2025/01/03 のログ
ご案内:「常世神社-昼間-」に追影切人さんが現れました。
ご案内:「常世神社-昼間-」に桜 緋彩さんが現れました。
■追影切人 > 現在、1月3日の昼を少し回った辺り…何時ぞやのクリスマスのお返しに、こちらから誘った初詣。
三箇日の最終日とはいえ、参拝客の数はそれなりだ…もう少々遅い時間帯にするべきだったか。
「…しかし、振袖やら和装の奴がやっぱ多いのな…。」
常世神社の境内に続く石段の下、隅の方に座り込んでダラダラと待機している私服姿の隻眼男。
座り方とか見た目とか、色々チンピラぽいので変な目でちらちら見られたりもする。
…が、本人は長年そういう目で見られてばかりなのでとっくに慣れたものだ。
「…ぼちぼち時間か。」
気怠そうに座り込んでいた姿勢からゆっくりと立ち上がる。あまり寝てないのか欠伸を噛み殺し。
■桜 緋彩 >
「お待たせいたしました追影どの」
そんな和装の人々の群れから掛けられる声。
石階段に座っている彼にぱたぱたと駆けよって、一礼。
いつものぴしりとした武道的な礼ではなく、もう少し柔らかい感じのそれ。
「明けましておめでとうございます。
しかし階段に腰かけるのは少々行儀が悪いですよ?
人もそれなりに多いのですから」
人差し指を立ててちょっとお説教じみた言葉。
■追影切人 > 「…おぅ……ってか、仕方ねぇだろ。参拝なんて今までした事ねーんだからよ…。」
神社仏閣への参拝などに辺り、そこらの知識や礼儀作法はサッパリ分かっていないのだ。
今まで避けてきた場所でもあるので、何かしら心境の変化はあったのだろうが…。
ともあれ、新年そうそうお小言を同僚兼友人から貰えば、苦い表情を浮かべつつ。
「…まぁ、取り敢えず…あけましておめでとさん…って事で。
んで、参拝って他に何か守らなきゃいかんルールみてぇなのってあんのか?」
明らかに桜の方がそういうの詳しい、というか少なくとも男よりしっかり理解してそうなので。
あと、改めて桜の振袖を眺める。苗字の通り桜色の柄だ。まぁ素直に似合うと思う。
「…悪くねぇな。ただ、振袖つぅか和装ってアレだ。
…体のラインが出易い?とかで特に女は大変とか前に聞いた気がすっけど。」
■桜 緋彩 >
「参拝以前に、人通りの多いところで座り込むのはみっともないですよ」
全くもう、と言った感じの顔。
しかしすぐにいつもの表情に戻って。
「特別なルールはあまりありませんよ。
人の迷惑にならないように、騒ぎは起こさず。
二礼二拍手一礼とか鳥居の真ん中は通らないとか、まぁそう言うこまごましたものもありますが……」
あまり深いことを考えずに、礼の心を持っていれば大丈夫だ。
余りルールに囚われすぎるのもそれはそれでよくない。
「ありがとうございます。
そう言うわけでもないと言うか、むしろ出ないように補正しますね。
出ているところは締めたり、引っ込んでいるところには色々詰めたり」
自身も、いつもの格好に比べればだいぶ凹凸は抑えられているだろう。
そのおかげで結構苦しかったりはするが、まぁ結局は慣れである。
■追影切人 > 「…そもそも人が多い場所もそうだが、こういう空気の場所がいまいち苦手なんだよ…。」
なら、何故初詣を提案したのかこの男は。まぁ一度くらい訪れてもみるのもいい、という軽い気持ちもありつつ。
…去年が男にとって変化の年でもあったので、新しい年を迎えて少しまた己に変化を付けようと思い立った次第。
単純に、クリスマスの誘いのお返し、という意味合いもあるのだけれども。
「…うわ、面倒臭ぇ…礼の心…ねぇ。敬意とかそういうのだろ?」
細かいルールもそうだが、この男にきちんとした礼節の心得があるのかどうか。
多分殆ど無い――【恩人】や周囲のお陰で多少はあるかもしれないが。
もしかしたら、これが最初で最後の参拝になる可能性も大いに在り得る。
「……どのみちそれはそれで苦労するんじゃねぇか。」
あまりジロジロ見たりはしないが、凹凸が豊富な同僚なので、締め付けとか色々苦労してんじゃねぇかな…。
口に出すと流石にセクハラじみているのは理解してるので、そこは黙っておくが吉。
「…まぁ、ぼちぼち行くか。この調子だとどうせまだまだ込みそうだし、今の内に済ませようぜ。」
■桜 緋彩 >
くすりと笑う。
苦手な場所なのに、こちらを誘って行こうとしてみた、と言うのがなんだかおかしかった。
「普段街中を歩いている時と同じですよ。
人の迷惑にならなければそれで大丈夫です」
難しいことは考えず、人に迷惑を掛けなければそれでいいのだ。
いつも通りにしていればいい。
「ええ、まぁ。
ただ歩くだけならともかく、屈んだりとか振り向いたりとかは結構つらいですね」
困ったように笑って。
猫背な人でも和服を着ればある程度姿勢が良くなるくらいには。
背中なんて丸めてられないのだ。
苦しいから。
「はい、かしこまりました」
頷き、彼の後に着いて石階段を上っていくだろう。
■追影切人 > くすりと笑われた。何が可笑しいんだコラ、と言いたげに半眼で見遣るがそれで動じる相手でもない。
そもそも、こういう男の態度は彼女も慣れたものであろうし…つまり平常運転。
「…つまり、変に気を張るとか慣れねぇ肩が凝りそうな事をする必要はねぇって事か。」
それは良かった、と一息。神聖な雰囲気が苦手なのは、厳かなあれこれもありそうだ。
こう見えて、一応かろうじて風紀の端くれなので、最低限迷惑を掛けない事は心得ている。
「…つまり、何時ものノリで動こうとするとキツいって訳だ。
まぁ、そんな動きする必要もねぇだろうけどな。」
風紀の仕事や手合わせみたいに、跳んだり跳ねたり走り回る訳でもなし。
ともあれ、石段を二人で登り始めるが…平気そうとはいえ、少し窮屈な状態なのは分かる。
なので、本人はあまり意識していないが石段を登る速度は彼女に合わせていた。
まぁ、桜が普通の速度でガンガン登れるならそれに合わせるんだけども。
ややあって鳥居の前に到着、このまま境内に入っていいんだっけか?と、首を傾げて。
(まぁ、最低限の礼節だけありゃいいだろって事で。)
なので、本当に少しだけ一礼をしてから境内へと足を踏み入れようとする。
■桜 緋彩 >
「ええ。
いつも通りで大丈夫ですよ」
冠婚葬祭のような形式が大事なイベントでもないのだ。
自然体で人に迷惑を掛けなければ充分である。
「そうですね。
何かが起きなければ、何も問題はありません」
ふふ、と笑いながら。
まるで何か起きた時はお願いしますね、と言わんばかりの笑顔。
流石にいつもの速度は出ないが、それでも危なげなく階段を登る。
慣れていると言った感じの様子だろう。
こちらも彼と同じように、鳥居を潜る時に軽く会釈しながら。
■追影切人 > そもそも、冠婚葬祭とも全く縁が無いのだが。
何せ身内なんて居ないし…いや、それっぽいのが一人居るが絶賛消息不明生死不明だ。
周りのダチや風紀の同僚の冠婚葬祭もあまり聞いた事が無い。
「…おい、止めろコラ。それこそ”縁起でもねぇ”だろ。」
何で笑顔で不吉というかフラグ立ててるんだコイツは。
ともあれ、境内に入れば物珍しそうに周囲を軽く見渡す。
本当に訪れた経験が無いのが丸分かりな態度である。
「…で、お参り取り敢えずすりゃいいんだよな?やり方つぅか手本頼むわ。」
参拝客が少々立て込んでいるので、一応ちゃんと並ぶ形になりつつ。
とはいえ、元旦とかに比べたら全然込み合ってはいないだろうし直ぐに順番が来るだろう。
■桜 緋彩 >
「大丈夫ですよ。
何か起きた時でも、頼れる風紀委員がここにいるじゃないですか」
にこにこと笑顔のまま。
流石に新年早々境内で騒ぎを起こす者もいないだろう。
新年早々銀行強盗しようとしたヤツはいたが。
「そうですね、まず手水舎で手と口を濯ぎましょう」
参道の脇にある手水舎。
並ぶ前にそちらに移動し、柄杓で水を片手ずつ洗ったあと、手に取った水で口も濯いで。
改めて列に並び、
「順番が来たらお賽銭を入れて鈴を鳴らして、二礼二拍手一礼、二回頭を下げて二回手を打ち最後にもう一度頭を下げる。
と、言われていますが。
別にその流れじゃなくてもいいです」
一通り説明した後、それを全部ひっくり返す言葉。
「二礼二拍手一礼ではなく二礼四拍手一礼とするところもありますし、神社によって違ったりもします。
そもそも初詣と言うのは自分が住む地区の神様に対するご挨拶、と言う行為です。
なのでその気持ちがあれば作法はあまり気にしなくていいと私は思いますね」
■追影切人 > 「……あのな、俺は風紀である前に監視対象なんだが…?」
と、いうか監視対象だから風紀に入れられてる、という感じなんだけども。
とはいえ、何だかんだ数年風紀に所属しているので、良くも悪くも慣れてしまったが。
あと、”頼れる”風紀委員というのは俺じゃなくて他所に回せや、とか思ってる男。
ちなみに、銀行強盗の件は何かちらっと聞いた。鎮圧したのが桜というのはその後に知ったが。
「…手と口を濯ぐ…アレか、つまり簡易的な禊って解釈でいいのか?」
知り合い、というか監視対象にその手に詳しいというかドンピシャな奴が居るから何となく。
それはそれとして、桜の行動を真似て手と口を濯いでから改めて男も列に並び。
「…賽銭を入れて、鈴鳴らして、二度礼をして二度拍手して一礼…。」
うわ、やっぱ面倒臭ぇと露骨に表情に出ているが、多分男は分かっても隠そうとしないだろう。
実際、そういうの全然した事もする気も今まで無かったので。まぁここは神社だ。
つまりは、郷に入らば郷に従えみたいなそれだと思っておこう。
―—いや、丁寧に説明したかと思ったら最後にちゃぶ台返ししやがったぞこの女。
「…そういうもんかねぇ?まぁ堅苦しく無いのは俺にとっちゃありがてぇけどよ。」
基本チンピラもどきなので、礼儀礼節にはいまいち疎かったり苦手なのは何というか解釈通りみたいなもの。
さて、そうこう話していたら自分たちの順番が回ってきそうだ。
■桜 緋彩 >
「ですが風紀であることには変わりはないでしょう?
今日の私はこの通り動けませんからね、頼りにしておりますよ」
くすくすと揶揄うような笑顔を向ける。
強さで言えば、今ここにいる人物で一番頼りになるのは彼なのは間違いないと思う。
少なくとも、自分にとってはそうだ。
「禊、そうですね、そんな感じです。
結局は行為と言うのはその人の内面の表れですから。
表面的にだけ礼節を装っているつもりでも、心の中で見下していればそれは態度に表れますし、逆も然りだと私は思います」
やはり大事なのはどう思っているか、だろう。
それを表現するのは見た目と行動ではあるが、本質はそこではない、と。
そうこうしている間に順番が来たので、財布から五円玉を取り出して賽銭箱の前に。
硬貨をそこへ投げ入れ、鈴を鳴らし、二回礼をする。
続けて二度手を鳴らし、最後に一礼。
なんだかんだ言いながら綺麗に二礼二拍手一礼をこなして見せ、心の中で神様にご挨拶をした。
■追影切人 > 「…少なくとも、俺が知ってる桜という女は有事になったら着物が破れても全力で動く女だが?」
その笑顔に半眼を返す。しかし何か俺への評価が地味に高い気がする。一応弟子入りしたからか?
ちなみに、稽古に関しては仕事や学業の合間に意外ときちんと参加している。
とはいえ、”例の任務”があるので参加頻度は少し減るのは否めないが。
「…誘ったのは俺だがよ…態度以前に心持ちがもうアウトな気がしてきたわ…。」
異世界のも含めて、神格が割とそこらに紛れ込んでたり堂々と居る島だ。
神が居るのはまぁいいとして、そこに敬意とかあるかと言われれば正直”NO”だ。
…とはいえ、見下している訳ではない。ただ…ピンと来ないものはある。
ともあれ、一先ずは先ほど彼女に教わった通りに、ついでに彼女のやり方を確認しつつワンテンポ遅れて同じ事をする。
特に願う事は無い――強いて言うなら、まぁ…願うなんて柄でもねぇけど。
(…あの、七人の”馬鹿”共が今度こそきちんと成仏を迎えりゃいいか、くらいだな。)
自分の為に願う事は無い、誰かの為に願う事は無い。…今はまだ。
願うのはあくまで気休め――斬り拓くのは自分の手で成し遂げないといけない。
だから、後はただ男なりに神様にご挨拶、をキメてから一息と共に。
「取り敢えず参拝はこんな所か…後は何かしなきゃならん事とかってあんのか?」
後ろが閊えるのもあれなので、二人で横に歩いて譲りながらそんな問いかけを。
■桜 緋彩 >
「よくご存じで。
ですが今日のこれは母上から譲り受けた大事な着物ですから」
大体その通りの女ではあるが、そう言う大事なものなので破くわけには行かない。
評価が高いのは実際に剣を交えたからと言うのもあるだろう。
これまでの人生で剣を交えた相手の中でトップクラスに位置している。
「こんな島ですからね、悪神邪神の類も闊歩しておりますから。
気持ちはわかりますが、まぁそう言う儀式と言うことでどうか一つ」
色々言ったが、初詣――と言うか参拝と言う行為自体形骸化している面は否めない。
実際神事と言うよりイベントごととして楽しんでいる生徒の方が多いだろう。
ともあれ暴れまわる不届き者が出ることもなく、無事に参拝は終了。
他に何か、と言われて彼の方へ振り返る。
「ええ、勿論ございますとも。
初詣に来たならば必ず行っておかなければならないこと、それは――」
ば、と境内に広がる「それ」を手で示し、
「縁日の屋台巡りです!」
もっとおみくじとかあるんじゃないかな?
■追影切人 > 「…何だ、身内からの譲りモンか…そりゃ確かに破くのはアレだわな。」
納得した、とばかりに。その辺りは感情を学びつつあるせいか、少し理解はできる。
そして、自己評価が低い…のではなく無頓着なせいもあり、同僚兼友人からの高評価にピンと来ていないのである。
「…わーってるよ。言い出したのはそもそも俺だからな。神様がご機嫌斜めにならん程度の礼は尽くす。」
苦手だが、経験しておくのは決して無駄にならない。
参拝が終了して、さて何をすればいい?となるのはこの男が参拝の後のお約束とかを知らないからだろう。
「――あぁ、もしかしてアレか?籤引き――いや、そっちかよ」
おい、俺の納得を返せ。再び半眼になって桜を見遣りつつも隻眼で屋台を見渡す。
まぁ、こういう祭会場みたいな屋台の列でしか食べられない物も結構あるにはあるが。
■桜 緋彩 >
「とは言え仮に追影どのが腕を斬り飛ばされたりしたならば、袖の一つや二つ引きちぎって止血に使うぐらいは致しますよ」
形あるものいつかは無くなる。
それよりも友人の治療の方が大事だと笑いながら。
そう言うことにならないのが一番ではある。
「神様ですから、多少のことでは臍を曲げたりはしませんよ」
とは言うものの、日本神話とか見ているとそうでもないかもしれない。
まぁ何にしてもクリスマスとかバレンタインデーとかと同じ季節イベントに成り下がっている感は否めないので大丈夫だろう。
相手は神さまだし。
たぶん。
「え、あ、くじ引きですか。
引いておきます?」
ちょうど後ろに販売所がある。
そう言えばそんなのもあったな、と言った態度の花より団子な女であった。
■追影切人 > 「――いや、ここで腕を飛ばされるとかなったら色々終わってるだろ…無い訳じゃねぇだろうが。」
と、いうか腕を自分から斬った事あるんだけど、そこは桜と知り合う前なので黙っておこう。
今は流石にそこまでの無茶は――まぁ時と場合によってはするか。あまり変わってねぇ疑惑があるな俺。
「…神様ってのは気紛れでもあるんじゃねーの?神話とかそういうので色々違うだろうけどよ。
少なくとも、気が長い髪様ってのは――それはそれで厄介だと俺は思うわな。」
何か罰当たりな事を口にしてる自覚はあるが、変に誤魔化すよりストレートに口にするタイプである。
籤引きについては、「あぁ、別に引かんでもいいって。運勢占いとか好きじゃねぇし。」と、即答。
しかし、参拝が終わったらいきなり食い物とかコイツやっぱり健啖家というか食いしん坊というか。
「…んじゃ、屋台見てくか。」
桜がうずうずしてそうなので、参拝はここまでにして屋台巡りの流れに突入する。
■桜 緋彩 >
「確かに、そうなれば着物がどうとか言っている場合ではありませんね」
彼のような実力者が腕を飛ばされるような事態は相当な非常事態だと思う。
着物どころか辺り一帯大惨事になっているだろうし、そうなれば着物が破れることなど気にしている場合ではないだろう。
どんな事態を想像し、一周回って逆にちょっと笑えて来た。
ちょっと不謹慎だと思いつつ、ほんのちょっとだけツボに入ってしまったようだ。
くすくすと笑いが漏れる。
「その辺りは神様に寄るでしょう。
荒御魂と呼ばれる神ならばその辺りは敏感と言うか、すぐに祟ってきそうですし。
逆に温厚な神ならば――ええと、なんと言うのでしか、ニニギタマ……?」
はて、と人差し指を顎に当て、首を傾げる。
ニキミタマのことを言いたいらしい。
「かしこまりました、ではどこから行きましょうか」
どこから、と言いながら、足はもう既に一番近くのたこ焼きの出店へ向かっている。
参拝に向かう時と比べて一割増しほどの歩みの速さ。
■追影切人 > 「…いや、そうじゃなくてだな…まぁいいや。」
何かちょっと思ってた返答と少し違うと言うかズレを感じたけどまぁいいか。
それはそれとして、何で笑ってんだ桜は。今の会話で何か笑いのツボになる所あったか?
まぁ、基本真面目な奴だからこのくらい砕けていた方がいいのかもしれない。
「…祟りねぇ。俺の異能が制限無かったらそういうのもぶった斬れんだけど…あと、それ違うんじゃね?
ニニギってのは確か…瓊瓊杵尊だろ。日本神話の神の。」
正しいアレは男も分からないが、変な所で博識というか意外にスラスラと語る。
まぁ、これも某監視対象の知己から何時か聞いた知識か話だったかもしれない。
「――そう尋ねる前に歩き出してんじゃねぇか。別に桜が食いたいモンでいいぞ。」
と、呆れ半分苦笑半分で彼女に続く。気のせいかさっきより歩みが速いぞ。
■桜 緋彩 >
ひとしきり笑ったあと、ふうと息を吐く。
「ニニギノミコト。
神様の名前と言うのはわかるのですが。」
生憎とそう言った知識があまりない。
なんとなく日本神話の神様の名前だな、と言うことぐらいしかわからない。
それはそれとして焼きそばの屋台の列に並ぶ。
「そう言えば、追影どのに聞きたいことがあるのですが。
先日友人と霊体を斬る方法と言う話で少し盛り上がりまして。
その感覚と言うか、物体を斬る時と何か感覚の違いはありますか?」
頭二つ分ぐらい背の高い彼を見上げながら。
彼の場合技術で斬ると言うよりは「そう言う存在」だから斬れる、と言う感じだろうが。
それでも実際に出来る人の感覚は結構ヒントになるかもしれない。
焼きそばの良い匂いがする。
■追影切人 > 「俺も名称と大まかな事しか記憶にねぇけどな。
あー…アイツなんて言ってたっけ?…【地神五代】の三代目で…【日向三代】の初代だったかな。神武何とかの曽祖父…らしい。」
名称だけかと思いきや、かろうじて何か教わった記憶はあるらしい。まぁ本当に大部分覚えてないが。
と、何か改まって聞きたい事があると言われた。何だよ?とばかりにそちらに隻眼を向けて。
「…実体の無いのを斬る感覚?幽霊とか異能とか魔術とか…あとは概念とかか?」
今の男では、概念まで斬るには制限された異能の出力ではほぼ無理だが。
異能や魔術ならば、それを『理解』すればそこそこは斬れるとは思う。
『対象を深く理解するほど切れ味が天井知らずに上昇する』…この男の異能でもおそらく一番特殊な部分。
実体が無いものを斬れるのも、ここに密接に関係しているとも言える。
「前提として、俺は技術で斬ってるんじゃなくて異能で斬ってるようなもんだからな。
だから、形だけ俺の真似事をしても意味ねぇと思うわ。ただ――…。」
強いて言うならば、という感じで参考になるかは別問題だが。軽く指先を動かして。
「――実体が無かろうと確かにそこに”居る”…って、認識を強固に持つ。
見えなくても、音が聞こえなくても、確かにそこに存在してる…って感覚は大事じゃねぇかね。
…桜の場合、異能じゃなくて剣気とか…そういうので”干渉”して無理矢理断ち切る感じになるんじゃね?」
これはアドバイスとかになってるんだろうか?男も異能と感覚で斬ってるから言語化が難しい。
そもそも、あまり説明上手でも無いので…詳細を語る、というのがハードルが高いのだ。
■桜 緋彩 >
「なるほど……?」
わかったようなわからないような。
とりあえずわかった様な返事はしておいたが、顔はさっぱりと言った表情である。
「そうですね、そう言ったものです。
――ふむ、そこに居る、ですか」
彼の言葉を聞いて考え込む。
実体があろうがなかろうが、そこに居ることは間違いない。
ならばそこに居るものを「斬れ」ば斬れる。
あとはどう干渉するかだが、存在はするが実体のないものを斬るなど――
「――追影どのは存在強度、と言う言葉を聞いたことがありますか?
言葉と言うか概念ですが、読んで文字通り存在の強度、と言う概念です。
これを極限まで希釈すれば、そこに居ないも同然、と言うことになるらしい、のですが」
急に関係ない話を始めた、様にみえるだろう。
「一方で私が使う神槍、特に弐式は実体を持った魔力の刃を重ねるものです。
つまり逆に存在強度を高める技とも言えるはず。
極限まで存在強度を高めた刃で斬り付ければ、理論上は実体はなくとも実在はするものを斬ることが――」
とそこまで若干興奮した様子で語ったところで、
「――あ、焼きそばひとつください」
順番が来たので焼きそばを注文した。