2024/12/24 のログ
ご案内:「常世島カナイランド ☆~Holy Night~★」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「常世島カナイランド ☆~Holy Night~★」にエルピス・シズメさんが現れました。
Dr.イーリス > 昼間は、スラムの孤児院でクリスマスパーティーをしていた。
《フェイルド・スチューデント組》のみんなでお金を出し合って子供達にクリスマスプレゼントを渡したり、また子供達や《指定保護区域フェイルド・シティ》の住民と共にスラムの教会でクリスマスのミサにも参加していた。
保健委員による炊き出しはフェイルド・シティでも行われていて、イーリス達《フェイルド・スチューデント組》も最近は保健委員に支援を働きかけるために動いていたりもする。同時に、《指定保護区域フェイルド・シティ》は各委員会が落第街やスラムで活動するための前哨基地になっている側面があるので、《フェイルド・スチューデント組》もまた炊き出しを行う保健委員会の援助も行っていた。

そしてイブの夜。常世島もホーリーナイトを迎えた。
イーリスはエルピスさんと共に、常世島カナイランドに訪れていた。

常世島カナイランドは最近グランドオープンした歓楽区にある遊園地。立地としては、異邦人街寄りにあたる。
かつて学生企業プログラムを受け、今や世界的に躍進している《カナイランドカンパニー》により運営されている。そのためカナイランドは、常世島以外でも日本やアメリカなど世界の数ヵ国で営業されている。
観覧車、コーヒーカップ、メリーゴーランド、お化け屋敷、ジェットコースターなど定番のアトラクションから、聞いたこともないような独特なアトラクションまで様々。
クリスマスの時期なので、園内はイルミネーションで綺麗に輝いている。中央の広場には常世カナイランドのシンボルとも言えるお城があり、その手前に巨大なクリスマスツリーが立てられている。
深々と降り注ぐ雪は、イルミネーションの光を帯びて輝いていた。

イーリスは、歯車のバッジがついた白のベレー帽を被り、白のニットの上に雪をイメージするような水色のケープを羽織っている。桜色と赤色を基順としたチェックのマフラーを首に巻いて、ボトムスは赤を基順としたチェックのミニスカートと白いレギンス。

夕方から長い行列を並んで、エルピスさんと共に園内に入場。
きらきらと輝かせる園内のイルミネーションに、イーリスは瞳を輝かせた。

「わぁ! とても綺麗なイルミネーションです! 常世島カナイランド、最近グランドオープンした遊園地で、いつか行ってみたいと思っていたのですよ。聖夜という素敵な日にえるぴすさんと一緒に来られて、嬉しいです!」

幸せそうに、にこっと笑みを浮かべた。
チケットの予約は大分前に取っていた。なにせ聖夜。お客がとても多い。
友人同士や家族で来ている人もいるけど、やはりカップルも多い。

エルピス・シズメ >  
 朝は事務所で、昼間は孤児院で、これからは二人で。
 
 
 スラムの孤児院でクリスマスパーティーを行った後、
 ナイトチケットで送迎バスに乗って常世カナイランドへと向かう事に。
 孤児達と雪合戦をして遊んだり、雪だるまを作って遊んだりもした。

 バスの中でパンフレットを読み込みながら、心を弾ませる。
 学生企業プログラムを受けて躍進した、新鋭企業の《カナイランドカンパニー》によって運営されている遊園地。

 常世島で育ち外へはばたき、成長して舞い戻ってきた企業の手で運営されている遊園地。
 先進的でありながら、常世島のニーズを捉えた遊園地は新鮮でありながらも不思議と安心感がある。

 大きなお城にイルミネーションの施されたクリスマスツリーも、時節と定番を抑えたデザイン。
 それらを背景に写真や動画を取るカップルや家族の姿も多く、楽しそう。

「うん。夕方からでも人がいっぱい。
 僕もだいすきなないーりすと一緒に…遊園地に来れて嬉しいな。
 大切で大好きな人が出来て、こうしてとくべつな日にデートできるるなんて……半年前は、夢にも思わなかったかも。」
 

Dr.イーリス > エルピスさんと共に夕方あたりで孤児院を出て、バスに乗ってやってきた常世島カナイランド。
孤児院のある《指定保護区域フェイルド・シティ》は、歓楽街までのバスが運行されていた。

そうして、行列の末入場した頃には夕日も落ちてイルミネーションが綺麗に輝いている。

嬉しい、とエルピスさんが言ってくれた事に、イーリスも嬉し気ににこっと笑った。

「ほんとに、半年前の事を思い返すと、今こうして素敵な恋人と聖夜にデートをしているなんて、嘘みたいです」

半年前はというと、エルピスさんとイーリスがまだ出会ってもいない頃。いや正確には、イーリスの方は過去に渡り正義のロボットさんとなっていたエルピスさんに出会ってはいる事になるだろうか。
イーリスは、まだストリートチルドレンの不良集団でしかなかったフェイルド・スチューデントに属していた頃で、当時は二級学生だった……。

「この遊園地はメリーゴーランドやジェットコースターみたいな定番のものから、凄く珍しくて独特なものまで色んなアトラクションがあるみたいです。わ、私、絶叫系とかお化け屋敷みたいなのはちょっと苦手なところはあるのですけど、えるぴすさんはジェットコースターに乗ってみたい、みたいなのはありますか? 早く行かないと、ジェットコースターに行列が出来そうな雰囲気ですからね」

きょとんと小首を傾げた。
ジェットコースター、もたもたしていると行列が出来てしまって中々乗れなくなってしまいそうだった。

エルピス・シズメ >  
「えへへ……今日はいっぱい楽しも。」

 エルピス・シズメとしての意識がはっきりしているのが、大体半年前。
 それより前にあるものは、故エルピスとしての記憶。

 それら今の自分を形作る大きな要素ではあるけれど、限りなく自分に近い他人の記憶として認識している。

「イーリスがにがてなら、少なくても今日は大丈夫かな。
 今日一日で全部は回りきれないから……苦手なものに挑戦するのはまた今度でも。」

 とにかく、アトラクションの数が多い。
 オープンしたてというのもあるけれど……すごく迷う。

「ふたりでメリーゴーランドに乗ってみても楽しそうだし……あっちのシューティングのアトラクションも楽しそう。
 教会みたいな建物もあるね。ファッション・撮影系のエリアかな……?」

 とりあえず、ジェットコースターやお化け屋敷はまた今度。
 手元のパンフレットと建物とにらめっこしつつも、中々決め切れない。

Dr.イーリス > 満面の笑みで頷いてみせる。
半年の間に、エルピスさんとイーリスに出会い、そして今日まで共に楽しんだり、助け合ったり、幸せを分け合ったりして、そして愛を育んできた。
今日は、いっぱいたのしもう!

「ありがとうございます。なにせアトラクションの数の多さを売りにしているところあるみたいですからね、この遊園地」

エルピスさんの気遣いが嬉しくて、イーリスは目を細めた。

「私……遊園地に来るのは初めてで……定番のアトラクションと言っても、全然遊んだ事がなかったりします。えるぴすさんと一緒に、メリーゴーランドに乗ってみたいとは思っていました」

イーリスは、ちょっと控えめな感じでパンフレットのメリーゴーランドを指差した。
ずっと常世島のスラムで暮らすストリートチルドレンだった。
遊園地に行く事なんて夢のまた夢で、定番のアトラクションすら遊ぶ機会がなかった。

スラムでは、遊園地なんて夢の世界なんだろうな、と思っていて、自分には一生縁のない場所だと思っていた。
でも今は、その夢の世界に、だいすきなえるぴすさんと一緒にいる。

エルピス・シズメ >
 イーリスの花の咲くような笑顔を見れば、エルピスも笑みを浮かべる。
 幸せな記憶がまた一つ、増えた。

「期間限定のもあるみたいだけど……すごいよね。」

 楽しませるためのアイデアを全部かたちにしたようなアトラクションの数々。
 すこしだけ、日々発明を重ねるイーリスの姿と重なって見えた。

「うん……じゃ、まずはメリーゴーランドだね。
 二人で白馬のメリーゴーランドに乗ってみよっか。それとも、馬車の方にする?」

 パンフレットをしまって右手を差し伸べ、イーリスの手を繋ごうと有機の手を重ねる。
 今日は義手ではなく、イーリスの開発した生体模造義肢。
 少しだけ意識しておしゃれをしつつ、色んなアトラクションを楽しむためにこっちにした。

 なので、普段は着ないような紺色のロングコートにセンタージップのハイネックのプルオーバーニット。
 お洒落でスマートなシルエットを形作るタイプの、型と袖のある衣服。
  

Dr.イーリス > 「昔、常世島にいた人が、みんなを楽しませる場所をつくろうと頑張ったのかもしれません。それって、すごく素敵なこと……」

《カナイランドカンパニー》が昔、どのような部活だったかまでは知らないけれど、きっと幸せいっぱいなこの場所にするまでに凄くがんばったはずだ。
周囲を見渡すと、やはり笑顔が溢れ満ちている。
幸せを届ける《カナイランドカンパニー》は、とても尊敬できる。

「えるぴすさんと白馬さんに乗ってみたいです! 《虹の希望のイーリス》の世界では、私、白馬さんから落馬しちゃったりで散々でしたし、王子様になっていたのに手綱の握り方が分からず式場まで歩いていく事になってしまいましたからね……」

かつて訪れた《虹の希望のイーリス》では、残念ながら白馬さんを上手く乗りこなせなかった。
でも、メリーゴーランドならちゃんと白馬さんに乗る事ができるはず……。
そっ、とえるぴすさんの右手を手袋をつけた左手で重ね合う。
今日のえるぴすさんの右手は有機の手で、とても温かい。

普段はアガートラームを右手につけているエルピスさん。服装も、基本的に右腕側がノースリーブになっている事が多かった。今日のえるぴすさんは、色んなアトラクションを楽しみつつそれでいてとても素敵におしゃれをしている。
イーリスは、ゆったりと目を細めてみせる。

「ふふ、私と出会った頃のえるぴすさんは機械の多腕でしたからね。あまりおしゃれが出来ないとお悩みでしたけど、今のえるぴすさんは存分におしゃれが出来ていて、今日のコーデもとても素敵ですよ」

エルピス・シズメ >
「後で創業者のこと、調べてみようかな。」

 本社のウェブサイトを覗けば企業理念位は載っているかも。
 興味が湧いたので、今度見てみよう。

「あはは……うん、二人でメリーゴーランドに乗れば、落馬することはないよ。」

 《虹の希望のイーリス》に迷い込んだ時の出来事を思い出し、くすりと笑う。
 夢のようだけど、現実のひととき。模造でありながらも血の通った腕も、熱と鼓動を伝え合う。

「あの腕も、便利と言えば便利なんだけれどね。
 イーリスのコーデもとっても綺麗で……かわいくて、すごくイーリスらしくて、好きだよ。」

 柔らかくて可愛らしい、ふわふわとしたイーリスらしい装い。
 この日のためにおめかししてくれたと分かるし、とってもかわいい。

 メリーゴーランドのチケットを買って待機すれば、程なくして白馬の一つに案内される。
 白馬を模した乗り物はとっても遊園地らしい煌びやかなもの。

「僕が前に乗るから……しっかり捕まっててね、イーリス。」
 

Dr.イーリス > 「学生企業プログラムをかつけ受けていた常世学園の部活だとは、パンフレットの端っこに書いてましたね」

パンフレットには、かつてこの島の部活だった事はちょっとアピールされていた。
あんまり詳しい事までは書かれてはいなかったけれど。

「ら、落馬はもういやです……」

落馬した時の記憶を思い出して、ちょっとだけガクガク震えている。
お尻から落ちて、とても痛かった……。

「腕が多いですから、便利さ凄くあるのは分かりますね。多腕のメンテナンスもまた今も定期的にしていますし、私の教えた通りに地下ラボにある装置を動かせば《虹の希蹟》になればえるぴすさんもメンテナンスを行えると思いますから、必要になればまた腕は付け替える事ができますね」

元来なら扱いが難しい装置であっても、エルピスさんが《虹の希蹟》になれば動かせるようイーリスの方で調整している装置も多い。

今日のコーデを褒めてくだされば、イーリスはぱぁっと明るく嬉し気に満面の笑みを浮かべてみせた。
聖夜のデート。気合入ったコーデをしてしまったので、好きな人に褒めてくださるのは凄く嬉しい。

「ありがとうございます、えるぴすさん! 私もえるぴすさんすき……。えへ」

そうして、メリーゴーランドに到着。
聖夜のメリーゴーランドは、イルミネーションで輝きに満ちている。

「あ、あの時のように落とされないようにしないと、ですね……!」

好きな人と白馬に乗る。素敵な事のはずだけど、落馬した記憶がちょっと脳裏に過っている。
えるぴすさんの後ろに乗り、振り下ろされないようにえるぴすさんの背後から手を伸ばして、ぎゅっと抱きしめるようにしがみついた。

エルピス・シズメ >
「ちゃんと掴まっていれば、大丈夫。」

 怖がるイーリスを安心させるように、微笑みかける。
 痛い思いはしないから、大丈夫だと。

「うん。最初はイーリスの設備も荷が重かったけど、イーリスのおかげで少しずつ覚えてきた……と思う。」

 異能によって《虹の希跡》を継承してもなお重い、イーリスの知識と技術。
 イーリスによるガイドと、異能に頼らない地道な学習によってイーリスが扱う複雑な機械も少しずつ扱えるようになってきた。
   
 白馬を模した乗り物に二人で跨れば、巡る景色を二人で見る。
 背に伝う感触と体温でイーリスの存在を感じながら、その幻想的な光景をぐるぐる廻りながら一望する。
 実際に白馬に乗っているような速度は、ちょっとだけヒヤッとする。

「思ったより早いかも。でも綺麗……イーリス、だいじょうぶ?」
  

Dr.イーリス > 「ありがとうございます。えるぴすさんと一緒なら、怖くないです」

いーりすのことを安心させてくれるえるぴすさんのすごくやさしい言葉で、震えも静まる。
えるぴすさんの心温かさは、いつもいーりすを安心させてくれていた。

「もちろんご無理はなさらなくてもいいのですけど、こう、えるぴすさんに私の知識と技術を継承していただけるのは、私にとって凄く安心できる事だったりします。万が一にでも私が…………いえ、ごめんなさい、なんでもないです。今は楽しい時間ですしよしておきましょう」

一部、小声になって聞き取り辛くなってしまっている。
えるぴすさんと聖夜を過ごす素敵な時間に、余計なことだ。

白馬さんにふたりで乗り、えるぴすさんの体温の温かさを感じていると、メリーゴーランドが動き出した。移り変わる綺麗な景色に、いーりすは双眸をきらきらと輝かせた。

「わぁ! とても……キラキラしていて、すてき……。しあわせが、回っているみたいです……」

メリーゴーランドの白馬さんに乗ってえるぴすさんと共に見ている光景は、きらきら輝く遊園地、そこにしあわせいっぱいの人々。
速度は思ったより速かったけれど、それでもえるぴすさんを抱きしめているととても安心できた。

「えるぴすさんがいますので、私は平気です。ありがとうございます」

エルピス・シズメ >  
 聞き取れないもの。
 それがネガティブな要素を含んでいるのは、声色と前後の発言で察知出来る。
 だから、優しく伝えることにする。

「万が一は何度でも、助けに向かうよ。
 どんなことがあっても、どんなところでも。間に合わなくても。
 かならず、どうしようもない時はなんとかする。」

 愛を込めて、はっきりと伝える。
 これまで、幾度となく"そういう"ことはあった。

 その結果として、時間を超えたり、運命を超えたりすることも経験した。
 イーリスの人情や発明への好奇心を考えると、これからもそれは避けられないのかもしれない。

 ……胸が痛まないと言えば嘘になるけど、引き留めることはできない。
 意識だけ、引き締めることにする。

「だから、安心して、遠慮しないで……心のままに、ね。」

Dr.イーリス > 「えるぴす……さん……。あなたはいつでも、とてもたのもしいですね。嬉しいです……えるぴすさん……!」

いーりすも愛を込めて、えるぴすさんをぎゅっと抱きしめて、頬をえるぴすさんの背中に当てた。
いつでも、いーりすのことを想ってくれるえるぴすさんがだいすき……。

でも、助けてもらうだけが、パートナーじゃない。

「私も……えるぴすさんが困ったときは、いつでも助けにいきます。助けられるだけではなくて、助け合いたいですからね。えるぴすさんは私のために幾度も命を懸けてくださいました。私も、あなたに何があっても、命を懸ける事になってもあなたを助けますね!」

えるぴすさんはいーりすのことを幾度も救ってくれて、そのために命まで賭けてくれて、今がある。
今、いーりすが生きている事すらもえるぴすさんのお陰。
望むのは、えるぴすさんといーりすがふたりで歩んでいける幸せ。

底知れない好奇心や、イーリス達のようなストリートチルドレンがもう苦しまなくて済むしあわせな世界とか、望んでしまうものもあった。
けれど、それはまた、えるぴすさんを苦しめる事になってしまうのだろうか……。

「えるぴす……さん……。ごめんなさい……。ふたりのしあわせを第一に願うなら、あまり多くを望まない方がいいのかもしれないのですね……」

いつもえるぴすさんに苦労をかけてきた……。
えるぴすさんの背中で、いーりすは罪悪感で視線を少し落とす。
やがて、きれいな光景を見せていたメリーゴーランドがゆっくりと停止していくだろうか。