2024/10/06 のログ
橘壱 >  
「確かにかなり元気そうっていうか、
 やっぱり凛霞先輩、こういうの好きなんだなぁ」

確かに陽キャより、イベントごと好きそうだしなぁ。

「な、成る程。……え?風紀委員?」

思わず目を丸くした。
風紀委員?彼女が?どうして?
疑問がふつふつと絶えないけど、
次の言葉に全部の思考が吹っ飛んだ。

「婚約者!?!?!?!?!?!!??」

クソデケェ声が中庭に響いた。
今何時だと思ってるんだ。

「あ、ああ、し、失礼しました。
 え、えっと……その、婚約者……っていうのは、環菜ちゃんが言ってた、の?」

伊都波 悠薇 >  
「明るいですし、姉は友達となにかするの好きですから」

頷いたあと、聞こえた大声に思わず耳を手で抑えた。

「……え、はい。彼女が嬉しそうに言っていましたよ。婚約者といっしょに、いられる時間を増やしたいから風紀委員にどうなれますか、と」

……にしても、そんなに驚かなくとも。
二人だけの秘密、だったのだろうか。

もしかしたら、二人の間の解釈ちがいがあるのかもしれない。
男は秘密に、女はオープンに。

ありえそうだなぁ、なんて。

橘壱 >  
「凛霞先輩らしいと言えばらしいよなぁ。
 結構行動力は鬼みたいだからさ……」

身を以て体験済みだ。
そういう意味では、おとなしい妹のが好み。

「そ、そっか……環菜ちゃんが婚約者……。
 ……い、いや、婚約者……、……」

脳裏に過る昨晩の記憶。
これで拒否するの男じゃないけど、
気持ちの整理はついていないオタクくん。
思わずでっかいため息を吐いて頭抱えてしまった。

「む、昔の幼馴染なんですよ。10年近くあってないけど、
 その、こ、子どもの約束をずっと覚えてて……今でも一途に……」

ずっと覚えていた。
かくいう自分はこの有り様。
なんか言えば言うほど情けなくなってきた。

伊都波 悠薇 >  
「え」

まさかの、認識のすれ違いだった。

「えーっと?」

つまりは、今のところは伊那美さんのかた、おもい?

「でも、昔約束はしたんですよ、ね?
もしかして、橘さん、冷めちゃいました?」

彼女が冷めたことはほぼ100おくパーセントなさそう。
となると……

「橘さんは、どう、なんです?」

ごくり。急に、喉が乾くほどの緊張感。

橘壱 >  
何とも言えない表情で後頭部を掻いた。

「昔って言っても、本当に10年以上前ですよ。
 本当に小さな、子どもの約束。それで10年後再開しても、
 彼女はずっと、僕のことを一途に思っていた」

「……そんな事を聞かされて、嬉しくない訳ないじゃないですか」

そう、これが本物なら喜ばない男はいない。
事実嬉しい事は嬉しい。ただ、壱は勘がいい。
直感力があると言い換えてもいいかもしれない。
今回判明した異能といい、彼女の"違和感"を覚えている。

「最低かも知れないですけど、迷ってるんです。
 本心かどうか……いや、そうでしょうよ。だって、
 モテた記憶は……、……まぁプロゲーマー時代はあったけど
 それでも、10年以上、ちっちゃい頃の約束ですよ?そんなにこう、
 惚れられて、覚えられてる程、小さな僕は人間出来てるとは思えなくて……」

「少なくとも好意は有ると思います。
 けど、ご覧の通り素直に受け取れていないんです」

自分の自信のなさ、記憶の中の彼女が、
余りにも昔のようにあどけなくて、
どうしても拭えない違和感が、素直に受け止めきれていなかった。

伊都波 悠薇 >  
ほっとした。
キライとか、分からないとかじゃないのが。

「ちゃんと、考えてるじゃないですか」

なにも、受け止めるだけが誠実ではない。
鵜呑みにするのが正解ではない。
そう、自分はおもっているし、そう、自分は身を以て。

「じゃあ、これからですね」

そう、これから。

「頑張ってください」

それだけで。
十分な気がした。

だって、頑張るのは。

「得意分野じゃないですか、橘さんの。男子、するの」

橘壱 >  
まるで背中を押すような物言いだ。
そう言われると思わず引きつった笑みを浮かべた。

「そうでしょう。だって、人の人生を預かるようなことですよ。
 そりゃ、真面目に受け取らないほうが失礼だ。それに……、……」

背負ったら、重くなる
鋼の翼で闘争(じゆう)を求める内心が、そう囁く。
今ですら秩序に、眼の前の彼女達の友情に絆され、
最早、自分の思い描く理想の自由とは程遠くなってしまった。
言葉も途切れてしまうのも、仕方ない。

「……そんなに褒められるような男じゃないよ。
 自分のことで手一杯で、彼女の幸せも考えるってなると……」

もう、両手じゃ足りないかも知れない。

伊都波 悠薇 >  
「じゃあ、そうなればいいんじゃないですか」

簡単に言う。それもそうだ、だって。

「そのための、翼で。そのために、頑張るんだと言ってたじゃないですか」

ちゃんと、聞いてる。ちゃんと、見ていた。
ちゃんとーー

「……『姉』に、勝つんでしょう?」

そう、聞いた。

「人、一人『程度』。背負えないと勝てないですよ」

だってもう、何人背負っているのか。

「ここに、いる何人かには」

キミも、知ってるかもしれない。

「キミの翼は、それでも飛べますよ。あとは、飛ぼうとするか、しないか。ただ、それだけな気がします。

ーー一番、翼を自由にしてないのはもしかしたら」

…………いいかけて。

「ーーなんて。妄想です」

橘壱 >  
ふ、と思わず苦い笑みを浮かべた。

「───────……言ってくれるなぁ」

彼女の言うことも一理ある。
そうだ、それくらい出来なきゃ、世界は目指せない。
けど、真に望むことはもっと仄暗い。
社会的に、人道的に見ても非道。
その上に成り立つ真の無法(自由)こそが、望むもの。

ただ、そうだな。そう……。

「わかってるよ、今自分自身を縛っているのは、僕だって。
 ……悩んでる。皆と一緒にいたい自分と、戦いを、AF乗りとしての自分」

「どっちも本音だし、両方って訳にはいかない。
 ……相反する願いだけど、そろそろきっちり決めるべきだな」

どの道を進むべきか、ハッキリと。
どうにも彼女には、背を押されてばかりだ。
何処となく清々しい顔をしながら、夜風に揺られて彼女を見た。

「なんだか、何時も発破かけられてる気はする。
 ……環菜ちゃんがいなければ、先輩に告白してましたよ」

なんてね。本気だけど、冗談めかしに。
それくらい、夜の風に流すくらいがちょうどいい。

伊都波 悠薇 >  
「…………?」

なんか、変なこと言っただろうか。
別にいつも通り。

姉のことを信じているし、姉が認めた橘さんのことも信じていると言っただけなのだけれど。

「あの。決めるべきと言っているところ、あれなんですけど」

ところで。

「どっちもいいとこどりするとかはできないんです、それ?」

シンプルに。そう思う。
姉ならそうするだろうし。
いや、分からないのだけれど。

「はい?」

告白、といわれるとフリーズした。

橘壱 >  
「それは無理だよ。僕のAFの乗りたい、自由でいたいっていうのは、
 皆から見れば悍ましいものになるかもしれない。それこそ僕は……」

自分の自由の為の戦いなら、他者も自分の命もチップみたいなものさ

それこそ闘争においてどちらも軽く足蹴に出来る。
互いのおもちゃをぶつかり合わせるような感覚だ。
まともな倫理観を知っているからこそ、まともじゃない。
つまり、この楽しき自由、闘争の中には、今の友情の中の、
彼女達も標的に含まれる。どちらも成り立つのは不可能だ。

「え?だって僕、悠薇先輩の事好きだったよ。
 可愛くて健気で、何時も背中を押してくれる。
 隣にいてほしいって思うのは本当だよ。
 惚れてたよ、そういう献身的な……あれ?」

なんか固まってない。
じぃ、と顔を近づけておーい、って手を振ってみる。

伊都波 悠薇 >  
はっ。最初しか聴いていなかった。

「そういうものですか。英雄なんて、端からみたら殺人者なんですからできるような気もしますけれど」

ひとつの見方として、だけれど。
できないというのならできないのだろう。
もしかしたら、模索する可能性もあるのかもしれない。

「……まぁ、ほぼ戯れ言みたいな、落ちこぼれの妄想ですから」

立ち上がり。そろそろ、お風呂空いたかな。

「明日からも、頑張りましょう」

その場を後にした。
言葉がすらすら、またでてくるのは彼がまだ、可能性があるからなのだろうな。

ーー自分とは、また、違って

諦観でも、絶望でもなく。
ただ、前向きにそんなことを思いながら。

ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館にある中庭】」から伊都波 悠薇さんが去りました。
橘壱 >  
「……いや、物騒な話はやめよう」

一応生き抜いの体だし、言うのはよくない。
ともかく、一つ区切りはついた気分だ。
後は、彼女と一緒に話し合い次第か……。

「(自分のお姉さんがボロ雑巾にされたら、同じこと言えるのか?)」

とか、物騒だよな。
それこそ自分ではない誰かにやられたら、
それこそ同じようなことは言えないはずだ。

「そんなことないさ。僕には充分響いたよ。
 ……うん、明日から頑張ろうか。」

日々は続いていく。
明日からまた、学園生活だ。
この温かい輪の中での平和の守護者となるか、
真の自由の中、世界(そら)を跨ぐ黒い鳥(わたりどり)になるか、


コレもきっちり、選ぶときを決めないと。
少し晴れ晴れとした気持ちのまま、部屋に戻ることにした。

ご案内:「【委員会合同慰安旅行 - 旅館にある中庭】」から橘壱さんが去りました。