設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
また、ここでは回想的なロールも可能です。ですので常世島の外でも構いません。しかし、あくまでメインは常世島の内部でお願いできればと思います。
その他常世島内の特殊な場所や、シチュエーションなどにご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:18:36:50 更新
ご案内:「Gibson House 201」からネームレスさんが去りました。
■ネームレス >
「"I curse my stars in bitter grief and woe,
That made my love so high,and me so low."
――もっともやもやさせちゃうか」
薄ら笑み。深く、強く、棘が食い込んでくる感覚。
どこまで耐えられるのだろう。境界線の存在に。
お互い様の話だった。
「まァ……」
指の間で、溶かしてしまうのはもったいない。
「おはよ」
そう囁いて、口のなかに放り込んだ。
じっくりと味わって、飲み込んでからもしばらく。
きりりと冷えた苦みはそれから。交互に味わいながら、その星はみずから生きるべき現実へ回帰する。
■ネームレス >
あの魅力があれば、多くのものが手に入るだろう。
歴史と故事が物語る、人を惑わす傾城の色。
賢しい悪とは、他者に損をさせないもの――それを知覚させないものだ。
とらわれたものは甘い蜜を啜り上げ、幸せの只中で涸れ果てていく。
そんなふうに生きることもできるだろうに、
それだけの才能をもってなお、それが理想の己でないとのたまうなら、
茨の道を歩むその歴程に、悪夢となってみようと思った。けれど。
「……………」
そんな彼女に助けられた事実は、常々自分を灼く炎をなおも燃え上がらせる。
なんとも、まあ、最後に会った時は、
互いの余裕の有り様が、正逆になってしまっていた。正直まだ悔しい。
美味しそうにハンバーグ食べやがって。美味しかったけど。
■ネームレス >
深く呑み込まれるような柘榴石の横。
ともすれば桜の色づきを思わせるトリュフチョコをつまんだ。
可愛らしい趣味だ。おそらく既製品ではない。
「キミにこんな技術があるなんて知らなかったな」
何かと多忙そうな少女だ。
時間がかけられないなら、自炊より惣菜で済ませるほうが安く済む。
食事の技巧は必然的に積み上げられていくものであって、
もしこのために勉強してくれたと考えれば、だいぶ気分は良いけれど。
もしかすれば、誰かに教わったのかもしれない。
友人か、あるいは―――
「…………」
広くもないキッチンに、並んで笑い合う日々を思い出す。
得意料理のロブスターロールとクラムチャウダー。
昨日の昼食だったクリームパイも、家族から教わったものだった。
「自分からは訊けないなァ」
血を呪い、抗うような、そんな少女に。
もしかしたら、優しい思い出がずっとむかしにあったのかもしれないのなら。
■ネームレス >
あれから。
楽曲制作にミーティング。そして急に必要になった図面制作に。
濃密な一日の夕刻に、また新たな訪客があった。
(住所不定じゃなくなるとこういうコトになるんだな)
よく世話をされた箱は適温に保たれている。
――生物。差出人が明記されていなければ流石に二の足を踏みそうになる。
それは信頼のあらわれであるが、なにより謎を読み解くための鍵でもあった。
良い意味で食べるのを躊躇う見た目のそいつを、寝る前に一粒つまんでベッドに入った。
「狙い通りではあったケド」
流石に、てきめん過ぎる。苦笑せざるを得なかった。
シャワーを身を清め、気に入りのガウン姿で浴室から這い出す。
水回りの洗濯乾燥機の音が聞こえづらい上出来な間取りの部屋だった。
「さて――――」
朝食。フレンチトーストの用意はない。
濃い目に淹れたコーヒーを、デキャンタごと氷で冷やす。
そいつをロックアイスの氷山のなかへ注ぎ入れれば、すっきりしたアイスコーヒー。
一日の始まりとしてはご機嫌なグラスと、冷蔵庫から取り出したのは――
■ネームレス >
――魘される夜だった。
熱帯夜を超えたような目覚めは、決して顔をのぞかせ始めた春のせいではない。
不快なような、心地よいような、虚脱感と疲労感、開放感。
汗じみた腕をもたげてカーテンをずらすと、朝日が夢の残滓を吹き払っていく。
服だけではなくて、洗いたてのシーツももう一度洗濯機に叩き込む必要ができた。
朝いちの予定は決まったらしい。
ご案内:「Gibson House 201」にネームレスさんが現れました。
ご案内:「Gibson House 201」からネームレスさんが去りました。
■ネームレス >
傷に口づけて、リップ音とともに、みずからの血潮を啜り上げる。
それでもまだ、じわりと滲む新たな紅。交わる二つの色。
「殺害予告だな」
じゃあ、ここではまだ死ねない。
そのまま、切っ先を下に向けて、振り下ろ―――
「…………」
立ち上がり、寝室へはいって、戻って来る。
さすがにガラスの天板に突き立てたら大惨事になる。
「ひとまずは、これで我慢しててくださる?」
バニラの甘い香りを立てる香木。使用しているブランドが売り出したアイテムだ。
高価な品だが惜しくはない。それをテーブルに置くと、改めて――すとん。
滑り込んだ刃が、まるで墓碑のように佇立した。
「うん」
ふたつの贈り物。これで眼でも鼻でも楽しめる。
ちょっと鼻につんとくるやつ。甘いものとの食べ合わせはどうだろう。
その向こうに映した誰かを想いながらに、何でもなかったはずの一日はその色に染められた。
■ネームレス >
温もりをうつしてから。
そっと、テーブルに戻すと。
「思い出すね」
もう、雪は融けている。
胸に去来するものは、白のなかに咲いた光沢のない花。
「たしか、ここに」
箱に孔をあけた犯人を取り上げて。その切っ先を、
「こう……」
――ぷつり。
手の甲に触れさせると、鮮やかな赤い泡が、ひとつ。
膨れ上がって、それが河のように、手首から肘へと流れていく。
■ネームレス >
ふたつ。
「……なるほど」
ふたりぶん。
これ以外にないだろう贈り物。
カードをそっと自由にしてやり、ふたつの筆跡を指先がなぞった。
「何oz抜いたんだよ。
ここまでのことされちゃうと、嬉しくなっちゃうんだケド……」
ガラスケースをそっととりあげて、思わず苦笑する。
何かに混ぜて、なんて生易しいものじゃない。純度100%。
つまんで飲み込んでしまったって良さそうなものがひとつ。
おそらく、送り主が自分に飲み込ませたいものがひとつ……。
「…………」
小さいケースを胸に抱いて。
指をぐっと伸ばせば、心臓のあたりに指をなぞらせる。
大きく、ゆっくりとした心音。
聴かせるように、重ねるように、しばし――
………。
「キミには台座と……キミには鞘をあつらえないね。
金工に渡りをつけといてよかった。いつなにが必要になるかわかんないもんだ」
■ネームレス >
帰宅し私事を程度済ませてから、――
今日は紅茶にしよう。普段はコーヒーだから、茶葉の消費はゆっくりだ。
昨晩焼いた郷土料理のクリームパイが、冷蔵庫に残っている。
これで一息つくことにしよう。
「さてと!」
部屋着の装いになっていつものソファんに座って。
お茶を楽しむ前に――そう、こいつだ。
「ようやくふたりきりだね。
……清純ぶったそのドレス、脱がしてあげる」
純潔を思わせる箱のリボンに、白く長い指がそっと差し込まれる。
――しゅるり。ほんの僅かな布が擦れる音とともに、ほどいていく。
断ち切るなんてとんでもない。抵抗があるわけでもない。
「……………、」
アッサムの芳香がふわふわと立ち上るなか、
そうして暴いた箱の中身は――……
■ネームレス >
差出人の名前は――消されていた。
無記名ではない。一度書いてから、毒々しい色で塗り込めて上書きされていた。
配送できているという以上は、正規の生徒によるものであるはず――
「ああ」
その奇怪な差出人を示す色に、困惑する配送部員を横目に得心顔だ。
手を差し出すと、反射的にぽすりとその手に届け物が収まる。
「ケガは?」
その問いかけに、きょとんとした部員は――しかし、首を横に振った。
「そっか」
背負ったギターケースを取り落とさぬよう、もう片方の手が学生証を差し出した。
専用のハンディマシンで認証されると、授受の手続きが成立する。
「ありがとう。まだ回るんだろ?気をつけて」
ギターケースのストラップを確かめて、あらためて自宅のエントランスへ。
あらたな困惑に首を傾ぎ、なにやら置き去りにされたような配送部員は、
しかし生真面目に、排気音を響かせて次なる届け先へと向かった。
扉が閉まる。外界の音を遮断した、静かな空間。
瀟洒なフェデラル様式の居城は、階段を踏むブーツの足音をよく響かせる。
「…………」
歩きながらに、鼻先を匣に寄せた。奇妙な香りがする
混ざっている。箱に染み付いた甘い香り。よく知っている。
そして――おそらく配送ミスではない、最初から空いていた孔から漂うもの。
こちらの香りも、よく知っている。
これを不協和音と片付けるのは、無作法で、無粋だ。
「フフフ」
思わず、といった調子で、唇がほころんだ。
「今日、そういう日なんだっけ」
お返しの日、があるのだと。
一ヶ月前は、この存在の時間感覚からすると大昔だ。
差し出した時点で目的(感謝)は達成していたから、この日のことはすっかり忘れていた。
■ネームレス >
『あの』
いざや帰宅というところで、困り顔の配送部員に呼び止められる。
振り向いた時に気後れした顔、驚きの色を見せられるのは慣れていた。
一瞬の空白のあと、時間が動き出したように慌てて単車から降りる様をみて、肩を竦めた。
「お疲れ~。 ボク宛て?部屋に直接?知り合いかな」
微笑むなり、その制服姿でまさか道を訪ねたわけではないと考えて問いかける。
住所は知っていても、知らない相手が贈答するのはご法度――
煩雑だが、常世学園にも置かれているレーベルの支部を通さねばならない。
見た目以上の収納容量を誇り、そして品の安全を保証するボックスから取り出されたものに、
しかし黄金瞳のほうが驚きに見開かれることになった。
『それが…』
梱包の不思議さもさることながら、何か言いたげに視線を彷徨わせるその部員の意図を察して、
その横まで歩いて並ぶと、未だ手渡されない荷物の配送票を覗き見る。
ご案内:「Gibson House 201」にネームレスさんが現れました。