2025/04/03 のログ
ご案内:「喫茶店『慈音堂』」に桃田 舞子さんが現れました。
ご案内:「喫茶店『慈音堂』」に伊都波 悠薇さんが現れました。
桃田 舞子 >  
ワガハイはモブ子である。
って誰がモブ子だ。

煉瓦の壁が特徴的な店構え。
そんな店の前で待つ。
今日は友達と一緒に喫茶店に行く約束をしている。

携帯デバイスを見ながら前髪を弄る。
約束の時間より少し前。

伊都波 悠薇 >  
「あ、えと、お、おまたせしました」

駆け寄ってくる姿がひとつ。
自分も早く来たつもりだったけれど、それより早く来ているとは思わず…… 

「あ、その、き、きょうは、よろしくお願いいたします?」

挙動不審になりながらも、慣れてない、緊張をしながら深々挨拶からスタート、である。

桃田 舞子 >  
「いやいや、私のほうが早かっただけで待ってないから」

笑顔で手を振って出迎える。
緊張しているなあ、伊都波さん!

「大丈夫大丈夫、入りやすい店だから」
「ここの喫茶店、ダベり歓迎の良いお店なんだー」

人差し指を立てて。

「今日のお昼としてカレーを食べるよ、お腹空かせてきた?」

何故かドヤ顔。
そして店に入る。

「二名です、どこでもー」

テーブル席でもカウンター席でも構いませんよと
ちょうどどっちも空いていたので言う。

伊都波 悠薇 >  
「は、はひ」

こくこくと頷いて、先導に着いていく。

(えーっと、ちゅうもん、ちゅうもん、ちゅうもん……チュー、モン!?)

やはり、風紀の業務ではないプライベートで初めての二人でおでかけとなると勝手が違う。

混乱しながら、着いていくだけ

桃田 舞子 >  
「テーブル席空いてるってー」

窓際でなかなか良い席。
日焼け止めも塗ってきたし春の日差し対策は万全だ。

「ここはねー、カレーライスが美味しいんだー」
「焼きカレーもやってるけど個人的にはカレーライス」
「コーヒーが隠し味でコクがすごいの」

「あとスパイスのブレンドが独特で、隠し味を隠してなお突き抜ける香味が最高でね?」

「それでいてライスも手を抜かない、具材も独自ルート」
「喫茶店で出すものとしては最高レベルのカレーがね?」

早口。
出てきたお冷を飲む。
マスターも店員さんも皆、学生さんだ。

ここが常世島だと実感する。

伊都波 悠薇 >  
「おいしい……焼き……コーヒー……」

単語をオウムガエシするだけになっていて……ふと。
スパイスの話で正気に。

「か、辛みは選べるんですか?」

桃田 舞子 >  
「もちろん選べるよー」
「甘口もいい、辛口もいい」

「ただ……今日という日を楽しんでほしい」

据わった目つきで言う。
ついでに伊都波さんの姿を改めて見る。

長い髪、揺れる瞳、制服。

「そういえば制服で来たんだね? 似合ってるよー」

伊都波 悠薇 >  
「あ、ではできる限り辛口で……オススメの、やつでお願いします」

メニューをたたみ、そっと差し出す。

「あ、え!? お、えと」

た、楽しんでないように見えただろうか、びくっと跳ねてしまった。

「た、たのしんで、ますよ?」

まだ、落ち着かないだけで実際楽しみにしていたのだから嘘ではない。

「あ、はい。その……あんま、私服持ってないし自信ない、ので」

ウマサンこーで、かジャージか姉が選んでくれたやつくらい。
自信ないから制服が一番楽、なのだ

桃田 舞子 >  
「チャレンジャーだね、マスター注文です。カレーライスの大辛2つで」

受け取ってメニューに視線を落とす。
カレーに合う飲み物となるとやはりラッシー…
でも喫茶店でラッシーは出ない……

「そう? すごい緊張しているからつい」
「でもお楽しみはここからだよ、すっごく美味しいから」

笑顔でメニューを置いて。

「それは勿体ないね……」
「伊都波さん、キレーなのに」

伊都波 悠薇 >  
「あ、えっと。あはは」

見抜かれていたことにバツが悪そうに。

「き、きれ!?」

突然の言葉に顔を真っ赤にして沸騰。
暑くてお水をひとくち。

「や、あ、えと、その。も、桃田さんのほうがかわいいですよ。今日の服、似合って、て……す、しゅて、すてきでしゅ……」

噛んだ。二回も。

桃田 舞子 >  
「ありがと! ガーリッシュに決めてみたー」
「でもあれだね、子供っぽいとか言われたらちょっと反論できない」

そんなこんなで色んな話をしているとカレーが来た。

「おお……香ばしい…」

目を輝かせてカレーを見る。
どっちも大辛なので向こうもこの香りが直撃するであろう。

「いただきまーす」

スプーンを手にする前に両手を合わせた。

伊都波 悠薇 >  
「い、いえ。そんなことは」

ぶんぶんぶんと、頚を高速で横に振ったと同じ頃に着丼。

「い、いただきます。いいニオイ」

手を合わせて、早速もぐり。

「あ、おいしい」

自分的にはもっと辛くてもよいが、おいしい。

すごく。

「おいしいですね。ここ」

桃田 舞子 >  
「そうなんだよねー、レシピ知りたいくらい美味しい」

ああ、口中福を囲う。幸せだー。

「隠し味に使ってるコーヒー自体が良いよね」
「前に聞いたらメインで使ってるのゲイシャ豆らしいけど」

「カレーでもそうなのかなー」

悩みながらカレーをパクパク。

「私、ここのカレーが大好きでね」
「多分風紀委員やってなかったらここの部員やってたよー」

水を飲んでくうー、という表情。
この辛さと香りがたまらない。

伊都波 悠薇 >  
「料理、結構するんですか?」

もぐもぐ。
美味しい料理に緊張もほどほど。

気になったことを質問。
水は……てをつけない。

桃田 舞子 >  
「するね、主にカレーだけど」
「カレーの研究に色んなの試作したりしてるよ」

「でもこの前作ったグリーンカレーは失敗だったなあ」
「確かに美味しかったけど材料のせいで日持ち全然しなかった」

特に芋系は傷みやすい気がする。
保存は細心の注意を払おうね。

「マスターが九州出身で焼きカレーもメニューにあるんだけど」
「この店、そっちも美味しいんだよね。今度また来ようよ」

この後、食後にコーヒーを飲むか悩む。
マスターなら後味を殺さないタイプのコーヒーを淹れてくれるだろうから。

伊都波 悠薇 >  
「私はあまりしないので、羨ましいです。姉はうまいんですけど」

ごちそうさまでしたと、手を合わせて。

「はい。是非」

オススメされるまま。
でも信頼を載せて。

「……あ、コーヒー、もらってもいいですか」

興味が出たから頼まずにはいられなかった。

桃田 舞子 >  
「そうなんだ、お姉さんって色んなことができるんだねー」
「ごちそうさまでした」

至福ッ! やはりプロの作るカレーは美味しい。
外でカレーを食べる高揚感も味を高めている気がする。
それでいて落ち着いた店の雰囲気も。良いお店だ。

「それで」

メニューを見る。

「どれにする?」

コーヒーだけで1面が埋まっていた。
マスターに聞けばおすすめを出してくれるだろうけど。

「4月だからコロンビアが新入荷なんだって」
「全部サンビカ種のスペシャルティコーヒー、喫茶店だねー」
「ドリッパーはガラスのハリマV61……?」

専門的すぎてよくわからない。

「マスターにオススメ出してもらおっか」

伊都波 悠薇 >  
どれにする、と見せてもらいはしたが。
はてなまーくしか頭に浮かばなかった。

オススメと言われるとこくこくうなずく。

「そういえば、なんですけど」

ふと思い出す。
知り合いに聞こうと思っていたのだった。

「ちょっと、重たい質問、よろしいですか?」

桃田 舞子 >  
「すいません食後のコーヒー二つ……はい?」

注文後に伊都波さんの顔を見て。
両目をパチパチと。

「どうぞ、私に答えられる範囲であれば……?」

モブに重たい質問なんて答えられるだろうか。

伊都波 悠薇 >  
「ありがとうございます」

注文してくれたことと、おっけーしてくれたことに合わせてお礼。

「その、大事な人とわかれた時。別れなくてはいけなくなったとき、別れたあともうあえないと、なったとき」

自分と、そしてとある人を思い浮かべ。

「……その、寂しさを埋めるためにできることって、なにがあるとおもいますか?」

桃田 舞子 >  
「大事な人と……別れる、かぁ」

想像以上に重たい質問だった。
でも、風紀委員をしていると。

時々、こんなことがある。
私もダスクスレイに友達を斬られたから。

「あのね、伊都波さん」

「これはただの言葉なんだけど」

そう前置きしないといけない自分の弱さ。
でも、今は自虐よりするべきことがある。

「もういないな、って思うより」
「一緒にいたな、って想ったほうがずっと良いと思う」

パラ、パラ。
通り雨。
ガラス一枚隔てた向こうは雨の世界。

「別れた相手のことがわかんなくても、自分のことはわかってあげられるからね」

窓に映った自分の目元に、雨垂れが流れた。

ご案内:「喫茶店『慈音堂』」に伊都波 悠薇さんが現れました。
伊都波 悠薇 >  
「はい」

ただの言葉、というところに頷き。

「はい。私も、そう、思います」

でも。

「そう、思ってもらいたい、人がいるんです……でも、自分じゃないから、そう思えているのではと思ったりするんです。

その、責任は、どうとるべきか、と

……私は多分、その人のことを好意的に思ってはいますが。

恋とは違うので」

そう、時計塔で。
冷たい手をしたあのひと。

……重い感情ではあるが。
それは、そういうものじゃない。

そも。

それがなんなのか自分は、知らないし。

ーー知ろうとも思ってない。

これが、天秤のせいかはわからないけれど。


桃田 舞子 >  
雨音。静かな店内。
遠い、コーヒーの香り。

「その人に笑顔になってもらいたいと思うことに」
「責任なんてないよ」

今は断言するべき場面だった。
少し胸が痛む。

でも、今だけは主人公のように振る舞うしかない。

「人との関係性なんて無限にあって、限られた意味で示せる言葉だけで括れるものじゃない」
「伊都波さん。伊都波悠薇さん」

「あなたはその人にしてあげたいことがあるんだね」
「誰かがそれを見て言葉で関係性を呪おうとしても無視していいんだ」

「それがどんなベクトルでも……」
「人を好きだと思う気持ちには、勇気が詰まっているんだから」

きっと伊都波さんの言う人もまた、喪失したんだ。
大切なものを。

雨脚が弱くなってきた。
窓の外には雨宿りを求める人々の雑踏。
どこか、藤井輝先輩に似た面影を見た。
けど……

「伊都波さんにおまじないをしてもいいかな」
「どんな場所にだって駆け出していける、そんなおまじない」

まず、許可を求めた。
自分には大仰な言葉だから。

伊都波 悠薇 >  
「そうでしょうか」

自分はあると思う。
創作物の主人公。それらが救ったヒロインたち。
でも、選ばれるのはひとりだけ。

……たまに。自分はそれを残酷だと思うことがあるから。

「どんな、おまじないですか?」

いえすとも、のーともとれる……

桃田 舞子 >  
「私はあなたを信じてる」

おまじない。
その言葉の直後、演劇のシーンが切り替わるように。
雨が止んだ。

「あんまり絡みが多いわけじゃないけど」
「伊都波さんが優しいのは十分に知っているから」

「その優しさを信じてる」

コーヒーが運ばれてきて。

「優しさも、笑顔になって欲しいと思う気持ちも」
「包丁みたいに使い方次第で良いものも悪因も作り出せるものだよ」

雨の世界が終わる。

伊都波 悠薇 >  
「ふふ」

その言葉。
『よく知ってる』。

どういうものであるかを、自分は本当によく、知っている。
なにせ、自分が、姉へと投げかけた……

「はい。ありがとうございます」

だから、お礼を。
その言葉を本当にするのか、嘘にするのかは自分次第。

なら。

「頑張りますね」

嘘にしないようにしないと。

……姉と、同じように。

天秤が、たとえ、あろうとも。

コーヒーが運ばれてきて。

「あ、美味しいですね」

ひとくち。その苦味は、何時もよりつよく、感じた

桃田 舞子 >  
「うんっ」

伊都波さんが頑張る、と口にしたなら。
信じた側は笑顔で応援するだけ。

窓の外で雲間から光が漏れていた。
天使の梯子。天国なんて、あるのかな。

「美味しいんだよねー……」

しみじみとコーヒーを味わう。
深煎りでコクがあり、酸味と苦味のバランスがよく厭らしいフレーバーがない。


「雨、止んだね。コーヒーを飲み終えたら、少し歩かない?」

窓の外。
雨が作った流れに桜の花びらが身を浮かべていた。

伊都波 悠薇 >  
彼女にしても、そしてもう一人の友人にしても。

そういう真っ直ぐな眼差しで自分を見る。
それは今までにない経験で。
また、それに応えたいだなんて思うのなんて。

想像できない今。
でももう、やると決めたから。

「いいですね。行きましょう」

天気のような晴れ晴れとした気持ち。
それを抱いたまま、もう少し友人と語っていたかったから……

頷いてーー

ご案内:「喫茶店『慈音堂』」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「喫茶店『慈音堂』」から桃田 舞子さんが去りました。