2024/12/29 のログ
ご案内:「ある日」に黒羽 瑠音さんが現れました。
■黒羽 瑠音 >
カフェによって、バッティングセンターで遊んで、ご飯を食べて――
夕暮れ時を過ぎれば、最初に集まったツリーのイルミネーションが点く頃合い。
ほんの少しだけまだ早かったけれど、気が早い飾り達は夕陽に照らされながらも自分たちを主張していて。
学生通りの中央に建てられた巨大なツリー… 何処からもってきたんだろう―― も悠然と鎮座していました。
「こういう飾りつけも、凄い量ですよね、多分手伝っている人も相当いるんでしょうけれど」
ご案内:「ある日」に焔城鳴火さんが現れました。
■焔城鳴火 >
「はぁー――なんか懐かしいわ」
少女が見上げた言葉と、偶然に音が被って、少し笑った。
「うちの地元だと、山に入って丁度いい木を探すところからやったわよ~?
で、『麒麟』のお爺ちゃんが、一刀で綺麗に斬って、『応竜』のお父さんが片手で担いで山を降りてくるの。
私は、『霊亀』と『饕餮』と一緒に、終わらない飾り作りを手伝ってたわね」
大きなツリーを見上げて、穏やかな視線で目を細めた。
「いつまでも終らないから、私が真っ先に『もうやだー!』って言いだして泣き出すの。
それを、『霊亀』が慰めてくれて『饕餮』がこっそり私の分の割り当てを持って行ってくれたり。
っふ、もう二十年近く前の話になるのねえ」
あの頃は、自分の将来や未来になんの疑問も持ってなかった。
本当に心から楽しい子供時代だったと、今でも思える。
「瑠音のところじゃ、そういうのってやらなかったの?」
■黒羽 瑠音 >
「かっこいい名前… 以前、先生にお守りを貰った時に出たような… 」
出なかったような、どうだっけ、と首を傾げる。
それにしても、何だか本で読んだような名前だなぁ… 何て。
「先生の20年前かぁ… 私ですか?」
そうですね、と息を吐いて。
「流石にもみの木は無かったなぁ、でも、ホームセンターにもみの木がこの季節売ってまして…
一度お父さんがクリスマスパーティを凝るために買ったんですけど、高いし、終わった後の置き場所に困るし
次からはいつも通りのイミテーションツリーに戻りまして… 」
お父さん、庭に植え替えた後のお世話係にされてたけど大変そうだったなぁ、なんて呟いて。
「私は物心ついてからはお母さんの料理をお手伝いしてました、家はクリスマスは毎回シチューだったなぁ」
ホワイトクリスマスと賭けてたんですかね?何て先生に微笑みかけて。
■焔城鳴火 >
「ああ、幼馴染の渾名よ。
そうね、その時に教えたような気がしするわねえ」
そう言えば、その時はこんなにこの少女に惹かれるとは思っても居なかった。
まさか、本気で惚れてしまうとまでは考えても居なかったが。
「あ、ホームセンターにも置いてあるもんなのね。
あははっ、そりゃああんなに大きい物、どうするか困っちゃうでしょうよ」
少女のお父さんが、お母さんに怒られている様子が思い浮かぶようだ。
「へえ、いいわねえホワイトシチュー。
――今日は作ってくれるの?」
なんて、腕を絡めたまま、少し甘えるように上目遣いで少女を見上げた。
■黒羽 瑠音 >
「流石に家に入るくらいのサイズでしたけど… 今も一応、すくすく育ってます」
結構寒い方の気候だし、何だかんだお父さんも最後まで面倒は見るタイプなので。
「先生の幼馴染かぁ… 私にもいますけど、そういう友達って何だかんだ違う学校にいってもずーっと連絡とったりしますよね、私も今も月一ではSNSでお話したりするし… 」
何て考えつつ、横にいる先生を見て… 思えば、あの頃はこんな事になるなんて思いもしなかったな。
「勿論、家にもう材料も用意してありますよ?今日は… 私の家庭の味、先生に教えちゃいます!」
先生を見下ろす―― というのもまだ不思議な気分で、それでもにこっ、と安心させるように笑みを浮かべてみる。
「あ、ほらほら先生、大分『暗く(明るく)』なってきましたよ!」
夕暮れも落ち、そしてイルミネーションが本領を発揮する。
色とりどりの光が巨大なツリーを中心に舞い、周囲にも淡い光の玉が浮いていた。
多分あれも魔術や異能によるものなのかな、兎も角――
「綺麗ですねえ」
何のきらいもないそんな言葉が飛び出る位に…
その光景は幻想的なクリスマスそのものでした。
■焔城鳴火 >
「真面目なお父さんねえ。
でも素敵じゃない、大きなもみの木のある家、なんて」
どこなく幻想的で、妖精さんでも住んでいそうな家に見えるかもしれない。
「そうねえ、連絡が――月一?」
その言葉に、アドレス指定で着信ミュートしてある人物からの履歴を見る。
「――一日100件近く来るんだけど」
一瞬、気が遠くなった。
結婚して奥さんもいるんだから、いつまでも幼馴染と戯れてるんじゃない、と思わないでもない。
「あら、それは楽しみ。
ふふっしっかり教え込んでもらわなくちゃ」
そう言って少女に抱き着いている間に、イルミネーションが輝きを増していく。
それ自体には、なにも特別な効果があるわけではない。
けれど、一年の内この日は、特別さを持って世界を彩ってくれる。
「ええ――ほんとに綺麗ね」
出てくる言葉は似たようなもの。
余計な言葉なんて必要としない、そんな光景だった。
■黒羽 瑠音 >
「大きなって程まだ大きくは無いですが、私が大人になるころにはもっと大きくなってるんだろうな、何て」
「―― えぇ、っと」
ひゃくけん、という言葉に目を丸くして
「よ、よっぽど大好きなんですね、その人は」
心配性、で片付けていいのかわからないけど、うん、今のところはそういう事にしておきたい気分です、はい。
「勿論です、ぜーったいに忘れない味にしちゃいますよっ
他にもチキンと、ケーキも予約してあるので帰りによって… 」
何て、之からの予定も話しつつ、大きく手を振ってツリーの周りのイルミネーションを眺めていく。
サンタさんや雪だるまを始めとしたクリスマスのものをかたどった沢山のイルミネーション。
輝く光が空に昇るような演出に、時に息を呑まされて。
「―― 先生、今まで貰って一番嬉しかったクリスマスプレゼント、って、なんですか?」
それでも、呑んだ息を吐き出すように、言葉を続けていく。
■焔城鳴火 >
「まあ、わかるけど――あ、またきた」
絶対心配性とかという問題じゃない。
これで奥さんには数倍、話しかけているんだろうと思うと。
あの子の精神力、やはり尋常ではないなぁと思うのだった。
「チキンにケーキ、ね。
うん、まさにクリスマスだわ」
うーん、と腕を組みながら巨大なツリーを見上げ。
「――好きな人との時間」
そう、ほんのりと寂しそうに目を細めた。
■黒羽 瑠音 >
「ナウできてるんですか!?」
まぁ一日100件というとそうなんでしょうけど!
「そうです、こーいうのは王道が何だかんだ一番だと思ってますし!」
そういって腕を組んで――
「―― 先生に上げるプレゼント、考えてたんです」
ぽつり、と続ける
「でも、思いつかなくって、だって―― 私、信じたくないけど… 先生は、私に嘘をつく人じゃないから」
少なくとも、先生が『命』に対する嘘をつくなんて、それこそ信じたくない事だもの。
「だから… 悩んだんです、思いつかなくっても、ずっと、ずっと」
ぎゅ、と手を握って。
「だけど、今その言葉を聞いて、思いつきました」
そういって、先生の目を見る、じぃっ、と。
思いついたのは… とても、残酷かもしれないプレゼント。
「―― 」
「来年のクリスマス、私、空けておきますから」
ずっと、とは言えない、でも、来年の―― 次のクリスマスだけは
例えあなたがどうあっても、あなたの為に時間を使います。
… やっぱり、告白みたいになっちゃったな、でも、言葉を取り繕いたくはなかったから。
私はそう言って、にっこりと満面の笑みを先生に向けました。
■焔城鳴火 >
沢山悩んでくれた、その事実がすでに、鳴火の涙腺を揺さぶりそうだった。
少女が本当に大切になってしまったから、思いつく一番最悪の可能性を正直に伝えたのだ。
こうして一緒にいるのも、なるべく未練を残したくないと思ったからで。
「――瑠音」
握りあった手が、熱い。
胸が、張り裂けそうなくらいに痛く。
それでも、凍った心を溶かすように、温かかった。
「――じゃあ、ちゃんと帰ってこないとね」
そう、涙が溢れそうになりながらも、笑い返して。
一歩、二歩、と。
そして少女の胸の中に、飛び込んで。
溢れて止まらないものを見せないように。
「――必ず、帰ってくるから」
震える声で、少女の暖かな心に誓う。
「来年のクリスマス、一人で過ごさせたりなんて、しないんだからね」
鼻声になってしまうけれど、構わない。
どうなるかわからないけれど――それでも、どんな形でも、少女の元に帰ってこよう。
それだけは、絶対に何があっても忘れないように――。
■黒羽 瑠音 >
「… 」
それを静かに聞いていました。
先生の『帰ってくる』と言う言葉の意味も
そもそもどうして『行かなければ』ならないのかも
それを伝えてくれないのは、きっと先生の優しさなのだと思います。
本当は私は、先生にもっとしっかり事情を聞くべきなのかもしれません。
私にとって、大事な人である、それだけは確かなのですから。
だけど――
『例えお互いの事を深く知らなくても、大切に思いあう事は出来る、知る事だけが相手を想う事じゃない』
私はそう思います、そう、昔聞いた気がします。
胸元で涙を堪える様にしている先生の背中を、そっと、自分に出来る限り優しく撫でました。
精一杯大人として、それでも隠せない不安が、まるで自分の事のように流れてきます。
「はい」
だから、ただ、必要な事だけを。
私に出来る最高の笑顔で。
「信じてます、先生」
「待ってます、先生」
「―― また、一緒に来ましょう」
■焔城鳴火 >
少女には全部を知る権利があるのかもしれない。
これだけ鳴火自身を想ってくれるのだから、知って、その上で決めてもらう事こそ、最も誠実なのではないかと、思う事もある。
けれど鳴火にとって平和な日々の、優しい時間の象徴であるこの子にだけは。
なにも教えないまま――さようならをするつもりだったのだ。
だけど――
「信じて――」
こんな泣き虫な先生だけど。
「待ってて――」
こんな頼りない先生だけど。
「――また、一緒に」
こんなにも『あなた』を好きになってしまったから。