2024/11/16 のログ
ご案内:「えるいりぴすが学園を探索するだけ」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「えるいりぴすが学園を探索するだけ」にDr.イーリスさんが現れました。
エルピス・シズメ >  常世学園、図書館。自習スペース。
 巨大な書架がいくつも並び、自習用の机などが大量に用意されている。
 それぞれの席に電源があるのでパソコンなども持ち込める親切仕様。

 試験期間中は混み合うらしいが、今は試験期間より少し前なのでそれ程混雑していない。
 逆に言えば、もう少ししたら冬休みと、冬休み前のテストだ。
 
「……常世島では、高度な科学・魔術技術を以て学園都市に必要な様々な物品・食料を生産し続けている。
 食糧の生産に関しては、魔術と科学の双方を活用しているんだね……。」

 エルピスは『魔術と異能が科学に齎したもの』と著された初心者向けの参考書を読んでいる。
 講義や予習の課題は終わらせてあるため、基礎の振り返りも兼ねて参考書に手を付けている状況。

 イーリスの発明以外にも、魔術や異能と科学を組み合わせたものはある。
 普遍的な各技術体系の関わり方を、再度学んでいる。

 ……大きな声は出せないので、静かに声を掛ける。

「いーりすの方は、順調?」

Dr.イーリス > 常世学園の図書館、自習スペースでイーリスは、エルピスさんと共に勉学に励んでいた。
スラム育ちのイーリスは半年の二級学生を過ごし、正規入学したのが九月という事もあって、単位を取るのに頑張っている。
エルピスさんが参考書を読んでいる傍で、イーリスはタッチペンを動かし、必死にタップペンに書き込んで、課題を進めていた。

「うぅ……。すごく課題が多いです……。この教科の教員さん、容赦ないです……。でも、半年遅れている私も、この数多ある課題をこなせばえるぴすさんと一緒に卒業できると教員さんも仰ってくださいました。だからがんばります!」

静かなお声で返した。
課題の多さで、コミカルな感じに涙を流しつつ、それはそれとしてペースとしては順調に進んでいた。担当の教員がただただ課題の量が多い容赦のなさがあるというのと、半年遅れているイーリスに特別に課題を増やしてくれているというだけ。

「課題は進んでおりますけど、少し休憩したくもありますね。飲みものでも買いにいきませんか?」

そう提案して、小首をかしげる。

エルピス・シズメ >  
「うん。ちょっと休憩しよっか。確か休憩コーナーに自販機が……」

 即答して本を畳み、レンタルの手続き。
 イーリスの使う技術(こと)を少しでも知るために、隙を見ては色んな分野からアプローチ。

 少しずつ、知識の基盤を固めていく。

「イーリスの地頭はこれまでの発明が証明しているから……
 ……休憩したいと思った時に休憩して、出来る時に進めていけば大丈夫。」

 安心させるように、同時に順調であることを喜ばしそうに、
 はにかみながらそう伝える。
 
 本は学生鞄にしまって、図書館の休憩室。
 自販機や軽食などが売られており、書物をここで開くのは違反らしい。

「僕は……あ、このメーカー……
 ……なつかしいから、リンゴのパックジュースにしようかな。」

 初めて出会った時に渡したパックジュース。
 同じメーカーのリンゴジュースを選ぶことにした。
  

Dr.イーリス > タブレットを学生鞄に仕舞いつつ立ち上がる。ふと、エルピスさんが読んでいた参考書に視線を移した。
その参考書のタイトルは、『魔術と異能が科学に齎したもの』。

「その参考書は、私も技術発展のため、昔読んでいたりもしました。とても懐かしいですね。図書館には、知識や情報、データなどをもとめてよく訪れたりしていたのですよね」

目を細めて、微笑んでみせた。
だが、気まずそうに少し目を逸らす。

「……正規の生徒ではなかったので、昔から図書館に訪れていたというのは不正ではありますが…………」

かつてのイーリスはスラムのストリートチルドレンという身分であり、表向きには存在しなかった人物。島で何をするにも正規ではなくて不正となる事も多かった……。

「ありがとうございます。課題が多いと言っても、さすがに無理難題すぎるものを出しては……きて……いない……かは怪しい気がしますが、期限までには間に合うと思います」

にこっと笑いつつ、エルピスさんにそう返した。
だが数秒後には、『課題をこなせない生徒さん多いでしょうね……』と想像して、ちょっと遠い目。
そうしてエルピスさんとご一緒に休憩室へと歩いていく。

「そのりんごのパックジュースはとてもおいしいです。えるぴすさんとの出会いのきっかけでもありますね」

そう口にして、はにかんでみせる。
当時、負傷したことで機械の車椅子に乗っていて自販機の高い位置にあるりんごジュースに手が届かず、その場にいたエルピスさんが代わりに押してくれたのだ。

「私もりんごジュースにしましょう。……りんごジュース、また高い位置にありますね。んー……!!」

スマホで自販機を読み取り決算して、背伸びをして頑張ってりんごジュースのスイッチに手を伸ばす。

「て、わわっ!!」

背伸びをして躓いて、隣のものを押してしまっていた。

「ま、間違えました……!」

出てきたのは、いちごミルクだった。

「これは……偶然です。あの時のいちごミルクです! このいちごミルクも懐かしいですね」

エルピスさんと初めてあった日。いちごジュースを零してしまったイーリスだったけど、エルピスさんから同じ自販機で購入したいちごミルクを代わりにいただいたのだった。
出会ったあの時から、エルピスさんはとても優しかった。
イーリスは目を細めてから、パックのいちごミルクにストローを差して笑顔で飲む。
想い出のりんごジュースといちごミルク……。

「学園って、とても広いですよね。探索なんてしてみませんか?」

そんな提案をして、小首をかしげる。

エルピス・シズメ >  
「そのことは、更生プログラムを経てちゃんと清算されたこと。」

 目を背けようとするイーリスの背中へと左手を伸ばし。
 そのまま支えてからイーリスの頬に手を添えて、自身はしゃがみながらも逸らした目線を向け直そうと試みた。

「だから引き摺りすぎなくて大丈夫、いーりす。」
 
 個人の確執などがあれば、規則だけでは清算しきれぬものもある。
 だが、目の前のイーリスは更生プログラムを経て正規の学生の身分を手に入れている。

 法の上では、司法によって裁きが下された後。
 それを思い悩み過ぎないようと、優しくささやく。

「……どっちかと言うと生徒の全力が見たくて出してきた方かもね。
 試練って言うのは、荒事だけじゃないから……うん……。」

 苦笑気味に、遠い目をしながら答える。
 荒事でなくても、試練を与えるものは居る。

 こなし切れない前提の課題を試練として出してくる先生は多くもないが少なくもない。
 例を挙げるならばリビドと呼ばれる哲学・魔術の講師も、たまにそういうことをする。

「うん。懐かしくなって買っちゃった。
 ……どっちのジュースも、すぐに飲み切っちゃうのは惜しいかも。」

 選んだリンゴのパックジュースを手元にストローを刺しながら、
 たまたまいちごミルクのジュースを選んだイーリスを認めて微笑み、
 はじめての出会いを懐かしむ。

 4か月の間に色んなことがあった。
 
 ことある度に想い返したくなる、忘れたくない大事な記憶。

「うん。忘れたくない、とっても大事な想い出。
 ……いいね。せっかくだし、パックジュース片手に学園をゆっくり歩いてみよっか。」
 
 提案を承諾して、図書()を出る。

「学園探索……どこから行こっか。イーリス。」
 

Dr.イーリス > エルピスさんがイーリスの背中を左手で支えてくれて、頬に右手を添えてくれる。
目線を逸らそうとしていたイーリスは、エルピスさんを直視する形となる。
イーリスの頬が染まる。

ストリートチルドレンとして仲間の不良達と生き抜くためにかつて行った事に、罪の意識があった。それは今も消えず残り続けている。
けれど、エルピスさんはイーリスを許してくれる。まるで温かく包み込むかのように、エルピスさんは元気づけてくれる。

出会ったあの頃からずっと、エルピスさんはとても優しくて、頼りになって……変わらずイーリスにとっての“希望”で居続けてくれる……。

「えるぴす……さん……。ありがとうございます……。あなたがいつも、私のやさしい“希望”でいてくださっているから、今日まで幸せに暮らせています」

目を細めて微笑んだ。
エルピスさんがイーリスにとっての“希望”であることは、十年前から始まっていたことだった。十年前のイーリスは正義のロボットさんに希望を抱いて、それがエルピスさんの“希望”であると気づかずに過ごしていたけれど、気づいていなかっただけで十年間ずっと紛れもなくエルピスさんの“希望”だった。

(えるぴすさんが……すき……)

日常でも、エルピスさんへの愛が溢れ出そうになる機会は多い。
イーリスの《パンドラ・コアMk-Ⅱ》が桃色に輝いてちょっとハートのエフェクトが出てしまったり、エルピスさんにイーリスの愛情が流れ込んだりと、その愛は隠すことができない。

「なるほどです。この課題の多さは、試されているということでもあるのですね。試されているなら、猶更がんばらなければです」

微妙にガタガタ震えて自身を鼓舞している。
目の前の課題というよりは、今の課題を提出したあとにさらに大量の課題が出されるかもしれないという恐怖からの体の震え。

「そうですね、ゆっくり飲みながら歩きましょう。ふふ、あの時のことを思い出す味です」

あの日は、とても暑い日だった。
色んなことがあった数ヵ月……。エルピスさんとの想い出の日々……。エルピスさんに、救われた日々……。
想い出に浸りながら、ふたりで図書館を出る。

「まずは教室棟を歩いてみましょう。教室棟も広いですからね。私達がまだ行ったことがない教室なんかもいっぱいあります。この機会に、色んな教室を見てみましょうよ」

エルピス・シズメ >  
 教室棟。
 普段学習に使っている棟の一つ。

「教室棟。色んなお勉強をするところだけれど……
 ……これだけ多いと、教室一つ一つにも個性が出るね。」
 
 これだけ数が多いと用途や配備時期による"設備の差"にも幾らかの差が見受けられる。

 大変容前からの伝統とも言える、黒板とチョーク。
 電子画面を投影するに申し分のない、プロジェクター。
 コンピュータを前提とした、巨大液晶や電源設備。
 
 科学系の棟には、実験室や準備室が隣接されていることもある。
 家庭科系統の設備の揃った部屋もあった気がする。