2024/11/24 のログ
ご案内:「Free3 未開拓地区 汚染区画-北側区域-」に藤堂ちかげさんが現れました。
ご案内:「Free3 未開拓地区 汚染区画-北側区域-」にヨハンさんが現れました。
■ヨハン >
「んぬおおおお」
ぐぐぐ、と腕を突き上げて背を伸ばす。
ヘビのような先細りの尾がゆらゆらと揺れ、ぱしぱしと未開拓地区の雑草を叩いた。
未開拓地区。異能者と来訪者の尽力により発展著しい常世学園にあってなお、常世島がただの島だった頃の面影を残す地域。
抜けるような蒼空には斑点のような雲が気ままに浮かび、滑るように吹き抜ける風に地に広がる緑が波を打つ。
日が進む毎に冷える風も今日は和らぎ、外で活動に興じるには絶好の天気と言えるだろう。
「……はぁ。こんな良い日に外でやることが『アレ』だもんな。」
その緑の海の向こう側に、黒黒とした『何か』が見える。
■状況 >
▼常世学園時間【11/22 13:45】頃。【未開拓地区】にて、大規模な爆発事故が発生しました。
研究区から輸送中だった車両から、大量の化学物質が流出し、周辺数キロに及び化学物質による汚染が発生しています。
▼汚染区域は風紀委員と生活委員によって封鎖がされており、封鎖範囲外への汚染拡大は確認されていません。
封鎖用の防壁は鉄道委員会提供の、対物対魔両面に優れた特殊な防壁です。
各委員会の連携により、汚染拡大の心配はありません。
▼そのため各委員会、部活動などは、希望者を募り汚染地帯の探索と汚染源の除去を試みています。
戦略攻撃による地域全体の殲滅も提案されましたが、現在、各委員会により協議中です。
▼現状、【汚染性物質】の完全な除去、無害化の目途は立っておりません。
協力希望者以外は不用意に近づかないよう、お願いします。
──ほんの数日前に起きた【汚染性物質】による災害。
当該地域は完全封鎖され、規模の大きさから汚染区域内の汚染、狂暴化された汚染生物がはびこる地域への調査。
藤堂ちかげとヨハン・フラムスティードは、この調査・依頼へと乗り出した。
入口の検査室で丁寧な説明と手荷物検査を受けてから各種同意書を記載。
規則と協力金の額を確かめて有志の調査員/戦闘員としてボランティアに参加した二人。
準備は万端。一直線に北部へと向かって、今。
■藤堂ちかげ >
「でも結構なお金が出ますし、人助けですよ!ヨハン。」
「調査、戦闘、補給。これが私たちのお仕事です!」
煌めく尾を揺らしながら薙刀を構え、バックパックを背負う半竜の少女。
金から赤に彩る髪は、非現実的なグラデーション。
北部まで到達した二人は、黒々とした何かを眺める。
「ここまでは順調でしたけど……ヨハン、多分アレが例の何かです。
素手で触れるとよくないものみたいですけれど……性質と対応、分かりますか?」
頼れるパートナー、ヨハンへと視線を向ける。
多少の見識は働くし、フィジカル面には自信があるが解析と分析はヨハンの得意領分。
彼の見地を伺い、作戦の整合を行う。
■ヨハン >
「ま、そりゃな……これからの生活が懸かってるわけだし。
荒事は専門外なんだがな~……」
気怠げにコキコキと首を鳴らし、遠くを見据える。
遠くの黒黒としたものは、少しずつ大きくなっている……のではない。
近付いてきているのだ。塊に見える何かが、こちらに。
「道中で奇襲とかはなかったからな。高度な知恵とかはないだろ。
……んー……?ありゃあ……いや、どうだ?こっちのはまだわからんな……」
じりじりと目を細め、その塊を眺めて……
何か思うところがあったのか、首を傾げる。
「……こっちのはまだ直に見たことないから断定はできないけど……
神格の残滓みたいなのが見える。
ただ、それを操ってる風でもない。多分、触れたら汚染されるってだけだろうな。
とにかく素手で触れるのは避けろ。武器に付着したら早めに振り落とせよ。
……ったく、化学物質って聞いてたんだけどな……まあ、似たようなもんか。」
■藤堂ちかげ >
「それでも付き沿ってくれるヨハンが好きですよ。私。
このお給金が出たら、一緒に万妖邸で良い部屋借りて暮らしましょう!」
そのための有志の調査員/戦闘員としての協力員でもある。
ヨハンの視線を負いながら、警戒は緩めない。
「指向性の無い汚染物質で、神格由来のものがあるんですね。
しっかりした軍手はあった方が良さそうです。ちょっと武器と軍手の補強、お願いできますか?」
バックパックから2人分の軍手を取り出して、ヨハンに放り投げる。
「途中で破けても大変ですから、頼みました!」
■ヨハン >
「どーも。付き添いがなきゃどこに行くかわからないしな。
……おう。そのための仕事だ。」
軍手を受け取る。この手の加工は手慣れたものだ。
バッグの中から2枚の鉄板を取り出し、それで軍手を挟み込み……
ぱん、と光が走る。そこには鉄色の鈍い輝きを帯びた軍手が出来ていた。
『空想技術』。
ヨハンが公的に異能として届け出を出している能力である。
その能力は、「物品の異常連結」。物品としての機能を保ったまま、物品同士を結合させる力である。
「ほれ。ひとまず鉄製ではあるが……
足りなくなったらまた持ってこいよ。」
そう言ってこちらも軍手を装着する。
生身で触れれば汚染されるが、この軍手でどれほど防げるものだろうか。
■藤堂ちかげ >
鉄の形相を持つ軍手。
軍手としてのしなやかさをそのままに、鉄と同じ特性を結合させるヨハンの異能が一。
装着してから構え直す。構え直しの際に生じた踏み込みで、大気が振れる。
遠くから飛来するものが何であるかもしっかり確かめる。
「突出して来ている一体の汚染野獣は私が受け持ちます。
そのあとは後続が来るので、多分乱戦です。二人だと取れる陣形は限ら得ていますから。」
遠巻きに見て、黒い塊だったもの中から一体が加速して突出する。
熊型の汚染個体だ。一つ踏み込んで自ら間合いを詰め、遠間に熊型の汚染個体の四肢を切り払う。
「いち……にっ!」
そのまま四肢を削いで首を落とす。
返り血すら身体に付けず、一体目を瞬殺して戦端を開く。
■ヨハン >
「了解。無理すんなよ、触られたら大なり小なりアウトだからな。
……さーてと、俺はどうするかな……狩りは得意っちゃ得意だけど。」
ぐるりと肩を回す。
正直に言えば、眼の前で戦っているこの少女にフィジカルで勝てる要素はない。
竜種であるがゆえのアドバンテージは、もうほぼ埋まってしまっているのだ。
一瞬で獣を切り飛ばされた、巨大な熊のような汚染生物を見ながらそう考えた。
「ま、やれることやるか。」
フィジカルで劣るなら、触れるわけにはいかないなら、それはそれでやりようがある。
バッグから細身の剣を取り出し……
「シッ!」
後続の、猿のような獣型汚染個体の脳天を貫く。
その刀身が回転し、汚染物質を引き千切るように撒き散らし、無力化していく。
『レイピア』+『電動ドライバー』。
ひとまずどんな物が出てきても対応できるように、あらかじめ作っていたものだ。
■藤堂ちかげ >
「何か手段があれば良いですけれど───」
超人的な身体能力に転移の際の半竜化によるブースト。
未だにオンオフの出来ない異能ではあるが、恩恵そのものは強大。
鋭い頑丈で数体の獣型の汚染個体を見据え、一閃にして斬り伏せ抜ける。
振り返った間際で、何かに気付いたのか声を挙げる。
「ヨハン、ヨハンから9時の方向に不審に動く植物がきてます!」
方角を見れば、草花に擬態した汚染個体。
地面が盛り上がったとみれば、汚染された植物と巨大なサメが合体したような汚染個体が地面から飛び出す。
■ヨハン >
「うおっ危ねえなクソ!助かった!
なんだありゃ……サメ?いや、花か?」
地面から飛び出すように食らいついてきたサメの口の中に、そこらへんの獣を蹴り込む。
噛み砕かれて液体を撒き散らした獣を咥えたまま、再び地面にその姿を消していった。
ブーツ越しなら対処はできるが、ネバつく黒い液体をブーツ越しとはいえ触るのはあまりいい気分ではない。
「変に知恵つけやがってよ……
あー、ちかげ。出てきたらこれ口に放り込んどけ。」
そう言って、銀色のボール……金属製で、何やら赤い紐で複数が連なっている……とライターを差し出す。
「爆竹とパチンコ玉をくっつけたもんだ。ちょっとしたグレネードだな。
致命傷にはならねえが、痛覚があるなら飛び出してくるだろ……っと!」
すぱん、と背後に迫っていた獣の首を切り飛ばし、貫いてからハンマーのように近くの獣に投げつける。
■藤堂ちかげ >
「どちらでもないかもしれませんっ……!」
最早植物からも生物からもかけ離れた異形の汚染個体。
どうしてそのような変貌を遂げたのか理解はし切れないが、厄介な個体。
地面を泳ぐ植物めいたサメ型のそれは何と括るべきか分からない。
辛うじて植物だろうか。
パチンコ玉の簡易グレネードを受け取る。
破裂も考えれば金属片による破砕も見込めそうだ。
「地面の中を汚染されても困りますから……ねッ!」
全力で地面を蹴る。
この身体はそうするだけで、広範囲の土を抉り飛ばす程のフィジカルがある。
人間の頃はもう少し大人しい破壊力であったが、
竜種のブーストの掛かった蹴撃は一挙一動が対域レベルの威力を叩き出す。
地面丸ごと蹴り上げて素っ裸にした植物型のサメのような汚染個体。
宙に浮かんだ"それ"を跳んで追いかけて"浮く"。瞬間移動にも似た速度の跳躍。
その口に空想技術によって簡易グレネードと化した銀玉を喰らわせてから、
再び地面に植物型のサメのような汚染個体を別の汚染個体群の居る位置に叩き落とし、
衝撃と口内に叩き込んだ簡易グレネードの爆発で纏めて消し飛ばす。
「次ッ!」
■ヨハン >
「……すげーなほんと。」
そんな、なんとも言えない感想が出た。
いくら竜種とはいえ、その身体能力には無論個体差がある。
自分は特にその中でも貧弱な方だと自負はしているが……それと比較しても、ちかげのそれは凄まじいものだ。
地面に叩き付けられた挙げ句に弾け飛んだその姿を見て、一種の同情すら覚える。
「にしても全然減らねえな……わらわら湧いてきやがる。
流石に無限湧きってことはないんだろうけど……よッ!」
どずん、と再び獣型の頭蓋を貫き割って……レイピアからその手を離す。
そのレイピアには簡易グレネードが巻き付けられており、数瞬後に近くの獣型ごと爆散した。
「もうちょい範囲広くやれるようにするかね。」
そして、バッグから再び何かを取り出す。
それは……長い柄の先端に、唸りを上げる回転刃が複数枚取り付けられたもの。
『回転丸鋸』+『扇風機』。近場の敵を引き裂き撒き散らす、リーチの長い武器。
「汚染物質はある程度の体積に分解すると無力化される」という特性を聞いて作ってきた、いくつかの武器の一つだ。
それを振るえば、愚鈍な何匹かの獣型の体が紙切れのように引き裂かれて飛んでいく。
少しばかりよくない絵面だが、仕方ないだろう。
■藤堂ちかげ >
「わあ……」
回転のこぎりと扇風機の形相が合わさった物体。
Funnyに見えて、その光景はHorrorでSplatter。
写真の一枚でも撮ったら、パンデミックものの映画と間違えられるかもしれない。
どのような法則で成立しているのか。
どうやってその性質や指向性を性質しているのか。
ただ組み合わせるだけではここまで効率的に作用しない様に思えた。
「敵の波は一旦落ち着いたみたいです。ヨハン。
一息付きながら、探索に戻りましょう。ただ、確か……」
回転と旋風によって一掃された汚染個体と透明となって消えた飛沫を見届け、薙刀を降ろす。
「話によると、完全封鎖と防疫の関係で中の生存者を出す訳には行かないこともあるみたいです。
特にこの辺りには"身分の無いひと"もいるみたいなので、その事も含めて大分複雑と聞きました。」
あくまでも完全封鎖は解かず、出入りは厳密に管理されている印象。
とは言え何か出来ることや、入り口付近や安全地帯への誘導などもできるかもしれない。
そう思い、北部の探索に生存者がいるかどうかを含めることを提案した。
……この戦闘による壮絶な光景は一旦置いておく。
■ヨハン >
「見た目にはツッコんでくれるなよ。俺もちょっとそれっぽすぎかなって思ってるから……」
そこら辺の感覚は常識的であった。
もはや引き裂くと言うより撒き散らすと言ったほうが正しい様相で、粗方を片付けた。
「あー、そうだな。
数ばかり……ってわけでもねえのが厄介だな全く……」
軽く手を振った後、バッグの中にそれを仕舞う。……どうやって入っているのか。
何にせよ一息ついたのは確か。その話に耳を傾け、得心したように頷く。
「なるほど。まあ万が一にも外に持ち出されたら大惨事なわけだしな。
じゃ、生存者を探してみるか。お前がそうしたいなら、俺は文句は言わねえよ。」
■藤堂ちかげ > 「ただ、効果的だったみたいですよ、ヨハン。
飛沫もちゃんと熱とか飛んで無力化されているみたいです。」
黒い液体への触れたくなる欲求を流しつつ、
惨劇めいた戦場を振り換える。
「あ、その前に映像だけ撮っておきます。
調査による交戦レポートも大事ですから。
ヨハンからも観測と報告、お願いします。」
バックパックからフィルム式のカメラを取り出して、写真を撮る。
内容が内容なだけにスマホで撮影することを躊躇うものは出るだろうと用意したもの。
熊をはじめとした、動物型の群れ。
地中から迫り来る、植物型のサメ。
こま切れになった、後続の汚染個体。
それらをレンズで捉えてフィルムに収め、バックパックに仕舞って歩き出す。
「久しぶりにこのカメラを使った気がします。
私が先に行くから、後ろをお願いします。ヨハン。」
提出用の撮影を終え、北部の探索を続ける。
■ヨハン >
「それなら作った甲斐があったってもんだな。
サイズ的にちょっと難しかったが……」
空想技術には、大きさの制限がある。
組み合わせられるのはおおよそ、自転車程度の大きさの物品同士に限られるのだ。
その点で言えば、今回は割と際どかった。
「了解。にしても、報告するには割とグロい感じになっちまったな……
もうちょっと原型とか残したほうが良かったか?」
自分でやっておいて凄惨な光景に少しばかり辟易しつつも、写真を撮るその姿を眺める。
見た目は活発だが、文化的な活動も似合うな……などと、とりとめのないことを考えながら。
「あいよ。こんな状況じゃ鬼が出るか蛇が出るか、って感じだが。
……ほんとに鬼も蛇も出てきそうだな。」
■状況 >
天候は人の営みを知らない。
吹き抜ける風が緑と黒を波打たせる。
好天に吹く暖かな風は、現場と似つかわしくない暖かなもの。
常世島がただの島だった頃の面影を残す未開拓地域は、隠れられるような所は少ない。
一応、細々とした拠点らしきものはいくらかあるが、建物となると大分少ない。
「黒い水たまりは、幾つか残ってますね。」
これも写真として取っておこう。
再度カメラを取り出して撮影し、面倒になったのか仕舞わずに首から下げる。
「……ううん、人が居た痕跡はありますけど……」
南西や南東に向かう足跡はあるし、即席の野営地や建物も見える。
ただ人の気配は今の所ない。
あれだけ派手に大立ち回りをしたのだから、避けるか紛れて移動してしまったのだろうか。
そんなことを考えながら、ヨハンへと視線を向ける。
■ヨハン >
「こんな状況でなんとか生きてる奴が、俺らを見て助けを求めに来ないわけがねえからなぁ。
先に逃げたか、汚染を食らって死んだか……だな。」
さらりとそう言ってのける。
そうでないことは確かに祈ってはいるが、それはそれとして可能性はあるのだ。
人ではないが故に、少しばかりそういったことにはドライだった。
「今のところ……痕跡は見えねえな。
生活の気配もないし……」
■藤堂ちかげ >
「……。」
ヨハンの一言で表情が曇る。
……死へ苦手意識は人並みにある。
あるいは、もっと敏感かもしれない。
「とりあえず、一回戻って報告しましょう。ヨハン。
情報は収集出来ましたし、私ももうちょっとしっかり準備して備えたいです。」
じっとヨハンを見て、探索の切り上げと報告を提案する。
とは言え、口ぶりからして彼女の中ではもう1度行くつもりがあるらしい。
自身の強さと島の異常さで麻痺していた感覚と倫理。
人が死ぬのはいやなこと。
その感覚を思い出したのか、不安げだ。
■ヨハン >
「……悪い。」
がりがりと頭を掻く。少し余計なことを言ったかな、といった心持ちだ。
眼の前の少女が、それを忌避する性分だということはわかっているのに。
「……そうだな。別に、俺も死人が出てほしいわけじゃねえし。
報告次第じゃ、救助隊の手も増えるかもしれないしな。一旦戻るか。」
『人が死ぬのは当たり前』なわけがない。
それを言えるのは、悟りを気取った人間か、死を前に諦めた人間だけだ。
しかし竜種は死から遠い存在だ。悠久の時を生き、場合によっては物理的な死の軛からすら逃れ得るものも存在する。
……その倫理観では、人の死生観にはまだ慣れない。
「……大丈夫だ。」
故に、ヨハンにはそんな言葉しか出せなかった。
■藤堂ちかげ >
「ううん。大丈夫です。
ありがとうございます、ヨハン──。」
北部の状況を撮影し、検査口まで引き上げる。
その後は交戦の記録と北部の状況を映した写真のフィルムを提出し、
二人で帰路に着いたことだろうか。
■ヨハン >
「おう。」
その背を追って帰路に着く。
先程戦っていた少女とは思えないほどに、その背は小さく見えた。
ご案内:「Free3 未開拓地区 汚染区画-北側区域-」から藤堂ちかげさんが去りました。
ご案内:「Free3 未開拓地区 汚染区画-北側区域-」からヨハンさんが去りました。