2025/05/27 のログ
ウィンドミル > 最初の一歩から、不思議とこれまでとは違う気がした
それが確かな実感に変わったのは知らない道を進み始めたころ
ただのおつかいに留まらない範疇の歩みを、二人の身体能力で超えていく
その必要すらなくなった頃。自分の演算の浅はかさに思い至った事だ

『今、自分は知らない相手と出会うんだ』

機械の少女の心が自然と、相手の腕を掴む力を強くする
お互い頑丈なロボだから、『かわいい子ぶり』なんて程度に収まる程度ではあるけれど。ただの人間相手なら、ちょっと軋んでいたのかも

「ここの、王さま……」

確かに機械の目なら、その向こう側の相手の姿を先に窺う事は出来ただろう
けれどこれまで、自ずと下を向いておどおどと歩いていた彼女なのだ

背中を押されてやっと、前を向く勇気をもらったと。そう表現するのが相応しい

ご案内:「常世城塞」からウィンドミルさんが去りました。
ご案内:「常世城塞」からシェン・トゥアールさんが去りました。
ご案内:「常世城塞」にシェン・トゥアールさんが現れました。
ご案内:「常世城塞」にウィンドミルさんが現れました。
シェン・トゥアール > 二人で扉の前に進んだところで、扉の奥からぬっと大きな姿が現れる。
身の丈は200センチに届くほど、そしてなによりその顔は異形であり…
まるで人間の顔面がイカそのものに変化したような姿であった。

『やあ、今日のところは仕事は入っていないよ。』
ぬらぬらとイカの足に当たる部分を動かしながら、流暢な言葉で管理人は告げる。

そんな管理人に片手を上げ、違うのだとジェスチャーをしてみせた。
「どうも、管理人さん。 今日は仕事の話じゃなくてね…。
 偵探社の新しいメンバーを紹介しようと思ったんだ。
 ウィンドミルという。 なりは俺みたいだが真面目でいいヤツだよ。」

シェンの紹介に、管理人は黒い瞳をウィンドミルへと向ける。
ゆっくりと頭を下げているような動きをしながら品定めをしているようだった。
『家賃の支払いが今より円滑になることを期待しているよ。
 それで、ウィンドミルさんは…。 この探偵さんとはどういう関係?』
イカのような顔からは表情は読み取れないが、声だけみれば随分と
面白がっているようだった。

ウィンドミル > 「は、ほ、ほぁ……?」

思考もとうに、止まっていた。ガラテアのデータベースでもこんな巨体は想定してなかったわ
それもそのはず。メインの相手がシェンなのだから、首を上に上に持ち上げる必要なんてどこにある?
逸らした上体がその大きな胸部を含めバランスを崩しそうになった時、自然とその身が矯正される。つまりは、背筋をかなりしっかりと伸ばした形だ

「み、ミルは、ウィンドミルで、ガラテアのロボットで
 おじさまの、じょ、助手ですっわっ!」

声になんとか、シェンに並んで誇れるものにしようと頑張って
未だ縋り付いている相手の腕の事は思考から完全に失念していた

加えて彼女も保留した程度の小さな論理の疑問。『助手』の言葉でミルたちの事を関係付けるの、本当は足りてないんじゃないかしら?

シェン・トゥアール > 『ロボット。なるほど…。 思考に触れられないのはそのためだね。
 助手…ふむ、助手か。 それにしては彼は随分と心配しているようだよ。
 私は人を取って食ったりしない。』
ぬうっと状態をかがめると、小柄なシェンとウィンドミルに大きな影が覆いかぶさる。
なにかを確かめるように触手が空を撫で……抗議するかのように、
シェンの方を見やった。

「あまりいじめないでやってください。大事な助手で社の一員なんですよ。」
相手の興味が落ち着いたところで、なだめるように声を掛ける。
”管理人”は鷹揚に頷いて、お詫びを示すかのように両手を広げた。
『君がそうやって大事な存在を連れてくるなんてことはなかった。
 随分と……』

「さて、ミルさんもびっくりしただろうし、管理人さんの邪魔になるわけにもいかない。 そろそろお暇しようじゃないか。 ミルさん、何かあったら管理人さんに相談するんだよ。」
何かを言いかけた”管理人”の言葉を無理やり遮るようにしてウィンドミルに声をかける。
深々と頭を下げて、とりあえず管理人への挨拶を終える心づもりだった。

ウィンドミル > 「なに、ロボットだから?思考を?」

相手が何を言っているのか分からないままだった
だってなにもされていないから。何かをされる資格がなかったから
おじさまの方をみて、どうなんだろう?彼は何かされたことがある?

確か、もとは人間だったはず。ロボットになっても、人間のまま?
心を体に委ねる時も、そうじゃない時も、自由にするのがそういえばおじさまの姿。だから甘え上手な場面も……

「はわっ!」

言葉を遮るシェンの言葉は、同時にこちらの腕を引いたような
意識を取り戻した彼女は、慌てて管理人に向けての礼を返しました

「もしもの時は、お世話になりに来ますのよ」

『迷う』なんて言葉は使わない。一度通った道を覚えるのは、犬でもロボットでも大体そう
彼が再び先を先導する。もう一度だけ異形の姿を振り返り、その行く先へ共する事だろう

シェン・トゥアール > 「よし、行こうミルさん。」
彼女の手を引くようにして、迷宮のような常世城塞の中を歩く。
休憩所なのだろう、いくつか椅子が並んでいるところまでたどり着くと、
ゆっくりとため息をついた。

「ふう…。ミルさん、とりあえず一休みしよう。」
ひとこと告げると、椅子に腰掛ける。ぐったりと背もたれに体を預け、
憔悴そのものといった様子で脱力した。

「それにしてもあの人のパワーがミルさんに通じないとは驚いたな。
 これからはあの人との交渉はミルさんにお願いしよう…。」
脱力したままミルさんに話しかける。
近くの椅子を軽く叩いて、近くに座ってほしい、とおねだりした。

ウィンドミル > 「おじさま、どうしたの?」

相手の様子に、彼女は不思議なものを見たような顔だった
先程まであんなに堂々としてたのに、今疲れるの?
ぼすん、と隣に座る彼女はいつも服がクッションになる
大きな風圧と共に膨れ上がったスカート。そして隣を見る表情

気付かなかったわ。おじさまが緊張してたなんて

「あの人に、全部おじさまの考えがバレてたってこと?
 それなのに震えも何も感じなかったのだわ。ミルがおかしくなっちゃった?
 おじさまのステータスは常に把握できるような、最適のミルのはずなのに……」

シェン・トゥアール > 「いや、あれの相手をするのは何度やっても緊張するんだよね…。
 俺の考えてることはぜんぶバレてる。 最初から最後までね。
 ノックする前に出てきたのもそれが原因だよ。
 最初のうちは余計なことを考えて、根掘り葉掘りされたものだ。
 今は慣れてきたから、ビビリもしなかったが…。」
天を仰ぎ、深いため息を一つ。
ミルさんの方を見やって、にやりと笑った。

「でも発見もあったよ。
 さっき、管理人さんはミルさんに興味を持っていただろう。
 俺がミルさんに対して考えてることはわかるのに、
 ミルさんが俺にたいして考えてることを読み取れなかったんだ。
 つまり…ミルさんは管理人さんへの切り札になる。」
最後に管理人が言おうとしていたことは置いておいても、
ミルさんは管理人とやり合うには最適な相手だ。
心強い仲間ができた、とアンドの表情を浮かべた。

ウィンドミル > 「おじさまがミルを使って悪い事を考えてるのだわ……!!」

きゅっと、身と手と、ついでに脚も縮めて怖がっている素振り
実際の事と言えば。それはもう飛び跳ねたいくらいなのだけども

使ってもらうというのはやっぱり、ロボットにとっての大きな意義
普段のエネルギー補給の際も、自分の『役目』があるものだが
今回は新しく、それを『使命』という形で受け取ろうという場面なのである

……が。さて、ここで一つ。やっぱり疑問に思う事

「でも、おじさまが態々バレずに伝えたい事って、なんなのかしら?」