2024/07/06 のログ
ご案内:「常世動物園」に田中 浩平さんが現れました。
■田中 浩平 >
あんまりにもラーメン屋で見るテレビで常世動物園のニュースが出る。
そんな理由で土曜日に一人動物園をキメに来たのだった。
「男子学生一人ください」
チケットを買って入る。
なんていうか、独特の匂いがするな動物園。
ここは珍しい植物もあるから動植物園なんだけど。
さて、まずは順路沿いに回ろう。
■田中 浩平 >
あっちい。今日は一段と日差しがストロングだ。
そして別に男子高校生一人で入ってはならないという法律はないが。
周りを見るとカップルばっかりだな!!
はいはい、みんなせいぜい幸せになってくれ。
でもアクシデントが起きやすいから動物園はデート向けじゃないらしいぞー。
さてと。
まずはどんな動物たちに会えるかな。
■看板 > 『カピバラふれあい広場』
■田中 浩平 >
いやそういうのはもっと奥に作ろ。
最初に大人気コンテンツ持ってきてんじゃねーよ。
こんなの喜ばないヤツいねーだろ。
そしてカピバラたちがスイカを食べてる!!
やべ、かわいいー!!
写真撮りまくろう。
ジャスとナユタとマトに送信しとこ。
動物園に来てまーす(ソロ)、っと。
悲しくなってきた。一刻も早くカピバラに触って癒やされよう。
■田中 浩平 >
食事を終えたカピバラたちが散っていく。
「よぉーしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」
触るとおろしたてのタワシみたいなゴワゴワした手触り。
むむ、カピバラ触り放題の時点で入園料の元を取った気分になるな。
赤ちゃんカピバラは柔らかい手触りだ。
でも触ってるとお母さんカピバラに睨まれてる気がする。
キュルキュル。かわいい。カピバラかわいい。
■田中 浩平 >
!?
気がつくと30分経ってる!!
いやダメだろ入園してすぐに足止めスポット作ったら!!
カピバラたちは可愛いので何分触っていても大人しい。
後ろ髪を引かれる思い、いややっぱ断腸の思いくらいの勢いでその場を離れた。
(あと手が獣臭くなったのでめちゃくちゃ手を洗った)
■看板 > 『インカの石積オブジェクトフロア』
■田中 浩平 >
はーん。異国情緒ね。そういうのそういうの。
でも俺ってそういうのだいぶ疎いからなー。
なんなら海外旅行にもあんまり興味ねー。
石造りの階段を登りながら次の動物を想う。
そろそろマーモットに会えるだろうか。
って、インカ風建造物近くの木になんか動物がいる!?
ええっと…パンフレットパンフレット。
フタユビナマケモノのジャックくんだ!!
■フタユビナマケモノのジャックくん > 「ウェルカムトゥザパーク!! ここは出会いとスリル、驚きがいっぱいの動物たちの住処! 世界最高峰の仕掛けが君達を待ち構える! 果たして君は生きて帰ることができるか」
■田中 浩平 >
「……喋るんかーい」
そして生きて帰ることができるかってなんだ!?
無事には帰してくれよ!!
俺が入ったのはお化け屋敷じゃなくて動植物園だよ!!
一応写真撮っておこ。
珍しい、珍しい。
あ、写真撮ろうとするとポーズとってくれるんだ。
このナマケモノ、勤勉だな……
■田中 浩平 >
よし、Z(旧Twister)にアップしとこ。
いやぁ、もう既にかなり満足感があるな……
さて、次はどんなフロアが待っているのかな。
なんだかんだで順路沿いに歩いているだけでかなり満足でき……
■看板 > 『アルキサボテン群生地』
■田中 浩平 >
……………?
人型の? サボテンが? 歩いているが?
あっちでは体育座りをしているが?
ナニコレ。
思わず看板を凝視してしまう。
ええとなになに……
『触ると危険です』
知っとるわ!! そこじゃねえ!!
ご案内:「常世動物園」にマトさんが現れました。
■マト >
「植物の『人』かぁ、珍しいね、それに棘棘しているし」
「あ、でも棘の形も結構個体差があるみたいだよ?」
隣から声がする、見れば、其処には薄水色のセパレートタイプのワンピースを着た女性?が一人
いや、あなたは知っている、先ほどメールを送った相手の一人、マトである
「ふーん、求愛行動の時はダンスをするんだけど、勢いで針を飛ばすのでその時期の観察には注意がいるんだってさ」
「や、浩平、少しぶりだね」
あなたが気づいたならマトはぱぁ、と笑顔を見せて手を軽く振ってくるだろう
■田中 浩平 >
その時、ふと隣から鈴の鳴るような声が響いた。
「へ? あ? はい」
綺麗な女の子だなー。
「でも食用になるって書いてますねー」
「こんなに愛嬌があるのに食べ……る…」
浩平? 久しぶりだね? そして……その顔と声は…
「マトォ!?」
脳内のミニ浩平が小康状態に!!
「え、あ、どうしてここに……じゃなくて」
「女の子……だったのか…!?」
大きな声を出したのでアルキサボテンたちが『どしたん?』という顔で遠巻きに見ていた。
■マト >
「そこはほら、牛や豚だって可愛いけど食べてるしね」
「その辺りは割り切ってるんじゃないかな、でもどんな味なんだろう」
「うん、マトだよ?」
「どうしてって……助けを呼んだじゃないか」
スマホを開いてメールを見せてくる
「動物園に来てまーす(ソロ)……態々ソロと付けるって事は、連れ添いを求めていたんじゃないのかい?」
「それに、一度こういう所に来てみたかったのもあるしね」
どうやらメールを見て直接飛んできたらしい、なかなかのフットワークである
「ん、あぁ……そっか、浩平は……うーん」
「ごめん、だますつもりは無かったんだ、僕は男『でもある』からさ」
と素直に頭を下げてから、遠巻きに見ているサボテンたちに何でもないよ、と言いたげに軽く手を振った
ぽかぽかと暖かい陽気に照らされ、サボテンたちの頭の花もいきいきと揺れている、平和だ
■田中 浩平 >
「そっか、そうだよな……」
「可愛いから食べちゃダメってルールもないしな」
メールを見る。
た、確かに書いたけど……書いたけど…!
行動力すげぇー! カンストしてんのか!?
「男でもある、か……」
ダラダラと汗をかく。
女でもあるってわけだろ。
それに肩組んでエロ本読ませたワケ?
「マト、言いたいことがある…」
「男としてのお前には、あの本良かったろ? ってことと…」
すごい勢いで頭を下げた。
「女としてのお前にッ! ごめん……!!」
やっちゃいけないことをした。
そんな実感が心の奥底に溜まっていた。
そりゃ『お前女だったのか!?』っていうシチュエーションに憧れがないわけじゃないけどそれはそれこれはこれやったことに対して罪と罰はありけるゆえに俺は許されなくても仕方のない仕方のない仕方のない仕方のない仕方のない仕方のない仕方のない今すぐ頭を割って謝罪でもいやでも俺のクサレ脳みそなんて誰も見たかねーかハハハ死にてぇ!!
■マト >
「寧ろ食べちゃダメって言われると食べたくなる人も沢山いるみたいだよね」
少し急いできたから殆ど準備とかはしてないんだけどね、といってマトは笑う
「……」
頭を下げる浩平をじっ、とみてから
「いいんだよ、僕が無知だったのが元々の問題だし、それに――」
「"あの出会い"のおかげで君やオフェニムとも出会えたんだよ?だから寧ろ感謝したいくらいさ」
「それに―― うん、その……とにかくだ」
「どっちの"僕"としても、あの選択は正解だったって事」
彼女もまたお礼を返しながら、浩平の肩に手を置く
色々と"思い出す事"のせいで顔が赤くなるのを抑えつつ
「謝るくらいなら一緒に楽しもうよ、実は僕、もう一つ打算があってさ」
「浩平、確かラーメン屋やってるんだろう?遊んだ帰りにそのまま寄っていけたらいいなって思ってね」
だから色々見て回ってお腹すかせようよ?と
口元に指をあてて小首を傾げるようにしながら微笑んで、髪をさらさらと揺らす
■田中 浩平 >
そして顔を上げて。
俺の肩に手を置くマトの優しさを想う。
ラーメン屋の話が出れば。
「あ、ああ! うちの塩ラーメン、美味いぜ」
「ご馳走するからさ、帰りに行こうぜ、店!」
こうして“彼女”は手打ちにしてくれるというわけだ。
(麺料理だけに手打ち。うるさいわうちは材料指定の業者製じゃ)
「ああ……それじゃ、一緒に動物園回ろうぜ」
はは、と笑って。
「次はあっちだ、熊本弁で喋るマーモットのオドンくんがいるところ」
■マト >
「ふふ、それは楽しみだな、美味しかったら友達も今度誘ってみるからね、お手並み拝見だ」
元気を取り戻した様子のあなたをみて、マトも何処か嬉しそうに
「熊本弁……?あぁ、方言ってやつだね、詳しくは知らないけど」
「昔の言葉とはまた違う、特徴的な言い回し……どんな感じなんだろう」
浩平と並んでマーモットのエリアへと向かう途中、他の動物も幾つか見かけるだろう
「へぇ、あっちは絶対にオウム返しをしないオカメインコ……だってさ、色々いるんだね」
どうやらどんな声掛けにも『俺はパセリ…』や『見せもんじゃねーぞ』などと返すサービス精神旺盛(?)なオウムらしい
マトは動物園が初めてらしく、通り過ぎるだけのそれらにも楽し気に目移りして話しかけてくるだろうか
■田中 浩平 >
「はは、そりゃー責任重大だな」
「でも自信あるぜ、うちのラーメンは美味いからな」
恐らく、俺が考えているよりも。
ずっとずっとたくさんの出来事がマトにはあって。
エロと学校とラーメン屋で完結してる俺とは違う、何かがあったのかも知れない。
でも、これもいつか笑い話にできたらいい。
心からそう思う。
「へー、オカメインコ。おーい、元気かー?」
声をかけてみる。
■オカメインコのローレルくん > 「なんだそのTシャツの柄、少し引くぞ」
■田中 浩平 >
「うるひぇーお気に入りなんだよ!?」
そこは別に突っつかなくて良くない!?
■マト >
「お、そこで言い切るのはポイント高いね、やっぱり浩平は意思が強いね、好ましいよ」
そういって微笑むマトだが―――浩平はきっと安心してもいいし、卑下する必要もないだろう
マトの経験した出来事の中で、浩平との出会いは間違いなく高い比重を持っていたのだから
そう、エロ本との出会いは本当に大きかったのだ、本当に―――
「うん、Tシャツ?へぇ『サンタの正体を知っているぞ』……」
「そうなんだ、浩平はサンタの正体を知っているんだね、誰の事かは知らないけれど」
「でもあんまり僕の友達を虐めないでね?」
じー、とオカメインコを見つめる
■オカメインコのローレルくん > 「へっ」ぺっ、と木の実を吐き出す
■マト >
「何だかバカにされた気がする……」
「毒舌芸ってやつなのかな?浩平、気にしなくていいからね?」
何か背景でローレルくんは『アホー、アホー』とかいいだした、それは別の鳥だね、うん
■田中 浩平 >
「意志薄弱な人間がこだわって作るラーメンなんてヌルいだろ」
「俺はいつか本土に店を持つのが夢なんだ」
「そのためにはイチイチ自己否定なんてしてられないぜ」
頭を抱えてビエーと泣き真似をする。
やめて、Tシャツに書いてある文字は読まないで!!
「……サンタのこと知らないならいいんだ」
「彼のことはそっとしてやっておいてくれ……」
このオカメインコ、率直に言って性格が悪いな!!
「性格が悪い事、風の如し……!」
ケッと吐き捨てるように口にしてその場を後にする。
「マトのことまで悪しざまに言うんだ、ロクな鳥じゃねーぜ」
そのままサイコキネシスで餌を取るヨシゴイのカナちゃん、
穴に潜るとなかなか出てこないプレーリードッグたちと
順当に動物たちを見ていって。
いよいよ目的のくマーモット弁もとい熊本弁で喋るマーモットのオドンくんのフロアまで来た。
「俺、オドンくんが見たくて今日来たんだよなー」
■マーモットのオドンくん >
「えーもさいさい~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
もうどうにでもな~れ!!と叫んだ。
■田中 浩平 >
「いやまだ何もしてないが?」
そしてマーモットって叫ぶのか……?
■マト >
「ふふ、確かにラーメンは"ぬるい"のは頂けないね、熱々か、しっかり冷えてた方が美味しそうだ」
「成程、それじゃあ何時か常世にあるのは『一号店』いや『本店』になるのかな?」
「そ、そうなんだ……うん、いこっか」
「気がたってたのかな?最近暑いし動物たちも大変そうだからね」
風の如し?と不思議そうにしながらも動物たちの間を抜けていく
飛べるようになったせいで飛べない鳥というアイデンティティを失い鬱を患っている鶏のリリちゃん
ハイエナに対する悪印象を払拭するためにライオ〇キングへの抗議署名を集めているポチくん
そんな個性豊かな動物たちの先にマーモットのオドンくんはいた
「へぇ、それじゃ一番のみどこ…」
「えーもさいさい…… うん、何かの魔術の呪文かい?」
意味が全く理解できずにあなたの横できょとんと眼を丸くするマトである
■田中 浩平 >
「つけ麺はぬるいほうが良い気がするけどなー」
「ああいうの、猫舌のラーメンファンに人気があるんだ」
「常世島の麺処たな香が本店になる、人気ラーメン店になってみせる!」
うおーと両手を広げながら一風変わった動物たちを見て回った。
いやハイエナのイメージ悪化は確かにアレが大きいけどさ……
「えーもさいさいっていうのは熊本弁で『もうどうにでもなれ』って意味だな」
「確かに熊本弁だけど……」
まだ俺も飼育員さんも他の客も何もしてないんだが?
「大丈夫かーオドンくん」
■マーモットのオドンくん >
「そねくりかやるばい~~~~~~~~~~!!」
反り返るぞー!!と叫んで後方に上体を逸らした。
■田中 浩平 >
「熊本弁で喋るっていうか熊本弁で叫ぶマーモットだな…」
なんで? なんで今そりかえったの?
■マト >
「つけ麺かぁ、ラーメンのバリエーションだったね、興味はあるかな」
「なるほど、需要と供給……ってことか、経営者視点というやつかい?」
感心したように頷いて
なお署名活動は余り芳しくなく、周囲に当たり自己嫌悪になる日もあるとか……躁鬱の気である、こんなんばっかやな
「もうどうにでもな~れ~?」
「へぇ、それ…」
びくっ、とまたいきなり叫ぶ姿に思わず小さく飛び上がりそうになって
■マーモットのオドンくん >
「オンナサル!」
「オンナサル!」
「オンナサル!」
いらっしゃる!いらっしゃる!と連呼しながら別方向に反り返る、を繰り返す
■マト >
「―― やっぱりあれ、儀式か何かなんじゃないかい?」
割と真面目な顔で浩平とオドンくんを交互にみるマトの姿があった
■田中 浩平 >
「そうか、でもつけ麺は味噌味にしてるからな…最初は塩ラーメン食べてほしい気持ちはある」
「美味いラーメン出して喜んでても店は良くはならない」
「美味い店を作ることを喜ばないと店は大きくならないってことだな」
動物園というか魔物園じゃないかここ。
植物もアルキサボテンだし。
おんなさるを連呼しながら反り返り続けるマーモットを見て。
「だな……正気度が下がる前に次にいこうぜ」
これがこの動物園の人気者なのである。
恐るべし、常世動物園。
そして一巡して、出入り口ゲートに来て。
「はー、楽しかったなマト」
「この後は塩ラーメンだ、疲れてねーか?」
「ま、疲れも吹っ飛ぶ美味いラーメン出すけどな」
そう言って笑い。
自分がセクハラ紛いのことをしたのに笑えていることに。
許しを得たことを痛感する。
「行こうぜ、マト。ここからバスで一本だからさ」
そう言って夕陽に向かって大きく伸びをしたのだった。