設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
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参加者(0):ROM(1)
Time:12:31:40 更新
ご案内:「作刀部活「韴霊」事務所」から青霧在さんが去りました。
ご案内:「作刀部活「韴霊」事務所」から御津羽 つるぎさんが去りました。
■青霧在 > 「準備がいいですね。ありがとうございます」
差し出された契約書を手に取り、目を通す。
わざわざ目を通さずとも問題ないだろうが、
全てに目を通すのは契約書にサインする上で欠かせない順序だ。
そうしていると、不意に言葉をかけられた。
一旦契約書から面を上げて、耳を傾ける。
「自分で創る…ですか」
少なくとも、目の前の刀匠は創ることを選んだらしい。
ただ、重犯罪者になったと言う辺り、それが正解だと言いたい訳ではないのだろう。
…自分の場合、今更という気もするが。
「ありがとうございます。覚えておきます」
「ご武運を」
見つからないのなら、作ってしまえばよい。
その通りに出来るか、選べるのかは分からない。
ただ、きっと道しるべにはなるだろう。
そう思いつつ、目の前の刀匠に言葉をかけた。
書類にサインをして、取引を終える。
晴れて《聖蛇》はかつての姿を取り戻し、
加えて新たな刀まで得ることとなった。
■御津羽 つるぎ >
「はい、用意がございますよ。
仕上がるたびに仕立てています――あ、と……。
《聖蛇》の分も。しっかり書かないと、怒られてしまうので」
既に用意していたらしい。
ひょいとテーブルの下の小さな棚から取り出した封筒から、紙束。
それを差し出した。契約がなされれば、その刀剣で起こった如何なる事態も所有者の責任となる。
折れようがどうしようが、振るうものの責となる。
……書類上は、だ。それを納得せず、自責する刀匠もいるのだろう。
こちらは――
「この世に求めるものが存在しないなら、
そうだ、自分で創ろう――
そう思っていま、私は刀を鍛え続けています」
出し抜けに言葉をかけた。
「そう思い至るまでに苦心もしましたし、気づけば重犯罪者になっていましたけどね。
やめちゃえばと言われても、やめられないんだからしょうがないです」
裁きはどこにあるのでしょう。
探し方は間違っていないか?
生き方の是非ではなく探し方の是非を問う。
「ご武運を」
そう《青霧在》ではなく、《彼》に微笑んだ。
署名と譲渡をもって、一旦、取引は終了となろう。
■青霧在 > 「それは勿論」
お互いの立場を考えれば、自然なことだ。
何かあった時に、面倒ごとを招きかねない。
それより、壊れてしまえばと語る刀匠の様子に、未知の価値観を見た。
職人という人種は、皆こうなのだろうか。
いや、知人は少し違っていた。個人的なものかもしれない。
「もうここには持ってこなくても済むようにしますよ」
「鍛造…考えておきます」
壊したくないし、直したくもない。
そこは合致している。
それに、あの額を何度も用意できる程の貯金はもうない。
鍛造の依頼は、今の所考えていない。
何か切っ掛けがあれば、と言ったところだ。
…依頼で思い出したことがある。
記憶が正しければ、目の前の刀匠は賠償金を支払う為に依頼を受けていると話していた。
であれば、依頼以外の目的で作られたこの刀。
その資金の出所はどこなのだろう。
採算が取れないのではないだろうか。
そんな疑問が沸いたが、忘れることにした。
プライバシーの詮索は趣味じゃない。
「契約書は…用意など、ありますか」
一先ず目の前の日本刀のことから。
《聖蛇》の受け渡しもまだ済んだ訳ではない。
■御津羽 つるぎ >
「譲渡契約書に確認と署名は頂きますけれど……?」
流石に、失敗作であっても凶器だ。
出所不明の武器を風紀委員に渡すのは、様々な問題に発展しかねない。
それでも、いただいても?と言われれば、そこに何の懸念もないので、首を逆に傾げた。
「刀は器物。
使ってこそ意味があります。使途に応じて用いられてこそ刀だと私は考えます。
むしろ壊れてしまえば、その分の場所も空いて一石二鳥ですね」
両手を合わせて、朗らかに笑った。
刀を産み出す存在は、その神がかりである故に、神を越えぬものに価値を見出さなかった。
使うために引き取られる。職人は、それを是とした。
これによってこの失敗作に、刀匠の名以上・以外の価値が生まれたのだ。
「それに……また《聖蛇》を毀して持ってこられたら困りますので。
仕事は致しますが、修繕は私の専門外なんですからね!
これの真作を持ってきた方もそうだったんですよ。
頼まれればやりますけどぉ……出来れば鍛造のほうでお願いしたいところです。
経験を積みたいですし、だいたいのものは造れると思いますので、ええ」
少し不貞腐れたように言い添えて。
それきり、その刀に触れようとは思わない。
彼が扱うのなら、それはもう彼のものだ。
■青霧在 > 絶対に毀れないと聞き微かに身構え…る前に、打ち消された。
絶対に、と付くものは大抵が呪物の類であるゆえだ。
「…なるほど」
あれ程の神業を見せた刀匠の失敗作。
形あるものは壊れる。多少の例外はあれど、それは大原則だろう。
それを逸脱するとなると、極めた刀匠と言えど容易ではないらしい。
相槌をうちながら、話を聞く。
重く堅い刀を参考にした失敗作。ただ重たいだけのもの。
つまり……
「確かにこれは…」
普通の人間には容易には扱えないだろう。
置くだけでこの衝撃。
とてつもない重量だ。
…どちらかといえば、こんなものを平然と持ってきた刀匠の力の方が驚きだった。
「俺なら確かに……扱えますね」
なるほど、砲弾として。
この重量を、俺の異能で。
「本当に壊す前提で使うことになってしまいそうですが…」
「これを俺がいただいても…?」
あの怪人にも、通用するだろう。
■御津羽 つるぎ >
「絶対に毀れない刀」
返答は、淀みなく。
「……を、目指した習作です。
はい、言っちゃうと、失敗作です。
というか、いままでのわたくしの作品……
直接の注文品以外は全部失敗作」
要するに、毀れるもの。
少し恥じ入るようにはにかんだ。
作りたいものを作れない。技術を売りにするものとしては情けない限りだった。
「こちらを訪ねてきたとある方の得物がですね。
とても重く堅い……という特性を持っていたんです。
おそらく材質から普通ではなさそうだったのですが……
それを突き詰めればあるいは、と思ったんですが」
応接テーブルの空いたスペースに、両手で水平に掲げ持った刀を移動させ、
「だめでした。
ただ重いだけのものが出来上がってしまいました。
よほど特殊な材を使っていたんでしょうねぇ…よいしょっ」
どずんッ――!
二尺四寸五分の刀が出してはいけない音を立てる。
テーブルが、棚が振動する。
肉体の修練で、ダンベルやバーベルを床落とししたかのような衝撃が地面をどよもした。
「試してはいないんですが、これだけ重いと振り回すだけで一苦労ですし。
そのくせ剛性は駄作同然で……どうしたものかと思ったんですけど……。
砲弾としては、結構いい線行くんじゃないかなぁ……と……?」
■青霧在 > あの眼だ。
眼とは限らないが、あれが無いだけで何と気が楽か。
リラックス出来るような状況ではないが、かなり心を落ち着けられた。
「習作…日本刀ですか?」
刀匠が持ってきたのは、日本刀らしき長物。
日本刀については無知だが、
同僚の何人かが扱っているため見た目で何となく予想がつく。
「はい、その通りですが……」
「これを俺に…?」
《聖蛇》の刃の一つを浮かせて見せつつ、尋ねる。
「どういう刀か、お聞きしても?」
どういうことだ。
使うあてがないのなら売るなりすればいいだろうに。
そもそも使うとは何に?
それ以前にどんな刀かもわからない。
呪物の類…なんて直接的なことはしないだろう。
とはいえ、契約の代わりということであれば、断れない。
そうなれば、受け取らざるを得ないが。
一先ず、どんなものなのかを聞くことにした。
■御津羽 つるぎ >
暖房の暖かさはあっても、無機質な空間だ。
誰もいない。いるはずもない。
飾りもない。殺風景な事務所だった。
拘りもない。壁掛け時計は針を刻む音を立てないものだ。
そこに、奥からまた足音が戻って来る。数分ののち、ようやく。
「お待たせしました。
いえね、習作を引き取っていただきたくて」
歩きながらだから、奥から声が近づいてくる。
扉のない仕切りの暖簾の下をくぐってくると、
白鞘をひとつ抱えていた。形状も尺も通常の日本刀のそれだ。
「片端から作り続けているとね、かさばってしまって。
使うあてのないものは、特に処分にこまるんです」
対面に座る。
「これ、使ってください。
壊しても大丈夫です。いらないからあげるだけですので。
放って置くよりは、消費するほうが良いですからね」
どうでしょう?
そう、首を傾ぐ。
白鞘は抱えたままだ。彼の返答次第で、それを明け渡すかを決めるようだった。
「在さんなら使えると……思うんですよね。
《聖蛇》を扱えるということは、念動力のような異能か魔術をお持ちだと思うので」
■青霧在 > 「…取り乱してすみません」
「落ち着きましたので大丈夫…です」
自信はない。
つい先ほど、反射的に危害を加えようとしたばかりだ。
悟られてしまったのだろうか。いや、そうでなくともあんな様子では不安を与えてしまったかもしれない。
何せ、ここで不祥事を起こしたとて処罰を受けるのは俺ではなく刀匠だろう。
そんな事態は望んでいない。
「……分かりました」
添えていた手を放し、何かを取りに行く刀匠の後ろ姿を見送る。
刀匠で一部見えなかった棚の全貌が明らかになる。
全貌が明らかになった棚をどれだけ見つめても、眼などどこにもない。
一人の部屋では、誰も此方を見ていない。
当たり前のことだ。
そんな当たり前に酷く安心して、脱力したまま刀匠を待った。
■御津羽 つるぎ >
戦闘者に対して、あまりに蛮行であろうその挙措。
しかし青霧在に臆する素振りは見せなかった。
鈍感か、あるいは自信か、何れにせよ、今応えは出ない。
《私》と《彼女》は違うものだった。
事は起こらなかった。故に、咎められる理由も、どちらにもなかった。
「…………落ち着くまでここで休んでいても大丈夫ですよ。
私は地下に籠もっていますので、ええ。
無事に帰れますように。私に、あらぬ疑いがかかっちゃいますから」
ただごとではない。
手を触れているからだろうか。脈拍が、なんとなく伝わる。
早く出ていけという程の理由も嫌悪もない。
彼の顔を解放した。
「少しお待ちくださいね。いま持ってきますので」
そう言うが早いかするりと立ち上がり、御津羽つるぎは奥へ引っ込んだ。
数分は戻らない。
一人になることは、青霧在にとってどんな影響が出るかも考えない。
■青霧在 > 青霧在の目に刀匠は映っていなかった。
何もない筈の棚の隙間から見える四つの眼に釘付けだったためだ。
おかげで、頬に触れた手が刀匠のものであると気づけなかった。
――危害を加えられた、排除しなくてはならない。
正に盲目的な妄想に支配され、異能を行使しようと対象を探した途端。
その手が刀匠のものであることに気付いた。
寸でのところで、留まった。
刀匠の掌は、雰囲気に反して硬かった。
目は見開いたまま、しかしその視線は確かに刀匠に向いている。
数秒時間を置き、胸元から手を降ろし、何度か瞬き。
大きな深呼吸を数度重ねて、心拍を落ち着ける。
そうだ、知り合いの刀匠もこんな手をしていた。職人の手なのだろうか?
それを思い出した途端、少しだけ心が凪いだ気がする。…何故だろうか。
「……何を、でしょうか」
契約の代わりのこと、だろうか。
幸い、身体的なダメージを負った訳ではない。
深呼吸を重ねるうちに、ズレた感覚も収まっていく。
ただ、完全に収まるには数時間はかかるだろうという嫌な確信があった。
■御津羽 つるぎ >
それはどういう?
問いを重ねることもできただろう。
より解像度を上げることもできたろう。
だが……これは、あくまで娯楽だ。
羨望という淀みを消化し昇華するための遊びだ。
御津羽つるぎはとても打算的で、冷静でいられていた。
現実として眼の前の青年は怪我人だ。
ここで倒れられると――監視対象である自分としては、とても困る。
追及を受けるのはあまり好きではない。それを楽しむことができない。
だから軽く前のめりになりながら両腕を伸ばし、青年の頬を軽く叩くように包んだ。
いくつもの鍛打、年輪を重ねた掌はしかし、硬くもたおやかだった。
「思いつきました、在さん」
静かに言葉を垂れた。
さっきから考えていたこと。
話は、ここまでだ。
……今日は。
惜しむ気持ちはあっても……。
青霧在との決別。
物語の伏線が見えただけ、無聊の慰めのための――収穫と考えよう。
回収は、また何れ。
■青霧在 > 「そう、だろうな」
ズレたような感覚がする。
生きている世界から、普段在る世界から外れたような感覚。
右手が気づかぬうちに己の胸にあてられる。
大凡心臓の上、しかしそれに気付くことはない。
視線は目の前の刀匠の奥へとくぎ付けになる。
『存在するかもわからないものを求め続けている』
更にズレたような感覚。
幻聴、心が軋むような音を出している。
勝手に右手に力が籠る。
身体に巻かれた包帯ごと、制服を握りしめる。
我儘、なのだろうか。
俺の求める裁きは、償いは
このどこに居ても睨みつけて来る目から逃れようというのは
我儘なのだろうか。
「やめられるか……!」
即答だった。
乱れた心拍を押しつぶそうと自ら心臓の辺りを握りしめ、眼を大きく開いたまま。
その視線が向かう先は刀匠ではなく、その奥の棚の隙間。何もない場所。
「俺が俺を拒絶するには……青霧在と決別するには……!」
「裁きが……償いが……!」
苦悶の表情を浮かべ
息も絶え絶えに吐いた言葉は青霧在当人へと向いていた。