2024/10/17 のログ
ご案内:「『Gibson House』201号室」にノーフェイスさんが現れました。
ノーフェイス >  
「……………?」

ベッドの上に座り込み、眉根をきつく寄せる。
視線の先にはオモイカネ8。

文章のやり取り――というのが実は苦手なこの存在は、
そうそうメッセージのやり取りというものは行わない。
たとえ特別な相手であってもだ。

待ち合わせ以外で久々に動いたそのログを眺めて、訝る顔。
それはともすれば、難解な謎掛け(リドル)に臨む険しさを湛えていた。

ノーフェイス >  
つまみあげた端末の画面に映し出されているのは、
日本語の、古文――要するところかなり苦手な分野。
現代文読解は活字含めてだいぶやれるものの、守備範囲外。
漢文でなかっただけマシだが、するりと読めないのは少し悔しい。
壁に背をもたれながら唸る。

「…………よる…よもすがら……」

薄暗い部屋で、湯上がりに髪を湿らせたまま。集中している証左だ。
さっきがたアップロードした『As long as I fall』の、
異色作がゆえの困惑混じりの侃々諤々に得た機嫌と安堵も、今や頭の外。

「……five、six、four…… three……eight……いや
 句がここで切れてるだけで……、文字数は……
 5、7、5、7、7の、31字。 短歌か。
 てことはこっちもか……?」

俳句と違って、短歌はそこまで厳密なものではないと聞いた。
スクロール。

ノーフェイス >  
「オードに対して返歌(リプライ)なんて。
 思ったより洒落たこともできるんじゃんか、あいつ……、……?」

そこで不意、一番最後に沿えられていた追伸に、ぴく……と眉が動いた。

「ああ……?」

なるほど、おそらく自分と同じように引用歌。
あからさま不機嫌になりながら、林檎色の髪に手櫛を通した。

「……この期に及んでまだ悩ませようっての……?」

寓意まみれの英詩を叩きつけた自分を棚上げしながら吐き捨てた。
ぼふ、とベッドに横になり、まじまじと文面を見つめる。

「詠み解いてみろってコトか。
 ……噛みついてきやがって。わかった、わかったよ」

あちらもそうならば受けて立ってみてもいい。
長くなり始めた夜に、まじまじとその向こう側を見つめようとした。

ご案内:「『Gibson House』201号室」からノーフェイスさんが去りました。