2024/06/21 のログ
ご案内:「world.execute(me);」にテンタクロウさんが現れました。
ご案内:「world.execute(me);」に紅き光翼の堕天使さんが現れました。
テンタクロウ >  
「くっ……」

風紀委員から逃げ出して、いつの間にか私は落第街に来ていた。
ここはどこだ? 瓦礫の山、か……

なかなかどうして、風紀委員どもは連携が取れている。
今後は攻め方を変えなければならないかも知れない。

瓦礫の山の上で夜空を仰ぐ。

明日は満月か……

紅き光翼の堕天使 > だん、だんだん、
だだだだだだだだだだ

ズドォーーーッッッ!!!!!

突如として、紅き光弾の雨が、注ぐ

まるで
それは


誰もこの場に寄せ付けたくないように

"二人きりの逢瀬のひと時"を作るかのように




「―――やっ、久しいね♪」

夜空から

声が聞こえた

貴殿が
キミが

目にするのは

紅い、紅い光翼

夜空を紅色に染める姿は―――


貴殿も―――キミもよく知っているだろう?

天使と言うにはあまりに禍々しく
悪魔と言うにはあまりに神々しく
人間と言うにはあまりに紅紅しい

その姿が、降り立つ

テンタクロウ >  
紅き光弾が降り注ぐ。
パルスフィールドが大きく削られながら後方に跳ぶ。

「何者だッ!!」

久しいね?
誰だ、私はお前を知らない。

でも……僕は知っている。

落第街の紅き死神たち。
感染した者を堕とす最も新しい伝説。

でも、ああ、ウソだ……そんなはずがない、だって。

紅き光翼の堕天使 > 「あっは…♪」
「酷いなあ」

でもね、
"何者だ"って聞かれてみたかったんだよ。
"他の皆にそうしてたように"ね?

「名乗らないと分かんない?」

「―――光だよ、光。」

緩やかに、そんなはずがないという希望を砕く言葉を紡ぐ。

そうだ、キミの目の前にいるのは―――

「キミの最高の親友―――」

紅き光翼の堕天使 >  
 

紅 き 光 翼 の 堕 天 使 。


「―――天羽光(アマバネヒカリ)


 

テンタクロウ >  
「光………」

脳裏に過るのはただ思い出だけ。
ああ、どうしてだろう。
彼女は今や化け物で、僕は今や化け物だ。

「僕は……君にだけは前線に出て欲しくなかった…」

なのに、彼女は。きっと、ああ……
誰かを守るために戦って、感染してしまっている。

 
「ふっ……ははは………」

テンタクロウ > 「はははははははははははは!!」
テンタクロウ >  
何を呆けているんだ、藤井輝。
狂気に浸っていればそれは楽だったろう。

あの女も! 悠薇ちゃんも! 黒條さんも!!
考えずに済むのだからな!!

でも……そんなこと許してはくれない…
堕天使は赦さない。

光は決して赦さない。

「懐かしいね、光。僕のことがわかるのかい」

こんな異形に身を包んでいても、僕のことが理解できるようだ。
不思議だね、光。

紅き光翼の堕天使 > 「ああ、藤井輝。―――ヒカルだろう?
 お互い随分と…変わったね?あはは。
 でもさあ。お互いが、分かるんだね…あははは、良いねそれ。最高だ。」

キミは機械に顔を隠し、身体を隠し、心を隠し―――全てを隠した。

では、私は。
―――見ての通り、紅染め。

「優しいね。」

一歩、前へ。キミへ歩む。

「優しいよ、キミは。本当に優しい。」

前へ。

「ヒカル。」

前へ。

「―――キミに最高の提案をしに来たんだよ」

前へ。

「ねえ。ヒカル―――」

前へ。

紅き光翼の堕天使 > 「―――君も紅き屍骸にならないか?(死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね)
テンタクロウ >  
フランクに両手を広げて。

「負けたよ、神様!」
「よくもこんな残酷な仕打ち(運命)を思いつく」

「僕としたことが忘れてしまっていたようだ……」
「人は誰もが悪魔だということを」

光の足元をマシンアームで薙ぎ払う。
二人を隔てるように横一列にラインが出来た。

「近づくな、光……キミは僕が救う(殺す)

「わかりやすい言い訳が必要かい?」
「じゃあこうしよう……」

「ハァァ……私の正体を知った口封じをさせてもらうぞ、ゾンビが」

「っていうのはどうだい?」

ごめんね、光。この星巡りは僕にはどうしようもできないよ。

紅き光翼の堕天使 > 「なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、…なぜだいヒカル」
「なぜ拒むの、かな…」

とても、悲しそうな顔。

「私の手で死ねば」
「キミは助かる」
「キミの燃え尽きかけた命が、助かるんだ」
「なぜ拒む」
「紅き屍骸になれば、"実質的に蘇生"できるんだよ」
「私と"永遠を共にできる"んだよ」
「どうして?」
「ねえ?」
「―――ふふふっっ…そっか。」

でも、とても。
とても愉快だ。

「そっかそっか。OK!ヒカルッ!」
殺し合った(ケンカした)方が早いね!」

やろうよ。
いつも通りさ!

「―――先に言っておくよ。"私はキミの事を全て知っている"」

でもね。
"キミは一度たりとも私に勝てやしなかった"

そうだろ?

テンタクロウ >  
首を左右に振った。

「僕は光と一緒には行けない」

まだ、僕は何もできてはいない。

「そうだね、模擬戦の成績はキミの14勝0敗だ」
「僕は光の気が引きたくて、何度も戦いを挑んだ」

マシンアームによる四連攻撃。
打突、鞭打、鞭打、打突のクアドラプルアタック。

「告白しても梨の礫さ、でもキミは僕の友達になってくれた」
「僕たちは親友になれた」

マシンアームを使って回り込むように動く。
さっきの火力があるなら正面からの殴り合いは愚策だ。

紅き光翼の堕天使 > 「ああ……可愛かった。凄くね。…私があの時告白を断った理由、覚えてる?」

きたきたきたッ!!
キミの大得意な一番槍ッ!
四連撃、クアラドプルアタックッッッッ!

絶対にやってくれると思ってたよ!

ある者は頭脳をフル回転させ
ある者は持てる異能を活用し
ある者は捉えきれずボコボコに打ち据えられた

まさしく"人を撃ちのめす凶器の連撃"

―――だけどね。
ザンッ!ザンッ!ザンッ!ザンッ!
と、たった4つ。
背中の8つの光翼を振り払うだけで、そのマシンアームは打ち崩される。
まるで、紙きれでも引き裂くかのように、だ。

「どうしてキミが真っ先に4回攻撃をいつも使うか。私なりに、考えてみたんだ。
 …人の手が二つしかないからだ。
 キミはそうやって"優位を取ろうと必死だった"んだ。……ああ、なんて可愛いんだろう!」

「これを言うのは、残酷だけどね」




「言わなければならないよね♪」


「だから―――言うね。」

紅き光翼の堕天使 > 「藤井輝は天羽光より"下"だッッ!!」
紅き光翼の堕天使 > 「そしてキミは次にこう言う―――」
「―――僕をナメるな。とね!」

ニコッ!

テンタクロウ >  
「覚えているよ、『まだ若いのに未来を決めたくない』だった」
「眩しかったな……例え、未来にこんな絶望しか残ってないとしても」

マシンアームを切り裂かれる。
やれやれ、認めたくないけど光は大天才だ。

それが単体火力を持てばこうもなるか。

「僕を無礼(ナメ)るな」

泣き笑いの声でその言葉をぶつけて、
今度はリフターを使って空に浮かび上がる。

伝播ソリトン砲を幾重にも撃ち込む。
容赦なく、光を殺すために。

「でもね、僕は時々光が怖かったんだ」
「頭がいい人が怖い……っていうのかな」

「妬ましくて、惨めで、とっても辛い気持ちになったよ」

怯めば轟炎による炎の剣で両断してやる。

紅き光翼の堕天使 > 「……素晴らしい。よく覚えてくれていたね。」
「あは、まさかこんな"未来"しか残されてなかったなんてね!」

「正直―――後悔、してる。」

虚ろな顔だ。
……そうだ、何が未来だ。

鼻で笑ってしまうよほんっと。

「ああ……君のその言葉ッッ!!」
「懐かしいね、本当にッッ……」

「……ッッ!!!」

幾重に放たれるソリトン弾
主砲だ。
コイツは強力なんだよ

どれくらい強力かって、機械の鎧を蒸発させるレベル
それが、数え切れぬ程に重なって迫る

8枚の光翼で―――



無理だ!

光翼展開16枚(デュアルストーム)ッッ!!」

16枚の翼を、纏う。
―――普段は8枚だ。
何故って?8以上の制御は体に負担だから。

16あれば、いけるか―――ッッ!!

ソリトン砲の強烈な威力を遮り、切り裂き―――

「……ふふ、そうか。可愛いねえ。」

「私がそれに気づいていないと思っていたのか?」

「嫉妬にくるっているキミを!」

「誰より傍で見ているキミの嫉妬心をッ!」

「―――さあ、ヒカル。……死んでくれ。死ねば"嫌な気持ち"を忘れられる」

「私と共に"殺戮の喜悦"に目覚めよう。」

「怖さ」
「妬ましさ」
「惨めさ」
「辛さ」

全部全部全部全部、忘れてしまえ(死ね死ね死ね死ね死ね死ねェェェ)ッッ!!」

炎の剣!抑え込むは16の光翼!


完全に拮抗―――ッッ!!

テンタクロウ >  
「そうだね、僕たちは後悔してばかりだ」
「足がこうなって、悪魔の心臓を使ってガン細胞に冒されて」

「脳神経加速剤を使って死にかけても、まだ後悔してる」

ちゃんと伝えておけばよかった。
僕は光のことが大好きだって。
もっともっと言っておけばよかった。

炎の剣が十六枚羽と拮抗する。

「嫌だ!!」
「嫉妬も後悔も、絶望も!! 全部僕のものだ!!」

「勿体なくってなぁ……光にくれてやるものかよ!!」

弾かれて後方に飛ぶ。
はっきり言ってジリ貧だ。

そうとも、ソリトン波を甲種不明犯の対策に兵器化しようと最初に考えたのは。
光だ。

このまま距離を取っても威力を見切って反撃されるだろう。

「光ッ!!」

高速機動を行いながら彼女に接近する。
そしてマシンアームの一本で殴りかかり、もう一本で相手の足を掬う。

転んだら、零距離ソリトン砲だ。
僕だって無事じゃ済まない、けど……!

紅き光翼の堕天使 > 「ふ……なぜかな」

「なぜキミはそんなモノまで使って後悔したのに"蘇生する道"を選ばないのッッ?!」
「ふざけるんじゃないよキミはいつもいつもいつも愚かだよね」

「死ね」

怒り
殺意
こいつは
こいつだけは殺さねばならない

ヒカルだけは殺す
絶対に

殺す

殺してやる

「そう―――ならば敢えて言うね」

「ヒカルッッ!!!」


「お前の全てを、私に寄越せェ―――!!!」

もし、状況が違えば。
プロポーズだったかもしれないね。

でもね

これは殺し合いだよ。

「がッ?!あっはっは―――!!!」

…しまった。
多方向からの攻撃、全部知ってた
知ってたのに足元を掬われたッッ!!

キミに夢中になっていたからだ!!

「ぐぅーーーおおおおおおおお―――ッッ!!」

そして食らうゼロ距離砲撃ッッ!!
光翼で遮るが


"その威力は私が一番よく知っている。"


16の光翼は

バラバラに砕け散った

倒れ伏し

息づく

「やる、ね……あは…ッ…♪」

テンタクロウ >  
「嫌だ」

その声は、明らかに仮面の中で泣いていた。

「僕はもう光と一緒にはいられない」

大好きだから、サヨナラしなきゃいけないんだよ。

 
零距離砲撃を撃ち込んだ。
仮面にヒビが入り、複合装甲に亀裂が走る。

「痛かったかい、光……」

テーザーガンを持っていても、相手に接近されすぎると危険だ。
だから、転ばせてからテーザーガンを撃てばいい。

光が考えたコンバットシステムだ。
もっとも、転ばせて砲撃しろなんて愚かな考えは彼女はしない。

無言で炎の剣を横薙ぎに振り切った。
光の胴体を焼き切るために。

紅き光翼の堕天使 > まずい!
まずいまずいまずい!



ここで負けるッ?





断 じ て 否

光翼展開64枚(エイト・テンペスト)―――否、光翼展開256枚(フルバースト)ッッッ!!!」

突如放たれる

まばゆい紅光

256枚

桁違いだろ?
殺す気だからね、キミを

紅き光翼の堕天使 > 「私をッ!!!」
「本気にッッ!!!」
「させたなァァァッッッ!!!!」

紅き光翼の堕天使 > 「こんのォッッッ!!!!!」

その炎刃ッッッ!
伏せ倒れた姿勢のまま逆にひねりつぶしてぶっ飛ばしてやるッッッ!

勝負は終わっちゃいないッッ!!



これからだ!

テンタクロウ >  
炎が絶たれ、力が放出された。
吹き飛ばされる。
炎の剣が通じないのは流石に困った。

「光」
「二人で映画を見に行ったよね」

「覚えてる? 名探偵忠岡恭一・雪桜荘殺人事件……」

火炎放射器で周囲に火を放った。

「面白いかどうかはともかくさ!」

付着した燃料で燃え盛る瓦礫の山。

「こんな感じだったよね、ラストシーン」

燃え盛る屋敷、逃げ遅れる二人。
そう、大体こんな感じだ。ちょっと味気ないけど。

許してね、光。

紅き光翼の堕天使 > 「ふっ―――あはっ♪」
「こんな場面で昔見た映画の話?」

「ああ、……いやあ、あの時はお互い何もよく分からないから、
 とりあえず、すぐ見れるヤツにするかって言って選んだんだっけ。
 照れるねえ、今思えばあれはデートってやつじゃん。あはっ…」

「雪桜荘殺人事―――最後はお互い、火の海の中、焼け落ちる屋敷に取り残される。」

「そこに二人は」

「死んでしまったのか?」
「生きていたのか?」

燃える、あたり。

瓦礫の山。

二人は落第街の中

火炎のステージで孤立する

もう誰も近寄れはしない

誰もこの殺し合いの行く末など知らない

「―――それは見ている側にゆだねる形で幕を引いたんだったね」
「……うん。」

「言い換えれば、バッドエンドか、ハッピーエンドかは選ぶことが出来る。」
「ふぅ、ふぅー………」

……256枚、こりゃあキッツいな。
正直あの炎の剣を弾き飛ばしたのだって見せかけだ。
何回も何回も、出来るもんじゃない。か。

少しずつ…何か体から失われていく、感覚。




「未来を、今描くことが出来る。今の私達そっくりだね♪」

ニコッ!

「では。」
「私の番だよ?ヒカル」
「―――君の電磁防衛には"致命的な弱点がある"と思ってるんだ。」

光翼を、大地に突きさす。
大地より、伝い―――キミの足元を狙って、光弾が飛び出るッ!

「全方位を守っているといってもね。"足元からの攻撃だけはお留守"なんだ。
 …ま、普通は絶対に狙われる事がないし、そっちにコストかけるなんて無駄も無駄だからね。」

テンタクロウ >  
「僕たちに未来なんてないよ」
「ちょっと遅れるけどさ……待ち合わせしようよ」

「────地獄で」

燃え盛る煉獄の中で。
僕は確かに泣きながら。
僕は確かに笑いながら。

僕は確かな、ここにいる彼女を想ったんだ。

 
光翼が地面に突き刺さる。
足元から噴出する光弾。

「しまっ……」

光弾の直撃を受けて後方に下がる。
そこにも幾重にも、幾重にも!!
光弾が襲いかかる!!

「脳神経加速剤静注ッ!!」
「システム:イブリース起動ッ!!」

逃げながらコンソールを打つ。
薬で加速しても……異能でさらに加速しても…

逃げ切れない!!
相手の翼は数え切れないほどある!!

紅き光翼の堕天使 > 「あはっ♪あーーーーーーーーっはっはっはっは!!!」

いい。
いいね。
最高だよ。
やはり私達は―――親友だ。

「先に言わないでよ、ヒカルのバーカ!」
「そのセリフ、私が"もし負けたら"言いたかったんだよ?」
「そんな未来は、万が一にもないけどね♪」

「だから、待ち合わせはお断り。ごめんね。」

地獄で、会おうね。
もし負けたら言いたかったんだ。
…キミもそうだったのか?ああ、いいなぁ。

「ここから先は、一方通行。」
「"ゲームオーバー"だッッ!!」


「ヒカル。死んでよ」
「地獄なんて言わないでさ」
「新たな生を得よう」

でも私達が行く先はね、地獄ではない。

「やっぱりね」
「完全に、全方向、守っているように見えたって」
「"そこだけは"意識が向かない」

強固なる電磁バリアの唯一無二の隙。
"私だけが知っているキミの致命的な弱点"

「さあ、ヒカル。死ね。」

「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」
「死ね」

256の翼を大地に突き立てる
256個単位で光弾を打ち出す

キミを絶対に殺してやる

知っているよ!
キミの異能も!
キミの薬剤も!
キミにしか見えてないはずのコンソールも!
全部、全部、全部、知っているんだよッッッ!!!

故にキミはここで死ぬ!



死ななければならない!!!
死んで、生まれ変われ、ヒカル―――ッッ!!!!!

テンタクロウ >  
黒いマシンアームを生やして防御する。
被弾。

加速して回避を試みる。
至近弾。

いっそ光に近づいてみる。
被弾。

ボロボロで、どうしようもなくて。
泣きたくて、苦しくて。

それでも、光を救って(殺して)あげたかった。

テンタクロウ >  
その時。僕は大時計塔に立っていた。
何故だ、僕は燃え盛る瓦礫の山で光と戦っていたはず……!?

橘が刻まれた文字盤。
間違いない、大時計塔だ。

その時、僕の眼の前で鐘が鳴った。

常世の鐘だ。

常世ノ鐘 >  
願え。
願え。
願え。

万能たるそれは、全ての祈りを形にするだろう。

テンタクロウ >  
巫山戯るな。
今更、奇跡などと。

ダスクスレイに僕が斬られても。
紅き屍骸に光が殺されても。

何も起こさなかったくせに。
何を。

常世ノ鐘 > 願え。
テンタクロウ >  
クソっ!! だったら願ってやるよ!!
僕の祈り、それは!!

テンタクロウ >  
僕は光の前。
燃え盛る瓦礫の山に戻ってきていた。

僕は仮面を外し、放り捨てる。

「来たれ我が権能!」
「彼の“鐘”の名の元に!!」

「我が異能は《身体加速》なれば! 」
「我が意識と身体、その速度を」

「際限なく加速させるもの也! 」

白の極光が放出される。

そして僕は。

今までの比でない速度で動き始めた。
身体加速(アクセラレイター)、セカンドステージ。

戦闘領域限定解除(インターナルアクセル)

余りにも速く。余りにも鋭く。
周囲から黒のマシンアームが光に撃ち込まれ、崩れて消えていく。

紅き光翼の堕天使 > 「……?!ヒカルッッ?!」

仮面が、取れ……否!
それどころではない!

「ばっ……バカな…ッッ!!」

……?!

なんだこれは?!

知らない。



知らないッッ!!!



なんだこの"スピード"はッッ!!!

知らないぞ私は!!!

何故256の弾丸を"全て避けられている"ッッ!!?


知らない―――全て、全て、全て知っているはずだったのに!!

「あっは……素晴らしいねキミは!」
「やはりキミは本性はそうなんだよ!」
「愚かなクセに、どうしようもなく行動力があって!」
「弱いくせに無鉄砲で何者にだって―――私にだって飛び込んできて!」
「だからキミは―――!!」

次々に打ち出される黒のマシンアーム。
―――ああなるほど。



こりゃあ、手に負えないな。


「……ふ、は……ッ…!!」


256―――これでは、足りない。


全くもって…!!!
足りない…!!!


キミの速度の前には―――

紅き光翼の堕天使 > 足りない、追いつけない、間に合わない―――!!!
テンタクロウ >  
「光」

最初は手が届かない太陽だった。
でも、隣に降りてきたら陽だまりになった。

二人でずっと笑っていられると思っていた。

僕が下半身不随になって、全ての関係が鬱陶しくなった。
それでも、僕は何度も光が訪ねてきたのを。

知っていたんだ。

「愛しているよ」

あまりにも鋭い打突。心臓を狙って突き出した。

紅き光翼の堕天使 > 「ふ…ッ!……あーあ」

心臓。
撃ち抜かれた。
…あまりにも、呆気なかった。


「キミの勝ちだよ。ケホッ……おめでとう。」

「―――初勝利だね。あー……あのさぁ、」
「もう未来もないから言うけど…」

目を閉じる。
口は、閉じない。

「本当はね、キミの事大好きだったんだ」

今なら言える。
…だってそうだろ?
好きでも何でもない奴わざわざ何度も何度も尋ねるか?

そして下半身不随になったキミに好きだと言ったところで、
つまらん慰めはいらんと思うだろう?

でもね
キミが勝負に勝った今なら"慰め"じゃなくて最高の"栄誉"だろ


「……じゃ、必ず来なよ」
「いーっぱい悪いことして、私と同じところへ来るんだよ」

紅き光翼の堕天使 >  
「地獄で会おうね」

ニコッ!

テンタクロウ >  
「もちろん」

微笑みを返して。

弛緩する光の肉体。
もう二度と喋らない。

「光……光…?」

その体を抱き起こして。

「聞こえないのか!!」

嫌だ。嫌だよう。
なんで死んじゃうんだ。
光………

雨が降り始める。
しばらくその場に蹲っていた。

火が消える頃。
僕は仮面を拾わずに歩きだしていった。

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