常世城砦の中に存在する探偵事務所。
ネオンに彩られた入口からは考えられない、
可愛らしいドールハウス風の内装となっている。
Time:20:58:41 更新
■ウィンドミル > 「今日はどちらのものかしら、おじさま」
追手がある、という前提で考えるにはどうにも違和感のある頃合いなのか
調査をしても収穫はなく、たとえお得意の情報網を使っても欠片も足取りを掴ませず
1つの冗談であるかのように、シェンの日常は続いていく
ただ唯一、目の前の彼女が生活に居ついたという点を除いて
「こういうお茶が買える状況じゃないように思うんだけど……」
故に酸い部分もいつの間にか気付いてしまう。ここ、全然お客様が来ないのだわ!
■シェン・トゥアール > 謎の少女…ウィンドミルを匿ってから少しの日数が経過していた。
今の所怪しい追跡者はなく、彼女も焦っていたり変調の様子は見られない。
時々じっと見られていたり、唸られたりする程度だ。
自分の方はというと、彼女を守るべく奮闘…人目につかないよう、
外に出したり出さなかったりする毎日である。
そうして過ごしている中でも、段々と疲れは出てくるものだ。
端末を使った調査がうまくいかず、一息入れるべくお茶を用意する。
彼女が来てから、用意する分は常に2人分。
それにもだいぶ慣れてきた。
「ミルさん、お茶が入ったよ。 今日のは昨日と違うやつだ。」
お茶碗が2つ乗ったお盆を持って、彼女のところに向かう。
彼女のところにお茶碗をそっと置くと、近くの場所にとりあえず座った。
ご案内:「白兔偵探社」にウィンドミルさんが現れました。
ご案内:「白兔偵探社」にシェン・トゥアールさんが現れました。
ご案内:「白兔偵探社」からウィンドミルさんが去りました。
ご案内:「白兔偵探社」からシェン・トゥアールさんが去りました。
■ウィンドミル > 「……な、何とかなったのですわ?」
きつく組み合わせていた手が解かれる
両手をだらんと下ろしたと同時に、きぃ、と聞かれれば『全て』を知られてしまう音がする
その所在の胸部の事は一旦放置、まずはやらなければいけない事がある
相手の休眠状態に顔を近づけて、思わずその匂いを嗅いでしまう事……ではなく
自身の首の後ろと相手の首の後ろに指を添える
貴方の『体』は正直なもので、おじさまの疑ってる事を先に確信してくれる
相互に露出されたコネクタを、1つのコードで繋ぐこと
そうして真夜中に行われた行為というものを知っているのは、
灯のない夜闇の満ちたの部屋で怪しい依頼人ただ独りだった
■シェン・トゥアール > 「うん、よかった…。 依頼人に心配されてしまうとは、
俺もまだまだだな…。」
安堵のため息をつき、ゆっくりと深呼吸。
彼女の言葉が慰めとなり、じんわりと体に広がっていく。
考え続けての消耗は想像以上に激しかったのだ。
じんわりとまぶたが重たくなってきて、彼女のささやき声にのろのろと頷くのと、
まぶたが完全に閉じるのはほぼ同時だった。
すぐに静かに……彼女の目からすれば休眠モードに入ったことがわかるだろう。
静かに、満足げな表情で横たわっている姿は、ガラテア再現部の精髄が込められた…
まさしく等身大ドールのようでもあった。
■ウィンドミル > 「べ、別に怒ってないんですわよ!」
元はと言えば自分の暴走が所以というのも放り投げて
相手が宥めるような甘い口振りを選ぶのも、もどかしい
真意というのはまだ一方的なもの。悪い事をしたのはこっち
そしてまた、延長の上で自分は悪い事を続けるつもり
仕事を果たせることが使命であり誇り。それが探偵の態度だもん
「おじさまは疲れてるのだわ。ちゃんとおやすむのだわ」
胸の前で掌を組んで、言い聞かせる
その形は祈るようでもあり、何かを抑えるようでもあり
■シェン・トゥアール > 「…!」
唸り声と視線、その2つが体の動きを止める。
自分の電脳ではなく、ボディに…『ウサギの女の子』に組み込まれた何かが、
肉体を、そして精神にも干渉しつつある。
『ウサギは狼に食べられてしまうもの』『自分を捧げる』…
そういった導きがボディから押し寄せるも、電脳は必死に足掻く。
自分は人間で、ウサギでもない。彼女だって狼でもない。
自分の中での戦いに身じろぎできずにいたところで、急に体が浮いた。
「ミル…!? あの、あっ…ま、って…!」
ひょい、と優しく…女の子にやるような持ち上げ方でリフトされる。
反射的に相手の首に抱きつく。 これではどちらが女の子なのか…
『お姫様』なのかわからない。
そっとベッドに横たえられると、相手の方を見やって口を開いた。
「ミル、ミル……。」どこかすがるような、甘えるような声色。
そんな声が自分から出てしまうことが信じられなかったけれど、
憔悴仕切った体と精神のせいだ。 きっと。 そう思いたかった。
■ウィンドミル > 「うぐる……」
弱々しく立つ姿、顔を紅く染めて伏せる振る舞い
感情を直球で表す耳の形。そして自分と鏡合わせのような可愛らしさ
思わず喉が唸るのも無理はないだろう。おじさまがまるで獲物の様な……
「って。そんなぼーっとしないんですの!」
尻尾と耳が立つ。それより優先される使命があるのだ
お互いこうして見合っていては、夜が明ける方が先になる
先に動けたのは、自分の方だった
だから相手の腰に手を添えて、姫のように持ち上げる
機械が詰まった貴方の身体を難なく、である
彼女の咄嗟の行動は、ベッドに放り投げやすいからだった
実際にふんわりと沈み込むような感触を相手に与えるまで、そう時間はかからなかったのだろう
■シェン・トゥアール > 「……。」
寝室の隙間から見えるシェンは、船を漕いでいた。
彼女への罪悪感、そしてなんともいえぬ感情にさらされ続けた精神はすっかり疲弊し、
結果的にエネルギー不足に陥っていたのである。
眼前で灯るモニタには、今回の依頼人…ウィンドミルの正体を探ろうとしたログが、
そして「可愛い」とか「女の子の好きそうなもの」であるとかそういった言葉が踊っていた。
「…むっ…」
視線を感じたのか、眠たげな表情で目を開き、ゆっくりと伸びをする。
普段一人であった空間に人を匿うなどもやったことがない。
彼女が好むには?安心して匿われてくれるには?
そして…危険な関係にならないようにするには?
そんな悩みが未だに頭の中で暴れまわっているのだった。
のろのろと立ち上がり、寝室へ赴こうとして……。
その奥に彼女が、ミルがいることを思い出す。
かあっと頬が赤くなり、うさ耳がぺたんと伏せられた。
ゆっくり深呼吸。大丈夫、俺はオトナだしプロだ。
依頼人に変なことをしたりするわけがない。
自分に何千回も言い聞かせながらゆっくりと寝室へと進み……。
「あ……。」
彼女と目があってしまった。
■ウィンドミル > ~暫く経って~
寝室の扉がゆる~く開かれる。そこから見える相手の様子を窺うように
気配に気付けば分かる事。彼女は先程のゴシックドレス衣装からパジャマに着替えてるという事
そして衣装のふくらみが大幅にナーフされた関係上、一部の強調が強まってるという事
「おじさま、起きてるのかしら……」
夜も遅い筈、早く来たらいいのに。そしたら添い寝……
いやいや、調整が出来るのに!
これまでの状況を要約しよう。貴方はすごい目付きで睨まれている
■シェン・トゥアール > 「…!」
彼女の声ではっと我に返った。
呆然としている間に、彼女は荷物を抱えて寝室に飛び込む。
追いかけることは出来なかった。
「あ、ああ…おやすみ。 大丈夫、ゆっくり休んでもらって…。」
頭を下げる彼女に声を掛けたあと、一人で頭を抱えた。
依頼人にちゅーしてしまった。 あまつさえ、どこか…同類に感じるような安堵を感じてしまった。
「っすー……」
深呼吸。 このまま寝室に行ったらどうなるかわからない。
とりあえずは彼女について調べよう。 端末の前に座り、コンソールを叩く。
名前:ウィンドミル。
年齢:9歳程度…?
種族:造物の可能性が高い。
持ち物:鞄。中身は未確認。
その他:唇が柔らかくてあたたかい。お耳が大きい。
こちらのことを誰かから教わっている?
そこまで書いたところで、無意識のうちに手が唇に触れていた。
彼女に大きな負い目を作ってしまったし、なんなら…さっきの柔らかさが、
頭に刻み込まれてしまった。 初めてというわけでもないのに、どうしてこんなに?
煩悶としながら過ごすことになるのだった。
■ウィンドミル > 正直、出会った瞬間から限界だったのは言うまでもない
星を見るように憧れてきた、情報の中だけの相手
シミュレーションはガラテアの中で幾度と行ったはずなのに、
その理知の瞳で正体が一枚ずつ剥がされそうになる
自分の所属とその『証明』で納得させてしまいたい
でもその瞬間に、1つの関係がぽとりと落ちてしまう
気付いてしまう。彼女に宿るメルヘンというものに
この『愛情』の基準は誰が設定したもの?作り物の瞳に光が戻る
今の不安定さを記録したい、でもルミには仕事があるの!
「ダメなのだわ!」
『初日の接触は控えよ』、数少ない肌の露出部を遠慮なく重ねましたが?
この扉をくぐる前の注意をリピート、排熱を含んだ息の濁流から逃れ
味わう為に緩んだ手を(彼女なりに頑張って)振り払った
「決まりですわね、おやすみなさいなのですわ!!」
鞄を持つ、そしてお辞儀。先程までえんやと運んでいたのは何だったのか
凄まじい駆け足で寝室の方に飛び込んで行こうとするのです