2024/09/21 のログ
■追影切人 > 「――チッ…やっぱり今の俺は何処まで行っても鈍か。」
舌打ちをするが、こうなる事は何となく予想が付いた事だ。
かつての【凶刃】には程遠く、人間味を中途半端に得た事が良くも悪くも刃を鈍らせている。
本人的にはどれだけ不本意でも、得た感情をどれだけ面倒だと斬り捨てたくても。
それが出来ないのがこの男が結局は人間である証左だろう。
”だが”、刃である事を辞めるつもりも諦めたりはしない。
どんなに切れ味が悪かろうが、斬る事を辞めてしまったら、それは死ぬよりも残酷だ。
――かつての自分と今の自分の差をが浮き彫りになった事で、どれだけナマクラになっているかもよく分かった。
だけど、生まれてから死ぬその時まで”斬る”事は止めない。
――ただの刃でいい。何時も何度もそう思っていた。それが”出来なくなった”。
廬山の奴が知る”俺”と今の”俺”は全然違うだろうが、全く違う訳でもない。
「当たり前だ。結局、成長しようが退化しようがナマクラになろうが――”斬る”事が俺の全部だ。」
矛盾を抱えていても、それを何時か直視しなければならないとしても。
必ず最後は斬る事に帰結するのだから、それすら斬り捨ててやろう。
荒唐無稽だが出来る出来ないではない――やるのだ。
かつての【凶刃】とは掛け離れてきてしまっているとしても――矢張り追影切人は根っからの【刃】だから。
何を得ても、何を失っても、どうしようもなくても、それしか知らないのだから。
「テメェの応援とかいらねぇよ…どのみち、くたばったら俺の刃はその程度のモンって事だろ。」
■麝香 廬山 >
「…………ふぅん?」
何処まで行っても根っこは変わらないつもりらしい。
感情とは、心あるものが持ち得し者。
生命の不条理、不可解、そして、魅力だ。
刃に感情は宿らない。或いは持ち手次第だが、
それは刃自身の感情ではない。あり得ない。
自己矛盾。根底の二律背反。
この凶刃は、前から冗談を言わない。
良くも悪くもバカだから。
「ま、いいや。それが切ちゃんのやりたいことなら、
応援してようかな?一応ボク達、"親友"のつもりだからね。」
なんて、冗談めかしに言えばくるりと踵を返した。
「じゃ、ボクは行くよ。
ちゃんと体調治さないとそれどころじゃないからね?」
「間違っても病院なんて抜け出さないでよ~?」
なんて、適当な釘を刺せば手をヒラヒラ。
気づけばもう、その後姿は何処にもなかった。
ご案内:「委員会用病棟 個室」から麝香 廬山さんが去りました。
■追影切人 > 刃に心は宿らない――かつての【凶刃】に心などなく、無差別に”平等に”全て斬っていた。
それは機械的であり野性的であり、人間とは違う”何か”だっただろう。それこそ刃そのものか。
――今はどうだ?感情という、刃なら到底持ちえないモノを得ている…じゃあ男は刃ではない。
――本当にそうだろうか?感情を得たからといって刃たる生き方は出来ないのか?
(――なんて、馬鹿が考えても分かるわけねーよ。)
そう、男は結局馬鹿だから。――そして、ふざけた冗談は口にはしない。
結果がどうなろうとやると決めたらやるのだ。
「…テメェが俺の親友だぁ?そういうのわかんねーしぞっとしねぇわ…。」
うわぁ、と嫌そうな表情を浮かべつつ。踵を返す廬山の後姿を隻眼で眺め。
「――うっせぇなぁ、余計なお世話だっての。」
変な所で気遣いぽい事を口にするな、と言いたげに舌打ちをしつつも、ぞんざいに左手を挙げて彼を見送り。
「―――あぁ、昔の俺に比べて今がクソ弱ぇのは分かってんだよ。俺自身が一番な。」
あーー思いっきり何か斬りてぇなぁ!と、呟きながらベッドに寝転がった。そして不貞寝した。
ご案内:「委員会用病棟 個室」から追影切人さんが去りました。