設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
また、ここでは回想的なロールも可能です。ですので常世島の外でも構いません。しかし、あくまでメインは常世島の内部でお願いできればと思います。
その他常世島内の特殊な場所や、シチュエーションなどにご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:23:01:12 更新
ご案内:「落第街地下 金物屋「韴霊」」から緋月さんが去りました。
ご案内:「落第街地下 金物屋「韴霊」」から御津羽 つるぎさんが去りました。
■緋月 >
「あ、はい…暫く前に、一人暮らしをする事に決めて、こちらが色々と…道場もありますし。」
小さく頬を指で掻きながらそう一言。
恐らく、一番は家賃の安さについてだろうが。
「はい、その際にはよろしくお願いします。
ええと――つるぎさん、ですか。では、雪白の事、お世話になります!」
元気のよい挨拶と共に、深々と一礼。
ずる、と、背負った片刃の大剣が少しだけ傾いた。
一見したところ…幅のある刀身を持つ、片刃の剣に見えるが…鋭ければ、
それが「何か」を封じた、「仮初の姿」である事には、もしかしたら
女性の方は既に気付いているのかも。
「それは勿論です、これでも身体が第一ですから!
ご飯を抜いて弱ってしまっては、本末転倒です。
無理しないよう、しっかり食べながら貯めて行きます!」
むん、と気合をひとつ。
これならば、食事代まで削る心配はなさそう。
「――そう、ですね。
この島に来てから、幾度か刀を振るう事態もありました。
決して…刀を振るった結果が、充実したものばかりではない……
苦い結果に終わった事もありますけど。
その時は、また機会を改めて必ず。
では、これにて失礼します。――またいずれ!」
大事に控えの書類を懐にしまい込むと、愛刀を刀袋にしまい、しゅるりと紐で縛る。
暇乞いの用意が整えば、最後にまた折り目正しく一礼し、店を辞する書生服姿の少女であった。
■御津羽 つるぎ >
「……はい、確かに。
あら?ご近所さんなんですね」
万妖邸の名をみると、ちょっと眉が上がった。
すこし懐かしむようでもある。それなりに長く島にいると色々あったり。
「うふ。面白いところに住んでいらっしゃるんですねえ、ええと、緋月……さん。
それではお預かり致します。いちおう……
こちらで調べ終えたら、あらためてお見積りは出しますねえ」
どうぞ、と控えを少女……緋月に差し出し。
書類は丁重に、棚のなかへ。鍵をかけて保管するようだ。
戻ってくるとばらばらになっている複製品を、丁重に組み立て――
「あの祈りは……相応の価値のある情報、と存じますので。
おかねを貯めるのは、お見積りからで……だいじょうぶですよ?
だいぶおまけできるかもしれませんし、ただになるかもしれませんから。
ちゃんと、ご飯は食べてくださいね?たおれちゃいます!」
ふわ、と柔らかく笑う。契約は成立した。
「また会う時、お話をきかせてくださるとうれしいです。
剣士としてのあなたの人生は、いまも続いているわけですから」
■緋月 >
「よ、よろしくお願いします…!」
立ち上がりつつ、また一礼。
安心が先に来たのか、不自然な程の上機嫌さにはわずかに引っ掛かる所はあっても、
その真意を読み解くまでに勘が働かない。
肝心なところで迂闊な面のある少女。
「えっと、名前と住所…それと、目安、ですね……。
一応、長めに取らせてもらいます…!」
と、書類に記入を始める。
依頼者の覧には緋月と、住所は異邦人街の端――というか落第街との境界に近い。
それもその筈、詳しい住所には「万妖邸 霽月之室」の文字。
一部界隈で怪異屋敷・幽霊屋敷と有名なアパートだ。
最後に、目安として六ヶ月――半年を記入。
やたらと達筆な筆跡である。
「ええと、ではこれで…!」
■御津羽 つるぎ >
「はい」
信じると、刀を託すことを選んだ少女に見せた微笑み。
柔らかそうな唇は、鋭い三日月の形になっていた。
「……だいじょうぶですよお。
これでもいちおう、職人をやっていますから。
お客様からの預かりものは、大切に保管致します」
そっと、立ち上がらせてあげる。
泣きそうな少女に対して、急に上機嫌になった。
不自然にも。
「では、お名前とご住所!
それと、いちおう目安もどうぞ。一年先までだいじょうぶですよ。
これを過ぎて受け取りに来られなかった場合は、住所宛に返却致しますので」
棚から信託を証明する書類を取り出し、テーブルの上に。
二枚組になっていて、下側に預けた少女が保管する控えに文字が写し取れるようになっている。
最下段には、預かり主としての名前に御津羽 釼とあり。
■緋月 >
「わ、私も外国の通貨の事はよくわからなくて…!
今度、私を雇って下さってる方に会った時に、聞いてみます…!」
とりあえず、促されればちょっと泣きそうな表情のお顔がこんにちは。
かなり焦ったらしい。
そうして、提案を受ければ、少しだけ考えて首を縦に振る。
「わ、分かりました…!
誤魔化しのない、真っ直ぐな修繕の見立てをなさってくれたのです、信じます…!
大事に、おねがいしますね…!」
提案にはこちらも真っ直ぐなお返事。
「完全に修復するのは無理」と断じた上で、現実的な提案をして下さった方である。
書生服姿の少女は、信じる事に決めた、という面差しだ。
■御津羽 つるぎ >
「あわっ…お顔をあげてくださいよお。
だいじょうぶっ!いますぐ払えっていうわけでもないですから。
私、この島からは出てはいけないことになってますし」
土下座してしまった姿に、思わずしゃがみこんで顔を上げるように。
詐欺を働いたわけでもないのだ。謝る理由はどこにもない。
「ひゃく……ドル?」
時給100$。
さらりと告げられた言葉に、思わず開眼。
「……何円なんでしょうか……!?
あっ、でも、円でしか取引したことがないです、私!」
こっちも世間知らずだった。
「あ……ええと、それなら……。
……こちらの折れているほう、私のほうで預からせていただいても?
急ぎのご利用でないのなら、鋳込まれた祈りを調べられたらなあ~って。
もちろん厳重に保管致しますし、信じていただくことになりますけれどっ」
テーブルの上。広げられたままのそれ。
「でしたら、その分。
依頼料をおまけするのも……」
誰でも入れる店だ。高額の料金に肩を落として去っていくのも見慣れていた。
でもこの場合、代金以外で引き換えられる情報という対価がある。
ただし、大切なものを担保とする必要は、ある。
どうでしょう……?と肩にそっと手を添えて……。
■緋月 >
「 」
ぴし、と、固まる音。
高い、とは事前の情報にあった。
しかし……低く見積もって、にひゃくまんえんくらいから。
「………。」
だらり、と顔が汗を掻く。
予想を上回る額だった。それも激しく。
「――――――――その、」
こちらも非常に言い辛そうな雰囲気で。
「お仕事の、アテは、あるんですけど…実績が、ないので、まだ、お給金がなくて……。」
すちゃ、と刀を鞘に収め、
「――予約というカタチで、お約束だけ、入れて貰ってもいいでしょうかっ!?
お仕事がきたら…払える位に、がんばりますから…!
えっと、時給が……いくらだっけ…90から…100――」
思い切り土下座しながらのお願い。
しかし――円だとすると、とてつもなく遠い道のり――
「……ドル、くらいになる、ってお話で…。
………どる、って一体何円なんでしょうか…。」
……………。
■御津羽 つるぎ >
「………」
異能によって祈祷が複製された。
確かにそう受け取れるが、尋常ではない執念を感じてもいる。
(複製では、この祈りから逃れられなかった、とも考えられますが……)
興味は尽きない。
「……お仕事、になりますのでえ。
打ち下ろす形にはなるのですが、少々複雑な手順を踏むこともあり……」
つんつく。胸の前で、指と指をつけたりはなしたり。
「…………低く見積もって。
だいたいにひゃくまんえんくらいからになるのですけどお……」
払えますか?
遠慮がちに伺うのだ。聞きつけたのなら、兎に角高い、とは伝えられているだろう。
■緋月 >
「…分からないもの、ですね、世の中とは。
まさか…込められていた祈祷まで複製されてた事で、こんな事が起きるだなんて。」
書生服姿の少女にしても、完全に想定外の事だった。
複製とはいえ、宿る祈祷の加護がこんな反応を引き起こすとは。
本当に、世の中は分からない。
「写し、ですか…。では、可能であるならば是非それで…!
元の形には戻らないと半ば覚悟の上でした。
打ち直しとなっても、かつての形に近づけるならば……!
作業に必要とあらば、月白もお貸しします。
ご一緒させて貰えるなら、こちらも有難い限りで――。」
と、其処まで話が進んだところで、突然困ったような表情で語られる言葉。
思わず首をかしげてしまう。
「大事な、条件…ですか。はて、それはどのような…?」
書生服姿の少女にも否はない。
■御津羽 つるぎ >
「反応は複製体のほうから起こっていましたか」
引っ張り合ったなら少女の手のほうに違和感があるはず。
視線は断ち割られたほうを包んだ布に。あらためてそれを広げてみる。
またきっと同様の現象が起こるかもしれない。
「鋳込まれた祈りが作用している、ように感じます。
折れず曲がらずの加護を受けた刀が折れてしまっている。
鏡に映しても、正しいものが映らないかのような……異常事態に対する。
あるべき形に戻ろうとする抵抗のようなものかもしれませんねえ」
てっきりこのまま朽ちゆくかと思っていたが……保全も可能かもしれない。
女は考え込む姿勢のままで、頭のなかに図を描いている。
「あらためて、一振りの刀として"写して"みましょう。
贋作造りも経験があります。大層怒られた記憶が蘇りますけど。
あなたの真作を実像にして、折れた贋作を素材に鏡に写す。
生まれ直す形にはなってしまいますけれど、うまくいくとはおもいます」
そして、うん、とひとつ頷いた。
どうやら算段がついたらしく、微笑を浮かべる。
「作業の際には、真作をお借りする形になります。
同道していただいても良いので、その時はお願いいたします」
拳をみせて、指をひとつ立てた。
そしてもうひとつ……少ししてから立てる。
ちょっと言いづらそうに、眉をハの字に寄せて。
「それで、あのぉ。
もうひとつ、とても大事な条件があるんです、けどお……」
■緋月 >
「…………。」
刀を引き抜いたままの姿勢で硬直し、書生服姿の少女は視線だけを動かす。
自分の刀から、布を巻いて隠された折れた刃。最後に、刀を隠した女性へ。
「…………こんなことは、なかった、んですけど…。」
ちょっと掠れた声で返事。
どうやら、しっかり見えていたらしい。目が良い。
そして、この現象…完全に初見だった。
「…刀の手入れをしたり、雪白…その折れた刀の曇りを取ったりしたりしている時には、
起こらなかった事、です……。」
――恐らくは、「二つの刀が抜かれた上で近くに在る」事。
それが、今の現象を引き起こしたのだろう。
そんな機会が今までなかったから、気付く事の無かった出来事。
■御津羽 つるぎ >
「思い切りが良いですねえ。
はっ、もしやそれが剣士らしいけじめの付け方なんです―――ッ?」
しゃらと引き抜かれた刃に、さしたる驚きも慄きもなく。
ただ、どうせ炉に投げるのだ。それなら依頼主の意向に従うつもり。
だったのだが、その眼は見逃すこともなかった。
ぶわと布を巻いて、引き抜かれた刃からそれらを隠した。
「いま……」
見ましたか?と確認するように少女に開いた瞳を向ける。
ひとりでに動いた刃にびっくりしたとかいう怪談めいた話じゃない。
■緋月 >
「な、成程……お互い、色々と難儀ですね…。」
頭を上げつつ、そう返答。
ともあれ、仕事について手抜かりはなく、その上で判断された事ならば是非も無い。
刀の鍛造について明るくない自分がどうこうと口を出せたものでもないのだ。
「――そうですね。
客観的に見れば、刀は道具。そして永遠不滅の道具など、存在はし得ない。
…わかっては、いるのです。頭でわかっては。
それでも――大事な友が作ってくれた、月白…私の半身といっていい刀の、言わば姉妹ですから…。」
その思考は、和装の女性には理解しがたいセンチメンタル、なのかも知れない。
それでも、それを捨てられない事が…少女の「剣士」の要素のひとつであった。
提示された三つの提案に、しばし悩む少女であったが、心が決まったのか、小さく頷く。
「――例え姉妹だろうと、いずれ歩む道は異なって来る。
血を分けた人でさえそうなのです。刀であろうと…例外にはならない。
一度折れて…道具として「死んで」しまったのなら…そして、貴女ほどの
「刀を見る目」を持つ方の見立てならば――そうですね。
難しい技で継ぎ合わせるよりも、完全に…新しい刀として生まれ変わらせた方が、よいかも知れません。
形が変わっても――生まれた元は同じですから。
素材にするというならば…必要でしたら、かつての形に「未練」が残らぬよう、私が更に砕きましょうか?」
少々物騒な発言をしながら、すらり、と自身の刀を引き抜く書生服姿の少女。ハッキリ言って危ない。
――その刀が改めて刃を見せた時。
二つに折れた刀が、小さく、共鳴するように、震えた…ような気がした、かも知れない。
折れたとしても、ふたつの刀に在る祈祷が…引き寄せ合うような。
抜かれた刃に、折れた刃が、磁石を向けられた砂鉄のように引き寄せられるような、奇妙な震え。
――もしかしたら、だが。
少女が持つ刀を「添わせて」おけば――「祈り」の変質は、最小限に留められるかもしれない。