2025/02/06 のログ
ご案内:「風紀委員の日常」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
「…………」

緊張している。
今日は見回り当番。組んだことがある人や知人であればよかったのだが。

今日は全く面識のない人と組むことに。

ーー大分早めに、スタート地点で待っていた。

緊張のせい。

前髪を整えて、目線を隠して。

時間を待っていた。

ご案内:「風紀委員の日常」に桃田 舞子さんが現れました。
桃田 舞子 >  
夕暮れを前に、庁舎一階。
伊都波 悠薇委員と見回りがあるので見渡す。

あ、あの子だろうか。
ちょっと声をかけてみよう。

「どうもー、伊都波さんかな?」
「桃田舞子です、違ってたらごめんなさーい」

知らない人に声をかけるのって緊張するなあ!!
とはいえ、いつもの班で固まってるわけにはいかない。

伊都波 悠薇 >  
「あぴょ!?」

びくん、と跳ねたついでに変な声がでた。

「あ、いえ。あ、あってます……その、よ、よろしくお願いします……」

笑ったつもり。
でも緊張で強ばった顔になってしまったら。

桃田 舞子 >  
「あぴょ……!」

すごい、跳ねた。
でも相手も緊張しているとわかったのは親近感。

「よろしくね、今日は管内の予防検挙……まぁ、警邏だから」
「何かと物騒だし気合い入れていこうね伊都波さん」

手のひらを振って笑いながら。

「とはいってもほら、危険なところは巡回しないし落ち着いて対処すれば大丈夫」

伊都波 悠薇 >  
「あ、はい」

なんとも優しい対応。
自分にとってそう多くはない対応だ。

それだけで、少し、目の前の少女の人柄が伺える。

「こちらこそ。でも、その、力を入れすぎず、ですにぇ」

…………かんだ。

「が、がんばりましょう」

なかったことにしたい。

桃田 舞子 >  
ちょっと緊張しているなぁ。
少しリラックスさせてからのほうがいいね。

「大丈夫大丈夫、落ち着いて伊都波さん」
「今日は私達二人だけ? 違うよぉ」

「連絡一つでレイチェル・ラムレイ先輩が手掛けたDチームだって来てくれる範囲だし」
「犯罪があったらすぐ連絡、それが一番大事な仕事なんだしリラックスしてこうよ」

そこまで言って顎に手を当てる。

「リラックスして警邏は違うか……」

うむむと悩んで慎重に言葉を選んだ。

「肩の力を抜いて、かといって犯罪は見逃さず」
「今日も学生たちの平和のために努力を重ねていきまっしょい」

笑顔で小さく手を振った。
髪飾りの鈴が鳴った。

伊都波 悠薇 >  
「はい」

慣れてるなぁとおもう。
そして気構えも頼りになる。

どうやら今日は相方に恵まれたらしい。

「なんだったら、ピンチになったら姉が来てくれますよ」

そんな風に冗談で、応えるとした。

桃田 舞子 >  
「あ、やっぱり伊都波さん、お姉さんがいるんだ」

庁舎を出て出発。
庁舎から歩いていける範囲なのだから、特に問題はないはず。

「それも風紀に? 有名だよね」

出ると同時に交通部の腕章をつける。
使ったことはないけど刀だっていつだって抜ける。

私達で平和を守るんだ。

伊都波 悠薇 >  
「はい。同じ風紀です。活躍は耳にしやすいかと」

やっぱり、有名だ。

自分は武器はない。

「刀、使うんですね?」

横並びに歩いていく。

桃田 舞子 >  
「だね、風紀を守るために頑張ってるって」

歩きながら会話をする。
こうして同年代と話せているとちょっと気が楽になる。

交通整理ばっかりの私の風紀生活で、警邏は一番緊張する仕事だし。

「刀持ってるけど仕事中に抜いたことは一度もないよ」
「歓楽街の一部地域の警邏もしたことない」

落第街の話をしながら顎を掻いて。

「私にできることをしているつもりだけど」
「主力ってわけにはいかないよねー」

冗談っぽく言いながら。
道中見つけた車両の前で立ち止まる。

「交通量多いところだし15分戻らなかったら駐禁取ろうか」

交通部の仕事になってしまうけれど。
路上駐車はやっぱり見逃せない。

伊都波 悠薇 >  
「……姉や、友人の受け売りですけど」

周りに気を配りながら歩いていく。

「こういう何気ない仕事をしてることじたいが大事で、みんなが主力、だそうですよ」

抜いたことがないと聞くと。

「抜かないに越したことはないです。そんな場面、ないほうが良いですし」

車のことを言われると。

「はい。あまりやったことなないので、少しおまかせしてしまうかも、です」

桃田 舞子 >  
「そっか、ならよかった!」
「そう聞けば私みたいなモブでもできることを精一杯やれるしね」

笑顔でそう答えて右手でオーケーサインを作って通信機で連絡。

「227号線で路駐、待機して車の主が戻ってこなかったら黄チケ切りますね」

そう手短に告げると待機を始める。
5分程で慌てて戻ってきた車の主が見えた。

「今回は大丈夫ですけど、路駐は関心しませんよー」
「では気を付けてお帰りくださいね」

そう言って車を見送る。
学生でも問題なく運転ができるのは、常世島らしさを感じる。

「行こっか、伊都波さん」

伊都波 悠薇 >  
「……もぶ?」

はて、と首を傾げる。
そして、てきぱき対応する姿に。

ーーそうは、見えないけれど。

持ち主にぺこりとお辞儀して見送り。

「はい。手際良くて助かります」

桃田 舞子 >  
「私、名前が桃田舞子だから……あだ名がモブ子とかなっちゃって」
「つい、自分がモブだって意識が先んじちゃうんだよねー」

そう言って警邏を続ける。

「交通部なものでー、こういうのを山程こなしてきたものでー」

えっへんとわざとらしいジェスチャーで胸を張って。

「また何か見つけたら教えてね、一緒に困ろう!」

伊都波 悠薇 >  
「そ、そうなんですね」

なるほどと、納得? する。
もしかしたら自分と似ているところがある、のかもしれない。

自分は、ぼっちなだけだけれど。

「こ、困っちゃうんですか」

くすり、とつい、笑ってしまった。

桃田 舞子 >  
「そうなんです」

ふふっと笑って歩く。
今日の警邏はパートナーが話しやすい相手で良かった。

「それはそうだよー、私一人で解決できることなんて限られてるんだから」
「一緒に困ってくれないともっと困っちゃう」

それはさっきのみんなが主力という言葉を自分なりにラッピングして手渡したもの。
言葉は時々、花束みたいになる。

伊都波 悠薇 >  
「あぁ、なるほど」

そういう意味か、と理解する。
ようやく、慣れてきた。

緊張がやっと解れた。

「桃田さんは、素敵な言い回しをしますね。そのときは一緒に困って、悩んで、乗りきりましょう」

歩きながら、実感する。
やっぱり、姉のように、彼のように。
戦えたりするだけが、風紀を守ることではないのだと。

「……桃田さんは、それ、もっと使えるようにとか思わないんですか?」

それはそれとして。
ふと、気になることをひとつ。

桃田 舞子 >  
「そうかな、そうだといいな……」
「困難を誰か一人で解決するのは強さだけど」

「困難にみんなで立ち向かうのは弱さじゃないしね」

真新しい壁の落書きを見つけた。
写真を撮って保存する。

「刀のこと?」

聞き返しながらGPSを登録。

「通信教育でまだまだ練習中だね、それは強くはなりたいけど……」

伊都波 悠薇 >  
「姉に、お願いしてみましょうか」

強くなりたいなら、それが良い。
せっかくの、縁だ。

「姉は師範もしてますから。なにかきっかけになるかも、です」

自分は教えられることはないけれど。 
でも姉なら、と。

そう思う。

「こっちにも落書きありますね。登録します」

仕事をしながらーー

桃田 舞子 >  
「ふふ、ありがと! でも遠慮しておく」
「比良坂一刀流で強くなりたいから」

比良坂一刀流の師範はガチでカッコいい女性。
私はああなりたいのかも知れない。

「うん、お願い伊都波さん」

書かれているマークは最近よく見るものだった。
ATマーク。反体制のシンボル……? かな?

「後日、生活委員にお願いして消してもらおう」

生活委員も割れ窓理論を食い止めるという大事な仕事をしているわけです。

伊都波 悠薇 >  
「比良坂一刀流?」

聞いたことのない、流派だった。
詳しくはないけれど。

「余計なお世話でしたね」

一本、芯がある。

モブだなんて、とんでもないと思う。
もう、立派な一人の主役のよう。

「はい」

テキパキとこなしていく。
ひとりよりも手早く。

なんとも久しい感覚だった。

ーー私も強くなれるのかな?

桃田 舞子 >  
「うん、《大変容》の後に色々あった護身術ブームの時に流行った流派でね」
「古武術から一転、通信教育とか街角の道場とか手広く弟子を取ったとこのー」

ううん、と言葉を選んだ。
自分の流派の説明って難しい。

「居合・抜刀術・一刀流の派閥? かな?」

古武術と一口に言っても、現代では様々な下位流派に細分化してしまっているのである。

「ここはもういいかな?」
「今日は順調だね、次に行こうか」

空を見上げる。
一欠片の雪が手のひらに降ってきた。

「今日は冷えるねー?」

伊都波 悠薇 >  
「武術って、結構そういう枝分かれありますよね」

技術の進歩。
細分化による、特化、進化、衰退。

面白いとおもう。あまり自分には縁のないはなしではあるけれど。

「桃田さんの手際が良いからですよ」

よし、ともうひとふんばり。

そうおもったら。

「雪、降ってきたら余計に寒く感じますね。辛いものが食べたくなります」

桃田 舞子 >  
「そうそう、私はその一つを選んだ感じ」

手際を褒められると頭に手を当ててエヘヘと笑って。

「ありがとう! 時間まで頑張ろうね」

手に息を吹きかけて温めて。

「辛いものならカレーがいいな、私カレーが大好物なんだー」
「だいぶ作るし、だいぶ食べるし、だいぶ研究してる」

そう言って歩き出す。
二人だけの歩み。二人だけの警邏。

伊都波 悠薇 >  
「カレーですか。辛いものチャレンジのお店、近くにあるの知ってます?」

カレー……自分の知ってるお店を口にしたりとかして。
雑談しながらもやることはやる、メリハリある警邏を。

「桃田さんのカレー、どんなんなんだろ……」

桃田 舞子 >  
「辛いものチャレンジ……!?」
「ヤバ、それ初耳かも……休日行ってみたいな…」

辛いもの、それは魅力的だ。
ハバネロさえぶち込んでおけばいいという雑な辛さは求めない。
スパイシーな旨味あふれる辛味が私を魅了するのだ。

            ―――桃田舞子

「色々だよ、家庭で作るような普通のカレーからマッサマンカレーにグリーンカレーにキーマカレーに」
「ライス、ナン、チャパティ……合わせるものでも色んな表情を見せるよね」

あー、完全に辛いものの口になってきたーと言って。

「あ、そうだ! 今度のお休みにカレー食べに行かない?」

そんなことを話しながら。
パウダースノーが舞い散る街を見渡しながら歩く。

その日は何も摘発はしなかったけれど。
今日も街を守った、という確かな実感を得られた警邏だった。

伊都波 悠薇 >  
「お、おやすみに!?」

挙動不審になりながら、わたわた、と。

そして押しに負けて、連絡先を交換してーー

友だちリストに、またひとり

名前が増えて。

寒いのに、頬と胸が熱くなったそんな、時間だった。

ご案内:「風紀委員の日常」から伊都波 悠薇さんが去りました。
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