2024/09/28 のログ
ご案内:「伊都波家 リビング」に伊都波 悠薇さんが現れました。
ご案内:「伊都波家 リビング」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
風呂上がり。
お気に入りの、ちっちゃなマスコットキャラ風にデザインされた馬が散りばめられたパジャマに身を包み、牛乳を取りにリビングに。
今日は一人だった。
あいも変わらずと言われればそうだが、誰かと一緒なことが最近多かったからさみしくも感じる。
リビングに顔を出すと。
「……あれ、お姉ちゃん?」
珍しく、バッタリ会った。
この時間に合うのは珍しい。
というのも、自分が良く、本を読む時間にしていたからだけれど。
「珍しいね。いつもリビング、だっけ?」
冷蔵庫に向かい馬さんマグカップを手に取り、牛乳を注ぐ。
■伊都波 凛霞 >
「──ん。うん、ちょっと考えごとしてて」
リビングのソファに座る姉。
妹の前にお風呂をあがり、リビングで涼みながらぼーっと考え事をしていた…というところらしい
寝巻き姿にくまさんスリッパ。
普段ポニーテールにしている髪を流しているのは同じくお風呂だから。
学園でそうそう見ることのない感じだがひとつ屋根の下の妹には、見慣れた姿だ。
牛乳を注ぐ妹に、私にも頂戴、と伝えつつ。
■伊都波 悠薇 >
「考え事? お姉ちゃんが?」
まさかー、なんていう冗談みたいなリアクション。
あくまで、オフザケ。こういったやり取りは、姉妹ならでは。
そんなことは思っていない。
「はい」
きれいな透明のガラスグラスに牛乳を注ぎ、差し出す。
「そういえば、橘さんと試合するんだって? 橘さんから聞いたよ」
ちょっと、色々、教えちゃった、なんてぺろっと舌を出し、ごくりと牛乳を一口。
うん、美味しい。
■伊都波 凛霞 >
「む…なにそれ、お姉ちゃんだって色々考え事くらいありますー」
おふざけにはこちらもおふざけでお返し。
注いでもらったグラスをありがと、と微笑んで受け取る。
冷えていて、湯上がりにはよても良い感じ。
「あれ、よく知ってるね」
グラスをくい、と傾けつつ、少し驚いた様子。
「噂で聞くこともないだろうし、彼に直接?
最近よく会ってるじゃない。もしかしていい感じ?」
くすくす、いよいよこの可愛い妹も隅に置けなくなってきたのかな?なんて…
■伊都波 悠薇 >
「お姉ちゃんが悩むことなんて、彼氏のことくらいじゃない?」
なんて、自分はちょっと苦手な彼氏。
いい人なんだけれど。ちょっとだけ、苦手。
「ん。訓練室でお父さんに遊んだらって言われたから、『遊んでた』ら、ばったり。そのときにね。古武術の考え方を、ちょっとだけ教えちゃった」
いい感じ? と言われると。うーんと、顔が難しくなった。
今はお風呂上がりだから前髪を上げているため、よく見える、顔。
「そういうのじゃないよ。似てるから、話しやすいなって思ってくれてる、くらいじゃないかな」
■伊都波 凛霞 >
「そんなことないよ。
むしろ今はそっちで悩むことなんてそんなにない感じ」
ぐーっと背伸びをしつつ、ソファでぐいぐい、と軽めに上半身ストレッチ。
深めに息を吐いて、リラックスモード。
よく冷えた牛乳のお味は、まあ普通。
「ばったり、かぁ。
なんか最近彼との話をよく聞くなあ、なんて思ったんだけど。
全然そういう話ないの?悠薇がめっちゃ可愛い~、とか好き~、とか…」
だとしたら見る目がないにも程がある。
こんなに可愛くて愛しげな子を前にして自分が男子なら…悶々。
とはいえ、妹から返ってくる返事からすると、そういうのはなさそうで。
「似てる…うーん、似てる…? 似てるといえば似てるのかなぁ…」
男の子と女の子、だから当人でないとぱっとわからないことかもしれない。
「それで、まぁそう…。試合というかなんというか…実戦形式の模擬戦に近い感じなのかな。申し込まれたのは」
■伊都波 悠薇 >
「……ごちそうさまでした」
拝むポーズ。これだから、はー……なんて、心のなかで思う。
けど、うまくいっているのが嬉しくて頬が緩んだ。
「言うけど。お姉ちゃんにも言ってない? 私の勘だけど。だってこう、素直でしょ。橘さん」
まるで異世界ハーレム鈍感主人公ばりだよ、なんて。
「才能ない、って彼は言うからね」
才能がないのは、同じだ。
「本気でって、聞いたよ。だから、『試合』なら勝負になるって、言っておいた」
■伊都波 凛霞 >
「私に? うーん…全然言われたことない気が…。
風紀委員の本庁で話すことも多いし、浮いた話なんてほとんどしないよ」
彼なりに色々心配してくれたり、とかはしてくれるけど。
うーん…異性方面の話なんかそれこそ一度もされてないと思う…。
「悠薇には言ってるんだ。悠薇はどうなの~?彼のこと」
何か、特別な感じとかあったりしないのかな…と。
姉としてももちろんそこは気になってしまうわけで…。
「才能…ね」
あまり好きじゃない言葉だ。
子供の頃から耳にタコ。それをあえて自ら口にする人は往々に…焦っている人。
彼は十分才能に溢れている様にも見えるのだけど。彼自身にとっては違うのかも知れない。
「そうだね。殺す気で、って言われば。
苦手なんだけどなぁ~…、でもすごく真剣だったし、受けちゃった。
──まぁ、さすがに盤外戦術まで考慮するとね。模擬戦にもならないもの」
苦笑する。
それは彼の望むところではない、というのはその場で確認もした。
■伊都波 悠薇 >
「そうなんだ?」
ふーん、なんて、いいながら内心は汗を掻く。まじ?
でも今日は狼狽えない。最近うろたえるのが少なくなった。
たいまん二人で、なにかするバトル、だと、結構大変なことになるのだけれど。
「どうって、言われても。無茶しそうな後輩、かな。私が言うのも、なんだけど」
ぽつり、零す。我武者羅になった自分のことを思い出すから。
「うん。でも、お姉ちゃんも、私も、だけど。始まったら決着つけがち、でしょ。そういう風に教えられてるし。だから、基本戦術を、見せた感じ。『遊びながら』」
こくりと、牛乳を一口。
「……何を悩んでたの?」
■伊都波 凛霞 >
「悠薇も、無茶したしね。
まぁ…彼は前線に出ずっぱりなところもあったし、怪我は絶えなかったね…」
無茶をしそう…といえばまた少し見方が変わるけれど。
彼は立場的に在る種の広告塔でもある。
時折言葉に感じる仄暗さは、きっとかれの本質の現れだ。
……とはいえ、彼も風紀委員、組織の一員。立場的にもそう無理をするとは……。
「そりゃまあ…突き詰めればね?
私達のは本来禁じ手なし。相手が姿勢を作る前に仕留めるが最善だけど……」
戦場自体を有利に作るは勿論、相手に万全な状態を保たせない。
私生活を崩す、盤上に仕掛ける、最終的には顔を合わせることもなく葬るのが流儀。
とはいえ、その局面にいたる殺意、を姉は持っていない。
その技術は確実に継承し、伝えていくことが出来るけれど──それ自体に向いているつもりはない。
「悩んでたわけじゃないよ。あくまで考え事。
最近の事件も含めて、色々今後のことなんかもあるし」
「あとほら、慰安旅行のこととかね。悠薇はいかないの?」
■伊都波 悠薇 >
「うぐ」
痛いところを突かれた。乾いた前髪をおろして視線を隠す。
「うーん、そういう無茶じゃないというか。無理? かもしれない。こう、勘なんだけど。いつか、翼を焼かれちゃう、イカロスのように」
飲みきって、コップを置き。ソファーの上でだらしなく横たわる。
広告塔、ということを建前に。
そして、風紀委員、ということも建前に。
本音を包み隠して。
自分と、同じなら、の話だけれど。そうしないでほしいと願いながら。
でも、それを受け止める気には、どうしてか『なれなかった』
自分以外のふさわしい人がいるような気がして、ならなかった。
なぜか、わからないけれど。
「うん。私は、そうする才能がないけどね。お姉ちゃんみたいに動けないし。でもお姉ちゃんは最善ができるから。あくまで択を見せた感じになったかな」
流儀をこなす、気概、才を持っている。けれど、体がついて行かない。
行ったとしても、体が足りず、中途半端にーー死ぬ。それが父の見解だ。だから遊ぶ程度にしなさい、と、強く言われている。
天秤が、消えたあの日から。
「慰安旅行は……行こうと思っているかなーーじゃあ、聞き方変える。何を一番に、考えてたの?」
■伊都波 凛霞 >
イカロスのように。
それはどういう揶揄だろう。
無謀、身の程…あるいは神への反逆?
後者だとしたら神は何を差すのか…。
「──ああ見えて、橘くんは頭もいいし腕前もちゃんとしてる。
私は彼の能力は高く評価してるよ。そんなに不安は…ないと思いたいかなー…」
結局不安はあるんじゃん、なんて自問自答。
大丈夫だとは、思うんだけど。
「私だって悠薇みたいな才能は持ってないからなぁ~。
二人で丁度、完成形が見えるんだろうなって思うけど…でも今の時代に必要かなって思うとそうでもない気もする」
あくまで技術や理論として残していく、それが役目とも思っている。
普段近所の子に教えている、健全な身体や精神の育成を旨として"武道"の側面だけでも、普段は良い。
「おっ、やった。悠薇も来るんだ。楽しみだね~♪
…で、うーん……何を一番に…っていうと───」
「まぁ、夏輝のこと…になっちゃうかな。
ごめんね、このことはもーすこしだけ、引きずっちゃうかも…」
そう言って、やや申し訳なさげに。
■伊都波 悠薇 >
「私もすごいと思ってるよ。でもね、お姉ちゃん」
自覚している。あの時から、ずっと。
「私は、普通じゃないんだよ」
微笑みながら、告げた。ずっとずっと。
こっちに来てから、ずっと、思っている。
思っているよ。姉が凄い、けど。そこからーー多分、違う方向に行く人が多いのだと、本を読んで知っている。
ーー姉のような主人公に嫉妬する幼馴染は多くて、家族は多くて。
そういうのがきっと、『大抵のこと』だというのを、知っている。
「異能っていう、才能が目の前にあったら。評価、なんて霞んじゃうんだよ、きっと」
たとえ、翼があったとしても。それは、機械の翼であり、生えている、もとから持っている翼とは違う、後付のものなんだと。
ーー自分自身が超えなくてはいけないのだと、翼が、たとえなくとも。
そう思うのが、きっと、普通。
「だから、心配だよ、私は。私が、絶対に理解のできない。例えば、『お姉ちゃんに感じる劣等感』を、彼が抱えているのではないかって、心配」
決して、彼に言うことはないけれど。
「そうだね。今の時代にはいらないし。私だと、使いこなせないから」
諦めとかそういうものではない。本当に、心の底からそう思っている。
「うん。仲良くなった、友達、もいるし」
コップのふちをなぞりながら。
そういえば、最近姉が忙しそうにしてた。
……ーーーー
「えっと。最近の事件の犯人、だっけ」
■伊都波 凛霞 >
「………」
「確かに彼は風紀委員の中では珍しい無異能者」
「…でも、それを補って余りあるものを持ってると思うんだけど、なぁ…」
例え異能者と同等以上の能力、結果を導き出したとしても、その劣等感からは逃れられないものなのか。
──それは、"持たざる者"にしか、理解らないのかもしれない。
「……だから、か」
数日前のオフィスで、件の事件関係の評価を口頭で伝えた時、彼は只管に不満げに見えた。
私はそれを正当な評価だと思ったし、彼が役に立っていないことなんてありえないと本気で思っていた、けど。
彼にとってその評価は…受け入れがたい評価だったのかもしれない。
それこそ、霞んでしまう程度の。
「異能っていうのも…人によってはそれこそいらないものだったりするんだけど。
やっぱり持ってない人にとってみたら、とびっきりの"才能"なんだろうね…」
その劣等感、を真に理解するのはきっと難しい。
そうであるなら、彼自身が、自分の力で解決しなければいけないことだとも。思う。
……心配も、最もだろうとも思う、けれど。
話を区切るように、グラスの中のミルクをくっと飲んで、一息。
慰安旅行、姉妹で一緒にいくのは初めてになるのかも。
素直に楽しみだ。色々なしがらみを一旦置いて、存分に疲れを癒やしに行こう。
「友達もできたなら尚の事、楽しみだね。
──、あれ。悠薇は……知らなかったっけ?…え、でも──」
家で、何度も彼女の話はした…はず。
風紀委員に入ってからは、それこそ親友といっていい間柄で──よく彼女の名前も、口にしていた筈なんだけど。
「う、ん……覚えてないの? 夏輝のこと…お姉ちゃんとずっと仲良く…」
──あれ?
………なんだろう。
なにか、おかしいような気がする。
■伊都波 悠薇 >
「ーーうん。だから、『頑張ってね』、お姉ちゃん」
疑いも、何もない。
瞳を向けた、きっと、姉はそういう意味でも負けないのだと信じる瞳。
それがたとえ、あこがれをやめた今でもなくなることはない。
「応援してるから」
ーーこれを、伝えればきっといくつかのピースがつながるはず。
自分ではわからないことも、姉ならわかるはず。
きっと、今回はそれが生んだ、試合だと思うから。
「私じゃ、なんも言ってあげられないから」
立ち上がり、コップを片付けようとする。
姉からコップを受け取り、台所に。
「あれ、そうだっけ。ごめん、最近ちょっと、色んな人と会ったり、いろんなことしてたから混ざっちゃってたかも。大事な人だったんだ。ずっと仲良しだったなら」
まるでなんてことないように。自然と、会話が続いていく。
違和感なく。
■伊都波 凛霞 >
妹にコップを渡して、台所でそれを洗い片付ける妹の背中を見ていた。
頑張ってね、応援してる。
妹からの、何よりも力になる言葉。
───だけど。
「うん…大事な、人。 …そっか。
悠薇に友達もできてるし、少しずつそういう時間が増えるもんね──」
………だとしても。
風紀委員に入って、それから彼女と出会って、一年、二年…。
仲良くしていたし、家での会話でも名前を出す機会は多かった。
ごく最近、その名前は連続殺人犯のものとなって、良くない意味で印象を強めてしまった。
それは、今は同じく風紀委員である妹にも、情報として伝わっている筈で──。
どうしようもない違和感に苛まれる。
…悠薇のほうといえば…特にそんな様子には見えない。
「(……気にし過ぎ、かな)」
ここのところの色々で色々過敏になっているのかもしれない。
なんだか既視感にも似た不安が過ったけれど──気にしすぎるのも良くはない。
■伊都波 悠薇 >
「そっか。そうだったなら仕方ないよ。私もお姉ちゃんになんかあったら絶対引きずっちゃうし」
くすりと、笑いながらコップを手際良く洗い、乾かす。
しゃーっと、いう、水音がなんだか大きく聞こえて。
「そう、だねー。友達、100人、まだ間に合うかなー?」
ーーそんなはずはない。
妹が姉に係る事件で、関与しないことも、覚えていないことも、口出ししないことも、いままでなかったはずなのだ。
隠し事を、してない限りは。そう、隠し事を例えしていたとしても、お互いにお互いを、ずっと見ていた。
つい、最近、それぞれが自立を、離れを意識するまでは。それなのに。
それ、なのに。
「じゃあ、あれだね。旅行はめいいっぱい、はしゃがないと、だね。大人数、私は苦手、だけど……
やっぱやめようかなぁ……」
『忘れないで』/『忘れてしまえ』
ーーギィギィと、オモリが、乗る音。
二人に聞こえない見えない。
ーーギィギィ……
「……欠席しようと、思います。やっぱり」
大人数のいるところを想像して、手のひらをくるくるした。
■伊都波 凛霞 >
悠薇に何かあった時、めちゃくちゃ慌てたからね。
なんて言葉は飲み込んでおく、ちょっと意地悪だし。
今思い出しても取り乱しすぎた、黒條さん思いっきり突き飛ばしちゃったし。
あれからちょっと、意識して感情的にならないよう頑張ってる。
……でも、多分妹がまたあんな目にあったら無理だろうな、とも同時に思う。
「まだまだ間に合うよ。生徒なんていーっぱいいるんだから」
友達100人、学園に入学した時からの、妹の目標。
当然応援しているし、できないなんて思ってない。
姉の欲目は否定しないけど、妹…悠薇は可愛いし、いい子だ。
"天秤"なんてものさえなければ…きっと、もっと早くに………。
「えー…どうして、そこは友達100人の目標への近道だよ?
大丈夫、お姉ちゃんも一緒なんだから、コワイことなんてないよ♪」
怖気づいてしまう妹を元気づけるように、明るい声色。
不安がっててもしょうがない。天秤はもう作用していない筈。
悠薇がちゃんと成長できているのが、その証拠なんだから。
■伊都波 悠薇 >
「うぅぅ……やだー。知らない人コワイヨー。ぼっちには辛いですぅ……」
いじいじ。ネガティブモード。
家の中と、一人のときだけの。
「カンガエテオキマス」
怖いことないと、返されてしまうとたしかにそうかも知れない。
でも姉のお陰でもあるけど、姉がいるから、で起こり得る事象も想像できて。
「うぅ……タスケテ松風……」
そんな夜の姉妹との団らん。
よるネルまでーー
■伊都波 凛霞 >
ほら、しぬほどかわいい。
こんな妹、ほっとけるわけないでしょ。
「風紀委員の仲間も一杯いるから、大丈夫だってば…」
こういうところはなかなか変わんないなぁ、なんてパジャマの背中をぽん、っとしつつ。
「ほら、湯冷めしちゃうからもう部屋いこ」
そう言って、互いの寝室へと促す…。
少し気になることもあったけど、今はまだ。
ただただ長閑な一つ屋根の下───。
ご案内:「伊都波家 リビング」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「伊都波家 リビング」から伊都波 凛霞さんが去りました。