2024/09/30 のログ
ご案内:「学生通りにある喫茶店『 』」に伊都波 悠薇さんが現れました。
ご案内:「学生通りにある喫茶店『 』」に黒條 紬さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
お昼ちょっと前。
勇気を出して、誘ったのが昨日の、話。
ーー読書感想会、しませんか?
そう切り出して、ランチをしながら、お話をすることになった。
お店の場所を連絡して、その前で、待つ今日。
相も変わらず制服で。
待ち人が来るのを、待っていた。
そわそわ、落ち着かない様子で。
■黒條 紬 >
「おっ待たせしました~!
ご注文の紬ですっ」
青紫のポニーテールと、白を基調にしたリボン。
秋の涼しげな風をいっぱいに受けたそれらを揺らしながら、
満面の笑顔大きく手を振って駆けてくる少女が一人。
前回に引き続き、今回も制服姿、つまりお揃いだ。
相手に合わせた服装を意識しているのだろう。
肩から提げた鞄には、いつぞやに学生通りで手に入れた
たこ焼きキーホルダーがつけられている。
「お誘いありがとうございまーすっ――」
前回のように驚かせないように、真正面から堂々と元気に。
紬は悠薇へと声をかけたのであった。
「――えーと。待たせちゃいましたか……?」
少し申し訳無さそうに柳の眉を下げる紬。
■伊都波 悠薇 >
「ごっーー!?」
ごほっと、咳払い。
ご注文。この前、とある音楽家と盛り上がった(?) 話をしたせいか、むせてしまった。
別にそんな意図はないのだけれど。
「い、いえ。そんなに、です。遅れたら嫌だったのでつい、早めに、来ちゃった、だけ、です」
やっぱり緊張する。
白衣の後輩にこの間誘って貰ったことがあったけれど、誘う側になったとしてもド緊張する。例え同性であっても。
「きっ」
上擦った、声。
「きょうは、よろしく、おねがいしましゅ」
噛んだ。
■黒條 紬 >
「え゛っ――!?
だ、大丈夫……?」
咳払いを受けて、半ば思わず飛び退くように身を引きつつ。
心底心配そうな表情で、相手の顔を覗き込む紬。
「そんなに緊張しないで大丈夫ですよっ!
ま、少しずつ慣れていけば良いと思いますけどっ……
今のままだと、初デートでドキドキしてる可愛らしい乙女、って感じですからね」
あははー、と冗談っぽくそんなことを言う紬。
「もっと肩の力抜いて大丈夫ですよ、リラックス、リラ~ックス。
前回の本屋の時を思い出してっ」
悠薇の様子を見かねたのか、
覗き込む顔はそのままに、彼女の横に立って、ぐっ、と励ましのガッツポーズ。
「それじゃ、行きましょうか~!
このお店、初めてなんですよね~、楽しみ~!」
足踏みすれば止まるだろうし、急ぎ足ならばそれに合わせる形で。
紬は悠薇と足並みを揃えて入っていこうとするだろう。
■伊都波 悠薇 >
「でっーー!?」
余裕そうな彼女。
対して一言一言に、反応してしまうくらいに余裕がない。
また、ひゅっと、息を吸いむせた。
これじゃ、意識しているみたい。
「だ、だいじょーぶ、です」
ひっひっふーと深呼吸して。
ぐっと、ガッツポーズを返した。
「あ、そう、なんですか。私はカレーを食べに何回か」
と、いいながら中へ。
入ると、私書室、のような店内。
木を基調にしており、本棚も至るところにならんでいる。
というより、壁がほとんど本棚で。
「い、いとわ、です。二人で予約の」
予約で通して奥の個室に案内され、着席。
お水とメニューを渡されて
■伊都波 悠薇 >
「どうぞ」
メニューを渡す。
もう、注文は決まっているから。
■黒條 紬 >
「へぇ~。
って、カレーを食べに、リピートを?
絶対激辛でしょう、そうでしょうっ」
うんうん、と腕を組みながら。
彼女と一緒にラーメンを食べに行った時のことを思い出す。
地獄だった。
さて、店内へ入れば。
「おー、本棚でいっぱいだぁ」
両手を広げて、
ぐるぐるーっ、と身体を何周かさせながら、辺りを見回して。
「所謂ブックカフェってやつですね、初めて来ましたっ!
確かに、読書感想回には良い場所でしょうねっ」
悠薇の方へ向き直って、にこりと微笑んだ。
紫色の宝石が、穏やかに細められる。
さて、固執へ通されれば、悠薇の前にちょこんと座って。
渡されたメニューを開けば、少しばかり迷った後に。
「色々あって迷っちゃいますが~……
この生クリームトーストと抹茶ラテにしましょうかね、
オススメらしいですし?
あ、店員さんすみませーん!」
通りがかった店員を呼び止めて注文を始める。
■伊都波 悠薇 >
「……はい。そうですけど」
なんでわかったのだろうと、首を傾げる。
何度か来ているけれど落ち着いた雰囲気に自然と頬が緩む。
誘った友人も今のところ喜んでくれてあかて、ホッとひと安心、だ。
「あぇ。ランチに、それだけで大丈夫、ですか? 2枚くらい、食べる、とか」
軽食のような、注文に、ちょっと意外そうに。
店員は呼ばれると、ゆっくり歩いてやっていて。ご注文伺います、と口にした。
■黒條 紬 >
「前にラーメン食べに行ったじゃないですか、激辛のやつ~。
ああいう辛いの、好みなのかなって。
そして、何度もリピートしてるってことは、
悠ちゃんの舌を満足させるだけの辛さを備えた化け物メニューの筈、と……」
細く締まった輪郭を描く顎の下で、親指と人差し指を広げる紬。
まるで名探偵であるかの如く考え込むポーズを取った挙げ句、
極シンプルな推理を披露するのであった。
「ふっふっふ、もちろんニ枚頼みますよっ!
ちょっと今日は甘いものをどっさり胃に入れたい気分なので……
それじゃ、店員さん!
生クリームトースト2つに抹茶ラテ!
それから……激辛カレーと……?」
そう口にして、悠薇の方を見やり、小首を傾げる。
■伊都波 悠薇 >
「あ、激辛カレー、ご飯少なめルー多めで、激辛デスソーストッピングとペリエひとつで」
すらすら。常連の注文だった。
「はい。辛いの、好きです。美味しいですよね、辛いの」
こくり、頷いてほくほく顔。
推理を言われると納得した顔だった。
なんでか、ちょっとだけ嬉しかった。
店員は、注文を受けると頷いて復唱し下がっていく。
「……どう、でした? おすすめ」
そして、今日の本題へと。おそるおそる
■黒條 紬 >
「おお~……」
ぺちぺちと、小さく拍手。
眼の前ですらすらと詠唱される呪文は、
彼女が上級者であることを物語っている。
「わ、私も辛いものは結構好きだと思ってたんですが、
最近はそういう訳でもないのかもしれないなー、なんて」
ちら、と悠薇の方を見やりながらそんなことを言いつつ、
人差し指をツンツンする紬であった。
「トイレの神様、ですよねっ!
ちょっと一時期忙しくて読めなかったんですけど……
つい先日、時間が取れたので一気に読みましたっ!
いやぁ、謎解き要素が濃いのは、幼い頃から探偵に憧れる私としては
大好物でしたね。
それに、色々な意味で禁断の恋愛……
ページ捲りながら『お? お?』とドキドキするようなところもあって、
素敵でしたね~!
私が特に好きだったのは、音楽室の回ですねっ。
絵画に取り込まれて、暗い空間で一人ぼっち……
トイレで誰も助けに来てくれないまま、一人いじめられていた時のことが
フラッシュバックして、絶望している時に……
颯爽と登場する花子さん! 抱き合う二人!
いやぁ、カタルシスでしたなぁ~!」
ふふん、と人差し指を立てて批評家気取りか、
少し低めの声で言葉を締めた後に、
親指をびし、と立てる紬。実際、かなり楽しかったようだ。
それは語っている時の表情で分かる。
■伊都波 悠薇 >
拍手されると、首を右に傾ける。
さらり、前髪が流れて、見える、左目。
「そうなんですか? 結構食べれてるほうだと思いますけど、黒條さん」
少しずつなれてきたのと、読書の空気、辛いものへのうきうきで、会話が普段通りに近くなっていく。
指をつんつん、する姿がなんだかおかしくて、くすりと笑い覗いた左目が細められた。
忙しかった、と聞くと、最近は姉が言っていた事件もあったし彼女も、優秀なひとりだと自分は思っている。
だからだろうと、あたりをつけ。
「よかった」
一気に読んだといわれるとほっと一息。
そのあとの感想トークを聞くと興奮するようにぐいと身体を前に。
「そう、そうなんです。結構がっつり目な推察シーンがあって、ヒントもちゃんとちりばめられてて、一緒に謎解きしてる感じがありますよね!
そのシーン、私も好きなんです。そのときにあぁって気付くところとか。こう、胸に響くというか、あの瞬間はいろんなこと忘れてふたりのことだけというか!」
うんうん、と同意が深まる。
楽しんでくれてうれしいなー、の気持ちがあふれでた。
■黒條 紬 >
「いやぁ、辛いものに関しては悠薇シショーにはかないませんよ。
井の中の蛙でしたね~」
そこそこ行ける方であるという自負はあったのだが。
たははー、と笑いながらぽん、と自分の頭を軽く叩く紬であった。
「そうそう!
直前に訣別するんじゃないかってレベルで喧嘩もしてて、
どうなることやらとドキドキしてたんですが……」
紬は紬でぐい、と身を乗り出して。
「お互いが大切な存在であるって気づいて、
色んな蟠りも縛りも何もかも忘れ去って、
お互いに抱き寄せ合いながら、見つめ合って想いを一生懸命に語り合って。
中でも、やっぱり痺れた台詞は、そこでの――」
感想を懸命に語っていく紬。
心底感じたことを語っているのだろう、その語りは熱が入っている!
■黒條 紬 >
「――『大好き。貴女の全部が、欲しい』――」
■黒條 紬 >
そう。熱がすっかり入って、お互いの顔が大変近くなってしまった。
今にも触れ合いそうなくらいの距離。
そんな最中。
『ご、ご注文の生クリームトーストと抹茶ラテ、
激辛カレー、ご飯少なめルー多め、
激辛デスソーストッピングとペリエでございます~」
邪魔しちゃってごめんなさい、といった風の
店員が、申し訳無さそうに品を置いていった――。
ぴしゃん、と閉まる扉――。
■伊都波 悠薇 >
うんうん、うんうん、語られるトークにうなずきしかない。
あそこの描写は特によかった。
怪異と人間、女性同士。
どちらの意味でも、とても綱渡りな状況の前振りが多くひやひやした。でも、だからこそ。
その行動の内面的な些細な部分が、女性に寄り添った心情描写の多さが大変魅力な作品でーー
「ーー…………」
ぞくっとした。声が、『普通』じゃなかった。
まるで、演劇の女優だ。さらりと、気持ちの乗せた呟きに、鳥肌がたち、背筋にぞわぞわと昇るなにか。
身を乗り出して、両者の距離が近くて。
顔も近いーー自然と唇に視線が移る。
整った顔立ち。アメジストのような紫ーー頬を撫でる髪は艶があって目を引く。
ぼーっと、しかけたその、とき。
『声』に、やられそうになったそのとき。
店員の、声。
「っ!?」
ばっと着席。座ったとたんぞわぞわが身体全身に痺れのように。
それに遅れて、熱が頭まで。顔が赤くなるのをこらえきれなくてーー
「あ、た、とーー……その、えと。あそこの、シーン、素敵、ですよね」
誤魔化すように、なんとかそう返して。
ペリエを一気にすすった。
一気飲み、の速度で。
「た、たべ、ましゅ、か?」
■黒條 紬 >
同時に、ぱっと着席。
先ほどまでの、情熱的な表情は何処へやら。
てへ、と舌を出す、いたいけな子どものような表情を浮かべる。
「……ふぅ。気持ちが入りすぎちゃいました。悪い癖ですね~」
そう、悠薇の感じた通り。
まるで、その場にあの主人公が居るかのような。
完璧なまでに仕上げられた声と、表情の演技であったろう。
眼前の相手の全てに惚れ込んだ女の、切なげな顔が。
そこに、確かにあった。
「小さい頃、演劇の稽古をしてたことがあって。
今でもふとした瞬間に気持ちが入ると、
ちょっと役に入り込むようになっちゃうんですよね……。
あ、食べましょう食べましょうっ」
気を取り直して、生クリームトーストをいただく。
ぱくり、と一口。
その瞬間に、これでもかという程に広がる甘味、甘味、甘味――。
「うわー、めちゃくちゃ美味しいですねっ」
唇についたままの、生クリーム――
「ハッ、まるでお子様!」
――紙ナプキンをさっと手に取って、拭う紬であった。
■伊都波 悠薇 >
まるで、何事もなかったのよう。
気にしている自分が恥ずかしい。
「そ、そうなんですか。演劇……た、多芸です、ね」
声が上擦ってしまう。もじもじ、太もものあたりを擦り合わせて落ち着かない。
食べましょうと、口にしながら子供のように無邪気に振る舞う姿と、先ほどの声。
本当に同じ人物なのかと思うくらい。名女優、なのだろうかと。
「そ、そんなに上手いなら、今も?」
フーッと、息を吐いて。ふつうにーふつうにーと思いながら自分も激辛に手をつける。
うん、美味しい。スパイシーでいいかんじ。落ち着けそう。
■黒條 紬 >
「いやいや、上手いだなんて……それに、今は全然ですよ~っ!
周りの人達が凄すぎて、心が折れて。
家族とも揉めて、喧嘩して。
きっちり話し合って、ぜーんぶ諦めちゃいました。
あ、後悔はないですっ、全然! 今の方が楽しいので!
こうして、一緒にゆったり好きなこと話して、時間を過ごせますからね」
その声色は、まさにペリエの如き清涼感。
色々あったのだろうが、そんな重さは感じさせない、けろりとした顔であった。
そうして、言葉尻にびし、と親指を立てて見せた。
「って!
すみませんね、感想会なのに自分の話ばかりしちゃって……
でもほんと、素敵な本だったので……またぜひ、オススメ教えてほしいなって
思いますよ。多分、好きな作品の方向性がある程度被ってるんだろうなと」
たははー、と頭に手を回す。いつもの所作である。
「だから、悠ちゃんの好きな物、これからも、もっと色々教えてほしいですっ」
■伊都波 悠薇 >
「家族と……」
ぽつり、呟く。
家族と揉めたことは、実はあまりない。
強いていえば天秤のときくらい。
あきらめたという、が。でも、その表情も相まって追いかけるのを止めるとする。
ーー解ろう、なんて。難しい、し。ウザイとおもわれたら。
ぼっちゆえの、奥手、だった。
すみません、と言われると首を横にふり。
話題を変えようと。
「私も、紅のアンチクロス読みました。面白かったです。年齢の差が生まれていって、そのことで種族の違いによる寿命の短さに苦悩する兄と、そこに申し訳なさを感じながらも名いっぱい生きようとする弟の関係が尊くて……
兄弟愛と、男性らしい悩みや、思いきりのよさ、荒々しさが今までの触れてきた作品と違ってとってもよかったです。
教えて貰ったその日に全部読んじゃいました」
……いつのまにかカレーはからっぽ。顔が火照っていたうちに平らげてしまったらしい。