2024/10/01 のログ
■黒條 紬 >
「おおっ、読んでくれたんですね~っ!
いやー、流石悠ちゃん、分かってますねっ!
そう、男同士の熱い愛情ってのも素敵なものですよ……
燃えまくりです、燃えまくりっ!
そして、どうしようもない壁が二人の間にある、切なさもありますし……」
生クリームトーストもニ枚食べ終えて、
悠薇の感想を受けた紬は天井を見上げて思いに耽る。
「ハッ! 一瞬今飛んでましたっ」
物語の世界に、である。
「って、もう食べ終わったんですっ!?
あんな辛そうなカレーを……!?
す、すごすぎる……」
そうして空になった皿を見て、驚愕する紬なのだった。
■伊都波 悠薇 >
「えへ」
わかってる、と言われるのが嬉しい。
最近は『ワカラナイ』ことが多かったから。
自分のを押し付けることが、多かったから。
嬉しい。
「あ、はい。いつのまにか。私も今食べ終わったことに気付きました。いつ食べても美味しいからですかね?」
驚愕されているのには、どうしてだろと思いつつも、水をひとくち。
ペリエを飲んでから、カレー完食まで。
以降、初の給水である。
「そういえば、黒條さんは、慰安旅行、行くんですか?」
■黒條 紬 >
「あ、慰安旅行ですか?
勿論行きますよ~!
私も、友達少ないですからねぇ……。
渋谷分署じゃ悪評も凄まじいですし?
でも本庁の皆さんとなら仲良くやれるかもしれないなー、って」
あはは、と困り笑いを浮かべる紬は、
悠薇の方をしっかり見て、首を傾げる。
「悠ちゃんも慰安旅行には行きますよね?
せっかくの機会ですしっ!
ぜひぜひ一緒に楽しみましょうよ~っ」
そう言って親指を立てながら、満面の笑みを浮かべる。
■伊都波 悠薇 >
「知らない、だけだと、思うけどな」
ぽつりと、本音がこぼれ出た。
彼女が友達が少ないなんて、いまでも信じられない。『自分と違って』、出来なかった理由があるわけではなさそうだし。
「姉に、引き摺られて、行くことになりそうで。でも大人数、苦手だから、止めようと思ってたんだけど。
黒條さんもいるなら、行こうかなぁ」
■黒條 紬 >
「……だと、良いんですけどねっ」
悠薇のこぼす本音に、少しだけ言葉を詰まらせる紬。
紡ぎだした言葉は、そんなありきたりの言葉だった。
紬は、友達が少ない。
実のところ作れないのではなく、
無駄に作らないようにしている、というのが正しいだろう。
そういう点で、両者には明確な違いがあった。
だが、そのことを紬が口にすることはない。
今は、まだ。
「ふっふっふ、私が居るなら行こう、だなんて
とっても嬉しいですよ、その言葉っ!
ぜひぜひっ!
一緒に美味しいもの食べて、あつーいお風呂入って~、
色々楽しみましょ~!」
元気いっぱいのガッツポーズ。
爛々と輝く目で、悠薇の方を見つつ。
■伊都波 悠薇 >
「……きっと、いっぱい、友達できますよ。旅行で」
出来て欲しいと願う。
こんなに、素敵なのだから。気配りができて。自分とも仲良くしてくれて。
ほら、今だって。
「はい。そのときは、一緒に夜、本読みましょう。持っていきますよ、オススメ」
自分も、頑張ろうと思わせて貰った。
「黒條さん、今日はありがとう。私、黒條さんと、お友達になれてすごく、幸せ」
それは紛れもない本当で。いつもなら隠れるーー本音だけれど。
今日は、なんでかすんなり言えた。
ーー……すぐ我にかえって。前髪を整えて視線をかくしてうつむいてしまったけれど。
■黒條 紬 >
「私も持っていきますよっ!
それじゃ、読書の秋ってことで……寝る前にお互いのオススメを読んで語り合う、
読書会でもしましょ~っ!
うーん、でもそれなら夜は二人きりの方が良いかもですね。
じゃあ、二人部屋を希望しときますね~」
短いものなら、簡単に読み合いができそうだ。
明るい笑顔を見せながら、紬は胸の前で両の拳をぎゅっと握った。
「私も嬉しいですっ。
……悠ちゃんには、救われてますよ、色々と」
それは。ぽつりと口にした、その言葉は。心の底からの、本音だった。
乾ききった心に潤いを与えてくれる、日常の象徴の一つなのだから。
「もー、照れ屋さんで可愛いんですから~っ」
髪を整える様子を見て、悪戯っぽく笑う紬。
「じゃ、名残惜しいですが、今日のデートは終わりにしますか~っ」
そのついでに、そんな風に冗談も飛ばしつつ。
■伊都波 悠薇 >
まさかの方向に話が飛んだ。
「ふた!?」
それは難易度が高い。
ぼっちには、難易度が……
「あ、姉もいれて三人で」
助けてお姉ちゃん。
「……?」
嬉しいのあとはうまくききとれなくて、首をかしげた。
「……や、やめ。えと」
ちがう、と言おうと思ったけれど。
「はい。今日のでーと、『は』おわりで」
なんて、いったあと、やっぱり恥ずかしくて立ち上がり。
「か、かいけい! さき、してきましゅっ」
逃げるように個室のそとへ。
ーーこんなんだから、だめなんだろうけれど。でも、今日はがんばったから、このくらいいい、よね
顔が熱くて、手で仰ぎながら先にすたすた、会計へとむかってーー
■黒條 紬 >
「はいはーい!
大人数だと、ちょっと読書には向かないかなーって思っただけなので~!
凛霞さん一人なら大丈夫でしょうっ!」
うんうん、と腕組みをしてそのようなことを口にする紬であった。
「私もお水だけ飲んだらすぐに行きますね~っ」
そう口にして、閉じられた扉の方を見て。
――一歩一歩。いい感じに、前に進めてるんじゃないですかねぇ?
ギブ&テイク。貰ってる分は、こっちも返しますよ。
誰にも聞かれることのない心の声。
それは、悠薇を静かに見守る、紬の本音。
水を飲んで、一息ついて。
彼女もまた、個室を出ていくのだった――。
ご案内:「学生通りにある喫茶店『 』」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「学生通りにある喫茶店『 』」から黒條 紬さんが去りました。