2024/11/23 のログ
ご案内:「Free2 未開拓地区 汚染区画前検査所」に御崎 眞さんが現れました。
ご案内:「Free2 未開拓地区 汚染区画前検査所」にオルニスさんが現れました。
御崎 眞 >   
汚染区画前の検査所ーー
ほんの数日前に起きた【汚染性物質】による災害。
汚染、狂暴化された汚染生物がはびこる地域への調査。

「――『こんな事』に生徒が参加するなんて、一昔前は絶対に止められてそうだが」

今は逆に、腕に覚えがあるなら『賃金』を目当てにこぞって参加しにくるときたもので。
簡易的な検査施設の前は、多くの生徒でごった返していた…とはいっても、野次馬らしき生徒も多いのだが。

「…  」

きょろり、周囲を見回し、一つため息をつく。
自分はどちらと言えば、『調査』への協力のために此処まで来たのだが。

「一人での突入は、流石に止められそうだからな。」

内部での調査、戦闘の危険がある協力を行う場合、心身ともに健康であることは重要条件だろう。
そして、それにある程度の瑕疵があると認められる場合、単独での突入は止められる危険性がある。

「となると… 俺の場合、一人での申請より、誰かと組んだ方が通る可能性は高い、はずだ
それに、相性もあるしな」

小さく呟きながら周囲を見やり、誰か声をかけられそうな相手を探す。
… こんな事なら、友達の一人でも作っておけばよかったかもしれない、今更の話だが。

オルニス > 「ふふんふんふ~……おぉ~? 妙な人だかりがあるね……?」

今日も今日とて街巡りの散歩道。
このあたりは所謂未開拓地区と言われているらしい。
異邦人がよく転移してくるとされる転移荒野もこのあたりだ。
実際わたしもこのあたりに飛ばされたのでよく覚えている。
一応、念のため、元の席㋐に戻る手掛かりがないかな、とかありもしない手掛かりにほんの少しばかり期待したりして。

と言っても今はそんな状況でもないみたい。
そして……そういえばなんか騒動があったとかって聞いた気がするな、なんて。
人混みを覗き込んだその中に、憶えのある顔が一つ。

「あ、マコトー!
 マコトだー! なにしてるの~!?」

友達に手をぶんぶんと振って近づいて行った。
このあたりは異邦人もそう珍しくもないのでちょっと気楽である。

御崎 眞 >   
「… 」

人見知り、とまではいかないが、知らない相手にいきなり声をかける気概は余り無い。
というか、適当に話しかけた相手と自分の相性等分かった物でもない訳で。

更に言えば、既に話しかけた相手が人待ちやその気が無かったら恥をかくし。
更に更に言えば、相手が受けてくれるかもわからないというか、自分でいうのも何だが怪しい誘いに見えなくもない。

更に更に更に…  うん?

「何だ、今考え事… オルニス?」

眉間にしわを寄せながら振り向けば、最近知り合いとなった相手のほほんとした顔。
正直言えば、余りこんな場所には似つかわしくない気もしたが… いや。
思えばこの場所は転移荒野の近く、『門』から来た身としては訪れる理由もあるのかもしれない。
手をぶんぶんと振ってくる姿に対して此方も手を振り返す、ぎこちなさは無かったとは思う、多分。

「… よ、よう
何って… オルニス、通知とかニュースは見てないのか?
ほら之だよ… 『汚染区画への対処要員の募集』ってやつ」

何であれ、見知った顔が見えた事に少しだけ気を楽にしながらスマホの画面を見せる。
事故による汚染区画の発生、調査や補助要員の募集、報酬について…等の要綱がつらつらと書かれたページだ。

オルニス > 「にゅーすー?
 あ~、なんか見た気がするかも。
 でもそんなに律儀に全部見てないっていうか……ねぇ?」

へへ、と目をそらした。
正直学園内のトラブルとか自分がかかわりあわない限りあまり興味がない。
いやまぁ、実際にはこうして目の前でおきているわけであって、関係ないとは言い切れないのだけど。
ついでに言えばまだあのスマホとかいう光る板は扱いきれていないのだ。
つまるところ面倒になったのである。
ちょっと目をそらした。

「ん~……? ふぅん。 調査の補助。汚染の駆除ねぇ。
 なに? マコト協力でもしに来たの?」

あまりにイメージとあわなくて思わず首をかしげている。
あのマコトが?危険物質やクリーチャー相手に?
正気だろうか?
熱でもあるんじゃない? みたいな顔をしていることだろう。

御崎 眞 >   
「… まぁ確かに。
俺も興味が無いジャンルのものは適当に飛ばすし…
オルニスは聞くなら聞くで、伝聞の方が好きそうではあるが
… なら本当に偶々通りかかったのか」

初対面でのイメージというものはどうしても強いもので。
鳥たちと楽し気に会話をしていた姿を思い起こす。
情報源が鳥達で無くても、俺よりは友達も多いだろうし。

「… 一応な。 賃金が高いのもあるが、少し興味もあるからな
とはいえ、一人だと許可が出るか微妙だから… あー、何だ
バディ… 相方を探そうとしてた所だが」

言っているとまるで自分が「ぼっち」みたいに思えてくる。
いや、そんなんじゃないし。

「少し前までは危険に首突っ込むつもりはかけらも無かったんだが
一応、最近呪術の授業も受け始めたし、色々試したい事もあるんだよ」

オルニス > 「散歩してたら偶然ね~?
 まぁこういうのは実際に見聞きした方が確実っていうのはあるよね。
 知っておいて損はないけど。
 情報屋と違ってどこまで本とかわかんないし。」

公共に流される情報なんて大して信じていないのだ。
どんな都合の悪いことが隠されているかなんてわからないし。
知りたければ自分で勝手に調べた方が速い、とついついもともとの仕事柄思ってしまう。

「相方探し?
 ……ふふ、さてはマコト、所謂ボッチなのでは?」

にまにま、とにやけたかお。
相方を探しているということは直前まで人が捕まらなかったか
それとも頼る人がいなかったのか。
まぁ、マコトはお世辞にも友達が多そうには見えなかったし。
きっと一緒に行ける人がいなくて困っていたのだろう。

「へぇ、あれから結局習ったんだね。
 ……ためしたいこと?」

御崎 眞 >  
「今の世の中、ネット上の情報は良くも悪くも山程あるからな
玉石混交どころか、拾ってみたら有害だった、まで十分ある」

「情報屋ってのも… ネット上の情報商材よりはよっぽどマシだろうな
アレは情報を売るのに『信用』が大して無くても成り立つような世界だし
まぁ、そういうのに踊らされるのは、それなりの奴らだけだが」

ただまぁ、自分の脚で踏み入れられない場所何て幾らでもあるし。
全てを自分の目で確かめられる訳でもない。
そして、自分自身の考えも、何時何に影響されたものか… と。
考え始めた思考を一度切り、オルニスのにやけた顔を見やる。

「―― 別に、そんなんじゃないが?
いやまぁ、確かに独りでいる事は多いが、それは敢えてであってだな」

首を軽く振り反論しようとするが、いや之典型的なぼっちの言い分だな…という知識が邪魔をする。
思わず舌打ちも出そうになるが、それを無理やり押し留めるように舌を噛み。
努めて冷静を装いながら、ふぅ、とため息を吐き出して。

「あぁ… 呪術だけじゃなくて、俺自身の異能についてだ
実践場所としては少し物騒だが… 一人じゃ余り訓練も出来ないものでな」

オルニス > 「ふふ、否定する前の間がすべてを物語っているよマコトぉ~
 な~に~寂しくなっちゃったの~?」

このこの、とちょっとわざとらしくうざったい感じで肘でつんつん。
それにしたってもうちょっと知り合いを増やすべきだとは思うけど。
急に危険な場所に身を乗り出そうとしていること自体もちょっと驚きではあったけど。
彼はそういうのには首を突っ込みたがらないだろうと思っていたのに。
どういう心境の変化があったのか。

「異能?
 一人じゃ訓練できない?
 ふんふん……つまり一人で訓練できないから実戦で試そうと思ったけど。
 そもそも実戦に一人で行けなかったという本末転倒な事態に陥ってるわけだね?」

大丈夫なのかなこの子。
いくら怪物とか、魔物って言っても戦闘訓練とか積んでいないならどう考えても危険なのだけど。

御崎 眞 >   
「寂しくとかはないが、というか、大分なれなれしいなオルニス…!
それとそのやたら語尾を間延びさせてるのも大分わざとやってるだろ?」

二回りほど小さい相手につんつんされるのは流石に初めてだった、脇腹辺り。
このフレンドリーさが恐らく知り合いを増やす秘訣なのだろうか?
俺も昔は、普通に友達もいたはずなのだが、どうにもその頃の事は霞がかかったかのようで。
何だかもやっとした気分を抑えるように、オルニスの頭を――
ぐわし、と軽く掴もうとする、まぁ身長差的に頭以外に手を出せそうな場所が無いんだが。

「やーめーろって、… まぁ、大体そんな感じだ。
対人、対動物なら何でもよくはあったが、賃金もでるしな
何はなくとも金は大事だし… それに」

まぁ確かに、自分のようなものがこんな場所にいるのは珍しいんだろう。

「喧嘩自体はした事はあるしな、今回とは比べられないが
… 後、之でも一応、此処に来る前は剣道部の主将… で分かるか?
まぁ、試合形式ばかりだが、ある程度の運動神経と経験はある、今は剣は使ってないが」

本当の所は使えない、が正しいが。

「とにかく、俺は相手を… 探し、てるんだが…  あー」

其処まで言って気付いてしまう。
目の前のこの脇腹つんつん系のオルニスが、自分にとって…。
『知り合いかつ、こういった場所に誘えそうな相手』の唯一の心当たりになりえる事に。

オルニス > 「これは元からだよ~? おぁっ!」

ガシッ、頭が捕まった。
けど特に気にする様子もなくふわふわ~ふらふら~ゆらゆら~
THEマイペース。
馴れ馴れしさもコミュ力の内。

「わはははは~……
 けんどーぶのしゅしょう。
 つまり剣の腕には自信があるってこと?
 でも剣は持ってないんだよね……うぅん。」

とても、疑わし気なまなざし。
本当に大丈夫ぅ?_みたいな。
仕合と実際に命の危険のあるやり取りは全く別物なんだけど……
と、これは余計な心配だろうか。

「……?」

御崎 眞 >   
「… 全く」

そのまま手に力を入れ… るのは流石にやり過ぎだと思うので。
わしゃりと髪をかき乱すようにする、これくらいの悪戯ならまぁ、いいだろう多分。
朝のヘアセットとかしてるんだろうか、きっちりしてたらそれはそれで意外に思うが。

ゆらゆらする姿を見ていると、少し気が抜けてしまいそうになる。
ペースに乗せられているな、という自覚があった。

「色々あってな、今は使ってない… 何だその目、いや、分かるが
心配… いや違うな、疑うなら…」

疑いの視線、まぁ、初対面の時と、今の会話を見て不安に思う気持ちは分からないでもない。
実際自分も、此処最近の出来事が無ければ特に理由もなく寮でくすぶっていただろうから。

「いっそ、オルニスが一緒に来るか?知り合いを助けると思ってな
多分、俺よりも『実戦経験』は豊富なんだろう?」

――恐らく、それなりに自然に誘えたのではないだろうか。
特に『恐怖症』が発現している訳でもないのに、目を逸らしそうになったり。
不安の表れのように胸がずくん、と鳴るのはもう仕方ない、気づかれて無ければいいのだが。

オルニス > 「ぉぁ~~~、わしゃわしゃしないで~~
 またおこられる~~」

毎朝の毛づくろい?は小鳥たちがやってくれているのだ。
あまりもさもさにしていると嘴でつつかれてちょっといたい。
自分としては割とどうでもいいのだけれど、彼らからするともっとしっかりしてもらわないと困るらしい。
何が困るんだ、というツッコミは今のところしないでいる。

「わたしが一緒に?」

ふむ?と少し逡巡する。
まぁ確かに実戦経験はそこそこ、少なくとも目の前にいる少年よりはずっとあるけれど。
とはいえ戦っている姿をあまり見せたいと思わないのも事実で。
かと言ってこのまま何も見なかったことにしてバイバイするのもそれはそれで気が引ける。
万が一一人で乗り込んで死にました、なんて言われても正直困るわけで。

「……一緒に来てほしいならそういえばいいのに~?」

にや、としながら頷いて。

「うん、いいよ。
 じゃぁ今回は私が付き合ってあげる。
 でも事件の詳細とかちゃんと教えてよね。」

自分で調べるという選択肢を放り投げた……だって漢字がいっぱいで読みにくいんだもの。

御崎 眞 >   
「はいはい… と、こんな所か」

少し楽しくなりそうだが、本気でどけてくる前にぱっ、と手を離す、こういうのは程々が肝心だ。
にしても、朝のセットとかもして貰っているという事だろうか、少しだけ羨ましい。
身だしなみを整えるというのも、存外面倒なものだから、見せたい人がいるなら違うのかもしれないが。

「別に、さっきからのオルニスの顔を見ていたら、その方が話しが早いだろうと思っただけだが?
…… それにまぁ、残念ながら此処に居る知り合いは他にいないようだし」

まぁ、そこは任せろ、といいながら詳細情報をスマホからダウンロードする。
一応、此処に来るまでにも目は通したが、説明をする必要がある以上、抜けがあっても困るからだ。

「じゃあ、二人で検査所まで行くぞ、登録用の書類とか書かなきゃいけないし、ある程度待たされるだろう
その間に調べた範囲は説明するから」

にやにやするオルニスに対してやや仏頂面気味に言ってしまうが、何とか相手を見つける事も出来た安堵は確かに存在して。
離した手で軽く髪を梳くようにしながら、オルニスを検査所へと誘うのだった。

オルニス > 「んまったくもう……」

若干頬を膨らませながら抗議のポーズだ。
こういうのは意思表示をはっきりさせておかねば。
ぷんぷん。

「意地っ張りだなぁマコトは。
 まぁいいけどね。 男の子の意地ってことにしておいてあげるよ。」

やれやれ、と肩をすくめてはスマホを弄る様子を覗き見ている。
こういうところはさすがにこっちの世界の住人、大変スムーズで感心している。

「はいは~い、いきますよ~。
 ……髪の毛触るのきにいったの?」

疑問に思ったことを口にしながらもあとについてゆくのだった……

御崎 眞 > ーーールーム名変更
ご案内:「Free2 未開拓地区 汚染区画前検査所」から御崎 眞さんが去りました。
ご案内:「Free2 未開拓地区 汚染区画前検査所」からオルニスさんが去りました。
ご案内:「Free2 未開拓地区:汚染区画」に御崎 眞さんが現れました。
ご案内:「Free2 未開拓地区:汚染区画」から御崎 眞さんが去りました。
ご案内:「Free2 未開拓地区:汚染区画」に御崎 眞さんが現れました。
ご案内:「Free2 未開拓地区:汚染区画」にオルニスさんが現れました。
御崎 眞 >   
結局――二人での登録は恙無く終わり、内部への侵入が許された。

「汚染物質は素手で触れると被影響者になる可能性があるため非推奨、と
面倒だな、液体だから一定以下の質量にすればいいらしいが」

区画内の様子は普段を良く知らないために正直分からないが、正直酷いありさまと言うべきだろう。
所々黒い液体… 汚染物質が付着した植物が確認できる、幸い、入り口近くにはまだ汚染された動物は見かけないようだが。

「オルニス、対処法の例も提示されていたが、そっちは対処できそうか?」

オルニス > 「えーっと……汚染物質に対する対処は……、吹き散らす、高温で蒸発させる、などをして、一定以下の質量にする事。
 目視で飛沫程度と認識できるほどの質量になると、無害化し無色透明となる。
 要するに吹き飛ばせばいいって事みたいだけど……うぅん。」

ちょっと困ったなぁという顔をあなたには初めて見せるかもしれない。
自分にそんな便利な能力は……実のところない。
いや、やろうと思えばできなくもないかもしれないが、異能を使うとはいえあまりに原始的。
というかそこまでの風圧を出せるのか?とかいろいろ考えている。
そもそも自分の能力は基本的に奇襲専門みたいなものになっているから、こういう特殊事例には少々不向きなのだ。

「火炎放射器でも持ってくればよかったね?
 こっちにはそういうのがあるって聞いたよ。」

なんてちょっぴりお茶を濁した。
正直異能を他人にあまり見せたくないという私的な理由もあったりして。

「そういうマコトはどうなの?」

御崎 眞 >   
「吹き飛ばすのも高温にするのも無理だな、だが一応…
多分『希釈』なら可能だと思う、魔力は使う事になるが
ただまぁ確かに、火炎放射器は欲しいかもしれない」

肩を竦めるようにしながら周囲を眺める。
試してみる必要はあるが、飛沫程度の質量にする、と言う事は。
汚染物質同士の繋がりを薄める事で効力を発揮できなくする、と言う事なのだろう。
それならば『希釈』によって薄めれば…。

「生物を汚染するといっても、血の一滴でプールを真っ赤にできる訳でも無し
なら、丁度覚えた呪術…  増血とは相性がいいはずだ」

そのまま『呪い:増血』についても説明する、自身や効果対象の血を増やすシンプルな呪い。
汚染対象の血を増やすと汚染物質まで増えかねないが。
自身の血を増やし、それにより『希釈』する事は出来るだろう。

「俺の異能は… 俺自身や、俺の血… とかに触れた対象に発動するものだ
そういう意味でも血の扱いには呪いを習い始めてからそれなりに慣れてきてる」

ただ、地面の見栄えは悪くなるから足元には気をつけてくれ、と声をかけておこう。

オルニス > 「んー……」

とてとて、と後ろ歩きで少しだけ距離を取る。
呪術、増血。
文字通り血を増やすということなのだろう。
一見液体らしく見えるそれが汚染物質らしいが……希釈する、ということは。
それは場合によっては汚染する先を無限に増やしていることになりかねないのでは?
そんな心配が一つ脳裏に過る。
おそらくそんな簡単で済むのなら、消防車でも読んで放水すれば済むだけなのだから、と。
いうのは簡単だが、ひとまずは試してみるのもいいだろう。
最悪衝撃で微塵に散らしてしまえばいいか、ともう幾つかの策を考えながら。

「ちなみに汚染物質に君の異能って意味あるの?」

御崎 眞 >   
「実際、可能かどうかを試すために少量のサンプルが欲しいな
無色透明になる… そのまま血に混ざりそうだが、まぁすれば効果があるのは分かるだろうし
ダメそうなら、今度こそ火炎放射器でも借りてくるか、触らないでの対処に注力しよう」

実際分からないことが多い以上、安全そうな範囲で色んな事を試してみるのは悪くない筈だ。
そして聞いた限り、自分の異能との相性がどうなのかは正直気になる所もある。

「… 別に調べればわかる事か。
俺の異能は、精神に作用するものだ、だから、汚染対象に精神があれば効く…はず
既に精神を弄られてる奴に使うのが効果的かどうかは試してみないとわからないな
汚染物質自体には… 精神作用のある液体同士が触れあう事になるか」

之も又未知数だ、血は自分自身から切り離された触媒に過ぎないから、汚染が此方にまで及ぶという事は無いと思うが、之が吉と出るか凶と出るかは判断しづらい。

「結局はやってみないとわからない部分が多いって所だな」

少しじとっとした感覚に、自身の髪を梳くようになでる。
さて、丁度いいサンプルが見つかるといいんだが

オルニス > 「そうだねぇ、あんまり近寄らない方がいいとは思うけど……」

なんというか、弱気なのか強気なのかよくわからない。
試してみないとわからないのはわかるのだけど……キミってそんなに知的好奇心旺盛な人だったっけ?なんて少し首をかしげるのだ。
物事に意欲的になったのは良い事だと思うけれど……

「精神体だとしたらそういう情報が伝達されてるだろうし、これそのものに今のところ意志のようなものはないんじゃないかなぁ……
 いや、確実とは言えないから予測でしかないけどさ?」

しかし精神に干渉する異能、と聞くとなかなか厄介なものを持っているなと思う。
物理的な干渉をする異能であれば対処はたやすいが、精神に働きかけるとなると対人効果はかなり高そうだ。
少なくとも相手の集中を乱すというのは戦いの中で大きなアドバンテージに……と、ここで損吾ことを考える必要はないかな。

「……ちなみにマコトはどんな魔物、あー……こっちではクリーチャーだっけ? が相手だとちょうどいいと思ってるわけ?」

御崎 眞 >   
「まぁ俺たちの目的は基本的には調査だからな、とはいっても
積極的な排除が推奨されてる奴らも沢山蔓延ってるらしいが」

また首を傾げたオルニスを見て、少し目を細める。

「そんなに俺が此処に居るのが不思議か?一応、まだであったばかり位の筈なんだが」

其処にあるのが単純な疑念か、知的好奇心か、それとも別の何かなのかは分からないが。
どうあれ、自分が此処に居る事に対して不思議に思っているのは流石に分かる。
確かに、不思議に思う事は間違っていないだろうし、自分の中にその気持ちが無いわけではない。
それでも、此処に居る事を選択した理由は自分なりにある。
だがそれを説明するべきか… 何て事を頭の片隅で考えつつ、話を進めていく。

「俺も汚染物質自体に意志は無い… とは思ってるが、どうなんだろうな
で、丁度いいと言ったらまぁ、動物や昆虫型だろうな、それらに効果があるのは実験で試したことがある
植物に対しては微妙な所だ、正直十分な効果があるかは怪しい、他は… 多分下手に触れない方がいいだろう」

話ながら歩いていると、がさり、と汚染された植物たちが揺れる音がする。
即座に視線を向けるが、其処には何もいない… いや、隠れただけだろう。
こんな場所で、それも汚染された植物たちの間を動き回るものが何か、バカでもわかる。

「汚染された生物は知能が高いものも多く、待ち伏せや集団での行動、奇襲も行う」

となれば、自分たちは既に、相手のテリトリーに足を踏み入れているという事だろう。

オルニス > 「初対面であれだけ怯えた様子を見せておいてよく言うよねぇ~?」

大時計塔の上で、おそらくは異能とか病気とか、そういうものの影響だろうと予測できるとはいえ、それ以上に君は世界に対してとても卑屈的にみえたし。
それに何よりまるですべてをあきらめた世捨て人のようにも見えたから。
まるでがらりと世界が変わったように、目が輝いているとまではいわないが、向き合い方が変わったように見えるのだ。
気にならない方がきっとどうかしている。

「植物にも感情はあるよ。
 幻想種ってこっちでは言われてるみたいだけど、植物が魔物になるのはつまりそういうことだし。
 まぁ、とっても効果があるかって言われたら否だけどさ。
 精神構造がヒトとはあまりに違いすぎるし……と。」

話していたら周りからがさごそと聞こえてくる物音。
向こうにはすでに発見されている、ということは今更身を隠したところで意味はない。
というか、ここはまさに荒野。
目立った隠れる場所なんてそもそもほとんどないのだ。
其れこそ小動物が隠れるような草むら程度の物で……
いや、自分にはそんなものたいして関係はないのだけど。
流石にマコトを一人残して隠れるのは気が引ける。

「……んー。
 気が付いたら囲まれてましたーってやつ?」

御崎 眞 >   
「あの時は特別気分が悪かったんだよ」

罰が悪そうに眼を逸らす、頬も僅かに赤らんでいる、かもしれない。
運が悪かった、とも言える、それに恐らくは日常に対する不安も大きかったのだろう。
今日こうして足を運べたのは、『恐怖症』の調子が良かったのと…

「… 落第街が切欠、というのは正直言いづらいんだよな」

ぼそっ、と小さく呟く。
正確には、不良に絡まれてそれを撃退し、更に悪くない出会いもあったのが切欠だ。
他者への暴力を発揮した瞬間、少しだけだが気持ちがスッ、とした部分があった。
良くない事だ、発散された気持ちと裏腹に、自身の中にあるはずの善性がそれを咎めている。
だが、それが確かに自身の状態を良い方向に抑えているのが分かる、分かってしまう。
しかしそれが延々と続く訳も無く、また気持ちが落ち込む前に、何か良い兆しを見つけたいと足掻いている。

ちなみに言えば、悪くない出会いの中には目の前のオルニスも入っているのだが。
そればかりは今言うつもりはなかった。

――呪術を習ったのも、この場所に来たのも、結局はまた『合法的に』暴力を振るってみるため。
それが本当に、自分にとって良い影響を与えうるのかを見定めるためだった。

「植物に感情があるかどうかは結構議論されてきたらしいが、あるなら俺にとっては好都合だな
とはいえ、精神構造が違う相手に十分な効果があるかは正直微妙だから、どの道…」

周囲を見れば、体が黒く汚染された動物たちの爛々と光る目がそこかしこに。
群れを成すのが得意そうな犬科のものや、ブゥウウウ、ン、と耳障りな羽音を立てる甲虫のようなもの。
先ほどまで微動だにしなかった植物たちも、一部がゆらりと蔦をもたげて威嚇するように。

「そうみたいだな、どうやら、お互い正面から当たる事になりそうだ。」

オルニス > 「あははっ、ヒトは落ち込むと高い所によく来るってのは本当みたいだね?」

状況すら厭わずにけらけらとわらってみせる。
なんにせよ気分が多少なりともよくなったのならばそれでいいだろう。

「落第街ね……別にいいと思うけどな。」

ヒトより多少ばかり五感のいいオルニスには丸聞こえで、くすりと笑う。
自分もまた落第街で悪くない出会いがあったから。
風紀委員に聞かれでもしたらこっぴどく怒られそうだけど、生憎そんな人は今ここには居ない。
気にしたところで、というやつだ。

「わたしは別に一人で逃げ隠れしたっていいんだけどね?」

そう、別に逃げられないわけでも隠れられないわけでもない。
己の、今は見えない翼を使えば造作もない。
こうなってしまっては使うほかないかな、とも思うのだけど。
流石に散歩に暗器は持ち歩いてないし。
風紀委員に荷物検査と化されたら一発でアウトってやつだ。
そういえば街中で異能を使うのもよくないんだっけ?
こんどちゃんと確認しておこう、使うつもりはあまりないけれど。

「……ま、降りかかる火の粉くらいは振り払うけどさ。」

キッ、ときつく睨むようにオルニスの目つきが鋭くなり、その桃色の瞳は真紅に染まってゆく。

御崎 眞 >   
「馬鹿と煙は高い所が好き、とも昔から言うけどな」

何にせよ、高くて景色がいい所は人を引き寄せる何かがあるのは確かだろう。
とはいえ、流石に馬鹿扱いはされたくない人が多いだろうが。

「―― オルニスは確かにそう言うだろうな」

聞こえた事に対して、対照的にはぁ、と少し照れくさそうにため息をつく。
まだ関りが薄くとも、オルニスならあそこでも十分『楽しく』やれそうなイメージがあった。
風の向くまま気の向くまま、とはよく言うが、それを実際に実行できるのもきっと才能だろう。
勝手なイメージだが、オルニスにはそれがあるように見えた。

「最悪はしてもいいが、出来るだけ二人一緒に帰れる方向で頼む
まぁ、俺も… 誘った手前、役立たずにはならないが」

ジャージを軽く捲り、二の腕に『作っておいた』瘡蓋をぶつりと剥がしながら呪いを発現させる。
増血の呪いがかかった血が溢れ出し地面に垂れ、瞬く間に血の水たまりを作り大地を汚していく。
幸いグローブもジャージも、直接『触れない』為には役に立ちそうだ。


「…  来るぞ」


此方が臨戦態勢になったのに気づいたのか、取り囲む汚染生物たちが湧きたつ。
そして我先にと牙をむき、二人の獲物へと襲い掛かってくるだろう――。

オルニス > 「……はぁ。」

弱い者いじめは趣味じゃないんだけどな。
そんなことをボソリとつぶやいた。

ギンッと紅く光る瞳で睨みつけられた動植物はほんの一瞬、怯えたようにその動きを止める。
へぇ……と内心、その一瞬しか効果がないことにいく場かの関心をして、しかしオルニスにとってはその一瞬で十分だった。
いつだって自分の居る場所はその一瞬が命を左右してきたのだから。

ばさっ……と、大きな翼が羽ばたくような音をきっとマコトはきくのだろう。
正確にはそれは、動物的な、羽毛のあるふかふかとするような翼ではない。
まさにキミが扱う呪術と同じ、血を媒介とした大きな翼をオルニスは広げていた。
その翼を構成する血液一粒一粒が、刃物のように、一つの羽のように形状を変え

「……幻想の翼(トルークビルト・フリューゲル)」

オルニスの小さな、己の異能を示す言葉と共に、翼から放たれた。
それはクリーチャーの、おおよそ動物型に対して言うならそれは生命を奪う急所と思わしき部位へまっすぐ飛んで行く。
どこまでも無慈悲な死神の鎌のように。

御崎 眞 >   
一瞬動きを止めた動植物達、そしてその瞬間に打ち出される無数の刃物のような羽達。
ぞわり、と身の毛がよだち『ながら』も、その動きに美しさすら感じていて。

「それがオルニスの戦闘スタイル、か
… いや、言ってる場合じゃないな」

刃物への恐怖と、淀みない動きへの関心がないまぜになった感情を覚えつつ、動物たちを見据える。
オルニスの翼も、360度全てをカバーできるわけではないだろう、ならば…。

ぐるん、と後ろを向けば、やはりそちらにも汚染された動物たちの姿。
そのまま腕を振るえば、手からあふれ出る血が飛沫のように空を彩る。

「――  『巨人恐怖症』(megalophobia)」

呟き、それを自身へと罹患させる、相手の姿が自分たちより小さいのならば、之は極めて有効だ。
眞の異能は自身が罹患している恐怖症を相手にも与える能力… だが、之ならば影響が出るのは相手に限られる。

オルニスと比べ、ただ撒き散らし地面に留まるだけの不格好な血の撒き方だが、触れた対象は悉く罹患する。

『巨人恐怖症』『刃物恐怖症』『暗所恐怖症』

即ち、オルニスや眞のような自身より大きい相手への恐怖と、オルニスの繰り出す血の刃への恐怖。
この瞬間まで持っていなかったはずのそれを強制的に植え付けられた動物たち。
その動きを止める、少なくとも精彩をかくのは当然の結果だろう。

「――  せ、ぇっ!」

そして、其処に容赦なく『攻撃』をしかけていく。
此方も又、武器も特殊な力がある訳でも無いためにただ蹴る等になってしまうが。
動きを止めた、恐怖症に混乱している相手に対しての一撃は、十分急所を狙うに足りるだろうか。

「… っ!」

だが、オルニスと違い、眞の場合には一つ攻撃しづらい相手が存在した。
そう、空から突進するように迫りくる鳥達である。
地面を進む動物たちは勝手に血溜まりに触れるが、鳥達はそうもいかない。
血が危険だと既に判断しているのか、眞の撒く血を避けて攻撃をしかけてくる――。

オルニス > 「本来の『スタイル』とはかけ離れてるとだけ言っておこうかな。」

こんな真正面から戦うのは不本意なのだ。
自分の攻撃の手段をさらしながら戦うなんて、昔の自分が見たらなんていうだろう。

同じように血をまき散らしながら格闘戦を挑む少年を横目に、空からの音に目を光らせる。
どうやら地上の動植物たちはこっちを恐れて近寄ってこないらしい。

仕方ない、とつぶやいてから不格好に戦っているようにも見えるマコトを脇から抱きかかえ

「そんな戦い方じゃ自分から襲ってくれって言ってるようなものだよ。」

バサッ……と大きな翼が羽ばたけば、黒い外套と合わさって4枚の翼を広げるように。
翼を持った少女は地面すれすれを水平に、まるで車で移動するような初速すら無視するスピードで飛び立った。
脇に抱えたマコトには当然風圧やら重力やらいろいろな負担がかかるだろうが。
まぁ、アレに襲われるよりは幾分マシだろう。


御崎 眞 >   
「それでこれ、か―― きっとオルニスは強いんだろうな」

羨望――なのだろうか?よくわからない。
だが、興味を持ったのは確かだ、勿論言って教えてくれるとは思えない。
そもそも自分の手の内を晒すような事、本来するべき事じゃないのだろうが。

「―― うん?」

何度か突進してきた鳥の攻撃をかろうじて躱したところで脇に手が射し込まれる感触。

「な、  ひぁっ!?」

変な声が出た、抱き上げられる、ぐわんぐわんと脳が揺れる。
初めて飛行機に乗った時のような、そんな驚きと不安、僅かな高揚感。

地面が空になっている、いや、遠くなってる。

「オルニス!? … えっと
助かった、でいいのかな… いや、いいんだろうな」

あのまま鳥に襲われていたら、その内避けきれなくなってたと思う。
再度『増血』を発動して血を空からぽたぽたと落とし、触れた動物たちを混乱させながら小脇に抱えるオルニスを見やって。

身長(172cm)に比べて大分軽い(54kg)体だが。
小脇に抱けば意外と筋肉もついている事も分かるだろうか。

オルニス > 「ちょっと重いかも……」

流石に人を抱えて飛んだのは初めてだったから、ぼそりと愚痴をこぼす。
強いか弱いかで言われれば、どちらともいえない。
そもそも強さに興味なんてないのだ。
生きていくために、必要があれば障害を取り除くだけ。
仕事となれば仕事をこなすだけ。
生存競争に敗れたものが弱かった、ただそれだけの話だ。
自分が強いと誇る意味がない。

「女の子みたいな悲鳴が出たねぇ?」

ケタケタと笑いながら、ぐんっと高度を上げて行く。
小鳥程度では追いつけないほどのスピードで、高く、髙く、雲にだって手が届きそうなくらい……
なんて、そこまで行ったら自分はともかくマコトがただでは済まないのである程度距離が離れる程度にしておいて。

「……マコト、その呪術、わたしにも使える?」

すぐには襲ってこないであろう状況で、クリーチャーの群れを見下ろしながら一つ思いついたことを聞いてみた。

御崎 眞 >   
「寧ろ抱えられるだけ凄いと思う  けど」

今日が高所恐怖症の日でなくてよかったと思う。
どんどんと地上から離れ、黒と赤に塗れた視界がコントラストを奏でて。
此処から落ちたら、多分自分も花みたいに咲く事になるんだろうな。

「――  ぇ」

女の子みたい、と言われた瞬間、体の中で何かが湧きたつような感覚がある。
不快感?いや、違う、それとは別の…
考えを巡らせようとした瞬間、ぐんっ、と上がる高度にまた脳を揺らされる。
首が勝手にぶんぶんと振られ、目を白黒させれば、体に沸き起こる感覚は収まっていて。

「… ったく、確かに俺は細いほうだけ、ど… うん?あぁ
そもそもこの呪術は他人に使うのが基本だからな
血を溢れさせて出血させたり、勢いを強めて傷を無理やり広げたり…
魔力を消耗させたりもできる… 感じ
つまり、オルニスに使うのは可能だし、魔力が無いなら俺の魔力を代わりにする事も出来る」

周囲を遠巻きに見ている鳥の感染体たちの視線を浴びながら質問に答える。
グローブには呪いを発動するための魔法陣。
之をオルニスに触れさせれば、何時でも『増血』を発動させる事が可能だと。

オルニス > 「じゃぁ今すぐ私に使って。
 見てればわかると思うけど、この翼は私の血液でできてるの。
 翼としてただ使ってるだけでも結構ふらふらするのに、あんまりさっきみたいにまき散らすのには適してないんだよね。」

そう、例えば。
本当なら、刃物のように形状を固定して手に持ったりとか。
っていうのはさすがにまだ教えないけれど。

「だから、マコトのそれがあれば文字通り雨みたいにさっきのが放てると思うんだけど、どう?」

ちなみに、あれだけ小鳥たちと仲が良かったのに、思うところはないのかとか尋ねられるとしたらそれはきっとNOだ。
自分の命を狙ってくる時点でそれはもう敵になったのだから、情けも容赦もかける必要性は感じない。
多少、あとになって少しばかり落ち込むかもしれないけれど。
それはそれ、これはこれだ。

御崎 眞 >   
「―― 成程、なら、ちょっと触るぞ」

二つ返事でオルニスの… 背中に触れて呪いを発動する。
本来は相手の抵抗やら何やらも関わってくる部分だが。
今回の場合オルニスが受け入れる姿勢を見せてくれているから問題ない筈だ。

「どうだ?」

効いたのならばオルニスは体が湧きたつような感触と共に、体内の血がゆっくりと増えていく。
怪我がないならそれは血管を圧迫する危険なものだが、逃げ先があるオルニスには問題ないだろう。
ちなみに消費する魔力は眞が賄っているため、疲労や脱力と言ったものも感じない筈だ。

「… 之でバケツ半杯分くらいの血が増えるはずだ」

量にして凡そ4~5リットル。
オルニスの翼と血液の変換効率次第だが、人間一人分の血液でどの程度の力が行使できるか。
そう考えればわかりやすいだろうか?

オルニス > 「ん。」

振れる背中は血に濡れている。
それは確かにオルニスの体内から流れ出ているようで、きっと戦闘が終われば大怪我をしたかのような服の惨状になっているのだろう。
普段から外套で背中を隠しているのにはそういう意図もなくもない……

「うん……だいぶ、いいね。」

また、翼を大きく羽ばたく音が鳴る。
翼は先ほどよりも大きく、二人を包めるほど巨大になって。
大きく面を広げるように伸ばして、伸ばして、伸ばして。
地面に影を落とす雲のように。


「じゃぁ……さよなら。」

無機質にも聞こえる別れを告げる言葉と共に、陽の明かりを透かして紅く輝く翼から、まさしく雨のように無数の刃が地上に放たれた。
鳥類のように鋭い瞳は、はるか眼科の小動物へすら狙いを違うことは、きっとないだろう。

御崎 眞 >   
眞もまた、自身の腕から血を大量に零しながら戦っていた身だ。
つまりはお互いの血でべっとりと濡れる事になる訳だが、今は余り気にならなかった。
それよりも自分を抱えながら見下ろすオルニスの姿と、まるで審判を下すかのように広がっていく翼。

「っ、…  はぁ」

呪いの発動による魔力の消耗に軽く息を漏らしながら、それを見守る様に。
無慈悲に振り下ろされる血の雨と刃に、今度こそ身をすくませる。
だが、それでも目を逸らす事は無かったのは…。
自身もこの一撃に関わっていたのだという責任も感じていたからかもしれない。
だが本能的な『恐怖心』故か、抱えられた体がびくっ、と小さく震えた。

そうしてまるで雷雨のように降り注ぐ刃の跡に、動くものは文字通り一匹もいない事だろう。

「… 他に動いてる奴はいなそうだな、違和感とかは無いか?」

それでも念入りに目を皿のようにして眼下を見下ろしながら、一つ息を吐く。
一応オルニスの事も気にかけるように声をかけるが、まぁ小脇に抱えられたままである。
余り恰好がついているとは言えないだろう。

オルニス > 「うん、たぶんね。」

真紅に染まっていた瞳は元の優し気な桃色に戻ってゆく。
鋭い目つきもいつものゆるいものへと。
オルニスにとってのスイッチの切り替えのようなものなのかもしれない。

サイズがだいぶ小さくなった翼をバサリ、バサリと羽ばたかせながらゆっくり下降してゆく。
こんな無茶は一人ではできないな、なんて思いながら。
脇に抱えた少年を見た。

「……そんなに怖かった?」

高い所苦手だったかな?
大時計塔にいたけど、なんて首をかしげる。

御崎 眞 >   
地面に近づいていっても動くものは無い、死んだふりも無さそうだ。
ただ無慈悲な刃に貫かれ、赤く染まった動物たちがあるだけ。
黒い汚染物質と血が混ざりあい、どろどろと周囲に溶けている。

「之の一部で希釈実験してみるか… 」

何て呟きつつ、近づき地面に多少の懐かしさを感じている。
人と言うのはやはり、現金なものだなぁ、何て気持ちが湧きあがった。

「いや、大丈夫だ、飛ぶのも最初は驚いたが、悪くなかった」

怖かった?というオルニスの言葉には首を振る。
刃物恐怖症の事を言うかどうか迷うが… 今のところは伏せておこう。
異能についての説明もそうだが、今敢えて言う必要も感じないし。
代わりに少しだけ笑みを作って見せる。

「何だ… 最後の、凄かったな、オルニスがいて助かった」

生き物を殺してから笑う、何て本来『良くない事』何だと思うのだけど。
さっきのオルニスの姿を綺麗だな、何て思ってしまったのは紛れもない事実だった。

オルニス > 「よくそんな気力がわくよねぇ……普通の人が見たら絶句ものだよこれ。」

まさに大惨事である。
別に言い訳をする必要もないけれど、もし一般人が見たらどんな言い訳もできる予感がしない。
今回は調査依頼だし、まぁ問題はないだろう。
掃除する人がいるんだろうなぁとおもって、その人にはごめんなさいを心の中で言っておいた。

「そう、ならいいんだけど。」

腕の中でビクビク震えていた気がしたけれど、きのせいだったろうか。
恐怖じゃなくて寒かったのかな、とやっぱり首を傾げてはいたけれど。

「……まぁね。 でもマコトが助けてくれなかったらあんな派手なことできなかったから。
 お互い様でしょ。」

にへら、と笑って見せる。
いつもなら仕事の後は一人だったけど。
こういうのもたまには悪くないな、なんて。

御崎 眞 >   
「まぁ… 血自体は慣れてるから」

ぽつりと零す、そういうオルニスもその『普通』ではないだろう。
とはいえ、自分が慣れている理由は、オルニスとは異なるものだろうけれど。
しかし、割と派手に暴れた形になったな何て考えて。

「いいんだよ、お互い無事だったし」

取り繕うようにしながらも、ぐいっ、と小脇に抱えられたまま視線を上げる。
色合いが戻った桃色の瞳を何となく覗き込むように見つめる。
先ほどの真紅の瞳とは違い、何処か落ち着くような目とほわんとした表情。

「… お互い様か、久々に聞いた気がするな、そんな言葉」

緩い笑みが何処か心地よい、鼻先に漂うのは血の匂いだというのに。
… こういうのも悪くはないかもしれない、抱えられているのは兎も角として。
そのまま地面に降り立つのなら、もう一度礼を言いつつ自分の足で立つだろう。

オルニス > 「ふぅん……?」

まぁ、確かに呪術で増血なんてものを選んだ時点である程度慣れてはいるのだろうけれど。
こっちの世界ではなんだか少し珍しいような気もする。
だって表側の世界はあまりにも平和すぎて、ちょっとあくびが出そうなくらいだから。

「……ん?」

見つめられればへにゃと笑って見せる。
どうかした?と首をかしげて。
抱えているオルニスはといえば細身でしなやかで柔らかい。
確かに筋力はあるはずなのだけど、ほとんどそれを感じさせないだろう。

そのまま地面に降り立てば、そっとマコトを離す。
流石に血の匂いがひどくて鼻の前で手をぶんぶんを振った。
今日はお肉が食べたいな……

「やっぱりぼっちなんだ……」

御崎 眞 >   
「色々あるんだよ、お互いそうだろ?」

肩を竦めて、口元を笑わせて見せる、意味深な仕草、と言う奴だ。
軽く手首を回して鳴らすようにしながら、ふっ、と目線を下の鮮やかな血だまりに向けた。

「―― 」

へにゃりと笑う仕草はやはり自然なもので、オンオフの激しさも彼女らしさか。
或いは、それが必要になる世界で生きて来た、と言う事なんだろうな。
体に振れるしなやかな柔らかさが何故かくすぐったく感じてしまう。
首を傾げた彼女から思わず目を逸らして、気持ち(心地よい)が読まれないように。

「いや、だからそこでボッチは… まぁいい
取りあえずサンプルを回収して… 試したら一度帰還しよう
無理をする必要は無いし、何か情報を得られたら共有するのは基本だからな」

地面に降りて深呼吸すると、胃の中に血の匂いが入り込んでくる、思わず咽そうになった。

「… 時間も結構経ったし、帰り、何処かで食べていくか?」

オルニス > 「かっこつけてる……?」

そのポーズするなら髪の毛切った方がよくない?
とこっちも若干苦笑いだ。
ニヒルを気取った寂しんぼみたいだ……

「サンプルを回収……ね。
 汚染されないようにするんだよー。」

自分はやりませんと遠回しの発言だった。
今回はお手伝いだしまぁ良いだろう。

「お肉食べたい!!!」

血の匂いでむせ返りそうになる相手に対する気遣いはそこには存在しなかったのだ……

御崎 眞 >   
「違うが…!」

其処は嘘でもある程度スルーしてほしかったな、とは思うが。
之もオルニスのマイペースさ故だと割り切ろう。

「分かってる、此処まで来て下手は起こさないさ
流石に間抜けすぎる事になる」

まぁ之はこっちが勝手にやればいいだろう。
戦闘では主に頑張ってもらったし、これくらいはしないと立場が無い。

「――あぁそう、まぁいい感じに仕留めたしな…
ならそうだな、食べ放題にでも行くか?しゃぶしゃぶとか」

軽く額に手を当てる、周囲の動物たちが汚染されていなければ、ある意味大量の獲物の狩り跡とも言えるのか。
肉… 食べるまでに時間を置くとはいえ、流石に焼肉屋は勘弁してもらいたいな。
何て考えて妥協案を提案する、せめて野菜もたっぷり食べれる所にしてもらいたい…!