2024/06/01 のログ
ご案内:「落第街/屋台通り」に狭間在処さんが現れました。
狭間在処 > 夜の落第街、その一角にある屋台通りは今夜も活気付いた賑わいを見せている。
一方で、当然ながら落第街らしく喧嘩や窃盗、食い逃げなどのトラブルにも事欠かないが…。

「――……。」

そんな賑わいの隙間を縫うように、物静かな足取りで通りを歩む青年…と、その肩に乗る一羽の鴉。

(…また屋台の顔ぶれが結構変わっているか?…まぁ珍しくもない事だが。)

心中でそう独り言を零しながら、物静かな視線を周囲の屋台へと向ける。
と、いきなり右肩に乗った”三本足”の鴉が嘴で青年の頭を遠慮なく突いてくる。
どうやら「何か食わせろ」という催促らしい。それはいいがもう少し手加減して突いて欲しい。

「………。」

分かった、分かったから突くのを止めろと鬱陶しそうに左手で鴉の突き攻撃をやんわり阻止。
とはいえ、何を食べるか…特に目的の食べ物があって寄った訳はないのだ。

狭間在処 > 右肩に乗った相棒にして【声】の代役たる鴉…ヤタはきょろきょろ人間じみた仕草で屋台を物色している。
…変な食い物に目を付けたりしなければいいんだが、と思いながらも青年も視線を巡らせる。

(…気分的には肉と野菜だが……あまり食べ過ぎてもな。)

自分くらいの年代の男子の一般的な食欲がどのくらいかさっぱりだが、自分は平均くらい、だろうか?
丁度、目に付いたのは何かの動物肉の串焼きの屋台だ。
右肩の相棒をちらり、と見ればそちらも同じ屋台に目を付けていた様子。
緩く肩を竦めれば、そのまま串焼きの屋台へと立ち寄って店主に注文を。

『…すまない、こっちの串焼きを…そうだな、3本ほど包んでくれ。』

落ち着いた青年の声…が、聞こえたのは青年自身の口ではなく…その右肩に乗る鴉のヤタからだった。
一瞬、店主がぎょっとした表情を浮かべるも、流石に落第街で屋台をやってるだけはある。
直ぐに順応したのか「はいよ!」と、気風の良い返事と共に手早く串焼きを3本包んでくれた。

代金を支払いつつ、店主に軽く会釈をしてから一度屋台を離れて。
ヤタがまた頭を小突いてくるが、慌てないでもちゃんと食わせてやるつもりだが。

狭間在処 > 歩きながら、ガサゴソと包みを開いて串焼きを取り出す。
それも違う味付け、トッピング?がされているようだ。

(こっちは…黒コショウ。これは…辛味噌か?で、これは…バジルの香りがするな。)

一見すると焼き鳥にも似た串焼きだが、肉の感じが全然違う気がする。
ともあれ、取り敢えず辛味噌の串焼きからまずは頂…こうとしたら、横からヤタが咥えて強奪した。
あまつさえ、そのまま安全圏まで飛んで行ってしまう。

「………!」

よりによって一番美味しそうな辛味噌串焼きを…!!と、思うがぐっと堪える。
渋々と残りの串焼きを取り出して口へと運ぶ……うん、程よく脂が乗っていて火の通りも良い。
じっくり味わいたい処だが、あの鴉がまたしれっと戻ってきて手を出されても困る。
なので、青年にしては速い速度で2本とも頬張ってもぐもぐと口を動かす。

(…こっちのはバジルだけじゃなくて他にもハーブか何か使ってるぽいが…何かまでは分からん)。

まぁ、美味しいから問題ないだろう。あの屋台はまた訪れてみようと決めた。
そして、しれっとまた右肩へと戻ってくる鴉のヤタ。そちらをじろり、と睨むが…。

(まぁ、こいつのマイペースさはいい加減もう慣れてきたが)

心の中で溜息を零しながら、鴉の頭を軽く小突いておくに留めておく。

狭間在処 > 考えたら体中を弄られて、失敗作とはいえ模造怪異にまでされたのに、味覚は意外とマシなままだ。
とはいえ、基本的に落第街に流通する食材がメインなので、知らず知らず味覚が独特になっている可能性も…。

(…そういう考えを巡らせてもしょうがないな。)

気を取り直して、次はどの屋台に寄ろうかと通りを歩く。
この時々、食い逃げ騒ぎや小競り合いじみた喧嘩も散見されるが…。
まぁ、これでも平和な日常だろう。これくらいでいちいち気を使っていられない。
屋台は食べ物だけでなく、飲み物も当然出回っているが…見る限り酒が多めか。

(…飲めるには飲めるんだが、あまり強くはないからな…。)

だからこそ普段は酒の類は口にしない。偶に気分転換で飲む、程度か。
どうせ体を弄るなら、アルコールへの耐性も付けて欲しかったものだが。

狭間在処 > そして、ヤタは別の食い物食わせろ、とばかりに何度も頭を小突いてくる始末。
このまま無視していると、勝手に屋台の売り物を搔っ攫って自分があれこれ後始末する羽目になる。

分かったから小突くな、と。また左手で嘴攻撃をガードしつつ、次は…何を食べるか。
次に目に入ったのは…中華まんか?蒸し器らしきものからほかほかと湯気が出ている。
丁度いいので、今度はそのお店に立ち寄って中華まんを二つ購入する。
片方は取り敢えず嘴を開いて待ち構えていたヤタの口に無造作に押し込んでおく。
何かバタバタ翼を羽ばたかせて抗議しているが、丸ごと一個くれてやるのだから感謝しろ、と言いたい。

(……ん、この中華まんは食感が何か普通の中華まんと違うような気がする…歯応えが普通のよりあるような。)

味は文句なく美味しいので、原材料までは…まぁあれこれと巡らせるつもりもない。
極端な話、毒がなくて味が最低限保証されてれば十分。まぁ美味しいに越した事はない、か。

ヤタはヤタで、器用に嘴と三本足で中華まんを切り分けるようにして食べている。が、人の肩の上でやらないで欲しい。

狭間在処 > 喋れない自分の代わりに声を発してくれるのは本当に感謝しているが…。
なまじ知能が高い鴉の使い魔だからか、調子に乗らせると色々と大変だ。

(…今まで使い魔なんて持った経験が無いから、どのくらいの塩梅で接していいかも分からないからな…。)

それでも最近はヤタとの意思疎通というか、まぁそれなりに上手くやっていけていると思う。
中華まんを食べ終えれば、そろそろ喉も乾いたので何か飲み物を…と、言いたいが。
まぁ、見事に周囲の屋台で売っているのはお酒ばかりだ。
一杯くらいなら問題ないだろうが度数の高い酒だった場合が危険だ。

(……酒の飲み方も完全に我流になってしまったしな…。)

一緒に酒を飲み交わす相手など今まで居なかったからさもありなん。

狭間在処 > 取り敢えず、ノンアルコールの飲み物があれば買っていこうか。
ヤタがまた食べ物をせっつき始めたので、また手でガードしつつ屋台通りで食事をつかの間楽しんでいこう。

ご案内:「落第街/屋台通り」から狭間在処さんが去りました。