2024/09/22 のログ
ご案内:「Free1 児童養護施設『方舟』」に焔城鳴火さんが現れました。
■焔城鳴火 >
「――ったく、あのクソ女ッ」
鳴火が『ポーラ・スー』の緊急搬送を知って、それから数日。
養護施設『方舟』は非常に慌ただしい――というよりは、荒々しい院長代理が台所を支配しているために、騒がしいひびになっていた。
『めーちゃんー、ごはんまだー?』
『かいじゅーせんせー、はやくしてよー』
「――っるさい、ガキども!
喚くだけのヤツは弁当抜き!」
『ええー!』と上がる子供たちの不満の声。
それに、ガルル、と唸る鳴火。
「はいっ!
チビどもは片付けして椅子並べ直す!
他の奴らはテーブルを拭いて皿を並べる!
やらない奴は、ほんとに弁当作ってやらないからね!」
『ぎゃあー!』と騒がしい悲鳴が子供たちから上がる。
こうして弁当抜きという恐ろしい脅し文句によって、子供たちは無理やり統率させられているのである。
■焔城鳴火 >
なお、普段からここを仕切っている『あーちゃん先生』こと、ポーラ・スーは、こんな無秩序の子供たちを自然と従えているのである。
鳴火からすれば、一人でよくやるもんだ、と、手伝いに来るたび頭を抱えるのだが。
「あーもう、食べたらさっさと学園行く準備を――おいこら遊びはじめんじゃない!
ぶん殴られたいの!?」
『わー!
ぴよちゃんせんせーがキレたー!』
「誰がぴよちゃんだ!
ほらさっさと行けジャリガキども!」
そう言って初等教育以上の子供たちを送り――いや、叩きだし。
それ以下のチビっ子たちには、朝食の後片付けをさせて。
そこまでやって、ようやく一息つける。
それも束の間の休息ではあるのだが。
■焔城鳴火 >
「――っん、とに、ココのガキどもは。
元気がありあまり過ぎだっての」
ソファにぐったりともたれて、天井を仰いだ。
鳴火もなんだかんだと十年以上子供の面倒を見ているのだが――それでも、まったくなれないものだった。
「一対一ならいいんだけど――ん?」
端末に着信があり。
珍しい着信音は、古い『幼馴染』の一人から。
(――なによ、『饕餮』から?
珍しい、というか――)
幼馴染であり、『後輩』でもある女からのメッセージに、首を傾げながらオモイカネを開く。
『――先輩、霊亀先輩が倒れたって本当ですか?
実は、紅天の子たちから、先輩たちに凶兆が出ているって聞いて。
少し調べたんですけど、『方舟』が動いてるみたいで――』
そこまで読んで、鳴火は『特に問題ない。気にすんな』と、そっけなく返信を送った。
(――『K』のやつ、まだ何かやるつもり?
『M』の計画は終わったはず)
額に左腕を載せたまま、少しだけ考える。
もし――『あの計画』を『K』が諦めて居ないのなら。
――あのクソ女の状況にも合点がいく。
「――二度と関わるつもりはなかったんだけど」
あの心配性な『後輩』を、不安にさせたままではいられない。
近いうちに、あの不愉快な『第二方舟』に行くしかないだろう。
(――凶兆に瑞獣の銘が打ち勝てると良いけどね)
そしてまた深く、『鳳凰』は疲れたようにため息を吐いたのだった。
ご案内:「Free1 児童養護施設『方舟』」から焔城鳴火さんが去りました。