2024/10/09 のログ
ご案内:「金物屋『韴霊』地下工房」に御津羽 つるぎさんが現れました。
御津羽 つるぎ >  
 
 
時はほんの少しだけ遡る。
 
 
 

御津羽 つるぎ >  
自分がつくるものは、道具だ。
使い手ありきの利器でしかない。
付随する美も浪漫も、仕手の人生を飾るためのもの。

だからこそ彼の願いで仕事をすることは慮外だった。
長らくの縁故ではあるが、そうした交わりはないと考えていた。

自分が引きこもって仕事を続けている間におきたことは、
漠然としか聞いていない。

御津羽 つるぎ >  
詳しい(よし)こそ知らぬものの、
自分に頭を下げてまで何かに執着する姿に、
どこか胸を打たれたことは事実だった。
それが、それこそが、自分が仕事をする理由になる。

本当に良いのか、と問うたとき。
一も二もなく頷かれたということは、彼は人生の岐路に立ったということ。
それゆえに自分もまた、こうして表舞台に現れることになった。

御津羽 つるぎ >  
 
 
 かけまくも畏き、火産霊神(ほむすびのかみ)

 遍く神代の昔より、高き貴き大神の恩顧を被ることを、

 嬉しみ奉り、忝なく奉りて……
 
 
 

御津羽 つるぎ >   
白衣(しらぎぬ)緋袴(ひばかま)
凡そ神に仕える巫女としての装いに。
髪を上げ、頭を覆う拭いの有り様。

闇のなか、大きくその腕を振り上げる。 
手に握られるは、榊の枝でも(みてぐら)でもない。

人生の半分以上を連れ添った、仕事道具。

――鉄槌。

御津羽 つるぎ >  
 
 
鉄を鍛える。

鋼を鍛える。

刃を鍛える。
 
 
 

御津羽 つるぎ >  
武器(かたな)は道具だ。どこまでも利器だ。
だからこそ、継いでいく使い手がそこに意味を与える。
飾られるでも敬われるでもなく。
使われることにだけ意味があると考える。

そう、断ち割られた輝きの片割れも――
なによりこれを持ってきたあの男も、
実に面白そうな"素材"だった。

なればこの腕を振るおう。
他ならぬ己のために

御津羽 つるぎ >
たとえ神話の器とて。
たとえ理外の器とて。

この身は望みの(かたち)へと鍛えあげる。
真に目指すべきものは、未だ見果てず遠くとも。
ひとつひとつ鍛えては、いずれたどり着くと夢見て。
  
仕立てるは七つの相を持つ改造魔剣。
剣士たる彼の者の、新たなる人生に寄り添う利器。
鉄と焔のただなかで、相応しきものへと鍛え上げる。

これは祝福などではない。
あまりに多大で偏執的な、期待のあらわれ。 

当世金屋子媛(いまかなやごひめ)、現代に妖刀を産む神工。

御津羽 つるぎ >  
 
 
第一級監視対象《炉神(ブレードマスター)》、御津羽(みつは) (つるぎ)
 
 
 

御津羽 つるぎ >  
 
 
鉄を鍛える。

鋼を鍛える。

刃を鍛える。
 
 
 

御津羽 つるぎ >  
監視対象、第一等級。
現行の危険人物であり、大罪人を意味する()み名。 

この者の罪は語られぬ。
なぜか深く秘される闇。
しかし数少なき、その罪を識るものは口々に言う。

御津羽 つるぎ >  
 
 
――御津羽つるぎは、最悪の犯罪者であると。
 
 
 

ご案内:「金物屋『韴霊』地下工房」から御津羽 つるぎさんが去りました。