2024/09/18 のログ
ご案内:「エルピスくんと一泊するだけ 希望と虹のお伽噺」にDr.イーリスさんが現れました。
■回想(1歳) > 名も無き少女が1歳の頃。スラム街。ごみ置き場。
シスター・ヒガサ(名も無き少女の義母)「この廃品は、部品を取り出せば使えるわね。こっちは、ちょっと難しいかしら……」
名も無き少女「ママ、ママ」
シスター・ヒガサ「どうしたのかしら? 絵本を拾ったのね。うふふ、内容が気になるのかしら? 《虹の希望のイーリス》……ね」
名も無き少女「いーりす。まま。いーりす、いーりす」
名も無き少女は自分を差して、そう口にする。
シスター・ヒガサ「イーリス? 貴女のお名前は、本当の両親を見つけるまでつけるのを控えようと思っていたけれど……。イーリスと呼んでほしいのかしら?」
名も無き少女はこくこくと頷いた。
シスター・ヒガサ「分かったわ。では今日から貴女の呼び名は、“イーリス”ね」
名も無き少女は笑顔になった。
そうして、名も無き少女は名がないままではあるが、“イーリス”という呼び名え得た。
■回想(4歳) > イーリスが4歳の頃。スラム街の教会。
イーリス「お義母さん。どうして私は“イーリス”になったのでしょうか?」
シスター・ヒガサ「“イーリス”という呼び名は、貴女が昔好きだった絵本から取ったのよ。《虹の希望のイーリス》というタイトルの絵本ね」
イーリス「私のお名前、絵本からきていたのですね。《虹の希望のイーリス》とは、どのような物語なのでしょうか?」
シスター・ヒガサ「絵本は、香部屋の棚の奥に保管していたかしら。うふふ、読み聞かせてあげるわね」
お義母さんは、香部屋(教会の備品などが補完されているお部屋)へと向かっていった。
■Dr.イーリス > 早朝。イーリスは宿泊施設で目覚める。
今はエルピスさんとお二人で旅行中。
エルピスさんと抱きしめ合って眠っていた。
そんなエルピスさんを眺めて、イーリスは目を細めて微笑んでみせる。
エルピスさんの頭を柔らかく撫でてから、天井を見上げた。
夢の中で見たのは、昔の記憶。
「《虹の希望のイーリス》……。私の名前の由来……」
絵本のタイトルを口にする。
その絵本は、イーリスの呼び名の由来。
「どのような物語だったでしょうか……。お義母さんに読み聞かせていただいた記憶はあるのですが、内容が思い出せないです……」
お義母さんに読み聞かせていただいたのはもう十年前の話。
幼少期に読み聞かせてくれた絵本の内容なんて、ほぼ覚えていない……。
「イーリスという少女が主人公で、虹の力を使って色々していた事はなんとなく思えているのですが……」
今日行く予定の観光スポットを思い出す。
「転移荒野の観光地マーブルの森。奇しくも《虹の希望のイーリス》の舞台であるマーブルの森をイメージして《不思議子ちゃん園芸部》なる部活が手入れ、管理しているのでしたね。マーブルの森に行けば、《虹の希望のイーリス》の内容もなんとなく思い出すかもしれません」
イーリスは一足先に起き上がり、スマホで朝のニュースをチェックしたり、身支度を整えたりしていた。
ご案内:「エルピスくんと一泊するだけ 希望と虹のお伽噺」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「マーブルの森 希望と虹のお伽噺」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「マーブルの森 希望と虹のお伽噺」にエルピス・シズメさんが現れました。
■お伽噺《虹の希望のイーリス》あらすじ 一章 > マーブルの森の外れに、おばあさんとイーリスが暮らしていました。
街の英雄に惚れていたイーリスでしたが、自分には縁遠い存在であると溜息をついていました。
そんなある日、虹の聖女が現れます。
虹の聖女は、街の英雄に会いたいというイーリスの願いを聞き届け、虹を起こせる力を授けました。
■Dr.イーリス > エルピスさんとイーリスの旅行二日目。
エルピスさんとイーリスは観光地の入場門の前に並んでいる。
それなりの行列だが、極端に長い時間待たされるわけでもない程度。
イーリスは、歯車のバッジがついた白のベレー帽を被り、フリルがついた白のワンピースを着て、淡い桃色のミッドリフジャケットを羽織っている。
「最近出来立た観光地なだけに、それなりに人気ですね。つい先日、門を通ってここ転移荒野に転移してきた森です。お伽噺に出てくるマーブルの森に近い事から、そのまま同名の観光地になりました。緑、青、桃色、黄、水色、紫など色とりどりの木々が立ち並ぶ幻想的な森で、童話みたいな雰囲気だそうですね。《不思議子ちゃん園芸部》なる部活により管理されてまして、お伽噺に登場するマーブルの森に実際に見えるように手入れされているみたいです」
イーリスはパンフレットを眺めながらそう解説する。
観光地なので安全性は確保されている。
危険な魔物の類が生息しているわけではなかった。
「エルピスさん。今日は私のわがままを聞いてくださり、ありがとうございます。どうしても、このマーブルの森にあなたと来てみたかったのです」
ちなみに、超自我さんのいる電脳世界の不具合は、正常に戻っている。
イーリスがエルピスさんの色に染められているのは変わらずなので、また電脳世界もエルピスさんの色に染められる不具合が起こらないとも限らないが。
■エルピス・シズメ >
宿泊施設でぐっすり眠ってから、転移荒野の観光地へ。
イーリスの択んだ観光地。どんなところなのだろうと、往路の時点でわくわくしながら周囲を見渡す。
ある程度の安全も確保されている観光地らしく、人だかりも多い。
ちょっとぶかぶかな何時もの学ランを羽織りながら、イーリスと並んで列を待つ。
イーリスの肩から一緒に覗き込むような感じで、パンフレットを眺める。
「マーブルの森、だよね。イーリスの行きたい所なら、どこだって。
それに……僕もちょっと楽しみで気になるかも。」
わがままを言ってくれるのも、距離が縮まった感じで嬉しいきもち。
初めて聞く名前の御伽噺。それに因んだ観光地。
こうやって、転移荒野の未開拓領域も少しずつ開拓されていくのかな。
そんな先のことに想いを馳せながら、それとなくイーリスと手を繋ごうと手を伸ばす。
■Dr.イーリス > 「《虹の希望のイーリス》。私の呼び名の由来みたいです。大昔に、お義母さんによれば、私は凄く《虹の希望のイーリス》が好きだったみたいですね。最後にお義母さんが読み聞かせてのはもう十年も前です。記憶がとても曖昧ながら、正義のロボットさんと出会ったちょっと前あたりだったような気がします。私にとっては名前の由来になると共にお義母さんとの想い出でもある童話ですね」
十年前なので、正義のロボットさんと《虹の希望のイーリス》を最後に読み聞かせてくれた日の前後は不明。イーリスの曖昧な記憶では、正義のロボットさんと出会ったのが後だったと思う。
話している間にも列が進む。
「ありがとうございます。とても神秘に満ちた森なので、エルピスさんと二人でならきっと思い出に残ります」
手を繋いでくだされば、イーリスはぎゅっと手を握り返し、エルピスさんの手の温もりを感じながら目を細めて微笑む。
自分が、エルピスさんに染め上げられているのを改めて実感してくる。
エルピスさんの底のない愛と恋を受け取った昨日よりは恋の衝動が落ち着いてはいるけど、彼の愛と恋はイーリスの心や電子頭脳、感情、システムや電脳空間を染め上げてるのは変わらない。
さすがに、ずっと電脳空間が昨日のような状態になっているわけではないが。
■エルピス・シズメ >
「虹の希望……。どんな気持ちで、題名から名前を付けたんだろう。
十年も経つと、たぶん……中々思い出せないよね。」
想起する。
そうしたところで、自分に14から前の記憶はないと自覚する。
故エルピスとしての過去も、あまり思い出せない。
今はそれよりもイーリスの思い出話が気になるので、
自分のことは置いて手を繋いで彼女の話を聞きながら歩く。
手をつなぐと、落ち着いたどきどきがちょっと蘇る。
思い出すと恥ずかしくなるけど、やっぱり嬉しい。
「そろそろ、かな? ナナや赫さんにも、お土産買って帰りたいね。」
そわそわしながら、列並びを待つ。
■Dr.イーリス > 「イーリスというのが主人公の少女で、虹の力を使って色々やるというのはなんとなく覚えてますね」
ざっくり覚えている物語。
スラムの教会あたりをさがせば当時の絵本が見つかったりするのだろうか。
今の神父さんともとても仲良しなので、本来関係者しか入れない教会の香部屋を探す事も出来はする。
「ふふ、そうですね。とても素敵なお土産を選びましょう」
やがてエルピスさんとイーリスは、予め購入していた入場券を差し出して入場門を潜った。
入場門を潜った先にあるのは、メルヘンチックな建物のお店が数件。お土産を売っているお店。森の中にある、木で出来た建物という雰囲気のお店だ。
その先には、緑、青、桃色、黄、水色、紫など色とりどりの木々が立ち並ぶマーブルの森。
「わあぁ! 本当に、童話の中に入ってしまったかのような光景ですね!」
イーリスは瞳を輝かせていた。
■エルピス・シズメ >
「虹の力、かぁ……。」
とてもきれいなものなのかな。
おとぎ話の断片的な内容から、想像を膨らませる。
入場券を見せる為に一度手を離したりしながらも、門をくぐる。
くぐった先で再び手を伸ばしながら、周囲を見渡す。
「わぁ……桃源リゾートとはまた違った感じの、不思議な光景。」
ふしぎで幻想的な光景に、驚きと楽しみの混ざった声が出る。
好奇心で木々に触りそうになる気持ちをそっと抑えながら、
おとぎ話のように不思議な光景を進んで歩く。
色とりどりの木々から差す木漏れ日も、綺麗な色をしている。
身体を撫でる風も涼しくて心地よく、とても安らぐ。
■Dr.イーリス > 「桃源リゾートも、とても素敵でしたね。とても……気持ちの良い泡風呂でした」
昨日の事を思い出して、頬を少し赤らめている。
「お土産は帰りですね。早速、森に入ってみましょう! ふふ。はは」
笑い声をあげながら、エルピスさんの手を引くように走り出し、森へと入っていく。
森の中もまた、観光客で賑わっている。
幻想的な木々によりあまり太陽の光が入ってこないながら、木以外にもメルヘンチックな花や草が生えた森。
「そうです、《虹の希望のイーリス》に出てきた森は、まさしくこのような風景でした! 今はお昼ですが、夜になると色とりどりの木々がライトアップされて綺麗に見えるみたいですね」
懐かしむように木々を眺めている。
■エルピス・シズメ > 「うん。とってもたのしかったし……どきどきした。」
頬が染まる。
再度振り返ってみると、とんでもなく恥ずかしいことをしちゃったような。
それでもやっぱり楽しかったと。後悔はないと確信できる。
「えへへ……たのしいね、いーりす。
このお花も……見たことないかたち。」
いまここに、ふしぎな世界がある。
どうして流れ着いたのかは分からないけれど、それは確実。
「パンフレットにも書いてあったけれど、本当にそうなんだ。
夜……この色とりどりの森が輝いたら、とっても綺麗なんだろうね。」
思い出していくイーリスの記憶に耳を傾けながら、森を見渡し、イーリスの横顔を見る。
エルピス・シズメとしては懐かしむものはないけれど、懐かしく想うイーリスもやっぱかわいい。
イーリスの横顔を見て、嬉しそうにそっと微笑んだ。
■Dr.イーリス > 「……とても、どきどきしました。あなたの恋と愛、たくさんいただけて嬉しかったです」
ほんのりと《パンドラ・コアMk-Ⅱ》が桃色に光って、小さなハートのエフェクトがいくつかエルピスさんに飛んでいく。
イーリスの想いがエルピスさんへと流れていく。
《パンドラ・コアMk-Ⅱ》は機能をオンオフ出来ないので、いつ何時もイーリスの意図と関係なしに、エルピスさんに触れていれば愛をとどけている。
「記憶が曖昧ながら、確か《虹の希望のイーリス》の背景にあったお花ですよ」
お花は、虹色のアイリスと言えるものが多くあった。
「もう、これだけ木々が虹みたいに色いっぱいですからね。夜はまた違った風景を見られます」
エルピスさんと目線が会い、にこっと笑ってみせる。
二人が歩いていると、やがて背景が白くなっていく。
だんだん白い霧に包まれていく。
■イーリスの体内コンピューターのアラーム >
──門の発生を検知! 門の発生を検知!
■Dr.イーリス > アラームはイーリスにしか聞こえていないもの。
「え……!?」
イーリスが突然、何かに驚いたかのような声をあげる。
■エルピス・シズメ >
「……イーリス?」
歩みと会話を止めて立ち止まったイーリスに違和感を覚えて振り向く。
警戒を強め、ぎゅ、と、いつでもイーリスを守る様に距離を縮める。
何があったのかは理解はできなくても、何時でも動けるようにと。
■Dr.イーリス > 「門が、発生しています……!? いえ、私達はもう門をくぐってしまっているようです……! 比較的安全な観光地とは言っても、転移荒野ではありますからね……」
白い霧の中で、エルピスさんとイーリスの体が光、変化が訪れた。
エルピスさんの服装が変わる。
エルピスさんは、フリルがついた桃色のワンピースを着て、赤のチェック柄エプロンをつけていた。
イーリスの服装、いや服装だけではない部分も変わった。
イーリスは茶色いワンピースを着ている。そしてりすの耳、りすの尻尾が生えていた。
「え……? ええ……?」
何が起きているかすぐ理解出来ず、イーリスはお目めをぐるぐるにして混乱してしまっている。
やがて霧が生えると、そこはマーブルの森であった。
ただし、先程までいた観光客の姿はどこにも見られない。
■エルピス・シズメ > 推定、門をくぐった。
その事実に冷や汗を覚え──
「……ふぇ?」
──じぶんの姿が変わっている事に気付く。
ふりるのついた桃色のワンピースに、赤のチェック柄のエプロン。
特に異能を使った記憶もない。
その装いに混乱しながらも視線を上げると、りす耳のイーリス。
茶色いワンピースも合わさって、小動物みたいでかわいい。
「じゃ、じゃなくて、えっと……これ……。」
動揺しながら、自分やイーリスの姿を確かめる。
周囲に他の客はいない。
「どうしよう……。」
何処か恥ずかしいらしい。
ワンピースのすそをきゅ、と、抑えて、恥じらいをみせた。
なお、イーリスの中に居る『超自我を名乗るもの』は、
特に何も言っていない。
■Dr.イーリス > 「も、門を潜ってしまうなんて、大変な事になりました……」
まず自分の姿の変化に気づいて耳や尻尾を触れて混乱。
そしてエルピスさんの方を向いた。
「エルピスさん、その姿……! イーリスですよ、イーリス!」
イーリスのいうイーリスとは、《虹の希望のイーリス》に登場するイーリスの事。
突然イーリスと言い出すのは言葉不足かもしれない。
「エルピスさんがイーリスになっています!? 私はリス……」
エルピスさんとイーリスは、どこか童話的な雰囲気の恰好になっている。
恥ずかしがっているエルピスさんに、イーリスは目を細めつつ、エルピスさんを安心させるよう彼の右手を包み込むように両手で握る。
「エルピスさん、とてもイーリスの姿似合っています。とても可愛らしいです。今、この森にはあなたと私しかいないみたいですから、他の知り合いに見られるという事もないと思います。今はひとまず、この世界から出る方法を探っていきましょう」
イーリスの頭の中ではこの世界について色々推測できているが、今のところ物凄く言葉足らずになっている。
■お伽噺《虹の希望のイーリス》あらすじ 二章 > イーリスは、可愛らしいりすさんと出会いました。
りすさんと仲良くしたいイーリスでしたが、りすさんはしばらくイーリスに抱かれた後にマーブルの森へと駆けていきます。
イーリスはりすさんを追って、マーブルの森に迷い込んでしまいます。
森でりすさんを追っていると、川の向こう岸まで渡りたい鹿さんと出会います。
イーリスは虹の橋をかけてあげました。
その虹の橋を渡り、鹿さんは川の向こう岸まで渡ることができました。
鹿さんを助けている間、りすさんはずっとイーリスの事を待っていました。
■エルピス・シズメ >
「僕がイーリス……?」
最初はことばの意味に戸惑っていたものの、少しずつ思考を整理して。
なんとなく、おとぎ話のイーリスになっていることは自覚できた。
「あぅ……その……ありがと……
いーりすも……りすさんみたいでとってもかわいい。」
不思議と危機感が働かず、照れや恥じらいや、かわいいが混じる。
なんとなく、かわいいりすさんのイーリスをぎゅっと抱きしめたくなったので、抱きしめる。
悪いものと判断できないのか、別の理由なのかは分からない。
いまのところ、僕は僕だと自覚出来るから、大丈夫そうとも思う。
「ええと……うん、探索してみよっか。
思い出せることとか……ある?」
イーリスは、この物語のイーリスから付けられた名前だとしたら。
このおとぎ話のような世界は、きっとわるいものじゃない。
危機感を覚えない理由をそうだと納得して、
歩幅を縮めてゆっくりと森の中を散策する。
■Dr.イーリス > (エルピスさん……凄く、かわいらしいです……)
エルピスさんは虹の希望のイーリスの姿になっても、とても可愛らしくてよく似合っている。
ワンピースのすそをぎゅっと押さえて恥ずかしがっていた愛しのエルピスさんの姿も映像や画像に残して保存。
「ありがとう……ございます……えへ。私、ずっとりすさんでいいかもしれません」
頬を染めて、照れるように微笑む。
物語のイーリスになっているエルピスさんと抱きしめ合った。
とても幸せな心地よさに、りすの尻尾が嬉しそうに揺れる。
《パンドラ・コアMk-Ⅱ》が光って、エルピスさんに愛情が注がれると同時に、辺りにハートのエフェクトが舞う。
「少しずつ思い出してきました。エルピスさんは今、《虹の希望のイーリス》になっています。えっと、自我の方は大丈夫ですか?」
心配げに小首を傾げる。
超自我さん曰く、仮想世界に行った時もエルピスさんの自我がばらばらになる心配はあまりなかったそうだ。エルピスさんが子、故エルピスさんが親と認識した時点で、エルピスさんが仮想空間に行ってもなんら問題なくなったらしい。
今回の件もそれと似たような感じだと判断しつつも、一応の確認。虹の希望のイーリスという存在で、この世界にいるという事になるのだから。
「ここはおそらく、物語の中のマーブルの森なのでしょう。そのものというよりは、疑似的な物語のマーブルの森といったところでしょうか。イーリスは、りすさんと出会い戯れていて、そしてりすさんがマーブルの森に向かえばイーリスもそれを追います。そうしてイーリスとりすさんはマーブルの森に迷い込むわけです」
そこでふと疑問に思う。
「イーリスはりすさんと出会う前に、虹の聖女さんと出会うのですよね。マーブルの森の外れでおばあさんと暮らしていたイーリスは、街の英雄に惚れていました。そんなイーリスが虹の聖女さんと出会い、街の英雄に会いたいと願った事から授かった力があります。今、イーリスとりすさんが一緒にいますから、物語通りなら既にエルピスさんには虹の力がやどっているはずです」
少し考える仕草をする。
「虹をなんとなくイメージして、虹出せたりしませんか?」
イーリスの言う通りに虹をなんとなくイメージすると、今のエルピスさんは自在に虹を出せるようになっている。
■エルピス・シズメ > こんな時でもどきどきで、ハートのエフェクトが浮かぶ。
エルピスのどきどきの恋心も、身体と異能を通して通じ合う。
ずっとそうしている訳にも行かないので、身体を離して気を取り直す。
使えなくなっているものは多いけれど、少なくとも通じ合えることは出来るし、
イーリスの機能も支障をきたしていないらしい。
可愛くても、凛とした表情で思案に耽るエルピスはちゃんと健在。
「うん。大丈夫。異能によるものじゃないみたい。
イーリスもイーリスのままだから、多分大丈夫。」
とは言え、警戒するに越したことはないので自我のゆらぎや危機には意識の片隅に置いておく。
イーリスの中に居る超自我からは、たぶん[別枠]なの、みたいな声が帰ってきた。
探索を続けながらも、虹の力をイメージしてみる。
ついでに、虹の聖女さんのことも思い出そうとイメージしてみる。
綺麗な虹が、薄い実態を持った橋のようなものになって表れた。
「あ、できちゃった。こう……?」
なにはともあれ、はじめてのまほうの成功。
心なしか、声も嬉しそう。
■Dr.イーリス > 実は、イーリスの機能にある程度支障をきたしている。超自我さんのいる電脳世界がちょっと桃色になったりもした。
見えていない部分で、エルピスさんへの想いによる影響がある。
とは言え、今はエルピスさんとずっと抱き合っている場合でもない。
「よかったです。私は私で、りすさんはちょっと恥ずかしかったりはします……けど、えるぴすさんにかわいいと仰っていただけるなら、りすさんでいいです」
頬を赤らめたまま、りすの大きな尻尾を抱き枕のようにぎゅっと抱きしめる。
バーチャル・イーリス『仮想世界に行くのと今回の件は、また別枠なのですね』
電脳空間にて、超自我さんのお返事をした。直接バーチャル・イーリスの姿を現すのではなく声のみ。
エルピスさんは虹の聖女さんを思い出そうとすれば思い出せた。
キリスト教風の法衣を着た水色髪の少女。虹の聖女さんはとても温和な方で、イーリスの願いを真摯に聞き、そして右手から虹のような輝きを放ち、その虹の光がイーリスの胸に入り込む事で虹の力を授けたのだった。
イメージとしては、シンデレラに出てくるかぼちゃの場所を授けた魔女のような、序盤のお助け魔女に近いポジション。
「わあぁ! 出来ました、虹! すごいです!!」
イーリスは笑顔になって、手をぱちぱちと叩く。
「その虹のまほうがあれば、物語を進めていけるはずです! ひとまず探索を始めてみましょう」
二人が歩き始めるとやがて鹿さんと出会う。
鹿さんは川の手前でどうやら困っているようす。
■鹿さん >
鹿さん「川の向こう岸にいる家族に会いにいきたいけど、どうしたらいいものか……」