2024/09/24 のログ
ご案内:「ポイントK3-ビル屋上」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル >  
夏の香りは既に去りゆきつつあり、秋が涼し気な風を運んでくる。
未だ沈まぬ月光が薄く街を照らし、眼下に見える橋は街灯に縁取られている。

遠くに一望できる町並みを見つめた後、
レイチェルは目を閉じた。

連続殺人犯、弟切 夏輝。
予想される彼女の逃走ルート上に、既に風紀委員会による包囲網を敷いている。
一般生徒に気取られぬ程度に、しかし、厳重に。

『本当に来るんでしょうか、弟切 夏輝は』

狙撃手は、手慣れた動作で狙撃銃のスコープを調整しながら、
隣に居るレイチェルへと声をかける。

レイチェルは小さく息を吐きながら、
眼下の橋を見下ろしていた。

「情報は既にオレ達の方で掴んでる。必ず此処に来るさ。
 道中、もし包囲に気づいたとて……
 逃げ道はねぇよ、橋の上(ここ)じゃあな」

狙撃手からは、レイチェルの表情は確認できない。
淡い光の走る黒の眼帯は、彼女の表情を隠している。

レイチェル >  
「この捕縛作戦の要は、凛霞だ。
 ここまで来りゃあ、オレ達はあくまで有事の際のバックアップに努めりゃいい」

控えさせている狙撃手は、もしもの時の備えだ。
彼らが引き金を絞るのは、最悪の事態。

「K2通過だな、了解した」

耳元の通信機器から別ポイントからの連絡を受けたレイチェルは、
隣に居る狙撃手、それから後方に控える刑事課の面々へと伝える。

「来るぜ――」

レイチェルは、黒の眼帯を外す。
眼帯の下には、隻眼のそれと同じ見た目の、眼球(サイバーアイ)があった。

時折淡い光のラインが走ることで漸く、その眼が偽物であると分かるそれは。
遠く橋の上に現れる弟切 夏輝の姿を、はっきりと捉えた。

「――チェックメイト

レイチェル >  
多くの風紀委員達の協力を得て。
彼女の話を聞きたい、彼女の犯罪と向き合いたい、多くの同胞達の助力を得て。

風紀委員会は、遂に弟切 夏輝を包囲網の内に捉えた。

「本番はこれからだぜ。
 しくじるなよ、凛霞――後はお前にかかってんだぜ」
 
レイチェルは静かに、二人を見守る――。 
 

ご案内:「ポイントK3-ビル屋上」からレイチェルさんが去りました。