2024/10/06 のログ
■橘壱 >
「確かにかなり元気そうっていうか、
やっぱり凛霞先輩、こういうの好きなんだなぁ」
確かに陽キャより、イベントごと好きそうだしなぁ。
「な、成る程。……え?風紀委員?」
思わず目を丸くした。
風紀委員?彼女が?どうして?
疑問がふつふつと絶えないけど、
次の言葉に全部の思考が吹っ飛んだ。
「婚約者!?!?!?!?!?!!??」
クソデケェ声が中庭に響いた。
今何時だと思ってるんだ。
「あ、ああ、し、失礼しました。
え、えっと……その、婚約者……っていうのは、環菜ちゃんが言ってた、の?」
■伊都波 悠薇 >
「明るいですし、姉は友達となにかするの好きですから」
頷いたあと、聞こえた大声に思わず耳を手で抑えた。
「……え、はい。彼女が嬉しそうに言っていましたよ。婚約者といっしょに、いられる時間を増やしたいから風紀委員にどうなれますか、と」
……にしても、そんなに驚かなくとも。
二人だけの秘密、だったのだろうか。
もしかしたら、二人の間の解釈ちがいがあるのかもしれない。
男は秘密に、女はオープンに。
ありえそうだなぁ、なんて。
■橘壱 >
「凛霞先輩らしいと言えばらしいよなぁ。
結構行動力は鬼みたいだからさ……」
身を以て体験済みだ。
そういう意味では、おとなしい妹のが好み。
「そ、そっか……環菜ちゃんが婚約者……。
……い、いや、婚約者……、……」
脳裏に過る昨晩の記憶。
これで拒否するの男じゃないけど、
気持ちの整理はついていないオタクくん。
思わずでっかいため息を吐いて頭抱えてしまった。
「む、昔の幼馴染なんですよ。10年近くあってないけど、
その、こ、子どもの約束をずっと覚えてて……今でも一途に……」
ずっと覚えていた。
かくいう自分はこの有り様。
なんか言えば言うほど情けなくなってきた。
■伊都波 悠薇 >
「え」
まさかの、認識のすれ違いだった。
「えーっと?」
つまりは、今のところは伊那美さんのかた、おもい?
「でも、昔約束はしたんですよ、ね?
もしかして、橘さん、冷めちゃいました?」
彼女が冷めたことはほぼ100おくパーセントなさそう。
となると……
「橘さんは、どう、なんです?」
ごくり。急に、喉が乾くほどの緊張感。
■橘壱 >
何とも言えない表情で後頭部を掻いた。
「昔って言っても、本当に10年以上前ですよ。
本当に小さな、子どもの約束。それで10年後再開しても、
彼女はずっと、僕のことを一途に思っていた」
「……そんな事を聞かされて、嬉しくない訳ないじゃないですか」
そう、これが本物なら喜ばない男はいない。
事実嬉しい事は嬉しい。ただ、壱は勘がいい。
直感力があると言い換えてもいいかもしれない。
今回判明した異能といい、彼女の"違和感"を覚えている。
「最低かも知れないですけど、迷ってるんです。
本心かどうか……いや、そうでしょうよ。だって、
モテた記憶は……、……まぁプロゲーマー時代はあったけど
それでも、10年以上、ちっちゃい頃の約束ですよ?そんなにこう、
惚れられて、覚えられてる程、小さな僕は人間出来てるとは思えなくて……」
「少なくとも好意は有ると思います。
けど、ご覧の通り素直に受け取れていないんです」
自分の自信のなさ、記憶の中の彼女が、
余りにも昔のようにあどけなくて、
どうしても拭えない違和感が、素直に受け止めきれていなかった。
■伊都波 悠薇 >
ほっとした。
キライとか、分からないとかじゃないのが。
「ちゃんと、考えてるじゃないですか」
なにも、受け止めるだけが誠実ではない。
鵜呑みにするのが正解ではない。
そう、自分はおもっているし、そう、自分は身を以て。
「じゃあ、これからですね」
そう、これから。
「頑張ってください」
それだけで。
十分な気がした。
だって、頑張るのは。
「得意分野じゃないですか、橘さんの。男子、するの」
■橘壱 >
まるで背中を押すような物言いだ。
そう言われると思わず引きつった笑みを浮かべた。
「そうでしょう。だって、人の人生を預かるようなことですよ。
そりゃ、真面目に受け取らないほうが失礼だ。それに……、……」
背負ったら、重くなる。
鋼の翼で闘争を求める内心が、そう囁く。
今ですら秩序に、眼の前の彼女達の友情に絆され、
最早、自分の思い描く理想の自由とは程遠くなってしまった。
言葉も途切れてしまうのも、仕方ない。
「……そんなに褒められるような男じゃないよ。
自分のことで手一杯で、彼女の幸せも考えるってなると……」
もう、両手じゃ足りないかも知れない。
■伊都波 悠薇 >
「じゃあ、そうなればいいんじゃないですか」
簡単に言う。それもそうだ、だって。
「そのための、翼で。そのために、頑張るんだと言ってたじゃないですか」
ちゃんと、聞いてる。ちゃんと、見ていた。
ちゃんとーー
「……『姉』に、勝つんでしょう?」
そう、聞いた。
「人、一人『程度』。背負えないと勝てないですよ」
だってもう、何人背負っているのか。
「ここに、いる何人かには」
キミも、知ってるかもしれない。
「キミの翼は、それでも飛べますよ。あとは、飛ぼうとするか、しないか。ただ、それだけな気がします。
ーー一番、翼を自由にしてないのはもしかしたら」
…………いいかけて。
「ーーなんて。妄想です」
■橘壱 >
ふ、と思わず苦い笑みを浮かべた。
「───────……言ってくれるなぁ」
彼女の言うことも一理ある。
そうだ、それくらい出来なきゃ、世界は目指せない。
けど、真に望むことはもっと仄暗い。
社会的に、人道的に見ても非道。
その上に成り立つ真の無法こそが、望むもの。
ただ、そうだな。そう……。
「わかってるよ、今自分自身を縛っているのは、僕だって。
……悩んでる。皆と一緒にいたい自分と、戦いを、AF乗りとしての自分」
「どっちも本音だし、両方って訳にはいかない。
……相反する願いだけど、そろそろきっちり決めるべきだな」
どの道を進むべきか、ハッキリと。
どうにも彼女には、背を押されてばかりだ。
何処となく清々しい顔をしながら、夜風に揺られて彼女を見た。
「なんだか、何時も発破かけられてる気はする。
……環菜ちゃんがいなければ、先輩に告白してましたよ」
なんてね。本気だけど、冗談めかしに。
それくらい、夜の風に流すくらいがちょうどいい。
■伊都波 悠薇 >
「…………?」
なんか、変なこと言っただろうか。
別にいつも通り。
姉のことを信じているし、姉が認めた橘さんのことも信じていると言っただけなのだけれど。
「あの。決めるべきと言っているところ、あれなんですけど」
ところで。
「どっちもいいとこどりするとかはできないんです、それ?」
シンプルに。そう思う。
姉ならそうするだろうし。
いや、分からないのだけれど。
「はい?」
告白、といわれるとフリーズした。
■橘壱 >
「それは無理だよ。僕のAFの乗りたい、自由でいたいっていうのは、
皆から見れば悍ましいものになるかもしれない。それこそ僕は……」
「自分の自由の為の戦いなら、他者も自分の命もチップみたいなものさ」
それこそ闘争においてどちらも軽く足蹴に出来る。
互いのおもちゃをぶつかり合わせるような感覚だ。
まともな倫理観を知っているからこそ、まともじゃない。
つまり、この楽しき自由、闘争の中には、今の友情の中の、
彼女達も標的に含まれる。どちらも成り立つのは不可能だ。
「え?だって僕、悠薇先輩の事好きだったよ。
可愛くて健気で、何時も背中を押してくれる。
隣にいてほしいって思うのは本当だよ。
惚れてたよ、そういう献身的な……あれ?」
なんか固まってない。
じぃ、と顔を近づけておーい、って手を振ってみる。
■伊都波 悠薇 >
はっ。最初しか聴いていなかった。
「そういうものですか。英雄なんて、端からみたら殺人者なんですからできるような気もしますけれど」
ひとつの見方として、だけれど。
できないというのならできないのだろう。
もしかしたら、模索する可能性もあるのかもしれない。
「……まぁ、ほぼ戯れ言みたいな、落ちこぼれの妄想ですから」
立ち上がり。そろそろ、お風呂空いたかな。
「明日からも、頑張りましょう」
その場を後にした。
言葉がすらすら、またでてくるのは彼がまだ、可能性があるからなのだろうな。
ーー自分とは、また、違って
諦観でも、絶望でもなく。
ただ、前向きにそんなことを思いながら。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館にある中庭】」から伊都波 悠薇さんが去りました。
■橘壱 >
「……いや、物騒な話はやめよう」
一応生き抜いの体だし、言うのはよくない。
ともかく、一つ区切りはついた気分だ。
後は、彼女と一緒に話し合い次第か……。
「(自分のお姉さんがボロ雑巾にされたら、同じこと言えるのか?)」
とか、物騒だよな。
それこそ自分ではない誰かにやられたら、
それこそ同じようなことは言えないはずだ。
「そんなことないさ。僕には充分響いたよ。
……うん、明日から頑張ろうか。」
日々は続いていく。
明日からまた、学園生活だ。
この温かい輪の中での平和の守護者となるか、
真の自由の中、世界を跨ぐ黒い鳥になるか、
コレもきっちり、選ぶときを決めないと。
少し晴れ晴れとした気持ちのまま、部屋に戻ることにした。
ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館にある中庭】」から橘壱さんが去りました。