理性が告げる。本能も同調した。概ね直感と経験に同意する。

踵を返し、今度は上り坂。

「ふーっ……振り返らず戻れ、は黄泉の穴だったな」

どちらかといえば前後どちらかの奇襲に備えなければならないのが、神話の時代ならぬ新時代の怪異への対策である。

「……と、なるとやっぱりコレは示威行為か」

隠すようで、ここは穴と繋がっていると告げている。

「くそ、祭祀の連中め」

毒と毒の煙を吐いて、捨てる。文明の明かりが無いこの一帯は、けれど上がってみればきちんと明るく感じられた。それだけ闇が深かったのだろう。

二本目の煙草を銜え、瓦礫の上に腰掛ける。

ぱちん、と弾く指。基礎単一系の発火魔術にて火を点す。魔力の無駄遣いにも取れるが――どちらかというのなら、それを支払ってでも自身のコンディションの確認の意味合いが強い。

「はー。さて、寝床は突きとめた。お姫様に連絡かな」

オモイカネ8を操作する。

先生 手紙 >  
「害虫駆除は業者に任せたし、あとはー……」

端末の操作を終えて、いよいよ一服を始めた。

あとは、そうだな。やっぱり『釣り』か。

この空間一帯に、何が湧くのか確認しておきたい。

先生 手紙 >  
――そうして。

「……ま、逢魔が時でもあるまいし。そうホイホイ釣れたらワケは無ェわな」

瓦礫から飛び降りて、煙草を落として踏んで消す。

「さぁて。アッチはどうなったかな」

ご案内:「落第街・封鎖区域」から先生 手紙さんが去りました。