2024/10/09 のログ
ご案内:「金物屋『韴霊』地下工房」に御津羽 つるぎさんが現れました。
■御津羽 つるぎ >
時はほんの少しだけ遡る。
■御津羽 つるぎ >
自分がつくるものは、道具だ。
使い手ありきの利器でしかない。
付随する美も浪漫も、仕手の人生を飾るためのもの。
だからこそ彼の願いで仕事をすることは慮外だった。
長らくの縁故ではあるが、そうした交わりはないと考えていた。
自分が引きこもって仕事を続けている間におきたことは、
漠然としか聞いていない。
■御津羽 つるぎ >
詳しい由こそ知らぬものの、
自分に頭を下げてまで何かに執着する姿に、
どこか胸を打たれたことは事実だった。
それが、それこそが、自分が仕事をする理由になる。
本当に良いのか、と問うたとき。
一も二もなく頷かれたということは、彼は人生の岐路に立ったということ。
それゆえに自分もまた、こうして表舞台に現れることになった。
■御津羽 つるぎ >
かけまくも畏き、火産霊神。
遍く神代の昔より、高き貴き大神の恩顧を被ることを、
嬉しみ奉り、忝なく奉りて……
■御津羽 つるぎ >
白衣と緋袴。
凡そ神に仕える巫女としての装いに。
髪を上げ、頭を覆う拭いの有り様。
闇のなか、大きくその腕を振り上げる。
手に握られるは、榊の枝でも幣でもない。
人生の半分以上を連れ添った、仕事道具。
――鉄槌。
■御津羽 つるぎ >
鉄を鍛える。
鋼を鍛える。
刃を鍛える。
■御津羽 つるぎ >
武器は道具だ。どこまでも利器だ。
だからこそ、継いでいく使い手がそこに意味を与える。
飾られるでも敬われるでもなく。
使われることにだけ意味があると考える。
そう、断ち割られた輝きの片割れも――
なによりこれを持ってきたあの男も、
実に面白そうな"素材"だった。
なればこの腕を振るおう。
他ならぬ己のために。
■御津羽 つるぎ >
たとえ神話の器とて。
たとえ理外の器とて。
この身は望みの剣へと鍛えあげる。
真に目指すべきものは、未だ見果てず遠くとも。
ひとつひとつ鍛えては、いずれたどり着くと夢見て。
仕立てるは七つの相を持つ改造魔剣。
剣士たる彼の者の、新たなる人生に寄り添う利器。
鉄と焔のただなかで、相応しきものへと鍛え上げる。
これは祝福などではない。
あまりに多大で偏執的な、期待のあらわれ。
当世金屋子媛、現代に妖刀を産む神工。
■御津羽 つるぎ >
第一級監視対象《炉神》、御津羽 釼。
■御津羽 つるぎ >
鉄を鍛える。
鋼を鍛える。
刃を鍛える。
■御津羽 つるぎ >
監視対象、第一等級。
現行の危険人物であり、大罪人を意味する忌み名。
この者の罪は語られぬ。
なぜか深く秘される闇。
しかし数少なき、その罪を識るものは口々に言う。
■御津羽 つるぎ >
――御津羽つるぎは、最悪の犯罪者であると。
ご案内:「金物屋『韴霊』地下工房」から御津羽 つるぎさんが去りました。