2024/06/20 のログ
ご案内:「留置場」に狭間在処さんが現れました。
■狭間在処 > 学生通りで、相棒の鴉のせいで不審人物とされ、風紀の面々に補導されて数日。
鴉が隙を見て主を置いて逃亡してしまったのもあり、自然と黙秘を貫く事になってしまった。
お陰で、留置場に放り込まれて既に2,3日が経過している有様。
(…風紀委員会の空気は何となく分かったが…流石に留置場はそろそろ出たいものだな。)
出ようと思えば出られなくもない、だろうがここは風紀委員会管理下の施設だ。
警備は言うまでも無く、警報センサー等も有るだろうし何とも困ったものだ。
(…一番マズいのは、出来損ないの失敗作とはいえ、怪異認定で祭祀局が出て来る展開か。)
留置場の無機質な壁に背を預けて座りながら考え込む。
風紀と事を交えた事は無い青年だが、実は祭祀局とは過去に三度、対峙した事がある。
その当時のメンバーがまだ在籍していて、尚且つこちらの事を覚えているなら益々困る。
(…俺みたいな偽物をいちいち相手にするほどあちらも暇ではないだろうが)
■狭間在処 > (…おまけに、身体検査である程度はバレた可能性もある…いや、バレていると見ていいか。)
はぁぁ…と、声は発せられないが溜息は普通に漏れ出る。
そもそも、幾ら失敗作とはいえ人の手で生み出された怪異の端くれだ。
体内は相当弄られており、人には無い器官も多少なりある。
(…悠長にはしていられない、か。とはいえ脱走、となると指名手配…は、大袈裟過ぎるか。どのみち困るな。)
そもそも、青年の体質を考えると仮に追跡された時に長時間の追いかけっこはかなりきつい。
一つだけ幸いな事があるとすれば…だ。
落第街にある様々な組織とはほぼ繋がりが無い為、情報漏洩でマークされる事が無いくらい。
■狭間在処 > (…ヤタのヤツ…完全に我先にと逃げ出したな。一発小突くくらいはしておこう。)
取り敢えず、折を見て脱走するしかないか…平和的にここを出る、という望みは薄い。
まぁ、何か致命的な犯罪を犯して捕まった訳ではないので案外すんなり出れるかもしれない。
(――いや、それは無いな。)
自分のように小物であろうと、風紀がその辺りを怠慢にするとも思えない。
話が分かる風紀の生徒なり教師が居てくれれば助かるが、それは高望みか。
■狭間在処 > ただ、こちらが喋れないのをいい事に、偶に聴取に来たと思ったら職場の愚痴を零して行く連中も居る。
(…俺は別にカウンセラーでも聞き役でも無いんだが。)
連中も、語るだけ語ったらすっきりした顔で去っていくし…何だこれは、という気持ちになる。
そのお陰で、風紀委員会の空気の一面は知れたので無駄では無かったが。
あと、そろそろ護送するなり処罰を下すなりして欲しいものである。
■狭間在処 > (――まぁ、大変不本意ではあるが、表側の空気と人々が知れたのは良い事だ。)
ここが留置場でなければ更に良かった。矢張りあの三本足の使い魔は戻ってきたら一発小突く。
壁に寄り掛かって座り込んだまま、さりげなく周囲の気配を探るが…あまり変化は無い。
ただ、風紀も風紀で色々と事件が起きているのか慌ただしい空気は端々に感じる。
無論、青年には与り知らぬ事だし知った所で何か出来る訳でもない。
(……こちらもこちらで色々とあるようだな。それを少しでも感じれたのは無駄じゃない。)
それが、どんなに些細なものであろうと。こちら側を知っていくというのは意味がある事だと思っている。
■狭間在処 > (…しかし、こうなると学生通り周辺は今後歩き回れない、と考えた方がいいか)
それはそれで多少残念な気持ちになるのは、青年の好奇心みたいなもの、だろう。
表側とは常に一定の距離を保ち、自ら踏み込む事はほぼ無くて。
それでも、ある種の羨望や憧憬、そしてどんな場所がありどんな人々が暮らしているのか。
そういう事を考えた事は今まで何度もあった。実行に移さなかっただけで。
(…いざ、実行してみたら相棒の不手際でこのザマではあるが)
自分も責任は勿論あるので致し方ないけれど。しかし、どうしたものか。
■狭間在処 > (…仕方ない、脱走を前提に動く感じで行くか。)
極力、戦闘行為と破壊行為は避けつつ。
あと、風紀だけでなく一般学生や市民にも迷惑を掛けないように。
(…いや、破壊は多少なりしてしまうが。)
あぁ…と、嘆息を再び。ともあれ仕方ない。
■狭間在処 > ――翌朝、留置場の壁に喰われたような破壊の穴がぽっかり空いていた。青年の姿も消えていた。
ご案内:「留置場」から狭間在処さんが去りました。