2024/09/24 のログ
ご案内:「常世島一般道路 交通整備地点Aポイント」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
常世学園 某日 某一般道路。
現在風紀委員の一部は、『逃亡者』弟切 夏輝を捕縛する為、
包囲網を展開している。連続殺人犯を捕まえる最後の作戦だ。
作戦の指揮とチームは別の風紀委員達で組んでおり、橘壱はそこにはいない。
だが、風紀委員とは戦い、違反生徒を捕まえるだけが仕事ではない。
『────申し訳ありません。現在突発的な工事が必要になりまして……』
常世空港へと続く一般道。
本来橋へと続く道路ではあるが、
複数名の風紀委員とイエローラベルや車体によって封鎖中。
その中には数名のパワードスーツをきた風紀委員の中に、
蒼白の機人を着込んだ少年もその交通整備に参加していた。
この常世学園は学園都市であり、様々な活動を生徒や教師が行っている。
だが、それ以外にも此処には数々の島民がおり、
必要以上に彼等や一般生徒の不安を煽るわけにはいかない。
なので、こうして表向きには"工事中"の交通整備として、
遠く離れた場所で彼等の目につかないように誘導しているのだ。
モニターの前で不満そうな運転手と車を前に、苦い笑みを浮かべる壱。
時間もそこそこだが、夜行便やこの島の交通を考えれば、必要なことだ。
『お急ぎでしたら運びますよ。空港まで、五分と掛かりません』
車体を運ぶくらいならお茶の子さいさいだ。
そのために自分を含め、同じ操縦士が固まっている。
それは、反対サイドも同じだ。こうした連携を取り合い、
島の平和とは常に維持されている。
■橘壱 >
ハッキリ言えば、間近で作戦指揮に加わりたい本音はあった。
だが、今の自分に出来ることはもう無い。
出来ることと言えば、こういった地味な仕事だ。
せめて、なるべく近くで先輩たちの成功を祈るだけ。
気持ちが落ち着いていないのも、大きな要因だった。
『(仮に何かあっても、今の僕じゃ何も……)』
後は彼女達の問題だ。
力にもなれない己と、半端な己が恨めしい。
そんな感情を押し殺し、モニタの前で小さくはにかんだ。
『……わかりました。では、運んでいきます。
車体、結構揺れますけど気をつけてください。
それと、窓は閉めて、鍵もしっかり。シートベルトは……勿論していますね?』
『では、行きますよ』
しょうがないなあ、と了承した運転手に、
機人の頭が大きく頷けば青白い一つ目が光り輝く。
指差し安全確認、ヨシ。車体を軽々と抱えるように持ち上げれば、
周囲の風紀委員の後退を確認し、バーニアを点火し夜空へ舞い上がる。
作戦地点か遠回り、なるべく認知されないように低空飛行がミソ。
ちょっと遠回りしても、Fluegelのスピードなら
安全飛行していてもあっという間だ。
■橘壱 >
『(……、……いや、風紀の仕事はこなしている。
AFの有用性もこうして示している。何もおかしいことはないじゃないか)』
もしかしたら、あの時何かできたのではないか。
装備さえ違えば、話が変わったんじゃないか。
そんなたらればばかりが脳裏を過る。
いや、考えても仕方のないことだ。
今はやるべき仕事を果たすだけの事。
それに。
『……機械のせいにしたら、いよいよ操縦士失格だ』
己の弱さの原因は、全て操縦士の力量不足。
ただ、気持ちだけではどうにもならなかっただけだ。
魔法少女も、不死姫も、逃亡者も、
全ては己の未熟、中途半端さが力及ばずだ。
──────いっそ、本音に従ってしまえば……。
『(……いや……)』
今は邪念だ。
深呼吸。モニターの中で軽く首を振り、
モニターをまっすぐと見据え、通信回線を開く。
『此方Fluegel。車両をそちらへと護送中。
空港の方、異常はないか?……了解。引き続き、航空を続ける』
水平線を切り裂く、蒼い軌道が加速する。
夜は、まだまだ長い。
ご案内:「常世島一般道路 交通整備地点Aポイント」から橘壱さんが去りました。