2024/09/07 のログ
ご案内:「イーリスの《体内超高性能コンピューター・イリジウム》内にある電脳世界」にバーチャル・イーリスさんが現れました。
■Dr.イーリス > ──それは、エルピスさんがタイムマシンで十年前に飛んでいる時のお話。
エルピスさんはイーリスを助けるためのお薬《科学配合エリクサーエキス》を完成させるため、タイムマシンで十年前に飛んでいた。
現在で待っているイーリスは、死の恐怖、そして苦痛に苛まれていた。
Dr.イーリス「……」
カプセル型医療機器にいるイーリスは未だ顔の左半分と左腕、下半身を失っている。
■バーチャル・イーリス > イーリスの体内コンピューターにある電脳空間。
バーチャルのイーリスは、現実のイーリスの苦しみを強く感じている。
想定されている余命までは元来数時間はあった。
だが症状の急激な悪化で、イーリスは余命を大幅縮めてしまっていたのだ。
「……うぅ…………ぐ……。エルピスさん……」
イーリスは、青白く光る「0」と「1」だけが浮かび上がる真っ白な電脳空間で、空中に浮き背中を丸めて両膝を抱えていた。
苦し気に表情を歪ませるイーリス。
現実のイーリスが死にかけており、それによりバーチャルのイーリスも所々ブロックノイズのように歪んでいて、消えかかっている。
■バーチャル・イーリス > 想定外の症状悪化。しかし、医療において症状悪化は頻繁にあるもの。
イーリスの体内コンピューターが予測するよりも、さらにイーリスの状態が酷いという事を意味する。
「……える……ぴす……さん…………ごめん……なさい……」
もう、イーリスの体はもたない。
■バーチャル・イーリス > 「……かみ……さま…………。どう……か……わた……し……が……しん……で……も……える……ぴす……さんを…………しあわ……せに……して……あげてく……ださ……い……」
■バーチャル・イーリス > そう願った時、バーチャルにいたイーリスの世界が反転した。
真っ暗な空間。
そこにいたのは蒼先生だった。
臨死体験によりもるなのだろうか……。
「あお……い……せん……せい……」
必然だろう。
イーリスは死の直前に神様に願った。
その神様とは? イーリスが最も信じる神様。そして、仲良くし続けたい、一緒にいたいと願う神様。
その神様は、破壊神なる存在。
破壊神様が死神の如く、イーリスを迎えにきてくれたのだろうか。
■バーチャル・イーリス > しかしだ。蒼先生は、この真っ黒らな臨死の空間を“破壊”した。
空間に罅が入り、気が付けばイーリスは元居た体内コンピューターの電脳世界にいる。
「……今の空間は、“死”の直面……? 私、先程と比べて今だいぶ楽になっています……。症状の悪化も収まりました」
驚く事に、もうイーリスが死ぬというその瞬間に症状が回復した。
余命も、元々測定して出た数値近くに戻っている。
蒼先生が、“死”の直面を破壊して、イーリスを生きる方向に導いてくれた。
「神様……。いえ、破壊神様が、私を祝福してくださっているのですね。ありがとうございます、破壊神様」
イーリスの瞳から一滴の雫が頬に垂れる。
破壊神様がイーリスを祝福してくださっている。
あともう少しだけ、エルピスさんの帰りを待つ事ができる。
破壊神様のお陰で、あとちょっと頑張れる……!
■バーチャル・イーリス > そうして、しばらくした後にエルピスさんがタイムマシンで現在に帰還した。
エルピスさんが無事持ち帰った《科学配合エリクサーエキス完成品》により、余命僅かったイーリスの命は助かるのだった。
だがまだ命が助かったというのみ。
イーリスの体は未だに、半分以上を失った状態でカプセル型医療機器で治療を続けている。
ご案内:「イーリスの《体内超高性能コンピューター・イリジウム》内にある電脳世界」からバーチャル・イーリスさんが去りました。