2025/01/14 のログ
■シャンティ > 「ふふ――学業、と……興味、は……別、よぉ。繋が、れば……学園、では……楽、でしょ、う……けれ、どぉ……?」
女は、実益よりも趣味を優先している。結果として利が出れば運が良かった、と思う程度。
それは、昔から変わらない。
「それ、なら……ね。勉強、以外、の……本、を、読み、ま、しょう……ね?」
くすり、と少女のように微笑む。
無邪気でありながら、深淵が覗いていたやもしれない。
「ん……」
どこか不思議そうに撫でられるが、そのままにする。
恐れる必要はないのだから。
「そ、う……久遠、らし、い……わ、ねぇ……?」
皆が健やかに――
実に平和で、平凡で、当たり障りのない祈りだろうか。
しかし、その欲のないような願いには大きな思いが埋もれいる。
「……ピグマリオン……だった、かし……ら」
ぽつり、と誰に聞かせるでもない囁きよりも小さな言葉が漏れ出た。
それは冬の冷たい空気の中に、跡形もなく消えていく。
「……私、の、は……誓、う……まで、も……なか、った……かも、しれ、ない、わ……ね」
女は男と連れ立って歩く。
■杉本久遠 >
「お、君のおすすめの勉強以外の本か。
なにか、いい本とかあるのか?」
無邪気な深淵さを感じ取っていたが。
それも意に介さないように、にぃっと笑顔を返す。
「――やっぱり綺麗だ」
撫でて出てくるのは、そんな思わず零れた、という様な声。
綺麗で、不思議そうにしている顔は、どことなく愛らしい。
自分が彼女に幸せを与えて貰っているんだと、笑ってしまう。
「うーむ、オレらしい、か。
どうだろうな、わからんが。
自分の事はほら、自分で叶えるからな」
なんて言いつつ、彼女の言葉に今度は久遠が首を傾げる。
聞こえなかったわけではなく、意味を上手く咀嚼できなかっただけだが。
「――ふむぅ。
お、向こうで甘酒を配ってるな。
一つ貰いに行ってみないか?
味は好みが出るが、あったまるぞー」
そう言いながら、甘酒の配布所を指で示しながら、彼女の手をそっと引いた。
■シャンティ > 「そう、ねぇ……物語、あたり……から、か、しらぁ……? 神話、寓話……童話……原始、の……人の、積み、重ね……よぉ?」
様々な意味を、意図を込めて綴られてきた物語たち。
それらは起承転結、喜怒哀楽が詰め込みながら語りかけてくる。
何かを識るには、一番いい
「そう、ね……それ。
自分、では……ない……辺り、とか?」
もう一つの願いも、最終的には利己になるのやもしれないが、自分に向けたものではない。
そういう部分が、この男らしいのだ、と女は言う。
「……ふふ」
何も、言わない
謎めいた言葉は、謎のままに
「甘酒……?」
小さく首を傾げる。
色々と知っているようで、興味のないことは案外知らないこともある。
手を引かれながら、そちらに向かうのであった。
■杉本久遠 >
「物語かあ、君が選ぶものは難しそうだ」
笑いながら言う。
きっと婚約者である彼女が選んでくれたものなら、とても真剣に読む事だろう。
例えば、それがとんでもないシロモノだったとしても。
「そういうものか?
自分らしさってよくわからんものだなぁ」
なんて、ぼんやりと答える。
何処か不思議に笑う彼女に、曖昧な笑みを向けるが、明らかに困惑していた。
けれどまあ、それはそれ。
と、切り替えられるが久遠『らしさ』の一つだろう。
「ん、なんだ、甘酒は知らないのか?
それはいいな!
折角だ、東の国の不思議な文化体験、その二、と行こう!」
振袖の婚約者を連れて、配布所に行くと、二人分の甘酒を受け取る。
紙コップにたっぷりと注がれた、ドロリとした飲み物は、独特の甘い匂いを漂わせている。
「ほら、これが甘酒だ。
熱いから、ゆっくり飲んでみるといい」
そう言いながら、そっと彼女の両手の中に紙コップをおさめる。
その熱は、ゆっくりと彼女の手に伝わっていくだろう。
■シャンティ > 「どう、かしら……ね?」
難しそうだ、という男に不思議な微笑みを返す。
明るいような、暗いような。
「……ふふ。わか、らな、くても……いい、わ?」
自分が何者であるか。
それは、ひょっとすれば本人には一生わからないまま終わることかもしれない。
もちろん、他者も分かったようで永久に理解できないものであるやもしれない。
「……ん」
温かい容器を受け取る。
ああ――これは、熱いものなのか、と女は少し考える。
「……」
ふぅ、と小さく息を吹きかける。どの程度までこうすればいいものか。
こういうのは、相変わらず分かりづらい。
ふぅ、ふぅ、と機械のように無心に息を吹きかける。
……適温、だろうか。
「……」
ちびり、と口にする。
どろり、とした白い液体が口内に滑り込む。
僅かな発酵臭と甘い香り。それらが綯い交ぜになって香っている。
独特なほんのりとした甘みが広がっていく。
「……そう、いう……味、なの、ね」
紐解こうとすれば、素材すらも紐解けるがそこには目を伏せる。
小さく、くぴり、くぴり、と甘酒の嚥下していく。
「あた、たまる……の、ね」
■杉本久遠 >
「――可愛い」
零れたのは、息を吹きかけながら、少しずつ甘酒を呑む婚約者への感情だった。
そして、自分の分を呑むのも忘れて、その愛らしい姿をぼけっと見ていた。
「あ、ああ。
好みが出るが、とっても温まるんだ。
味はどうだ?
苦手じゃなかったか?」
そう言いながら、結われた髪から零れた髪を、手を伸ばしてそっと整える。
呑むのに邪魔にならないよう、耳の後ろに回すように、優しく髪を撫でつけながら。
「シアワセ、だな」
こうして触れ合う事が出来て、普段見れない姿が見れて。
そして、この瞬間を一緒にいる事が出来て、自分は心から幸福だと思うのだ。
「君と居れて、シアワセだ」
つい漏れ出てしまった言葉でなく、あらためて。
最愛の女性に、そう伝えた。
■シャンティ > 「……?」
ぼけっと見ながら零された言葉。それに小さく首を傾げる。
どこか訝しげで、どこか不思議そうにして。
「味……は――そう、ねぇ。この、どろっと……した、白い、感じ……お粥、みた、い……だけ、れ、どぉ……ミルク、粥……とも、違う……ほんの、り……の甘さ、だし……不思議、ね。嫌い、では……ない、わ?」
見知ったものに近いのはそれ。
あれは飲み物ではないのだけれど、雰囲気は近い。
それだけに、忌避感はあまりなかった。
「そ、う」
シアワセ
男の口から、ニ回、その言葉が出る
脳裏に浮かぶのは、まずその言葉の定義――だが
「青い……やつ、ね」
口から出たのは、そんな言葉。くすり、と笑う。
「結局……そう、いう……もの、なの……か、しら……ね。むずか、しい……わ」
女は独りごちた。
「久遠、は……そう、ね。わかって、る……の、ねぇ。
見失、わ、ない……よう、に……ね?」
■杉本久遠 >
「ん、そうか、苦手じゃないならよかった。
確かに初めて飲むと、不思議な味だろうなぁ」
そう言いながら、やっと自分も甘酒を呑んだ。
温かく、甘い。
「青いヤツ?」
どういう意味だろう、と首を傾げる。
笑う彼女に、不思議そうな顔をするばかりだ。
「よくわからんが、うむ。
君の事だけは見失わない――そのつもりでいる」
そう言いながら、髪型が崩れないように彼女を撫で、そっとコップを包む彼女の手に、自分の手を重ねる。
ほんのりと温まった彼女の手が、非常に愛しい。
「こうして、一緒にいられる時間の一つ一つを、大事にしていくつもりだ」
そう細い目を薄く開いて、思い切り笑う。
自信があるわけではないが――そうして彼女と一緒にいる事が久遠の願いなのだ。
■シャンティ > 「さ、て……ふふ。久遠、は……物語、を……すこ、ぉし……学ぶ、と……いい、わ……ね?」
首を傾げる男に、くすくすと笑って応え……何も語らない。
わからなければ調べてみるといい、とでも言うように。
「わたし、は……」
そっと重ねられた手を眺めるようにする。
「壊れ、もの……だか、ら……ね?」
撫でた頬は冷めきって
触れた手は温かい
それは現実と空想の境目とでも言うようにはっきりとして
「……ふふ」
幻のように、女は微笑んだ
■杉本久遠 >
「うーむ、そうなるとやっぱり、君に教えて貰わないとな。
オレじゃどんな物語を見ればいいかもわからん」
たはは、と困ったように笑う。
重ねた手と、その横顔を交互に見て。
「壊れものか。
なら、全力で守らないとだな」
そう言いながら、不器用な大きな手で、細く繊細な手を包む。
「甘酒を呑んだら、こんどはおみくじでもしに行こう。
今日は、そうだな、うん。
少し特別な君を――もう少し独り占めさせてくれ」
そう言って、真っすぐに愛しい女性の微笑みに笑い返す。
■シャンティ > 「そう、ねぇ……自分、で……探し、て……欲しい、とこ、ろ……だけ、どぉ……
いく、つか……ヒント、くら、いは……しか、た……ない、か、しらぁ」
人差し指を唇に当て、少し考えるようにして口にする。
特別にね、とでもいうように。
「まも、る……そう、ね?」
くすくす、と女は笑った。
くすくすと、くすくすと。
「おみ、くじ……ああ。占い……だ、った、かし……らぁ?
運、だめし……に、も……近い、わ、ねぇ」
ゆるゆると笑った女は
「いい、わ、よぉ……今日、は……暇、なの……だ、ものぉ」
そうして男の引く手について行くのだった
ご案内:「Free1 時期外れの初詣」からシャンティさんが去りました。
ご案内:「Free1 時期外れの初詣」から杉本久遠さんが去りました。