2024/12/29 のログ
ご案内:「トコケット会場」にアクアマリン(イーリス)さんが現れました。
ご案内:「トコケット会場」にファイアークォーツ(エルピス)さんが現れました。
アクアマリン(イーリス) > 本日は、年末の大イベント! サブカルチャーの祭典トコケット!
エルピスさんとトコケット会場に訪れていた。

エルピスさんとイーリスはコスプレをしていた。

一作目『ファンタズマ・コレクション』、二作目『ファンタズマ・リコレクション』、三作目『ファンタズマ・オーバーコレクション』からなる『ファンコレ』と呼ばれる世界観はよくある西洋ファンタジーがベースの作品群。一作目はweb小説原作からコミカライズやアニメ化、二作目はRPG、三作目はソシャゲ。それ以外にスピンオフなども存在している。
一作目と二作目は、強い絆を結んだ二人が《エンゲージ》と呼ばれる不思議な力により変身したりする作品。基本は主人公とヒロインの《エンゲージ》により幾重もの何回を乗り越えて強敵を倒していく作品。だが、ヒロイン同士や敵役も《エンゲージ》を行う事も多々ある。
三作目は、一作と二作の世界観を踏襲したソシャゲ。ガチャで引いたキャラクターを編成して進めるオーソドックスな内容になっている。

イーリスのコスプレは、二作目『ファンタズマ・リコレクション』に主に登場したキャラ、アクアマリン。スピンオフでもアクアマリンが主人公の作品がある程根強い人気があるキャラで、三作目『ファンタズマ・オーバーコレクション』では『ファンタズマ・リコレクション』のコラボガチャとして登場!
アクアマリンは水魔法が得意で、水による癒しで回復も使いこなす14歳の魔術師。ファイアークォーツとは仲の良い幼馴染で、作品において度々《エンゲージ》している。二作目主人公に好意を抱いているアクアマリンは、ファイアークォーツによく恋愛相談などもしている関係。

人が大勢行きかうトコケット会場。
アクアマリンのコスプレをしているイーリスは、水色髪のウィッグをつけ、水色のカラコンをしている。白い魔女帽を被り、白いローブを着ていた。

「わぁ! これがトコケット! 気になってはいたのですが、私はストリートチルドレンだったので来る機会がありませんでした……。えるぴすさんと来られてとても嬉しいですね……!」

アクアマリンのコスプレをしていたイーリスは双眸をきらきらと輝かせている。
これまでストリートチルドレンだったイーリスは、トコケットに興味ありつつも、これまで行く事は出来なかった。
こうしてエルピスさんと来られた事がとてもしあわせ。

ファイアークォーツ(エルピス) >  
トコケット。
曰く、トコケットは常世版の聖地にして祭りである。

一次創作から二次創作、あるいは趣味知識。
熱意の籠もった作品が飛び交う祭典。そこまでは知っていたものの……

「……だ、だいじょうぶかな?」

こうして、ふりふわふわのコスプレでコスプレしてイーリスと参加することになるとも夢にも思わず。
恥ずかしさと周囲の視線から、思わずイーリスの片腕をぎゅっと抱きしめてしまう。

エルピス赤いツインテールと紅白基調の可愛らしい装いは『ファンコレ』と呼ばれるシリーズのキャラクター、『ファイアークォーツ』のもの。

『ファンタズマ・コレクション』、『ファンタズマ・リコレクション』、『ファンタズマ・オーバーコレクション』主三作すべてに登場する古参ヒロインでありながらも、。
共通する特徴が紅白基調の服と赤髪リボンのツインテール位しかなく(場合によってはツインテールでないことすらあり)、作品ごとに設定やビジュアルのぶれが激しい事でよく話題に挙げられている迷キャラクター。

一作目の『ファンタズマ・コレクション』のWEB版では直情的なツンデレキャラだったものの、コミカライズではキレッキレのギャグキャラに。
二作品の『ファンタズマ・リコレクション』では、幼馴染のアクアマリンを想う姉御肌・庶民的なキャラクターに。
三作品の『ファンタズマ・オーバーコレクション』ではチャイナ巫女服のような服装で登場し、今のエルピスのようなおどおどした態度と可愛らしいしkづあ。

……後の『ファンタズマ・リコレクション』コラボで、それは猫かぶりだったと
言う事になったりもした。

そんなわざとのようなぶれの激しさから"ファイアークォーツいじり"が定着。
ソシャゲや同人作品にたまにいる、妙な愛され方をしているキャラクター。

それはそれとして。

「う、うん……ちょっと(すごく)恥ずかしいけれど……僕もイーリスと来れて良かった。」

 衣装は二人で活動している《常世学園おさんぽ部⦆のご近所さん、《第三十二黒魔術研究会》の面々に着せられて、
 トコケット用にとそのまま貰ったもの。
 凝ったドレスと十六層の分厚いパニエで身体のラインは出辛いけれど、何故か僕のサイズにぴったり。
 ドレスとしてしっかり作られているのと、ファスナーが装飾で埋まっているのでひとりで脱ぎ着するのは結構大変。
 

アクアマリン(イーリス) > とても恥ずかしがっているえるぴすさんがイーリスの腕を抱きしめると、その小動物的な愛らしさにゆったりと微笑んでみせる。

「えるぴすさん、ファイアークォーツのパニエがふわふわでとても可愛らしいですよ、ふふ。しかし、恥ずかしいというのはそうですね。コスプレというのはとても恥ずかしいです……」

微笑みつつも、少し頬を染めてしまう。

冬休みに入る直前の事、えるぴすさんと共に知り合いである《第三十二黒魔術研究会》の部室に遊びにいった時、えるぴすさんといーりすは強引にファンコレのコスプレをさせられた。いーりすは、アクアマリンが似合うという事でアクアマリンのコスプレをしているが、実は推しているキャラはどちらかというとファイアークォーツ、特にアクアマリンの幼馴染で姉御肌な二作目のファイアークォーツを特に推していたりする。
イーリスは全作を楽しんでおり、《フェイルド・スチューデント組》や《指定保護区域フェイルド・シティ》、《第三十二黒魔術研究会》の間でファンコレはちょっとしたブーム。《フェイルド孤児院》でも、ファンコレにはまってしまっている子が多くいる。

「幻実現想演奏同好会のブースに行きましょうか。えっと、チラシをいただいていましたね」

幻実現想演奏同好会の快活な部員さんからいただいたチラシを取り出す。ブースの位置もチラシに乗っていた。
それにしても先程からとても視線を感じる。
コスプレ衣装のえるぴすさんといーりすは結構目立っているらしく、注目を浴びている様子。
恥ずかしさでさりげなく、魔女帽を深くかぶり直してしまった。

「こっちが幻実現想演奏同好会のブースみたいですね」

そうして、いーりすの腕を抱きしめるえるぴすさんと歩調を合わせるように歩き出す。
少し歩いていると、声をかけられた。

ルビー山本 > 「あんた等、もしかしてエルピスとイーリス(姐さん)か? ファイアークォーツとアクアマリンのコスプレしてるから一瞬分からなかったが、間違いないよねぇ?」

なんと、ルビー山本が売り子をしていた。そのルビー山本のブースに人は全くいない。
同人誌が山積みで、全然売れていない事がわかる。

その同人誌の表紙だが、ファイアークォーツとアクアマリンが描かれている。
どうやら、ファイアークォーツとアクアマリンの日常を描いた漫画のようだ。

しかしである。
その絵は、小学生の落書きのように下手すぎる。
中を見れば、フォントとか一切使ってない汚い字で書かれた漫画で非常に読みづらい。
そもそも、下手すぎてファイアークォーツとアクアマリンが全然可愛くない。

ファイアークォーツ(エルピス) >  
「ふぇ……」

 イーリスの口から現状の装いを再認すると、力の抜けた声と共に恥ずかしさで衣装のように顔を紅潮させる。
 質の高いコスプレ衣装──盛りに盛られた、手の込んだ衣装をふわふわ揺らしながらイーリスの後に続く。

 途中で膨らんだパニエが混雑でぶつかるのが気になって、手で抑えて当たらないようにしたりもするけど、
 パニエの厚さの方が強くてふわっと反動で揺れるだけ。

 衣装は更衣室で着替えたものの、出発前に化粧しっかりイーリスに施されているため、可愛らしさがより引き立てられている。
 よく見れば中性的な面影はあれど、化粧の施された顔はとても可愛らしい女子の顔つき。
 身長を除けば、イーリスよりも幼く見えるかもしれない。
 
「ん、そうだね。折角だし見に行こっか。」

 ファンコレそのものはWEB小説を経てRPGからソシャゲまで展開し、ソシャゲそのものも課金圧は薄いことから流行る所で流行っている。
 《フェイルド・スチューデント組》でも流行っていて、詰め所でエメラルド田村さんと打ち合わせした時に話題に登った辺りでエルピス(僕自身)も始めた。
 それまではイーリスのプレイ画面やコミカライズ・アニメの視聴で満足していたものの、今は軽く調べてそこそこ効率良くプレイ中。

「……確かファンコレ島を抜けた先に、一次創作のフロアがあったはずだから……
 ……あ、あのブースはSNSで話題になってたあの人のかな(大御所さんのグリッチスーパープレイで悲鳴をあげた)。それなら、一次創作だから……あっちかな……。」

 すこしだけ列が突出したブースが見える。
 幻実現想演奏同好会も一次創作のジャンルになる筈だから、方角としてはあっちの方。
 そう思いながら路を進むと……知り合いの姿が見えた。

「あっ、ルビー山本さん……」

 思わず、抜けた声で名前を呼ぶ。
 よくよく考えると、声を交わすのはこれがはじめて。

 どうやら、手製の同人誌を出しているらしい。
 見本誌があったので、中身を手に取って読んでみる。

 ……中身はとても拙いけれど、ちゃんと製本までこぎつけたのはちょっとすごいと思う。
 気まずい沈黙の後、小銭入れを取り出して貨幣を出す。
 
「え、えーと……一冊ください。」

 何かの縁と、彼の手製の同人誌を一冊買うことにした。
 これも多分、何かの縁。
  

アクアマリン(イーリス) > 《第三十二黒魔術研究会》が用意したコスプレ衣装はとてもクオリティ高い。しかも手作りなのでびっくり。
更衣室では、えるぴすさんにもとても可愛らしくお化粧をした。えるぴすさんは元々とても愛らしいお顔だけど、それがさらに引き立つよう、我ながらとても素敵にメイクアップできたと思う。
幼い少女の外見をしたふたりが会場を歩いているその姿は、えるぴすさんがいーりすの腕を抱きしめて尚、恋人には見えないのかもしれない。

「《第三十二黒魔術研究会》に遊びに行って突然コスプレをさせられた時は驚きましたが、衣装の出来は凄くいいですし、えるぴすさんが愛らしく着飾れて、私も可愛らしくコスプレ出来ました。衣装を恵んでくれた黒魔術研究会の方々にとても感謝です」

そうして、えるぴすさんといーりすは《幻実現想演奏同好会》のブースに向かっていた。
ここはファンコレ島。目指すは、一時創作のフロア。

えるぴすさんもファンコレのRPGやソシャゲを始めたので、えるぴすさんといーりすのふたりでそれぞれスマホの画面を見ながら一緒にプレイしている時間も多くなっていた。
エメラルド田村とのやりとりをきっかけにえるぴすさんがよりファンコレにはまった事は、イーリスは把握してない。

「さすが大御所、列の長さが違いますね。凄く話題になっていて、私も動画見ましたね」

そんな時に《フェイルド・スチューデント組》の傘下部署《フェイルド・ルビー会》会長のルビー山本に声をかけられる。

イーリスも見本誌を手に取って読んでみた。

「……あなたも私と同じスラムのストリートチルドレンでしたからね。画力の研鑽に励む時間はなかったのでしょう」

周囲を見渡す。とても上手いイラストのサークルも多い。全員がとは限らないけど、その画力の研鑽に使った時間は、おそらく膨大なものなのだろう。
ルビー山本は、絵を描く余裕がない環境だったので仕方がないところもあるのかもしれない。

ルビー山本はエルピスさんとイーリス、特にエルピスさんをどこか気に入らない様子がある感じで、イーリスもふたりがまともに会話を交わす光景を見た事がない。

(えるぴすさんは、ほんとにとてもやさしいです)

えるぴすさんが小銭を出す様子を見れば、イーリスも小銭をルビー山本に差し出した。

「……頑張ったのは認めますので、私も一冊いただきますね」

ルビー山本 > 「なぜだかわからないが、俺の自信作が手に取ってすらもらえないんだよねぇ! ケヘヘヘ! はぁ……」

溜息を吐いた。

「おい、癪だがもうあんた等でもいい。買ってほしんだよねぇ! え? まじで買っていってくれんの?」

小銭を差し出すえるぴすさんといーりすに、強面気味のルビー山本はつぶらな瞳をしていた。

「ありがたいんだよねぇ! まじでありがたいんだよねぇ!」

上機嫌な笑顔になり代金をちょうど受け取ると、えるぴすさんといーりすにそれぞれ手製の同人誌を差し出す。
ちなみにルビー山本の同人誌のタイトルは『ファイアクが仲良くしているのを眺める本』だった。

アクアマリン(イーリス) > 「ありがとうございます。まだ時間はありますから頑張ってください。それでは」

そうして、イーリスは手を振り、ルビー山本のブースをえるぴすさんと共に去ろうとする。

ファイアークォーツ(エルピス) >
「ここに出展する人って大抵数年単位の猛者だから……
 ……むしろ数か月でしっかり製本して出展までこぎつけただけですごいと思う……えっと、またね。」

 ルビー山本のブースを離れ、改めて同人誌を手に取る。
 初めての会話がトコケットになるなんて……と思いながらも、中身を読み進める。
 タイトルは『ファイアクが仲良くしているのを眺める本』。

(うん……僕にはできないこと。)

 如何に稚拙であれ、大きな催しに申請してアイデア一つを本にして描き切る。
 それがどれほど大変かは、想像に難くない。途中で筆を折らず、逃げず、ここにいる。

 彼らの背景を考えれば、過信であれ根性で挑戦心であれ、見事なものだと感嘆する、
 それ以前からプレイしていたとしても、更生しながら一般生徒になったとして二か月。
 申請と執筆の時期を考えれば、ゼロから創作活動を始めて二か月弱でトコケットに出展。

(更生プログラムを受けるようになってから、二か月あるかどうかだよね。
 ……前からやりたかったのかな。いや、それでも……すごいというか、凄まじいかも……。)

 製本の手配や手続きの能力は《ネオ・フェイルド・スチューデント⦆時代に培ったとしても、シンプルにすごい。
 ……二か月で足りないのが画力と中身の読み辛さだけと思うと、作家としての能力はちょっと末恐ろしさを感じる。
 少なくとも、仕事を間に合わせる能力がある。

(……《ネオ・フェイルド・スチューデント⦆があと一年二年成長してたら、危なかったのかも……)

 能力の片鱗を感じ取りながら、先に進み、行列を通り過ぎて更に奥へ進む。
 見覚えのある顔と、今では少し古くも思えるパッケージされたCDの山が見える。
 たぶん、幻実現想演奏同好会のブースだ。
 

快活そうな少女 >     
「やっほー!……あ、このリズムは……あの時のおふたりさん!
 今日はとっても可愛い服を着てて可愛いね!」

 装いが変わっていても、エルピスとイーリスを識別できたらしい。 
 親し気に声を掛け、その声色を弾ませる。

「大変容前仕様のレトロなCDと、比較的読み込みやすい光ディスク規格で映像版とVR版、合計4種類の成果物を販売しているよ!
 安全面と読み込みの影響で、能映像版は予定よりもちょっと控えめになっちゃったけれど……
 ……それでもVR版なら能力なしでも満足いく演出に出来たから、環境があったらVR版を買ってくれると嬉しいな!」
  

アクアマリン(イーリス) > 違法部活《ネオ・フェイルド・スチューデント》だったルビー山本が逮捕されたのが10月。
それから色々あって、この短い期間で出展まで出来たルビー山本は凄いのかもしれない。

とある事情でえるぴすさんの事を嫌っていたルビー山本だけど、えるぴすさんのその人柄は自然とルビー山本の態度も軟化させていくのかもしれない。
えるぴすさんはとても優しくて、そういうところすき、といーりすは改めて感じた。

《ネオ・フェイルド・スチューデント》は成長していく過程で潰れたので、えるぴすさんの危惧が現実のものになっていた可能性もなくはないのかもしれない……。

やがて見えてきたのは幻実現想演奏同好会のブース。

「ごきげんようです! 一週間ぶりぐらいですね! ありがとうございます! 知り合いから衣装をいただいたので、せっかくなのでえるぴすさんと一緒に着てみました」

快活な少女ににこっと笑みを浮かべて、右手を振った。
一週間ぶり、ということで冬休み前も幻実現想演奏同好会の部室に遊びに行った事が何度かあったりもする。

「わぁ! レトロなCDは容量に限界がありながらも、ちょっと大雑把めのポリゴンに魅力がありますよね。映像版とVR版、どちら違った良さがあったりします! VR環境はありますけど、せっかくなので光ディスクの映像版とVR版の両方をいただきたいです! レトロな面白さも堪能したいですし、CD版の二種もください!」

そう口にしてお財布から代金を取り出している。