2024/10/06 のログ
ご案内:「委員会合同慰安旅行 廊下」に鶴博 波都さんが現れました。
■鶴博 波都 >
「ふぃー、終電着です。」
再び宴会場に戻る鉄道委員。
明日の帰宅の便の運行の一部を担当する予定。電車も行けるしバスも行ける。
そんなこんなで現地入りはしたが、宴もたけなわなのかそこそこ静か。
廊下を歩きながら、宴会場を眺めている。
「おのこしだけ食べて一泊して、そのあと運行です。
ゆっくりできるから、お風呂入るのもいいかな……。」
■鶴博 波都 >
「ひとまずは荷下ろしです。用意された部屋は……。」
てくてくと歩いて、自分の部屋を探し始める。
思ったより広いかも、と思いながら廊下を歩き、自室らしきNoの部屋を発見。
「たぶんここです。番号確認、ヨシ!」
鍵を空けて、部屋の中へと入って行った。
ほどほどに楽しんでから、帰りの手配を備えよう。
ご案内:「委員会合同慰安旅行 廊下」から鶴博 波都さんが去りました。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」に追影切人さんが現れました。
■追影切人 > 「――よくもまぁ、あっちこっちで無礼講とはいえ賑やかに騒げるもんだな…ったく。」
面倒臭ぇ…と、呟きながら屋根の上に一人座り込みながら煙草を蒸かす。
監視役に見つかると面倒だし、二日目の今夜は腐れ縁も合流したみたいだ。
尚更、こういう所でこっそり吸わないとボッシュートされるのが目に見えている。
――結局、まともな交流らしい交流はほぼしていないようなもの。
そういう意味では、学生らしい青春を謳歌しているとはまだまだ言い難い。
それでも、この場に足を運んだ事が大きな進歩であり変化、なのだろう。
それを良いとは思わないが、悪いとも思わないのはやっぱり…刃から人間になりつつある、という事か。
「本当…”感情”って奴は…こうも―――…。」
なんて、つまらんぼやきだ。煙草を蒸かしながら吐息を漏らす。
■追影切人 > 「――”あの馬鹿女”も居たら絶対参加してただろうな…まぁ、しなくても凛霞辺りとかが誘ってそうだが。」
そこまで独り言を呟いてから顔を嫌そうに顰めた。
もう”終わった”事をズルズル引き摺っているみたいでらしくない。
そういうものは、斬り捨てるみたいにキッパリ割り切るべきだというのに。
「――なぁ…?こういう、捨てきれないモノを抱え込んで背負って…生きていくのは窮屈じゃねぇのか?」
誰に問い掛けているのか、それは男にしか分からない事だろう。
昔は、ただ目の前の目に付くモノ全てを斬っていれば良かった。…今もそのころに戻れたらと思う。
けど、それこそもう終わった事でしかない。
■追影切人 > ――無意識に急所を外して斬り殺し損ねた。
――今、思い返してみるとそんな嫌いでもなかった。
―――あの馬鹿の銃の残骸の再利用をわざわざ手配した。
…誰かが言った。『刃から人に成れ』と。今、その過程に自分は立っている。
ここからどう進むか――それは己次第であり、周囲の導き次第でもあり…。
「…クソが、こうやってウダウダ悩むくらいなら最初から刃のままで生きて死んでた方が良かったろうよ。」
頭を掻きむしる。少しイラついているのは自分自身がよく分かってる。
自分が思っていた以上に、感情を得て、何もかもをスッパリ割り切れなくなった。
(…廬山の奴が拍子抜けする訳だ…本当、くだらねぇ。)
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」に麝香 廬山さんが現れました。
■麝香 廬山 >
「クソが、こうやってウダウダ悩むくらいなら最初から刃のままで生きて死んでた方が良かったろうよ」
背後から声が被る。
噂をすれば何とやら、屋根の上にはもう一人。
当たり前のように隣まで歩いてきた廬山が、にこりと微笑む。
「お、考えてることあたったね。
まるで思春期じゃん。どーせ、くだらないって考えてるんでしょ?」
■追影切人 > 「――うげ…。」
何か視線を感じると思ったら、その先に女湯があった…いや、それは”どうでもいい”。
そもそもそんなまともなスケベ心があったら、もっとこの男は学生をエンジョイしているだろう。
問題は、よりによって監視役に喫煙している姿を見られた事だ。…ボッシュートと説教とか面倒臭い。
「――おまけにテメェまでノコノコ現れやがって。最近思うがオマエ俺のストーカーってやつかよ?」
頭の痛い問題が2つに増えた。最悪だ、とばかりに左手で顔を覆って空を仰いだ。
■麝香 廬山 >
「そんな顔するなよ~。君の数少ない友達だよ?ボク。
ていうか此処、よく見えるね。女湯じゃん。切ちゃんのエッチ~」
ニコニコと笑みを浮かべながらしれっと口にする。
確かに此処は眺めのいい場所だ。来たくなる気持ちもわかる。
隅におけないねぇ~、なんて冗談めかしに脇腹を小突いた。
「おいおい、ボクだって風紀委員だよ?
一応、だけどね。だったら参加資格あると思うけどね」
懐から一本取り出す煙草は、大変容の銘柄。
もうほとんど再販されていない骨董品だ。
一本指に挟めば、ちょいちょい、と火をよこせサイン。
■追影切人 > 「オマエとダチになったつもりは今も昔もねぇんだが?」
何で一級同士で仲良しこよししなけりゃならんのだ。
俺はオマエもあの女狐も嫌いだ。【炉神】はまだマシだがやっぱり好きではない。
なんて、言葉に出すのもかったるいので、煙草の煙を盛大に吐き出しつつ。
「あぁ?見えたからなんだってんだよ……つーか、テメェも風紀なのがいまいちピンとこねぇな。」
それは男自身にも跳ね返ってくる感想ではあるが。
ともあれ、彼が懐から取り出した煙草は…見覚えはあるが銘柄が思い出せない。
面倒臭そうに、古臭いジッポライターを懐から取り出してそっちに放り投げて渡す。
「――で?テメェは宴会だの温泉だの満喫でもしてきたってのか?」
■麝香 廬山 >
「此処まで縁が出来てるなら友達だと思うけどね~?
いやよいやよも……って、知らない?」
ああ言えばこうとんでくる。
廬山にとって、監視対象は些細なことだ。
受け取ったジッポライターをクルクルと指先で回し、
煙草の火を付け咥えた。古臭く、今の製品よりもタバコ臭い煙だ。
「ライターありがとう切ちゃん。
切ちゃんってば、ついにはブーメランで人を斬るようになった?」
なんなら今ぶっ刺さってるけどね、それ。
ライターをす、と弧を描いて投げ返す。
「僕がそう言うの楽しむように見える?
なんか、楽しめないんだよね。他人が楽しいって思うものに」
ふぅ、互いに吐き出した煙が、夜空で交差した。
「そういう切ちゃんはどうだった?」
■追影切人 > 「――つくづく思うが、テメェの言葉は薄っぺらくていまいちどっからマジでどっからふざけてんのか分からん。」
偶にマジになった時は明らかにこちらをぶっ刺してくるので、そういう意味ではむしろ分かり易いが。
まぁ、そもそもコイツが監視対象”程度”の枠組みに入ってるのがおかしな話だと思う。
どっかの”クソババァ”とコイツ…あとは…もしかしたら茉璃辺りか。真に【規格外】なのは。
「――ハッ、言ってみてくだらねぇとは思ったよ。」
煙草を蒸かしつつ、そちらを見もせずに投げ返されたジッポを受け取って懐にぞんざいに戻し。
「――別にテメェが楽しめないのはテメェのアレだからいいんだがよ。
…それって死人とあんまり変わらなくねぇか?むしろ何か目的とかあんのか?オマエ。」
殺しても死なないような奴だが、楽しめないモノばかりで生きていてもただの無限地獄だろうに。
空中で交錯する煙を、隻眼でぼんやりと眺めつつ肩を竦めて。
「――少なくとも、性には合わねぇな。」
ここに足を運んだのは、【腐れ縁】と【監視役】の両名の影響だ。以上でも以下でもなく。
つまり、それが無ければそもそも足を運ぶ可能性は皆無と言っても良かった。
■麝香 廬山 >
クスリと薄っぺらい笑みを浮かべたまま、くるりと煙草を回す。
灰と煙が、夜風に待って宵闇に消えてしまった。
「"友達"と思っているのはホント。
ボクなりに気をかけなきゃ、君に何か言うと思う?」
廬山の言葉は薄っぺらい嘘の塊とほんの少しの真実。
本心を誰かに語った覚えはない。だが、友人でなければ気にもかけない。
煙草を咥え直せばあちゃー、と呆れの声が漏れた。
「二発目。追影ブーメラン男に改名したら?」
ケラケラと肩を揺らした。
「言っておくけど、ボクにも楽しみはあるよ?
人が楽しいと思うことの、逆。なーんか楽しいんだよね」
「人が悪性と呼び疎ましく思うものが」
善性を忌避し、悪性を尊ぶ。
決定体的に欠如した倫理観。
デロリとした、悪意に満ちた言葉は嘘ではない事が理解できる。
表情一つ変えること無く。ただ、その言葉には目を細めた。
「……なんだ、ブーメランかと思ったら"楽しんできた"んだ」
■追影切人 > 「――そもそも、テメェが俺を気に掛ける理由がサッパリわかんねぇが?」
特に、”感情”を得て腑抜けになってる今の自分に、だ。
コイツが関心があったのはあくまで昔の真に【凶刃】だった頃の自分であろうに。
「いちいちうっせぇなテメェは。からかうなら他の監視対象にでもやってろ。」
ケラケラと肩を揺らす男を隻眼で眺めてから、ケッ、と呟いて煙草を蒸かす。
「――成程、悪性腫瘍みてぇな奴だな。」
この男にしては多少は賢しい単語が出た気がする。
そういう意味では、監視対象の中でもトップクラスにコイツが”終わってる”。
…とは思うが、自分も含めてどいつもこいつも何かしら終わってる連中しかいないが。
「…あァ?楽しんできた覚えは全くねぇよ。」
少なくとも、意識や自覚している部分では欠片も無い。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 >
「こらー! せめて煙草は喫煙所で吸いなさいって! なんでまたこんなとこで──」
非常階段から素早い影のように屋根に飛び上がってきた少女。
制服に着替えているしちょっと時間がかかったけど、自分が監視役を努めている監視対象のことだ。
行楽の場であっても、しっかりと責任を以て馳せ参じたわけである、が……。
「…あれ、ふたり?」
屋根の上で喫煙かましてるのが、増えてる……。
■麝香 廬山 >
ふぅ、と紫煙を吐き出して肩を竦める。
「──────切人。君は、"アホ"だ」
屋根上に灰を落とし、くるりと向き直る。
「切る事しか知らなかった刃が、人間となろうとしてる。
赤ちゃんと変わんないし、赤ちゃんより出来ることが多いからタチが悪い。
どうせ君のことだ。宴会席でも、自律的にこれをしようあれをしようってのはなかったんでしょ」
宴会会場での彼が目に浮かぶ。
どうせ文句を垂れた上でちびちび酒と煙草でも楽しんでいたんだろう。
よく知っている。君のことは。
見据える紅の双眸は、心底を見透かすようだ。
「でも皆怒らない。優しいから?それもあるね。
けど、赤ん坊がワガママ言ったって長い目で見るからだよ。
勿論、度が過ぎれば怒られる。……君、さ。"やってから"文句言った?」
「どうせ、やらずに気取りながら文句垂れてるんでしょ。
僕には分かるよ。まぁ、君はカラオケのレパートリーもなさそうだから仕方ない」
ぴ、と煙草の先を突きつける。
「切人、これは人生の大先輩としてのアドバイスだ。
君はどうやら、その芽生えた感情と付き合うと決めたみたいだし、
だったら、もっと周りの人間に合わせなよ。そういうのはね、やってから文句いいな」
「その中で、自分の性に合うものを見つけるのさ。
僕は、合うものが無かった。そして、監視対象にいる」
くるりと煙草を回し、咥え直す。
「……そうすれば少しはわかるんじゃない?
少なくとも慰安旅行にキミみたいな狂人が来る時点で、
付き合いでも友情とかを優先した結果だろ?だったらさ」
「どんな形であれ、自分の決めた行いには合わせろよ。アホ」
■麝香 廬山 >
「ま、此処に来た時点で楽しみには来てるよねって話。
……まぁ、新しいことに挑戦しようとするのが怖い雑魚な切ちゃんには無理かぁ~」
ケラケラと笑っていると、肩を竦める。
「ほーら、怖い怖い君の監視役がやってきたよ?」
■追影切人 > 「――いや、普通に未成年喫煙でツッコミ入れろよそこは…ここならまず誰もこねぇだろ基本。」
喫煙所で誰かと出くわしても何か面倒なので、まず人が居無さそうな場所を検討した結果が旅館の屋根の上である。
あと、【完璧超人】などと何か言われてるぽいだけあって、身のこなしとかも素早い…。
「――――……。」
一瞬、イラッとした表情を浮かべるが…だからこそそれはつまり”図星”なのだろう。
自分でも自覚していなかった部分を無理矢理引きずり出されて、目の前に突き付けられたような。
――単なる我儘な赤ん坊。…悔しいし業腹だが反論出来ない。
だから、深く息を吐いてゆっくりと気分を落ち着ける…激昂したりイラついた所でしょうがない事だから。
「――大きなお世話だよ年寄りの大先輩。…と、言いてぇが確かにテメェの言う通りかもな。」
あぁ、ぐぅの音も出ない。コイツの事は嫌いだが、真面目にぶっ刺して来るときは必ず核心を突いてくる。
今がまさにそうで、しかもタイミングが悪い事に監視役の凛霞が来た。
「――確かに今の俺ぁクソ雑魚だな…あぁ、本当。テメェの言う通りかもな。」
そう、肯定する。だったらこれからはどうする?
「――要するにもっと他の奴と”目線を合わせろ”ってこったろ。」
■麝香 廬山 >
にっこり、満面の笑み。
どうやらしっかりイライラしてくれたようで、自覚はあるらしい。
それなら当分は大丈夫だろう。
ニコニコ笑顔で、煙草をポイ捨て。ぐしゃっ。
屋根上でやるバッドマナー!
「そういう事。もっとバカみたいに、俗っぽいことしなよ。
君の周りの人とかさ、そういうの得意でしょ?」
「ちょうどそこの監視役がそうだし、
今度一緒に遊びにいったら?あ、でも彼女、彼氏いるから手ぇ出しちゃダメだよー?」
にこにこ。
■伊都波 凛霞 >
「言うまでもないからでしょ!
わかってるならそもそも吸わないこと!」
まったく、よりによってなんでこんな場所で。
…監視対象同士、話をするくらいは構わないけれど。
「君も君でわざわざ煽るような言葉選びをしないこと。
それに煙草の灰を屋根の上に落とすなんて、火事になったらどうするんです?」
キッ、と強い視線を、もうひとりの監視対象…麝香 廬山へと向け、歩み寄る。
…正直、あまりよい噂は聞いていない監視対象の一人だ。
「…君は私の担当じゃないけど、今日のことはちゃんと監視員に報告するから」
そして目の前まで歩み寄り、踏み潰された吸い柄を屈んで、回収する──
■麝香 廬山 >
にこにこ笑顔は崩さない。
凛霞の説教も聞いているのかいないのか。
「そうだねぇ、火事になったらタイヘンかも。
けど丁度いいんじゃない?今、風紀いっぱいいるし。
やったね、仕事には困らないし、楽しそうじゃん」
笑顔のまま、平然と悪意を吐いた。
それだけで噂通りだとよく分かる。
「好きにしたらいいと思うよ?ボクの監視員は、
仕事しているかどうかもわかんないし。それより……」
す、と目を細める。
その時にはもう凛霞の背後。
音も仕草も何もなく、目前で彼女を見下ろす愉悦の紅。
ほんの一瞬、煙草を拾うという些細な日常の隙に背中をを取った。
異能による空間移動。ちらりと紅が目配りするのは切人の方だ。
──────さぁ、切人。早速キミの周りがピンチだぞ?
試すように、愉悦の紅は切人を見やる。どうする?って。
この目は本気だ。監視対象とは言え、平然と手を下せる本気の悪意だ。
■追影切人 > まずは、相手と同じ目線に立って一緒に馬鹿をやってみる。
今まで『面倒臭い』『くだらねぇ』と吐き捨てて不貞腐れたガキみたいに避けていたソレ。
それを引き摺りだされて改めて自覚させられた…イラついてもそれが事実。
「…屋根の上で一服は失敗したなクソ…。」
せめて女湯から見えない位置で一服してればお小言も回避出来たかと思えば尚更に。
(――――あァ?)
違和感、同時に警戒心。凛霞への廬山の態度に別に変な所は無い。
コイツらしい無遠慮で悪意をサラリと吐き出し叩き付けるのも別に珍しくない。
――感じた”違和感”はまたそれとは別のもの。コイツ、何を考えてやが――…
「――――……オイ、こらテメェ。」
凛霞の背後を取ったと認識した瞬間。男の意識とは無関係に体が動く。
刹那の間に、刀袋が解けて男の右手が霞んで【七ツ胴】――切れ味鋭い刀を抜き打ち。
そのままだと、普通なら凛霞ごと廬山を斬る事になる…”昔の自分”なら躊躇なくそうした。
だが、”今の自分”はそうではない。ならば――どうする?
今の時点で出せる男の答えはこれだ。
抜き打った刃は、凛霞の体を擦り抜ける様に通過し――その後ろの廬山を斬り捨てんとする。
(――挑発だってのは分かるがよ…何かイラつくんだよ”ソレ”は…!!)
■追影切人 > 「俺の監視役にちょっかい掛けてんじゃねぇよ、斬り殺すぞクソ廬山!!!」
■伊都波 凛霞 >
「──、ぇ…」
目の前にいた筈の少年、その姿が消えて…その気配が自分の背後へ。
同時に感じるのは──抜き放たれた、"剣気"
「──…!!」
咄嗟、背後に移動していた彼を、突き飛ばそうとする。屋根から、落ちない方角へ。
半たれた殺意が、彼に向かう瞬間を感じたから──。
空間転移…おそらく、それで自分の背後にまわったのだろうことは、瞬時に理解する。
「──駄目!!追影くん!!」
彼がそれを自力で避けられるのかは、理解らない。だから突き飛ばす。
それでも、監視対象である彼に、この場で刃を血に濡れさせるわけには、絶対にいけない──!
■麝香 廬山 >
瞬間、紅は目を細めた。
監視員の一撃も、切人の一撃も届かない。
正確には、もうそこにはいない。
パチ、パチ、パチ、軽い感じの拍手が隣から聞こえてくる。
「おお、スゴ……切ちゃんはともかく、凛霞ちゃんも凄いな。
完全に空間移動したけど、殺意だけで反応出来るんだ……流石武術家」
凄い凄い、とおちゃらけた態度だ。
人を舐め腐っている。ふざけた悪意が、そこにはある。
同時に、細める紅は真剣なものだ。
何も無い空間に座れば、頬杖を付いて二人を見やる。
「それでいいんだよ、切ちゃん。
君がその感情と付き合うと言った以上は、しっかりね。
他人と目線を合わせること。凛霞ちゃんや……レイチェルちゃんに迷惑かけちゃダメだよ」
今の行いとしては十分すぎる成果だ。
今後【凶刃】としてではなく、切人としての彼。
後は彼次第だろう。ひょい、と何も無い所を飛び出し、
今度は凛霞の前で仰々しくお辞儀を一つ。
「さて、ご無礼をお許しください凛霞監視員。
お初お目にかかります。ボクは麝香廬山。
御存知の通り、第一級監視対象【無間山脈】で……」
「切ちゃんの親友で~す♪」
しれっと切人と肩を組む。いつの間に。
■追影切人 > 「チッ…!」
舌打ち。やっぱ”届かない”か。斬撃の軌道にあるものを擦り抜けて、斬ると決めたもの”だけ”を斬る。
無意識に、例え激昂していたにしろこの男が見出した凶刃――とはまた違う刃の使い方。
「―――見ての通りだよ凛霞。コイツにゃこの程度は全く意味がねぇ。」
刀を鞘に乱暴に納めてイラついたように。先ほど指摘されたイラつきとは別種の何か。
しかも、ふざけた悪意はそのままにその目は”真剣”そのものだ。
「――チッ…テメェに言われなくても分かってる。」
ゆっくりと怒気を吐き出すように溜息。咥えていた煙草も吹っ飛んだがそこは見逃せうちの監視役。
「――だからテメェをダチとか親友なんざ思った事は一度たりとてねぇんだよ!!」
ちゃっかり肩を組んでくるんじゃねぇ、今度こそぶった斬ってやろうかコイツ…!!と、青筋を立てていた。
が、凛霞がすぐそこに居る以上、グッと堪える…堪えた。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」に鶴博 波都さんが現れました。
■鶴博 波都 >
「あのー……なにかあったんですか?」
壁と屋根を伝って屋根の上。
剣呑な雰囲気に、全く何も知らない鉄道委員の少女一人が声を掛ける。
合同慰安旅行で風紀委員が刀傷沙汰、と言うのは多分厄ネタ。
そうでないように、と、祈りながらの第一声。
■伊都波 凛霞 >
突き出した手は、空を切る。
それで良い。彼の刃を穢すことにならなければ、一先ずは──。
咄嗟、とはいえ…一瞬で膨れ上がった彼の殺意に、一瞬押し潰されそうになった。
それでも、彼の放った一撃は自分の身体を傷つけないもの──、激昂したにしろ、此れ迄の彼とは違っていたことに、驚いた。
「──とにかく、落ち着いて。発火する感情で刃を向けちゃ駄目」
言葉の中には彼に伝わるモノもあるのだとは思う。
かれどそれを彩る悪意の数々も、また事実だ。
…改めて、彼の隣へと移動した少年へと射抜くような視線を向ける。
彼の言葉にいちいち惑わされるのは、きっと良くない。
粛々と、淡々と、彼の行動の逐一を報告に上げるに留めることにする。
「麝香廬山、これ以上挑発めいた言葉は謹んでくださいね。
監視対象として特別な措置を講じる必要が出る前に、大人しく戻ってください」
■麝香 廬山 >
くつくつと喉を鳴らして笑う廬山。
「殺りたいならすればいいよ、伊都波凛霞。
そういうモノでしょ?知ってるよ。君は優しい」
「僕の処分でさえ、きっと自分じゃ出来ない」
見透かしたような物言いであり、特別措置さえ恐れていない。
怒る切人を尻目に、的確に悪意が心底を撫でる。
「そんな怒らないでよ切ちゃ~ん、ホラ。彼女が怖がっちゃう」
ぱ、と離れて両手を上げる。ハンズアップ。
す、と流すような目線が、新たな来訪者に向けられた。
「──────なんでもないよ、鉄道委員会の子」
「ホラ、学生のウチなら喧嘩くらいするでしょ?」
ね、と柔く微笑みを向ける。
■追影切人 > 「――わーってるよクソ!……ったく…。」
堪えた――無暗矢鱈に、無差別に感情のままに衝動のままに斬るだけではない。
――明確に【鞘】と認識した…してしまった相手が直ぐそこに居る以上、【刃】は収まるべきだ。
「―――――…。」
だが、廬山が的確に悪意の風を吹かせれば、表情が抜け落ちて再び右手が刀の柄に伸びる…が。
(――ここで抜いたら”昔の俺”だ。)
だから”抜かない”。凛霞が――俺みたいな奴の監視役を引き受けた女が、この程度の悪意に動じる事は無いと”信じる”。
「――テメェは本当、相変わらず……チッ!」
舌打ち。新たにやって来た闖入者に気付いたからだ。手早く刀を刀袋に放り込んでおく。
「――鉄道委員会の奴か。…そいつの言う通り何でもねぇよ。騒がして悪かったな。」
と、珍しく?謝罪をしておく。色々抑え込んでいるものはあるが。
■伊都波 凛霞 >
「………」
挑発めいた言葉、当然乗らず…射抜くような視線を向け続ける。
彼は、何か悪事を働いたわけではない…喫煙とその始末以外。
刃を抜き放ったのは、追影くんのほう。……それも、彼の挑発行為に反応してのこと。
傷ついた人は誰もこの場にはいない、この状況のまま解散させるのが、きっと最善だ。
「──必要な報告と措置はちゃんとするから、ね?」
憤り荒ぶる監視対象をなだめるように声をかける──自分でも抑えようとしてくれているのがよくわかる。
そしてまさか、この場に誰か来ようとは…さすがに驚いたけれど。
「だ、大丈夫。もう平気だから…」
鉄道委員の彼女には、そう告げる。
そう、平気の筈……彼も、これ以上挑発をするような真似はしないだろう…と。
■鶴博 波都 >
「ほえ……そうなんですね。
ちょっとの喧嘩ぐらいはあるあるです。提供物にお酒もあったみたいですし……」
美味しいご飯とジュース。たまにお酒。
気分が浮足立ったりで、喧嘩が起こることはあるのかも。
風紀委員同士の喧嘩って怖い。
二人の男子の言葉に素直に頷く。
赤いミディアムショートの鉄道委員の女の子はそう思いながらも、言われ通りに納得した。
小難しい言葉は、風紀委員内での喧嘩の中で出る要素かプロセスかな、ぐらいの認識。
「大丈夫なんですね。凛霞さん。
うん。男の子同士のなんでもない喧嘩。分かりました。」
(逆に邪魔しちゃったかな……?)
「え……えっと、それじゃあお話合いとかいっぱいあると思うので、私は戻ります。」
「旅行でのピロートーク、色々あると思いますけど……乗りたいバスや電車に遅れないよう寝坊に注意!です!」
ピロートークを寝る時の話題位のニュアンスで使っている。
そのまま、鉄道委員の少女は来た道を帰って屋根を下った。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」から鶴博 波都さんが去りました。
■麝香 廬山 >
「お好きにどうぞ。お仕事しなきゃダメだよ~?風紀委員」
言葉通りだ。その程度でうろたえない。
無間山脈は、動きはしない。
にしても、そうか。
【凶刃】を人に変えさせたのは、恐らく彼女か。
クスリと微笑むとあーあ、と軽く伸びをした。
「ふふ、怖がらせちゃったねぇ、彼女。
まぁいいか。じゃ、ボクは帰るよ。切ちゃん。凛霞ちゃん」
二人の横を何気なく横切った。
実に自然に、肩で風を切って通り抜ける。
「──────また会うことになるだろうしね」
トン、と屋根から飛び降りる。
音もなく、形もなく、既に廬山の姿はそこになかった。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」から麝香 廬山さんが去りました。
■追影切人 > (俺はそもそも酔わねぇけどな…。まぁ、喧嘩と勘違いしてくれる方がいいか。)
実際は喧嘩どころか本気で斬り殺すつもりだったし、今も昔もこの廬山という奴は嫌いだ。
――嫌いだが、その悪意で気付かされた事も多い。今もそうだ…その点だけは感謝する。
「…あぁ、お疲れさん。…寝坊してそうな奴が居たら叩き起こしておくから心配すんな。」
色々と渦巻いている感情は一先ず抑え込んで、表面上は何時ものダウナーな態度に戻りつつ。
彼にしては穏やかな態度で鉄道委員会の少女が戻っていくのを見送った。
「――凛霞、俺が言えた事じゃねぇかコイツの”悪意”はまともに相手しない方がいい。
…まともに相手しなくても、あらゆる方向からぶっ刺してくるけどな。」
異能よりもある意味でその悪意の底知れなさが厄介だと改めて思う。
とはいえ、コイツに気付かれた部分も大きいので、厄介ではあるが心底憎悪も出来ない。
「―――テメェ、何か企んでんじゃねぇだろうな?」
と、横切る廬山に声を掛けて振り返る――そこにもう彼の姿はない。
それを確認すれば、チッと何度目かの舌打ちを零してから凛霞に隻眼を向けた。
「…俺らも戻ろうぜ、凛霞。あと、俺が”やらかした”報告もきちんとしといてくれ。抜いたのは事実だからよ。」
そう、肩を竦めながら一足先に屋根から下りようとしていたが、思い出したように足を止めて。
「――あぁ、それと。【鞘】なんて勝手に決めつけて悪かった。」
流石に、咄嗟の激情もあったとはいえアレは言い過ぎたと思うから。…まぁ、うん。
■伊都波 凛霞 >
「相手にしなければいい、ってだけで済むなら、いいんだろうけどね…」
飛び降りて去っていく彼を目で追いながら、小さく溜息。
鉄道委員の彼女も無事に戻れてほっとした。…屋根の上なんて危ない場所に人が増えるだけでちょっとひやひやする。
「喫煙も、喫煙場所も、一時の感情で刃を縫いたことも、ちゃんと報告します!」
まったくもう…と、降りようとする彼に並び立って。
投げかけられた言葉を聞けば、その背中をポン、と軽く手で叩く。
「やったことは褒められないことだけど、私はちょっと嬉しかったかなー?」
にこにこ、思わず笑みが溢れてしまった。
だって凶刃、なんて呼ばれていた…感情なんて感じさせない時期すらあった彼が、
監視役である私の為ことで、感情的にその刃を抜いてしまったのだから…。
「いいよ。むしろ私がちゃんと"凶刃"の鞘になれてるんだって誇らしく思っちゃった」
じゃ、戻ろっか。
と足を止めた彼にもう一度呼びかけて。二人でその場を後にする。その間も、何かしらやりとりはあったか、どうか──。
■追影切人 > 「――まぁ、そうなるわな…ったく。」
こっちが言うまでも無く、コイツはそういう事はきちんとしていて妥協もブレも無い。
あの鉄道委員の少女にちょっと申し訳ない気持ちはあるが、今度顔を合わせたら何か奢りくらいはするか、と思いつつ。
「――何だよその笑顔は……本当、勢いで口走るもんじゃねぇわ。」
少なくとも、あの時の感情の爆発は嘘偽りない。そもそも嘘とか下手だし付けない。
だからこそ、思い返すと「俺は何を口走ってたんだ」と、珍しく頭を抱えたくなったが。
――おまけに、言われた当人が案外嬉しそうなのだから、尚更に困る。
「……オマエなぁ……やっぱ何でもねぇわ。」
本当、だからこそ俺みたいな【刃】の【鞘】が出来るんだろうな。むしろコイツが【鞘】じゃないとしっくり来ない。
ともあれ、二人して屋根から撤収するとしよう。その後に、何かやり取りがあったのか。
それは二人のみが知る事である―――…
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」から追影切人さんが去りました。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館の屋根の上」から伊都波 凛霞さんが去りました。