2024/12/25 のログ
エルピス・シズメ >  
「そうだね……ふたりで一緒に、がんばろ。」

 苦難があっても共に助け合える。
 大変容を経て、混沌の坩堝にある時世ではきっと心強いこと。

 良くも悪くも、何が起こってもおかしくない。
 そんな時代の常世島を二人

 厳密にはふたりじゃなくて、ナナをはじめとしたみんなではあるけれど……
 ……聖夜の今は、すこしだけイーリスをひとりじめしたくて二人と口にした。

「ううん。諦めるイーリスを見る方が辛いから。
 信じて、望んで……進んでも大丈夫だよ。」

 ゆっくりと速度を落とし、止まるメリーゴーランド。
 完全に停止すれば一足先にメリーゴーランドから降りる。

「ほら、おいで。イーリスが思った様に、自分の足で歩いて大丈夫。いーりす。その先にも、ぼくはちゃんといるから。」

 降りてくるイーリスを受け留めるように、両手を広げて待つ。

Dr.イーリス > 「はい、ふたりで乗り超えていきましょう!」

にこっ、と笑みを浮かべてみせた。
先程の小声で言った事は、あくまで万が一の可能性。
言葉の意味の本質は、えるぴすさんがいーりすの知識や技術を継いでくださるのはとても助かる、という事だ。

これまでもまた、乗り越えてきたのは厳密にはふたりだけというわけではなかった。
ナナさんや色んな方々の助けがあってこそ。
でも今この聖夜の素敵な時間は、えるぴすさんといーりすのふたりだけの世界でいたい。

「えるぴすさん……ありがとうございます。私、えるぴすさんとこうして楽しい日々を過ごせているのが、とてもしあわせです。それでも……私の底知れない好奇心はさらなる探求を欲してしまいますし、いっぱいの幸せを、かつての私のようなまだ行き届いていない人々に届けたいとも思ってしまいます。私のそんなわがまま……応援してくださり、ありがとうございます……!」

人によっては理想主義だとか笑われるかもしれないイーリスのことも、えるぴすさんは真剣に応援してくれて、背中を押してくれる。
迷惑を掛けてしまった時は凄く申し訳なく思えてもくるけれど、それでも前を向いて進んでいこうと思った。

えるぴすさんが白馬さんから先に降りて、いーりすのことを待ち構えて受け留めるよう両手を広げてくれていた。

「えるぴすさんが私の歩む道の先にいてくださるなら、私は止まらずに、歩み続けていいのですね……! 私が歩んだ先に、えるぴすさんがいてくださるなら、私はもっと頑張ろうって思います……!」

白馬さんから降りて、両手を広げるえるぴすさんを満面の笑みでぎゅーっと抱きしめる。
えるぴすさんが、いーりすの歩む先にいてくれる……。
いーりすの愛情が深まり、胸部のパンドラ・コアが桃色の光を放っていく。

エルピス・シズメ >
 エルピス・シズメはどちらかと言えば悲観的で、現実主義(ゆめをみない)だ。
 それらを踏まえてそれでも、と、備えや覚悟のもとに行動することが多い。
 イーリスは自分にはないもの(理想)を持っている。それを眩しく思うし、輝かしく思う。
 イーリスが持つ、大きな魅力の一つあると思っている。

 だからこそ、何があっても──そのように口にして、イーリスの道を応援する。

「ん──。」
 
 そっと屈み、抱きしめたイーリスに視線を合わせる。
 パンドラ・コアの桃色の光と鼓動を感じながら、そっと口づけをしようと顔を近づけた。
 ことばだけじゃなくて、直接、『すき』を伝えたい。イーリスにしか見せない、わがままな口付だ(きもち)
 
  

Dr.イーリス > 現実主義(ゆめをみない)理想主義(ゆめみがち)
元のイーリスは理想主義(ゆめみがち)で今もその素である理想主義(ゆめみがち)に返り咲いているけれど、諦観してしまったストリートチルドレンの頃のイーリスは、もっと現実主義(ゆめをみない)だった。
エルピスさんに救われて、幸せな日々を過ごし、希望を抱いて今のイーリスがいる。
イーリスに夢と希望を見させてくれているのは、イーリスにとってはエルピスさんだったりもする。
10年前も今も、イーリスにとってはエルピスさんが希望だ。

理想主義(ゆめみがち)でえるぴすさんのことを助けていければいいなと思うし、現実主義(ゆめをみない)に助けられる事もあるだろう。
ふたりの足りない穴を埋め合って、助けていければとてもすてきな事であると感じてくる。

「える……ぴす……さん…………んんっ……」

頬を染めながら、えるぴすさんを見つめ……いーりすからも求めるように背伸びをして、目を瞑り、
そして『すき』という気持ちを強く伝えるように口付けを交わした。
唇と唇が重なり合う。
とても心地の良い温かくてやさしい感触。
『すき』、という気持ちが溢れ出てくる。
パンドラ・コアが光り輝くと共に、ハートのエフェクトが辺りに飛び散っていく。

エルピス・シズメ >  
 アトラクションの出口の傍まで引き寄せて、強く口づけを交わし合う。
 残っていた理性で出口の路をだけ空けてしまえば、あとは人目を憚らずに熱と愛を交わし合う。
 そうし続けて、お互いのすきが、強く伝わる。

「んぅっ……ん……っ……」
 
 じぶんには大きな夢はないけれど、イーリスにはある。
 折れてしまわないように……夢に至るまで、何度でも。
 その気持ちは、きっとイーリスの人情と好奇心の理想主義から伝わったもの。

 めぐりめぐって時間を超えて、十年前のイーリスに夢を与えることになったのは、不思議な話だと思う。
 なんとなくだけど、あの出来事は揺がない、必要なもの……だったような気がする。

 予定調和とも運命ともちょっと違うような、もっとふしぎな何か。
 僕とイーリスを結ぶ、だいじな経線(メリディアン)。……そうだったらいいなと、ちょっと思う。

「次は……何処にいこっか?」

 満足するまで口づけを交わして、名残惜しいけど離す。
 ずっとこうしていたいけれど、他のアトラクションにも足を運ばないのも勿体ない。
 せっかくの聖夜のデートだから、時間の許す限り色んなアトラクションを楽しみたい。
  

Dr.イーリス > えるぴすさんへの愛で理性が遠のき、周りの人達の視線などは失念気味だった。
他にもメリーゴーランドで楽しんでいた人達がいっぱいいて、そんな中でのえるぴすさんといーりすの口づけ。

「……んっ…………んん……」

えるぴすさんが見せてくれた夢と希望は、いーりすの胸の内で広がって、叶えたい理想になった。
いーりすの胸の内にいつもいるのが、10年前のあの時からずっとえるぴすさんだった。10年前は、正義のロボットさんという形ではあったけれど、いーりすの夢であり続けた。
だからえるぴすさんが背中を押してくださって元気に前へと進めるし、もしえるぴすさんがいーりすの手を握り引き留めるならこの歩み出した足はきっと止まるだろう。

10年前からずっと、素敵な夢が続いている。途中、ストリートチルドレンになって途切れかけてしまったけれど、再び夢を呼び覚ましてくれたのはえるぴすさんだった。

えるぴすさんと唇を重ね合う幸せな時間。ながい口づけのはずだけれど、しあわせいっぱいで一瞬で過ぎ去ってしまったような気がする。
えるぴすさんの『すき』を強く感じられた時間が終わり、名残惜しい……。

「えるぴすさんとふたりきりになれる場所に行きたいです。観覧車なら、ふたりきりの空間ですね」

聖なる夜のデート。他のアトラクションにも足を運ばなければもったいないというのもその通りだ。

でもその前に。このしあわせいっぱいの時に、したい事があった。

「めりーくりすます。えるぴすさんプレゼントです」

頬を赤らめつつ、手のひらサイズ程の包装された箱を取り出してえるぴすさんに差し出した。
プレゼント箱の中身は、リングケース。藍色に輝く宝石のような霊石がつけられた指輪。その指輪には、『Elpis』と刻まれていた。

エルピス・シズメ >  
「これって……空けてみるね。」

 包装された箱を受け取る。
 空けるのが勿体ないと感じながらも、丁寧に包装を解いて中身を改める。

 出てきたものはリングケースと、藍色に輝く霊石の指輪。
 思わず、嬉しさで口が緩む。

「……いーりすの瞳みたいな、きれいな色……。」

 左手の薬指に、そっと嵌める。
 嬉しく思いながらも、自分が先に受け取ってしまったことにちょっとだけ甲斐性の名さを感じた。
 それ以上に嬉しい気持ちが大きいので、今はそのきもちは置いておく。

「ありがとう、イーリス。大事にするね。
 僕からも……指輪と比べたら、ささやかなものだけど……。」

 包装された小さな袋を取り出す。

 中身は……十年前からイーリスが持っているくまさんと、メカニカル・サイキッカー(アルターエゴ・サイキッカー)を模した2つのマスコットの付いたストラップ。手製らしく、所々が少し拙い。 

 機械技術を学びつつ、その過程で覚えた工作や縫製で見様見真似で作ってみたもの。
 発信機の類は付いていないけど、押すとハートのエフェクトと共に光るようになっている。

「始めて一人で作ってみたから、色々拙いかも……。」
 
 当初は押すと自分に連絡が届く機能を付けたものの、
 縁起でも無いと思って機能をオミットし、ポジティブにイーリスらしく光るエフェクトを付けたもの。

 聖夜のプレゼント位は、前向きなものにしようと思った。
 

Dr.イーリス > いーりすの瞳みたい、と仰ってくだされば嬉し気に微笑んでみせる。

「留められた霊石は、常世島の未開拓地区で稀に産出される《常世双生石》と呼ばれるもので、藍色の《常世藍石》と桜色の《常世桜石》で二つ一組の霊石です。その昔、愛し合い永遠を誓い合った男神と女神がいたそうです。その男神と女神の愛情が結晶化したものとされていますね」

えるぴすさんにプレゼントしたのは、藍色なので《常世藍石》の方。
イーリスは別のリングケースを取り出して、蓋を開けた。
そこにはえるぴすさんにプレゼントした《常世双生石》のもう片方《常世桜石》が留められた指輪が入っており、そちらの指輪には『Iris』と刻まれている。

「愛し合うふたりが身に着けたペアとなっている霊石同士が近づくと輝きが増して、霊的に引き合う効力があります。ふふ、これは《常世双生石のペアリング》です。真に愛し合った者同士が対となっている霊石を身に着けていると、ふたりで末永く幸福の道を歩める、とも言われていたりするそうですよ」

身に着けている者のどちらかが愛を失ったり死亡すると、双方の霊石の輝きが失うというネガティブな効力もあったりはするけれど、生きて愛し合う限りは無縁のもの。
えるぴすさんが左手薬指嵌めるのを見ると、イーリスは頬を染めた。

「えるぴすさんは右手がアガートラームなので、左手になってしまいますよね……! な、なら私も左手薬指につけましょう……! えるぴすさん、私の左手薬指に《常世桜石の指輪》をつけてくださいませんか?」

そう言って、いーりすはえるぴすさんに《常世桜石の指輪》が入ったリングケースを差し出して、左手の手袋を外す。
左手薬指は特別な指……。だから、えるぴすさんに嵌めてもらいたい……。


指輪の前に、えるぴすさんからもいーりすにプレゼントがあるという事で、いーりすはすごく嬉しくてぱぁっと表情を明るくしつつ、瞳を輝かせた。

「クリスマスプレゼント、うれしいです! 何が入っているのでしょう……! 何が入っているのでしょう……!」

包装された袋を開けると、いーりすは無邪気に満面の笑みを浮かべた。
その笑みは、四歳のあの頃に戻ったかのような無垢なものだった。

「わぁ! 正義のロボットさんと小さな頃ずっと抱いていたくまさんです! 私のだいすきなものがふたつ……! 私のためにつくってくださったのですね! ありがとうございます!」

えるぴすさんが頑張ってつくってくださったものなのだと、凄く伝わってきて、いーりすのだいすきなものをつくってくれてたまらなく嬉しい……!

「くまさんにボタンがありますね。ぽち! 光りました、きれいです! それに、可愛らしいハートのエフェクト! ここまでつくり込んでくださるなんて、ほんとに嬉しすぎて、しあわせです……! えるぴすさんが私のために頑張ってつくってくださったのですから、私にとっては何よりも価値のある宝物です。大切にしますね……!」

大切そうに、そして優しくアルターエゴ・サイキッカーとくまさんのマスコットを握りしめる。

エルピス・シズメ >  
「素敵な逸話だね。不思議な石……。」

 桜色と藍色で一対の霊石。
 産出される時も一対なのだろうと想いを馳せつつ、イーリスが取り出したもう一方の指輪へと視線を移す。

「……うん。左でも右でも、きっと、気持ちがのほうがだいじ。
 まかせて、イーリス。左手の薬指だね。」

 指輪を一旦受け取って、手袋が外されたイーリスの左手薬指にそっと嵌める。
 優しく丁寧に嵌めてから、自分の左手をかざして指輪が一対になるように並べ、輝きを眺めた。

「えへへ。喜んでもらえて、良かった。
 このくらいのストラップなら、いろんな所に付けやすいと思って。」

 はしゃいで喜んでくれたイーリスを目を細めながら眺めて、優しく微笑む。

「メリークリスマス、いりーす。この後もいっぱい、楽しもうね。」 

Dr.イーリス > 産出される時に必ず一対になっているのも、霊的に引き合っているという所以なのかもしれない。

「ふふ、まさにその通りですね。大切なのは、気持ちです」

頬を染めたまま、頷いた。
気持ちはずっと変わらず、いーりすはえるぴすさんのことを愛してる。いつ何時も、その気持ちは変わらず、それに比べたら左手か右手かは些細なのかもしれない。
でもそれはそれとして、左手薬指は大切な指。
左手をえるぴすさんに差し出す。

えるぴすさんはとてもやさしくいーりすの左手薬指に《常世桜石の指輪》を嵌めてくれた。

「ありがとうございます。わぁ! とてもきれいに、ふたつの霊石が輝いてます!」

《常世双生石》がそれぞれ藍色と桜色に、とても綺麗に煌めいている。

その様子を見て、イーリスは表情を明るくさせた。

「どこにつけましょうか、とても嬉しい悩みです! えるぴすさんが私のためにつくってくださった、私のだいすきで大切な宝物ですからね!」

大切に握りしめるくまさんと正義のロボットさんのマスコットを、目を細めて眺めている。
えるぴすさんのことがすきって気持ちがまた溢れ出しそうで、それが《パンドラ・コアMk-Ⅱ》を桃色に輝かせて、ハートのエフェクトをイーリスから出てきたりもする。
くまさんとイーリスからハートのエフェクトが溢れて、混ざり合ってる。

えるぴすさんに、にこっと頷いてみせる。

「いっぱい遊びましょうね! でもその前に、次はふたりきりになれる場所……観覧車いきたいです」

いーりすの愛が溢れかえりそうで、抑えきれなくなりそうで……ふたりきりになれるところに行きたい。
観覧車から綺麗な景色を眺めつつ、えるぴすさんと抱きしめ合ったり、口づけを交わしたりしていっぱい愛し合いたい。

エルピス・シズメ >  
「うん……観覧車だね。」

 イーリスの言葉と仕草から意図に気付けば、胸が高鳴る。
 二人きりになれる場所で、いっぱい愛し合いたい。

 その提案にとてもどきどきして、すきの気持ちがより強まる。
 いっぱい遊ぶ前に、可愛くて素敵なイーリスと沢山愛し合いたい。  

「僕も凄く行きたくなってるかも……いこっか、イーリス。」

 観覧車に乗るまでが凄く待ち遠しい。
 溢れる手前の気持ちを観覧車まで我慢しながら二人で歩いてから、
 待ち遠しく思いながら観覧車のチケットを買って順番を待つ。

 待ち望んだ観覧車へと乗れば、景色を忘れそうになる位いっぱいいっぱい愛し合うふたりの姿があったそうな──。
 

ご案内:「常世島カナイランド ☆~Holy Night~★」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「常世島カナイランド ☆~Holy Night~★」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「Dont wake me from the dream」に藤井 輝さんが現れました。
ご案内:「Dont wake me from the dream」から藤井 輝さんが去りました。
ご案内:「Don′t wake me from the dream」に藤井 輝さんが現れました。
藤井 輝 >  
僕は夢を見ているのか。
そうか、死ぬ。
僕は死ぬんだ。

本当に死は忘却と同義なのか。
全てが今からわかる。

芥子風 菖蒲 >  
「お疲れ、センパイ。って……なんか眠そう?」

藤井 輝 >  
芥子風くん……?
ど、どうして。僕は死んだんじゃなかったのか?

桃田 舞子 >  
「先輩はたくさん苦しみました。もう自分を許してあげてください」
「贖ったから許されるとか、許されなかったから罪が重いだとか。もういいですよ」

藤井 輝 >  
桃田さん……
そうか、これは。

レイチェル・ラムレイ >  
「もういいんだ、死ぬ間際くらい。お前だって許されたいはずだろ」

伊都波 凛霞 >  
「先輩」

伊都波 悠薇 >  
「先輩」

藤井 輝 >  
「やめろ!!」

藤井 輝 >  
「彼らがそんなこと言うわけないだろうが……」
「地獄の責め苦にしても杜撰だな、獄卒も余程ヒマなのか?」

足に義足の重みがない。
だからか、僕は再び憎悪に苛まれていた。

ダスクスレイ >  
「どうした、笑え」
「お前のために用意したショータイムだぞ?」

仮面の男が闇から這い出てくる。

「死に際し、人は諦めの果てに真理を悟る」
「即ち諦観忘我のアパテイア……」

一本の刀を手に肩を揺らす。

藤井 輝 >  
「ダスクスレイ……!!」

これも地獄の前菜なのか?
だとしたら捻じくれた趣味だ。

「貴様……!!」

ダスクスレイ >
「これが気に入らなければ、お前に別のプレゼントをくれてやってもいい」
「自分の体に限り、体内時間を自在に操れる異能だ」

愉快そうに仮面の男は笑う。

「奇跡の生還だ、娑婆で拷問魔に戻ってもいい」
「ああ、最近の流れだとヒーロー側に助力するのも流行りかな?」

「テンタクロウ・リナーシタとでも名乗るも一興だろう? フフフ」

藤井 輝 >  
足……僕の足が治る異能…
生きられる……まだ、生きられる…?

ふ、ふはは。
ははははははは!!

「ハァァ……私を無礼(ナメ)るな、亡霊」
「お前の正体は見破っている……だが」

全身を複合金属が覆っていく。
ガスマスクにも似た仮面を被って僕は……私はダスクスレイを名乗るイツワリを睨んだ。

「その前に八つ当たりでもさせてもらおうか」

触腕の六連撃。

ダスクスレイだったもの >  
触腕に弾かれて闇の欠片になって散っていく。
ガラスの向こうにいるようなくぐもった声が響いた。

「不満か」

藤井 輝 >  
「やはり、常世ノ鐘」
「いや……常世神と呼んだほうが通りがいいか?」

ゆっくりとガントレットに包まれた手を持ち上げて。
ゆらゆらと手を揺らす。

「光との戦いで私に異能を渡したことには感謝はするが」
「私の死は私だけのものだ、もうお前に渡せるものなど何一つない」

「感謝の言葉だけくれてやる、ありがとう、もう失せろ」

ダスクスレイだったもの >  
「やはり」

「人間は素敵だ、思いも寄らない感情を吐き出す」

それきり闇の気配は薄れ、周囲には何もない空間が広がるばかりだろう。

藤井 輝 >  
「ふぅ」

複合合金に覆われたまま溜息をつく。

「これでもう邪魔者は入らない」

全ての輪郭が滲むように溶けていく。

「ようやく会えるね、光」

藤井 輝 >  
茫洋に溶けていく世界の中で、祈る。

──聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。
──楽園を追われた黒い羊よ、永遠に神の家から離れなさい。

「ただいま、光……」

そうして僕は意識を手放した。

公式記録 >  
12月25日。21時28分32秒。
大規模な破壊を齎した甲種犯。
かつてテンタクロウを名乗った男は隔離病棟で息を引き取った。

今まで面会を拒んでいた彼の両親は遺骨の引取を拒否。
藤井輝は常世島の墓地に埋葬された。

聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな。
生前、第十三補習室で彼のその言葉を聞いた者は少なくない。

ご案内:「Don′t wake me from the dream」から藤井 輝さんが去りました。