設定自由部屋です。常世島内であるならご自由に設定を考えてロールして戴いてかまいません。
また、ここでは回想的なロールも可能です。ですので常世島の外でも構いません。しかし、あくまでメインは常世島の内部でお願いできればと思います。
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参加者(0):ROM(1)
Time:08:39:33 更新
ご案内:「Free5 とある日の、杉本家」から杉本永遠さんが去りました。
■杉本永遠 >
なんて話をした、二か月後。
兄ちゃんは予定通り、迦具楽先生の次点で、ぶっちぎりの予選通過をしたのであった。
まあ永遠ちゃんからすれば、当然の結果なのである。
それだけの実力を、兄ちゃんはとっくに身に着けていたんだから。
ローカルチャンネルでの配信も、ほとんどが迦具楽先生のファンの中で、少しでも話題に上がったくらい。
二分だけとはいえ、迦具楽先生とのドッグファイトを耐えきったんだから、話題にだってなるよね。
流石に、本物の天才相手にあれだけやったのは、永遠ちゃんもドン引きでしたよ。
でも、これは夢を叶えるお話しじゃない。
――これは挫折の物語なのだ。
■杉本永遠 >
『――そうしたら、五分が幾つまで上がるんだ?』
今度は、ヘンな声を出さずに済んだと思う。
ちょっと自信ないけど。
「そだね、五分――五割なんて言わない。
兄ちゃんなら八割、ううん、九割。
甘く見積もっても、迦具楽先生の次で抜けられる」
『わかった。
なら、お前の見立てで、一番いい組み合わせを用意してくれ。
予選までには、全部、慣らして見せる』
「――わかった。
予算をもったいぶったりはしないよね?」
『構わんさ、全部お前に任せる』
真剣な目の兄ちゃんに、私は腕組して、息を吐くしかなかったのだ。
「おっけー。
それじゃ、この天下無敵の美少女マネージャー、永遠ちゃんにお任せあれ!
決勝でも通じるだけの、兄ちゃん向けバリッバリのカスタムで用意しちゃうからね!」
『おう!
頼りにしてるぞ、永遠』
■杉本永遠 >
『だっはっは、そうだろう!
それに、迦具楽先生と泳げるとも考えれば、オレとしては一石二鳥だからな』
笑う兄ちゃんに、肩を竦める永遠ちゃんです。
まあ、憧れの人と同じ予選に出れるってなれば、テンションが上がるのも無理ないかぁ。
「んだねえ、兄ちゃんのコンディションもここんとこ悪くないし。
狙いどころとしては、悪くないんじゃないかなー。
ま、後はいい加減、勝つためにS-Wingを新調すれば、もう少し勝ち目が出るんだけどねー」
これも、毎大会言ってる事。
兄ちゃんは、憧れの迦具楽先生から貰ったS-Wing『紅月 壱型』を意地でも脱がない。
高性能なS-Wingだけど、兄ちゃんのスタイルには正直言って、合ってない。
というか、そもそも三種目じゃ、それぞれでS-Wingを着替えるのが当たり前。
S-Wingに拘ってる時点で、自分からハンデマッチをしているようなもんなんですなあ。
なんて言っても、今更兄ちゃんが聞くわけもないのである。
■杉本永遠 >
――とはいえ、こうも示し合わせたように減るとは思わなかったけど。
「やっぱり異能研究の最先端じゃ、異能も魔術も使わないスポーツはウケなかったかあ。
まあわかっちゃいたけどねー」
私たちの世代の選手が極端に少ない。
そりゃあそうだ、異能や魔術を学びに来てる世代だものねえ。
わざわざ、そのレールから外れるスポーツに本気になる子は少なかろう。
まあ、ゼロじゃないだけありがたいと言っていいんじゃないかな、ってところだけどさー。
「んー、ベテランにルーキー、合わせても強敵って言えるのは両手に届かないくらいだね。
兄ちゃんならまあ、可能性くらいはあるんじゃないかな。
前回の本土予選くらいの動きが出来れば、五分はあると思う」
まあ、甘く見積もって、それでも五分五分、って意味だけど。
ライバルの総数が減ったって、枠が少なければ競い合いは厳しくなる。
そこまで甘い世界ってわけじゃないのだなあ。
■杉本永遠 >
「常世島の出場枠は三つだけど、迦具楽先生が出るから、実質二枠かあ。
本土枠よりはよっぽどマシだけど、それでもそこそこ厳しいよ?」
『ああ。
だが、今回は予選会上位常連の選手が少ないんだ。
特に三種の方は、前回より明らかに少ない』
「え?
うわ、ほんとだ」
予選会参加選手の多くは、種目を一つに絞っていた。
三種目の参加者は年々少なくなってると思ったけども、前回からの減り方は明らかに大きい。
とはいえ、その理由も大方の察しは着く。
エアースイムのベテラン選手は、徐々に高齢化している。
若い選手も入ってきているけれど、まだ、三種目を泳げるほど、熟達していない。
対してベテラン選手たちは、加齢によってスタミナが低下していく。
そうなると、必然的に得意な種目一つに絞っていくのが、恒例の流れだ。
今回はちょうど、そんな選手の世代の谷間になったのだ。
■杉本永遠 >
『――ああ、だから常世島の予選会に登録したよ。
それでも決勝の枠は三つ。
いや、実質二つと考えたら、中々厳しいとは思うけどな』
「ほへ?」
ヘンな声が出ちゃったと思う。
また変な冗談を言いおって、なんて思いながら確認してみたら。
本当に、常世島で登録されてるんだから、驚かないわけがないのだ。
――だって、あの、諦めの悪い馬鹿兄ちゃんだ。
自分に才能がないってわかった上で、それでも、ってがむしゃらに努力が出来る、そんな兄ちゃんだ。
近道があるって教えたって、自分から険しい道に飛び込んでいく、そんな兄ちゃんなんだ。
だからかな。
なんか、なんとなく、分かってしまったのかも。
■杉本永遠 >
「――ほい、これが今年の三種目混合の参加予定選手。
で、こっちが予選測定会の参加予定選手ね。
やっぱり本土は予選から激戦になるよ」
そう言いながら兄ちゃんにタブレットを渡せば、兄ちゃんは眉をしかめながら、選手のリストを眺めて、大きく唸る。
そりゃそうだ。
本土の予選会なんて、ぶっちゃけ、実質的な決勝大会と大差ない。
選手の数も多いから、決勝出場枠も10人ってなってるけど、その10人に入る事すら至難って言って過言じゃない。
それだけ、本土の競技スイムは洗練されているのだ。
「ハッキリ言うけど、今の兄ちゃんに入り込む隙間はないんじゃないかなー。
決勝大会に出る事を考えたら、やっぱり地方の予選会の枠に入り込むのが現実的だよねー。
それだけで強敵が勝手に減ってくれるわけだし」
なんて。
毎度言ってる事だけど。
どうせ兄ちゃんは聞く耳持たな――
■杉本永遠 >
それが、私が産まれ持った唯一の才能。
《人間の潜在能力と、その限界を測定できてしまう能力》
これっぽちも欲しいなんて思ってなかった、私の異能の本質だ。
まー、そんな能力、表に出せばトラブルの種にしかならないわけで。
公的には、《人の身体能力を測定できる》っていう、ほどほどに便利な異能という事になってるのですな。
実際これが便利だったりするもので、私の前じゃズルが通用しないってんだから、あっちこっちで測定員みたいな事をしてたりするわけなのだ。
だもんで、そんな今の自分に別段不満があるわけでもなく。
まあ、そんなもんだよねえ、って納得できちゃう永遠ちゃんですから?
その日その日をのらりくらりと、楽しく面白く生きていければ十分すぎるくらい、幸福だと思うわけでして。
だから、じゃないけども。
■杉本永遠 >
まあ詰まるところ、私には悲しいくらいに才能がなかったわけですな。
なにをやっても、ほどほどか、まあまあ良い、くらいにしかなれない。
到達できる限界が分かっちゃうから、頑張ってみよう、って気持ちにどうしたってなれなかったのです。
もし一つでも、究められる、遠い目標に出来る物があったなら、ちょっとは違ったのかなぁ、なんて思った日も――随分昔が最後。
がむしゃらに頑張ってみる、なんてメンタリティでもなかったというか、我が事ながら、物分かりが良すぎたのも良くなかったのかな、なんて思ったりはするかも。
でもしょうがない、私はそういう生き物だったのだ。
■杉本永遠 >
――これは挫折の物語である。
≪人間に限界はあるのか?≫
そんな問いがあったとして、平凡な美少女で完璧な妹であるところの、杉本永遠ちゃんはこう答える。
「人間に限界はなくても、能力に限界はあるよね」
要するに、人間という種に限界と言える限界はなかったとしても――というより、その限界を計る事が出来ないだけだと思うけど。
人間という個には、能力の限界が確実に存在するのだ。
それはもう、非情なまでに決定的に、超える事が出来ない物として。
だから永遠ちゃんは、色んな事を諦めてきたのである。
だって。
どれだけ頑張っても、たどり着ける限界が分かってしまったら、どんなに好きな事でも熱が冷めてしまうから。
勉強も、運動も、魔術も、科学も。
私には何一つ、究められる物はなかった。
■行間 >
【これはいつかに有った、兄妹の一幕】
※関連項目
・競技:エアースイム
https://guest-land.sakura.ne.jp/tokoyo/wiki/index.php?%E8%A8%AD%E5%AE%9A/%E7%AB%B6%E6%8A%80/%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%A0
・PC:焔誼迦具楽
https://guest-land.sakura.ne.jp/tokoyo/pclist2/list.cgi?id=152mode=show
ご案内:「Free5 とある日の、杉本家」に杉本永遠さんが現れました。
ご案内:「作刀部活「韴霊」工房」から御津羽 つるぎさんが去りました。
■御津羽 つるぎ > 自分のための剣。
自分だけの剣。
そして、自分にとっての佳い剣。
遠い遠い夢を見るようにして天窓のむこうの太陽を眺める。
だが…どれだけ非現実なことだって、考えるだけで胸が高鳴る。
苦しいことも辛い思いもするが、それを仕上げた瞬間を。
その先にことを考えるだけでいくらだって頑張れる。
どんなことだってやれる気がしてくる。
「明日からも、頑張りましょう…!」
十五を磨き抜いた先に得られる確かなものなどなにひとつないが。
無駄ではないはず。この道筋に嘘はないはず。必ず自分の剣に続いているはず。
だから、《韴霊》からは槌の音が響き続ける。