設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
また、ここでは回想的なロールも可能です。ですので常世島の外でも構いません。しかし、あくまでメインは常世島の内部でお願いできればと思います。
その他常世島内の特殊な場所や、シチュエーションなどにご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:23:02:36 更新
ご案内:「『きぬさら線』」からノーフェイスさんが去りました。
ご案内:「『きぬさら線』」から鶴博 波都さんが去りました。
■鶴博 波都 >
「はい。この子のおかげで、思い描けました。送り届けます。
そのことについては、そうですね──宿題にさせてください。」
そうして、夢の一つは終わる。
お互いに目覚める場所が違う事は予見していた。
逮捕劇のために運行ではなかった。
車掌として送り届ける為の運行、宿題として一つの課題を残したままにする。
それはそれとして、二人を現実へと届けるだろう──。
■ノーフェイス >
―――。
「きちんと帰れたみたいだよ。
今回は……どうすればいいのか、はっきり思い描けたかな?」
運転車両に戻ってきた音楽家は、そう言うと座れそうなところに座した。
少女からは御礼も何もなかった。だって、列車は平常運行なのだから。
余計なことは告げないまま、脚を組み組み。
「さっき、キミは言ったな。
そうなることもあるのかと。
かんたんだ。キミの能力を見出したものが、選択の余地を与えなければ。
キミを殺戮兵器にだって仕立てることができるだろう」
いくらでも、いくらでも。
そっちも上手くなり得るのなら、それは呪わしい宿業になる。
「やりたいこと、なりたいもの。……理想の自分。
それを実現し、証明しようとする活動。
ボクはそれに人生を捧げている――それができてるから、きっと運が良い」
階段をひとつひとつ上がるように。
それを行う環境に、表も裏も関係はない。そこに自分を置いていない。
「さて、運転手さん。
ボクとキミは次の駅で降りるみたいだケド――
ふたりのエンディングは、逮捕劇で終わるのかな?」
冗談めかして、そんな話を。
否でも是でも関係なかった。流れる侭だ。ひとり、無事に送り出した鉄道員の決断に従おう。
■ノーフェイス >
――停車。
丁寧で、なんとも見事な運転だった。
金切り声のような音が立ってしまうのは仕方がない。古い列車なんだもの。
立ち上がって、手開きの扉を開いてやると、
少女は迎えに来た両親のもとに、当たり前のように降りた。
頭を下げる夫妻と、手を振る少女の幻像を見送る。
「…………家族といっしょの、ハッピーエンドか」
すこしだけ。どこか羨むように少女の背を見送りながらも――
迎えにきた両親は、影絵のように人相を識別できない存在だった。
当然だ。
少女には、両親などいない。過去もなければ未来もなかった。
島にいるどこかの誰かが、手慰みに書いた、既存の都市伝説のパッチワーク。
その種が、複数の知性、きぬさら線をさがすムーブメントという土壌と交わり、
――怪異を、命を育むようにしてつくりだした、
作者に産んだ自覚もない、産みっぱなしの私生児。
「波都には、あのコが日本人に視えていたのかな。
……てことは、列車も……?」
音楽家には、果たして。
――祖国の古めかしいディーゼル車の内装と。
美しい金髪をした、碧眼の少女が視えていた。
視るものに依存した、儚い、一つのいのちを見送った。
自分だったら残酷にも、たしかに事実を伝えて、どうするか選ばせたろう。
ではもし誰も訪れなかったらどうなっただろうか。
知らない場所へ向かう列車、知らない孤独な少女。
ふとしたことでそんな環境に迷い込んでしまう、誰か。
そこに、集合意識が非日常を求めてしまうなら。
きっと、ハッピーエンドにはならなかったはずだ。
歪み、狂わせ、手垢に塗れさせた、紋切り型の怪談話へ。
■鶴博 波都 >
『本日はきぬさら線をご利用頂き、誠にありがとうございます。』
■鶴博 波都 >
「うーん……。」
思案する。
どう答えるべきなのか。夢はまだ続いている。
音楽家──ノーフェイスが手を振って委任した素振りを見せれば、
少しの間考え込んで、思考を纏めてから口を開く。
(決して過去と未来が一方通行、と言う訳ではないけれど──)
「パパとママなら、次の駅で会えますよ。」
「私とこの音楽家さんは、次の次の駅で降ります。」
先ほど呟かれた、『列車内では鉄道委員が神様かも』と言うフレーズ。
本当にそうかは分からないけれど、もしそうならば──。
「ちょっと、運転席に行ってきますね。お嬢さん、音楽家さん。
大丈夫。わたしが、ちゃんとみんなを目的地に送り届けます。」
オチはそういうイメージであってほしい。
陳腐で簡単な結末だけれど、私がそれが良い。
「と言う訳で行ってきます。音楽家さん。」
そう思いながら先頭車両へ進む。;
古めかしい操縦盤が動き、計器の針が確かに揺れていることを確かめれる。
(だから、同じ声だったのかもしれませんね。)
しばらくすると、車内放送が流れ始める前兆の、プツッ、というスピーカーがオンになる音が響く。
スピーカーから流れるアナウンスは低く静かに抑えながらも、
眠るものを優しく揺り起こすように、告げる。
■ノーフェイス >
「……喋れるんだ」
へえ、と不可思議な感嘆を示している。
音楽家は腕を組んで、扉横の席に座っていた。
視線に対してはひらひらと手を振って、鉄道委員に任せる構え。
――既に接触を図った後、であるらしく。
少女と対話する意思は、いまのところないらしい。
そして――夢から醒めない。
物語は完結せず、脱出の道筋は、ぱたりと途絶えてしまった。
夢オチで終わるなら。
最初に運転席で、頬を引っ張った時点で、あるいは終わる筈なのだから。
■少女 >
ああ、そのコは――
そう音楽家がなにかを言い添えようとしたところで。
「わかんない」
着物の少女はただ、鉄道委員に対して首を横に振った。
ほんとうに、幼い。年の頃であれば、十にも満たぬ。
それこそひとりで列車に乗るということはそうそうないだろう。
「……パパとママは?」
表情は薄いままだ。
対等な目線。鉄道委員としての模範を示すような姿に対しては、しかし。
どこか縋るような文言に聴こえたかもしれない。
■鶴博 波都 >
「神様はお客様です。きっと。」
明確な賛辞には素直には頷いて。
情事の色のある冗句には困惑気味に首を振った。
維持を示唆する呟きには理解に悩む素振りを見せた。
開いた先、他の車両と変わらぬ車両。
そこに佇むのは、古風な少女。人形のような綺麗さだ。
ばっちりとその存在を認めてから視線を合わせて、こう答える。
「わたしは鉄道委員の鶴博波都です。
お嬢さんは、どこに行くんですか?」
自然に名乗り、不思議と行先を尋ねていた。
共に歩いていた、指名手配の音楽家の方はどう応えるか──視線を移す。
■少女 >
――拍子抜けするほど。
そこは、他の車両といっしょだ。
ただひとり、そこに。
この車両に、世界観に、時代観に。
とても似つかわしい、古風な着物を着た――そうだ。
資料に書いてあった、当時の搭乗風景にも書いてあったような。
お人形さんのような少女が、ぱたぱたと暇そうに足を揺らしていた。
すこし遅れて、気付いたらしい。
あまり愛想はなくとも整った顔が、きょろりと二人のほうを向く。
視線は、まず鉄道委員の少女に。
次に、音楽家に――そして、鉄道委員の少女に再び戻って。
首を傾いだ。「誰?」そう問うように。
■ノーフェイス >
「なにかを成せるヒト、成し遂げられたヒト。
自覚して研鑽した能力を発揮し、社会に承認され、評価されている。
……ボクから視て、キミはスゴいヒトの範疇」
言い返せば。
それができない人間も、大勢いるから。
足りなかったのは、才能か、努力か。
「おたがい脱出しなきゃ電車内でアダムとイヴだしね。
より明確に思い描ける、優先順位の高いコトをまずは片付けよう。
……まァ、キミとだったら悪かないとは思うケド。予行演習しとく?」
くっくっ、と肩を震わせた。余裕がある。虚勢か、本気かはいざ知らず。
そして目的はひとまず合致している。であれば、捕らえる必要性は――いまのところは、ない。
無論、鉄道委の義務である。社会に反する存在であり、害でもあろうが。
「…………。
このまんまだって、心は通って、たのしいコトはできるんじゃないかな」
それがイメージの妨げになっているのではないかと。
小さく、静かに。しかし、その歌はあまりにはっきりと――
扉が開く。
「列車内では鉄道委員が神様かも」
肩を竦めて、隣の車両へ。
■鶴博 波都 >
「そう。それです! 振り返ってみると一個階段を登ってて、嬉しくなります。
私は鉄道委員を楽しみながら従事し続けられたから、とても運転が上手くなったと思います。」
共感を覚えるものがあったことが嬉しいのは、無垢な笑顔を返す。
共感できるものが多ければ多い程、自分の心の中の隔意は減る。
「その辺りは、あんまり考えたこともありませんでした。
才能や異能に苦しむ人は……呪い……。
そうなることもあるんですね。振り返って、初めて意識しました。」
幾らかの人の顔が浮かぶ。
ここ最近、才能や異能、と言うものに向き合う機会や話題が多かった。
自分にとって当たり前のものだったり、無自覚だったりする力。
それらに悩みを持つものと、話し込んだ記憶がある。
非異能であることを気にしながら、才能でカバーする風紀委員。
才能として格闘技に従じ、最終的に才能によって愛弟子に負けた保険の先生。
他にも後輩や同僚と、色々な話をした気がする。
「何が足りないんでしょう。
暴力や情報も、あるかもしれませんが……
実際のところ、イメージができないんです。」
自分がこの音楽家を捕縛する光景が想像できない。
だから流れに身を任せるしかないし、踏み込み切れない。
古風で不思議な怪列車は、このような状況で無ければ風情のあったものかもしれない。
ただ、夢日記を起点とする特異的な状況と、指名手配犯と一緒であるため雰囲気を堪能する余裕は少ししかない。
逆に言うと、少しだけある。
そうして、6号車の手前、最後の扉の前までたどり着く。
歩いている間に、考えが纏まったらしい。
「暴力も情報も足りないけど、決断力と……余裕、でしょうか。」
「あと、私はスゴい人って気はあんまりしないです。
でも、ありがとうございます。謙遜しすぎも良くないですから、素直に受け取っちゃいます。」
言葉には出さないが、歩く度に生じる木板が軋む音。
潤滑さがすり減った重厚なドア。
車両間で響く風の音。今ではお目に掛かれない古風や列車内。
なんとなく、"怖いものじゃなかったら素敵なのに。"
そんな気持ちを抱いていた。
「そしてそのイメージを考えるよりは、音楽家さんと脱出したい……と私は思います。
音楽家さんに絆された訳じゃないですけれど……犠牲者はない方がいいです。」
自分だけ助かろうと言うイメージは描いていない。
偽善のようにも、合理のようにも思える。
「だから、どうにもできません。……ううん。しません。
それよりもイメージするべきものがあって、一人より二人の方が効率は良いです。」
最期の扉を見据える。『きぬさら線』は夢オチで、
ラストも不思議な少女が両親の所在と自分の名前を住所を聞いてくるらしい。
与えられた情報を呑み込み、安堵する。
「準備が出来ましたから、私が開きますね。
音楽家さんの方がずっと強くてスゴくても怖くても、
車内点検は私の……鉄道委員のお仕事ですから。」
アイコンタクトを受ければ言葉で返した後、頷く。
二人で行くことを確かめた後、最後の扉を開く──。
■ノーフェイス >
「ひとつずつ。
できないコトができるようになったり、新しいコトを覚えたトキの感覚、イイよな。
階段をひとつのぼって、新しい段をしっかりと踏みしめたような……達成感がある」
得意げな様子には、にひ、と子供っぽく笑って同意を示す。
「才能ってのは自分で気づいて、使いこなさなきゃ意味がない。
というよりも、そうやって自己証明を成してはじめて才能になるというか――
あるだけじゃダメだし、もし理想の実現を阻むなら、それは単なる呪いか枷だ」
そういう時代だった。異能といった、わかりやすい才能が可視化される。
当然、そのなかで"ない者"も、当たり前にいる。
「波都はスゴいヒトなんだね」
優れた才能をもって、ひとかどの運転手として己の存在を証明している。
それができぬ者も、届かぬ者も多いなかで。評価の声はまっすぐだ。
三号車も、変わらない。四号車も、静かなものだ。
「――ボクをどうにかしたい、と思っていて、でもどうにもできない?
それはどうして?キミが役に立ちたいと考えてる、多くの島民のため?
……なにが足りない。暴力?情報?」
流れに身を任せる、という言葉には、少し引っかかるものがあったらしく。
五号車に入ると、立ち止まった。
まだ後部に車両はある。
「六両編成。あの扉の先が最後。
『きぬさら線』は、投稿者が列車の座席で寝オチして――変な夢を見た。
そういう筋書き。
この、『架空の路線』を走る、古い電車にいつのまにかいて。
あのむこうに、小さい女の子がいて。
両親の所在と自分の名前をきいてくるんだ……ってさ」
行く?と問いたげに、久方に視線を向けた。
■鶴博 波都 >
「『きぬさら駅』。確か、鉄道委員でも注意勧告があった気がします。
……うーん、そういうものなんですね。怪異とか夢日記とか、いろいろ不思議です。」
あるがままに受け入れる。
違和感は覚えれど、それを嫌悪感と受け容れなかったらしい。
不思議を不思議の大枠のまま受け留めた。
「誰もいない、旧い座席……ぁ、はい。合っていると思います。
いつも通りに業務を終わらせているなら、そうなるはずですから。」
時刻と状況のすり合わせ。
今更感もあるが、整合が取れていることを確認。
「はい。そんな感じで今まで過ごしていました。
言う通り、才能の部類みたいです。とりあえず、大体の子は動かせます。
感覚が先に来て、後で振り返って言語化する……って続けていたら運転が凄く上手くなりました!」
何だかんだで自分の才能。
振り返りながら語る彼女は何処か得意げ。
「喧嘩に使うことは、最近まで考えもしなかったです。
異能の方も最近発現しましたけど、持て余しちゃってます。」
そんな彼女にとっての日々の悩みを呟きながら、すいすいと進んで行く。
特に問題がなければ、車両を移りながら話を続けていく。
「どうにもできないです。流れに身を任せるしかありません。」
どうしたいか、と、問われるとすんなりと答えを返す。
「鉄道委員としては公安局に引き渡したり夢日記?の参考人にするべきだと思います。
でもそもそもこの状況で戻らないといけないですから、流れに身を任せるしかありません。」
ネガティブな感情を抱けば、視線を落とす。
結局のところ、手に負える相手ではないと言う認識なのだろう。
「『きぬさら駅』のことは良く分からないので、とりあえずこのまま進んで行こうと思います。
危なくなったり、するべきことを知ってたら教えてくださいね。どうにか戻るのが第一ですから。」
とは言え、完全にノーフェイスに頼り切るつもりはないらしい。
先ほどよりも警戒の色は強く、明らかに気を張っている事が見て取れる。