2024/07/09 のログ
ご案内:「麺処たな香」にエルピス・シズメさんが現れました。
■エルピス・シズメ >
異邦人街オレンジストリート3番14号。
そこに行くと、妙に意識高そうな店名を残して大衆向けラーメン屋が存在する。
色々メニューを出しており、街の中華料理屋と見紛うような意識の低さと裏腹に、
藻塩、海水塩、岩塩を絶妙なブレンドで配合した塩ダレに
比内地鶏で出汁を取った清湯スープで作られる塩ラーメンは絶品。
そんな前評判を知ってか知らずか、一人の少女のような少年がラーメンを食べに来た。
「たまには休息も大事だからね。」
きっかけは単純。
お友達やっているお店で、が"『今度来てくれよ、ほら割引クーポンの束』"と言ってクーポン券を渡してくれたからだ。
■エルピス・シズメ >
(イーリスちゃんも頑張って信頼できる人と会いに行った。
不安はあるけど、過保護過ぎるのもよくないからね。)
『エルピス』の事務所にそんな書き置きがあった為、
意図的に落第街から離れて、休息を取りに来た次第だ。
(それに多分、王のお気に入りならイーリスちゃんの周りは……
……いや、考えるのはよそう。今日はラーメンの気分なんだ。)
せっかくなのでクーポン券をオールイン。
■エルピス・シズメ >
「えーと、チャーシューメン(920円)にネギチャーシュー丼・辛ネギ添え。」
「それとクーポン券でチャーシューと味玉の追加お願いします。この『餃子6個秘伝のドロドロラー油添え』も。」
「あと、その、お願いできたら……テイクアウトでチャーハン2つと唐揚げと、
『ピリピリ、辛ぁい!鶏唐揚』を包んでください。」
■エルピス・シズメ >
この男の子、めっちゃ食う。
説明不要。
「んー、これだけガッツリ食べるのも久しぶりかも!
味の濃いものを喉に通した時の、『渇き』も華だよね。」
などと訳の分からないことを言いながら水を『2つ』汲み、準備も万端。
出来上がるまで暫く掛かりそうなので、スマホを弄りながら待つ。
「この出来上がるまでのワクワク感。
さてと、どんな料理が来るかなー。」
■エルピス・シズメ >
最初に届いたのはネギチャーシュー丼、辛ネギ添え。
米モノを先に食べるか後に食べるかは人によるが──
「いただきます。」
この子は先に食べるタイプだ。
最初にネギチャーシュー丼で食べてから、辛ネギをあえて掻き込む。
「──これは期待できるチャーシュー。」
流れを読むまでもない。これは良いチャーシューだ。
ゴムやハムのような粗末な肉ではない。
(脂も厚みもないチャーシューも、たまにあるからね。
うん。最初にネギチャーシュー丼から入って良かった。)
■エルピス・シズメ >
「あ、だめだ。持ち帰りまで我慢できない。
『ピリピリ、辛ぁい!鶏唐揚』のイートンも追加でお願いします。」
■エルピス・シズメ >
鶏の方も気になってしまった。
チャーシューとは別軸だが、恒常で唐揚げを出している以上粗末なものではないのだろう。
「誰かに見られたらちょっと恥ずかしい頼み方だけど──いいよね。」
少々はしたないが、今は一人で来ている。
己の自我も本能も抑圧せず、欲望全開で行こう。
■エルピス・シズメ >
それから程なくして『本命』が来る。
そう、チャーシューと味玉を載せた塩ラーメン。
チャーシューメンとしてのトッピングにチャーシューを足す、
自重をどこかに置いた注文のため、肉がものすごく並んでいる。
「うん、美味しそう。」
藻塩、海水塩、岩塩を絶妙なブレンドで配合した塩ダレ。
比内地鶏で出汁を取った清湯スープで作られる塩ラーメン。
──そのバランスを崩してでも、チャーシューを足したい。
チャーシューメンは、強欲の証だ。
■エルピス・シズメ >
「頂きます!」
だけど真っ先に食べるのは麺。
肉の介入によりバランスが崩れる前に、本来の味を楽しむ。
「ん、美味し。塩ラーメンはインスタントでしか食べたことなかったけど、
気合の入った塩ラーメンって『澄んだ味なのに深い』んだ。」
感嘆。感動。
少なくとも、彼が食べた塩ラーメンの中では一番美味しいと感じたらしい。
周囲の目を気にせずに掻きこむ。それはもう一心不乱に。
■エルピス・シズメ >
「次はこの、肉色の欲望を……」
事前調査(ネギチャーシュー丼)でチャーシューの質は分かっている。
豪勢に並んだチャーシューも、人を『肉』欲を誘うカタチをしている。
チャーシューを混ぜ込み、塩ラーメンの澄んだ秩序を壊す。
脂と肉で麺を包み、盛大にすする。
塩と油で喉が渇くので、水も飲む。
気づけば1個目の水は無くなっていた。
(カエルム君に見られたら呆れられそう……。)
■エルピス・シズメ >
まだ少し残しているが、麺と肉の大半は平らげた。
このタイミングで更なる罪(にく)が届く。
「辛味の効いた鶏唐揚。いただきます。」
丸ごと一口、にはちょっと大きかったので半分ほど一気に行く。
舌への刺激と、再びの喉の渇き。
「こっちもいける!」
脳に刺激が届く。旨の『快』と辛の『痛』。
2個目の『水』へと手を伸ばし、半分ほど飲む。
■エルピス・シズメ >
(よし……一通り堪能したところでラストスパート。
取っておいた味玉から行こう。)
味玉を箸で割り、色を確かめてから口に含む。
確かに味が染みてることを認識し、残った麺とチャーシューを啜るフェーズに戻る。
満腹感が来るまでに駆け抜けたい。
『この美味しいものを食べたい』欲求に従った突き進み、残しておいた味玉も含めて食べきる。
「ご馳走様!」
提供されたすべてを平らた。
遅れて届いた満腹感に身を委ねて力を抜き、お腹をさする。
■エルピス・シズメ >
「ふぅ……」
微睡むのもほどほどにして、会計を済ませる。
ここ最近のストレスはこの食事で吹き飛んだ。
お願いしてやってもらったテイクアウトの品々も受け取り、
会計を済ませる。
「改めて見ると結構な量だね……
……でもその甲斐はあった。お腹いっぱいだし、やる気もいっぱい。」
席から立ち上がり、テイクアウトの品を取る。
出口まで行けば──
「ごちそうさまでした! おいしかった!」
満足と感謝を示す言葉を告げ、店を出た。
ご案内:「麺処たな香」からエルピス・シズメさんが去りました。