2024/11/30 のログ
ご案内:「Free2 未開拓地区 封鎖ゲート前」に追影切人さんが現れました。
追影切人 > 「……いきなり指令が来たと思ったら…んだよ、汚染区域の”中”じゃなくて”外”の仕事かよ。」

なんて、文句を垂れながら気だるそうに慌ただしく動く周囲を眺める隻眼の男が一人。
風紀の制服の上にファー付きの黒い革ジャンを着込み、背中には奇妙な『刀』を斜めに背負っている。
その刀も、鞘なんて物は無く…乱雑に刀身に布が巻かれただけ。隙間から橙色の刀身がちらりと垣間見える。

「…風紀と生活と…鉄道の連中が主に出張って…あと、保健と…祭祀の連中もちらほら居るな。」

制服や身のこなしなどから、慌ただしく動いている連中を眺めながら呟く。
さて、何でこの男がここに寄越されたのかといえば…男も実はよく分かっていない。
多分、いざ封鎖ゲート前でトラブルがあった時の”対処要員”の一人…なんだろうと思っている。
むしろ、それくらいしかここで出来る事が思い浮かばないのだからしょうがない。

(…てっきり、汚染区域の中に単身放り込まれて汚染されたのを片っ端から斬れ…とかだと思ったんだがなぁ。)

追影切人 > 周囲は物資の搬入や整理、汚染された人員の隔離施設への搬入などかなりゴタゴタしている。
知った顔もちらほら見るが、大半が矢張り知らない顔ばかりだ。
男はといえば、山積みになった物資の一部に背中を預けてダラダラ人間観察もどき。
一応、邪魔にならないように男なりに最低限の気遣い?はしているつもり。

「―――あン?」

と、何やらトラブルが起きたらしい。物資の運搬中に重機が別の物資の山に当たって崩れた模様。
何やってんだありゃ…と、呆れたように隻眼でそれを眺めていたが。

「……チッ!」

面倒臭い、と言い掛けて舌打ち。おもむろに背を預けていた物資から離れて荷崩れした方へと歩き出し。
見た感じ、荷崩れはしたが中身の方は…頑丈なコンテナタイプなのか、案外無事そうだ。まぁそれでもこの荷崩れを元に戻すのは大変そうだ。

追影切人 > 「――おい、オマエ等全員ちょっと離れてろ。…あ?俺?…見ての通り風紀だよ風紀。」

いちいち名乗るのも面倒なので、風紀の制服と腕章をぞんざいに示して身分証明。
取り敢えず、しっしっ!と手で周囲を追い払う仕草をしつつ、荷崩れしたコンテナ群の前に立つ。

「…取り敢えず元の状態に積み上げりゃいいか…。」

呟けば、背中の『刀』に手を伸ばす…事はせず、何やら測るように確認を始める。
それから、少し位置をズラすように数歩歩いてから、大体この辺りかと目星を付けて。

「…おい、そこの鉄道委員会の。これ、コンテナは結構頑丈だよな?」

と、何やらやる前に一応確認を手近で見守っていた鉄道委員の少女に声を掛ける。
どうやら、運搬中にこの荷崩れをしでかしてしまったのは彼女らしい。
男の強面?な見た目や雰囲気に気圧されているのと、やらかした直後だからかおっかなびっくりな態度。
『は、はい…かなり頑丈な…筈…です…。』と、見てる方が気の毒になりそうなくらい顔がやや青い。

「…別に、やらかしなんて誰にでもあんだろうがよ。報告書とか始末書はまぁ…責任って事で頑張れや。」

なんて、ぞんざいな…一応は励ましの言葉?らしきものを鉄道委員の少女に向けてから一息。

追影切人 > 「――そら…よぉっ!!」

いきなり、右足を振り上げたから思えば…男は地面を蹴り付ける。
ただ、それだけの行為――直後、周囲に振動が走る程の衝撃が発生した。
しかも、頑丈且つ重量も物資がぎっしり詰まって相応にある筈なのだが…。
コンテナ群の全てが衝撃で舞い上がり…更に空中で見えない微細な衝撃で位置をコントロールされながら落下。

結果、それなりに派手な音を立てたりはしたが、見事に元の位置にコンテナが積み上がっていた。
…別に何のことは無い、異能の応用というか小細工を利かせただけだ。
正直、こういう事で使う気も無かったのだが…まぁ、こういう使い方も出来る、という事。

追影切人 > 「…終わったぞ。次からは気を付けろよ鉄道委員。やらかしは誰にでもある――が、同じヘマはすんな。それくらいのプライドはあんだろ。」

なんて、周囲と一緒にやや唖然としている鉄道委員の少女に声を掛けつつ、その肩を軽くぽん、と叩いてから歩き出す。

『あ、あの…!あ、ありがとうございました!…わ、私、鉄道委員会の…『渡守冴姫』といいます。お、お名前だけでも…。』

「…あぁ?……風紀の追影切人だ。礼とか別に要らんから、オマエはオマエにしか出来ない仕事しとけ。」

と、件の鉄道委員の少女に声を掛けられれば、一度ゆっくりと足を止めてから気だるそうに振り返り。
矢張りぞんざいにだが名乗りと重ねての激励?をしつつ、右手をかったるそうにゆらゆら振ってその場を離れる。
さっきの場所だとまた何か声を掛けられそうなので、ちょっと違う場所に移動して一息。煙草吸いてぇ…。

「…ああいうのはどうも苦手だ…。」

追影切人 > こういう人助けなんて、昔なら傍観してるか我関せず…だった筈だ。
助けたとしてもそれは仕事の範疇で、そこに感情は特に無かったし面倒臭いだけだった。

が、今さっきの人助けは…別に男が出張る必要は無かった筈だ。他の誰かが対処も出来ただろう。
それなのに、何か自分でも分からないが勝手に足が動いて勝手に後始末していた。

「…自己満足みてぇなもんだし、礼を言われる事でもねぇしな。」

どっちにしろ、あの渡守?とかいう鉄道委員の少女は報告書書いたりとか上司から叱責は喰らうだろうし。
まぁ、何か頼りない感じはしたが、責任感は強そうだし同じヘマは多分しないだろう。

「………あ~~……成程…少し分かった。…これが感情とか心境の変化…みてぇなもんか…?」

追影切人 > 思い返すと、何だ…変な満足感というかこそばゆさというか…よく分からんが、何か慣れないし落ち着かん。
無意識に頭をがりがりと掻いて、やっぱ煙草吸いてぇ…と、ぼやいた。
喫煙スペースは一応ある。物資には可燃性のものとかもあるから、安全も考えてかなり隅っこだが。

ちらり、と隻眼でさっきの場所を伺う。どうやら自分が元の位置に戻したコンテナの点検をしているようだ。
派手に荷崩れしていたので、コンテナだけでなく中身の物資もアレだが…。
見た感じ、開かれたコンテナの物資はどれも梱包がきちんとしていそうだし、多分被害は少ない…と思われる。
つい、無意識にやれやれ…と、溜息を零した。零してから顔を顰めた。何からしくない。

「…凛霞とかレイチェルの奴に見られなくて良かったわ…あの性悪教師とか絶対に弄ってくるだろうしな。」

ちなみに、名前を名乗ってしまったのと、証言も多数あるので後日彼の監視役さんにもお礼の連絡が行くのだが…
この時点で男はそれを知らないし、名前を名乗った失念にも気付いてなかった。つまり後にバレる。

追影切人 > 「――ま、こういう事を考えてる時点で明らかに鈍ったのに違いはねぇか…。」

だったら研ぎ澄ますだけだ。今までと違うやり方で。かつての自分を超える為に。
感情無き刃ではなく、感情を抱く刃として。…なんて、格好付けにも程がある。

「…ま、あっちの後始末は鉄道委員に任せて…やっぱ一服しに行くか。」

気分転換、とかそういうやつ。さっきの連中に声を掛けられる前にさっさと移動開始。
まぁ、人助けなんてやっぱ柄じゃないな、と思うのはこれは性分なんだろうな、とか想いながら。

――喫煙スペースで煙草を忘れた事に気付き、貰い煙草をしたのは別の話である。

ご案内:「Free2 未開拓地区 封鎖ゲート前」から追影切人さんが去りました。