2024/08/31 のログ
ご案内:「数ある事務所」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「数ある事務所」にさんが現れました。
エルピス・シズメ >  
 数ある事務所。

 落第街の裏通りの路地に面している2階建ての建造物。
 増改築が行われた事務所は他の建造物と比べてやや新しい。

 水も食糧も電気もある、落第街にしては贅沢な日常を営める施設。
 そんな事務所で思い思いに過ごしていたであろう中、
 エルピスが赫に声を掛ける。

「赫さん、今時間つくれる?」

 栗色の髪をお団子にし、それでも余る長い髪の少女のような少年。
 見た目とも違和感のない、高めの少年の声で証へと声を掛ける。

> 「ん?おー、エルピスか。丁度手が空いたから大丈夫だぜ?明日の朝飯の仕込みもしたし、掃除も済ませたし。」

イーリスから教わったキメちゃんことキメラ型メカの簡単な点検も終えた所だ。
何気に地道に色々働いているが、少年は居候なのだからこのくらい当然だろう、という考え。
さて、一段落したのは本当なので、家主である少年の方へと紅い双眸を向けて陽気に笑う。

「そーいや、エルピスとはまだしっかり挨拶というか色々話してない事もあっからな。丁度いいかもしれねぇ。」

イーリスやナナから自分の事はある程度聞いているだろうとはいえ、直接話した方が彼も色々と納得するだろうし。

エルピス・シズメ >  
「いつのまに……美味しい料理、いつもありがとね。」 
 
 赫が住まうようになってから食卓が豊かになった。
 エルピス自身は最低限しか作れなく、レパートリーも少ない。

 率先して家事も行っていて、とても気が利く。
 そのことを良く理解しているので、微笑みながらお礼を言う。

「そうそう。赫さんもそろそろ慣れてきたと思って。応接間来れる?
 渡したいもの色々あるし……って、キメちゃん、随分なついてるね。」

 微笑ましそうに一人と一()のやり取りを眺めながら、応接間の移動を促す。
 

> 「いやぁ、俺は別に料理人じゃねーぞ?人並みに出来るっつーだけだし。」

むしろ、3人とも料理に不安要素がありそうだと初日で悟ったのもあり、率先して料理当番をしている。
食材の買い出しは手が空いた人にやって貰ったりしているが、調理は大抵が少年の役目だ。

「あいよ、応接間な?直ぐ行くー…おい、キメちゃん引っ張るなよシャツ伸びるだろ!!」

ちなみに着替えとかも仮面の連中に拠点襲撃されて失っているので貴重なんです。
遊ぼー、とばかりにシャツの裾を咥えて引っ張るキメちゃんを宥めつつ。やっと解放されたので応接間へ。

ちなみに、キメちゃんも普通に付いてきていた。彼の言葉通りかなり懐いているらしい。

「ナナとイーリスは外出中か…。」

まぁ、4人で常に一緒に行動している訳でもない。特に少年は単独行動もかなり多い。

エルピス・シズメ >    
「人並みに出来るって、結構すごいことだよ。
 特にここだと、ね……?」

 料理するだけの余裕があるものは、この場にはそうそう居ない。
 エルピス自身は本来は一般生徒なので、最低限は出来る。

 そのエルピスもイーリスと、そしてナナと共同生活をするようになって慣れてはいるが、献立は偏る。
 
「うん。二人は外みたい。
 お仕事を見つけたのか、私用なのかは分からないけれど……。」

 割と皆、思い思いに素材の採取や依頼の受領等で仕事をこなしている。
 時たまイーリスが妙な依頼を引き受けかけてナナのチェックが入るのも、  
 それなりに見る光景。

 エルピスは今の所は自主性を重んじているので、それとなく聞いたりはするがあまり止めない。
 
 そんなこんなで、なし崩し的に個人個人が仕事をこなしている状態だ。

「とりあえず……まずはお土産。僕とイーリスから。」

 紙袋を渡す。
 中には青を基調にし、アクセントに白を混ぜたクリスタル柄のアロハシャツ。
 観光地の神殿の雰囲気を模した、そこそこ丈夫な羽織るシャツ。

「細かい話の前に、改めて自己紹介かな。僕はエルピス・シズメ。
 数ある事務所の所有者だよ。宜しくね。」

 柔らかく笑って自己紹介。
 警戒している雰囲気はなく、緩んだものだ。
 

> 「あー…まぁ、ずっと落第街とかスラムで暮らしていた訳じゃねーからな俺。表側にも居た経験あるし。」

料理の基礎とかを勉強したのはその時だ。何だかんだ現在までそれが続いたからある程度の腕前があるだけで。
少年的には、他の3人も最低限の自炊くらいは覚えて欲しい、という思いはあるが。
まぁ、居候の身分でもあるのであまり強くは言えないのである。…時と場合により言うけど。

「まぁ、そこらは気にしてもしょうがねぇしな。二人ともプライベートな事もあんだろうし。」

それは自分や彼にも言えた事だ。小さく肩を竦めつつ、ともあれ応接間のソファーに座って一息。
ちなみに、キメちゃんは赤毛の少年の近くで丸くなって寝そべっていた。

「おー、土産とか悪いなわざわざ。まぁ3人ともリフレッシュ?出来たようで何よりだわ。」

俺は気楽に”外”にゃ行けねぇからなぁ、と苦笑気味に零しつつもお土産を確認。

(…何か独特のアロハシャツなんだけど!!)

手持ちの着替えはほぼ無いから有難くはある…が、外でこれを着る気にはなれんな…部屋着にしようかな…。
とはいえ、折角の土産物なので突き返したりはしない。有難く頂こう。

「おぅ、改めてよろしくなエルピス!俺は赫。スラムの方で何でも屋をやってる…が、今は休業中だなぁ。」

苦笑い気味に肩を竦めて。大まかにその辺りはイーリスが自分を連れて帰った時に彼も聞いているかもしれないが。

エルピス・シズメ >   
「消えものだと、ちょっとよそよそしいかなって。
 どの道みんなで食べる用に買ってきてるから……。
 あ、ナッツコーティングのチョコレートは冷蔵庫にあるから食べてね。」

 ちょっと困った素振りを察し取って頬を掻く。
 高級ナッツ入りチョコレートなども考えたが、見送り。

 理性でなく感情で選んだ結果、観光先の神殿をモチーフにしたアロハシャツになりました。

「うん。宜しく、赫さん。エルピスも休業中だから、そこも含めて同業者だね
 ……で、これも受け取って欲しいな。ちょっと座って待っててね。」
 
 応接間のデスクの中から、独特な雰囲気な腕輪と資料を取り出す。

「これ、事務所の居住者の証ってことで、イーリスが作ってくれたんだ。
 《イリデッセント・リング⦆。内臓ジェネレータで自動充電した動力を使って、
 7層の複合バリアを形成して身を護るシールドユニットなんだけど……。」

「良かったら、受け取ってくれると嬉しいな。
 詳しい仕様はこっちの資料を見てね。」

> 「おー、チョコなんて久々に食うかも。ありがとなー。」

実際甘い物なんてまともに食った覚えが無いなぁ、と思いつつ。
しかし、このアロハシャツは神殿モチーフなのか…俺に似合うのかこれ、分からん…!!

「…ん?受けって欲しい物?」

はて?何だろう。事務所の合鍵…な訳ねぇか。しかし、エルピスも考えたら同業者か。
身近に同業者がほぼ皆無だったので、そこはちょっと親近感が湧くかもしれない。
そんなこんなで待機してたら、何やら独特の腕輪らしきブツと資料?を手に彼が戻ってきた。

「へぇ、イーリスが…アイツやっぱすげぇなぁ。
…ほぅほぅ、「イリデッセント・リング」ね。
…いや、待って?内臓充電式?七層のシールド?マジで?」

つまり、小型のシールド発生装置か!防御面がめっちゃ不安だったから少年的には有難いが。
ともあれ、資料と共に腕輪を受け取り、繁々と眺めてから一先ず右手首に嵌めてみる。…む、ジャストフィット…!!

資料もじっくり読みたい所だが、エルピスとの話もあるので後で詳細は確認するとしよう。

「ん、じゃあ有難くこの腕輪も受け取らせて貰うわ。…で、そうだな…んーと、エルピスから俺に聞きたい事とかあるか?
一応、俺からも簡単に俺の事情説明は改めて報告しようかと思ってるんだが。」

あと、イーリスとナナに伝えていない事も家主の彼には伝える必要があるだろう。
特に自分が”犯罪者”というのは、最低でも彼には伝えておかないといけないから。

エルピス・シズメ > 「うん。イーリスは凄いし、可愛いよ。
 機能としてはシンプルだから、細かい調整も言ったらしてくれると思う。
 限界が来るとバリアが消えて、緊急リチャージが完了するまで使えないから気を付けてね。」」

 惚気ながら答える。
 イーリスの眼はとても良い。それとなく目測で計ったのかな。
 ぴたりとはまる腕輪を見て、目を細めて微笑む。

「そうだね。ちょっと聞きたいかも。お互いに知らないことは多いし……
 ……竜の心臓を生で食べてお腹を下した悪竜ぐらいしか伝聞で聞いてないから、
 聞いても良い範囲で訊いてもいい……かな?」

> 「お、おぅ…目の前でナチュラルに彼女自慢されるとは思わんかった…。」

世話になっている身だから口には出さないけど「爆発しろ」とは思いました。
一先ず、調整に関しては実際に試してみてから頼むのが一番いいだろう。
シールド機能は助かるとはいえ、彼の言葉に万能ではないよなぁ、やっぱり、と思う。

「いや、それちゃんと火を通して食ったからな?顎が砕けるかと思ったけど。
…あと、腹を下したのはナナが生食してたから俺も試しにやってみただけだ。」

それで腹を下したのは間違いないけど。ともあれ、改めて話すべきと言えば…。

「んーと、まず俺が最近噂になってる【ギフト】…それを授かった連中から狙われてるのはイーリスから大まかに聞いたとは思う。
まぁ、何と言うか実際にギフトを授けていた【黒幕】に偶然遭遇した時に、一緒に居た連中を挑発したからなんだが。」

ちなみに、その時に【悪竜】と名乗った事でその名前がギフト持ちの間で悪名として広まっている事。
【黒幕】に危害を加える”フリ”をして、連中の憎悪と怒りを集めた事を正直に告白する。

「――まぁ、そんな訳でギフト持ちの連中に俺はしょっちゅう追いかけ回されてるって訳だ。
オマエらに迷惑掛けないように気を付けては居るけど…。」

何せ自業自得の部分がでかいので、そこは流石にちょっと目を逸らして気まずそうだ。
要点をまとめるなら、この赤毛の少年はギフト持ちの明確で分かり易い”敵”だという事。

「…まぁ、俺に連中のヘイトが向いてたら他の誰かしらも何かリアクションとか起こしやすい、って打算もあったんだけどな。」

静観、様子見、ちょっかい、混乱に乗じた漁夫の利、騒動を利用した暗躍、好奇心などなど。
関わる理由は幾らでもあるし、関わらない理由もまた幾らでもある。
誰がどう動くかさっぱり分からないが…ともあれ。

「―ここに居るのは全員”訳アリ”ってのは聞いてる。
ただ、あまり俺の悪名のせいで仮面の連中がこの事務所やお前らにちょっかい掛けるなら――…。」

その時はここを潔く出ていく、と伝える。イーリスとかは気にしないかもしれないが。