2024/08/01 のログ
ご案内:「落第街の各所(遠隔)」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「落第街の各所(遠隔)」に紅き月輪ノ王熊さんが現れました。
■Dr.イーリス > それは月夜。
イーリスは『数ある事務所』の応接間で、PCの前に座りカタカタとキーボードを叩いていた。
「もう遅い時間でございますからね。これぐらいにしておきましょう」
とあるシステムを構築しているところだったが、既に夜も更けている。
本日の作業はこのあたりで切り上げる事にした。
屍骸に対して宣戦布告をし、その時に現れたアンデッドの“王”との決戦に敗れ、失ったものが多かった……。
不良仲間も多く失った……。そして、“王”に、感染を拡大させる爆弾を含んだ強烈な呪いをこの身に刻まれてしまった……。
その時に一度死にかけたイーリスだったが、様々な方の助けを経て、立ち上がる事ができた。
エルピスさんがこの事務所で匿ってくれているから安全に暮らす事ができている。手紙さん、エルピスさん、蒼さんに呪いを弱めてくれたり一部肩代わりしてくれたから、呪いの効力はもうかなり消えている。ギフターさんが“王”を倒すための試練を用意してくれて、イーリスはそれを乗り越える事ができたから、例えイーリス自身が弱くとも“王”に打ち勝つ自信がついた。
色んな人に助けられて、イーリスは今ここにいる……。
■紅き月輪ノ王熊 > 遠隔地。
王の名を冠するソレは、
随分久しぶりに、
少女に声をかけた。
呪縛が、紅く光る。
夜空に浮かぶ月が、怪しく紅く輝いて見えた。
彼女にとっては最も憎む
いやな
いやな声が
聞こえる
「イーリス」
「イーリス」
■紅き月輪ノ王熊 >
「 お ま た せ ! 」
ご案内:「落第街の各所(遠隔)」からDr.イーリスさんが去りました。
■紅き月輪ノ王熊 > 「いやぁ~、久しぶりだねぇ~!」
「ちょっと王様、色々とめんどくさ~い事を片付けててねッ」
「連絡できなくてめんぼくなぁい!」
「ほんとは毎日毎分毎秒イーリスに愛をささやき続けたかったんだけどなぁ~!!!」
「王様って高貴な身分だから…ふっふっふ」
とっても愉快そうで
愛しい人と久しく再開したような喜悦に溢れた
囁き。
ご案内:「落第街の各所(遠隔)」にイーリス・ロッソルーナさんが現れました。
■イーリス・ロッソルーナ > 「……!?」
突如、イーリスの体に紅い文様が浮かび上がる。
同時に、呪いがイーリスを蝕み始め、苦痛が襲う。
「ぐ…………」
感染爆弾のタイムリミットが急激に加速した。
脳裏に、“王”の声が響き渡る。
だが、イーリスにかつての恐怖の色はなく、凛とした笑みで対応した。
「本当に、待たせ過ぎですね、“王”。あまり女の子を待たせる殿方は、好かれませんよ」
そう口にして、イーリスはPCの傍に置いている注射器を手にした。
普通の注射器ではなく、なんともメカ的な注射器。
その注射器を自身の首を刺し、中の液体を注いでいく。
イーリスの体内に注がれた液体、そこに混じっているのはナノサイズのウイルス。ウイルスといっても機械的なものと生物的なものが半々に混じっていた。
その効力は、生者には何の効力もない。だが死者に感染し、死者の中で増殖し、そして死者を苦しめその肉体を貪り喰う。
他にも効力はあるが、ひとまずアンデッドといった死者にのみ有効なウイルスだ。
「随分と時間をいただいたものですから、あなたの呪いに関して解析が進んでおりましてね。ただ呪いを施されただけではなく、こうして会話が出来ているのですから、あなたと呪いは繋がっています」
先程イーリスの体内に入ったウイルス、それが呪いの“繋がり”を辿って、“王”に注ぎ込まれていく。
■紅き月輪ノ王熊 > 「あーはっはっはっはっはぁ!!」
「そんなに待ちくたびれたかい、イーリス?」
待たせすぎという言葉に、大笑いする王。
「ごめんごめえん、お詫びに一緒に遊園地でも行こうか、それとも海にしようか、最近は暑いから熱中症には気を付けてねッ」
「まっ、そんなことはどうでも良いね。」
「準備期間もいっぱいあったからオドロキのプレゼントもいーーーっぱい用意してるんだよッ♪」
「イーリスに、愛情いっぽ~ん、って思ってね」
相変わらずの態度だが、この期間、何もしていなかったわけではなく。
ちょっとした面白イベントを用意してきたらしい。
嫌なものであろう
「ああー、ちょ、いたいいたいたい!」
「なーにやってんだこれ?!!」
「あッ、ちょっと失礼するよ~」
何か流れて来た?!
そういうと、軽く呪縛がシャットアウトされる。
声も聞こえなくなる。
そしてちょっとした後に再度声が聞こえる。
「あ~イテテ…」
「いやー、ビックリした。」
「なにやったんだい、今?」
「王様ほら、回復魔法も使えるんだっ♪」
「月光ってのは、攻撃にも回復にも防御にも発展し得る万能性があるよね~♪」
遂に…呪いを通じて、攻撃をしてくるとは。
全く油断が出来ない。
寧ろこちらが狩られかねない状態になったことを理解する。
どうやらあの一瞬で回復魔法とやらを使ってきたらしいことを仄めかしながら、
会話を再開してきた。
だが
効いているし、届いているという事を知れるだろう。
ウイルスの方は、何とかされたようだが、機械の方は気付いていないようだ…
■イーリス・ロッソルーナ > 「呪いの解析が随分と進んでいると言ったはずです」
シャットアウトされた傍から、イーリス側がPCをカタカタと打ち込んでシステムを構築し、“繋がり”を再接続。
ウイルスをどんどん流していく。
「遊園地ですか、ちょうど行きたいと思っていましたよ。あなたとはいきたいとは思いませんけどね。それとあなたに送り込んだものは、おそらく回復魔法は逆効果ですよ。それも回復魔法のようなものなので」
生きている者に効果がなく、アンデッドにのみ有効。どちらかと言えば回復の魔法に近いものだった。
つまり回復魔法をかけられると、かえってウイルスの効力が増す。
■紅き月輪ノ王熊 > 「あっ、まじ?!」
「ほーう!」
「こりゃあヤベーぞお…!!」
想像以上にまずいものを流し込まれているし、
想像以上に奥深くまで根深く差し込まれているらしい…!!
シャットアウトをあちら側から阻止できるとは!
回復魔法を使ったところでどうにもならないようだ…!!
「んー、しゃーない。こりゃ一本取られたなぁ。さっすが♪」
「お見事お見事♪」
「で」
「コレ」
「どうしよっかねえ~」
「やりたくないけど、やるしかないなぁ~……!」
要は、浄化、生属性、神聖といったモノなのだろう。
これに相反するものをぶつければいい。
つまり、穢れ、邪悪、死属性といったもの。
「フンッ……!!」
自ら、月を覆う黒雲の穢れを手繰り寄せて邪気を吸い込んで。
体内を満たしていく。
あまりやりたくないのは、そう。
やった側としてもそれの悪影響を纏う。
■イーリス・ロッソルーナ > 「あなたに送り込んだウイルスは、あなたから他の屍骸にも感染していき滅ぼしていきますので気を付けてくださいね。そういえば、私は似たような事をあなたにされた覚えがありますね」
相変わらず、カタカタとPCを操作していく。
アンデッドに対抗するためのものなので、回復魔法は効かない。
だがその逆となれば話が変わってくる。
“王”の体内から、生物側のウイルスがどんどん死滅していき、その効力が消え失せていく。
「……さすがは“王”ですね。なら、これならどうでしょうか」
機械側のウイルスが、死滅している生物側のウイルスを再構築して復活させていった。
そうして再び、生物側のウイルスが増殖し、“王”を蝕み始める。
それと同時に、機械側のウイルスが“王”の居場所をイーリスに伝えようとしている。
“王”は今、どこにいる。
■紅き月輪ノ王熊 > 「ふ……!!」
「あーはっはっはっはっはぁ!!」
「なんだそりゃ!」
「最ッ高じゃないかイーリス!」
「王様にされた事の"おかえし"をしてくれようとしてるなんて!」
「感動しちゃったぁ…!」
「嬉ちいなぁ……!!」
からかうような口調。
「んお……?!!」
「あ……!!」
…だが、すぐにそんな余裕をかましてられない事に、気づいた。
消し飛ばしたはずのウイルスがまた湧いてきている。体を蝕んでくる。
最悪これが広がれば、どれ程被害が出ようか。
「……なんだこれ、撒き散らすブツも送り込んだ……?!」
「……機械か。」
「…………ごめんねえ、対処法、分かっちゃったわぁ…。」
「それは、丁度対処のプロがいるんだよなぁ…」
「ちょっと……ほら、処理できるでしょコレ。王様の命令だからね…」
なにか、誰かに声をかけるような
仄めかすような言葉を残して…
機械は何か別のモノに"取り込まれた"。
そして"別物に作り替えられた"。
だが
そのわずかな間に
王の居場所が明確にイーリスに伝わった
落第街。
幾多の封鎖区域のうちの一つ。
紅き屍骸封鎖エリアの中で"最も危険"だと言われている立入禁止区域の一つ。
感染が広がりすぎて捨て置かれた一画の一つだった。
空間を破って移動を繰り返す王であれ、
存在する拠点の数は絞られる。
王の所在地が、ついに割れてしまったのだ。
■イーリス・ロッソルーナ > 「せっかくいただいたものでございますからね。おかえしはちゃんとさせていただきます」
PCの前で、笑みを浮かべた。
さすがの“王”も、中からやられればさすがにその被害が大きいようだ。
だが“王”は一筋縄ではいかなかった。
機械とばれた時には、眉間に皺を寄せてしまう。
思ったよりも早くからくりに気づかれた……。
だが機械側のウイルスの対処法に違和感がある。
“王”だけの力ではなく、何らかの力が加わっているようだ……。
“配下”のアンデッドだろうか……。
内心穏やかになれないが、それでもその不機嫌さを表に出さない。
あわよくばと思っていたものの、ウイルスを送り込んで“王”を弱めるという方法はそう上手くいかないようだ……。
だが“王”の居場所を知る事が出来た。
そこは、紅き屍骸の感染爆発により封鎖されたエリア、その中でも最も危険とされている場所……。
“王”の居城……見つけた。
「…………お見事ですね。ウイルスがここまで鮮やかに対処されてしまうなんて……。しかし、あなたがウイルスの対処で苦労してくださったお陰で、呪いのプロテクトも随分と解除できました。もう呪いで私を蝕むのは難しいでしょうね」
正直、ウイルスが破られて悔しい。凄く悔しい。
“王”をウイルスで苦しめ、他のゾンビにも感染させてやれたらと思っていた。
だが本来の目的はそちらじゃない。“王”がウイルスに感染してくれる事が理想だったけど、それは叶わぬ夢。
しかしそちらの本当の目的は、“王”にウイルスを対処させている間に、その隙をついてこちらから呪いに干渉してさらに弱める事にあった。
PCをずっと操作していたのも、“王”がウイルスに苦戦している間に、呪いのプロテクトを解除していたがため。
手紙さん、エルピスさん、蒼さんが呪いを弱めてくれたり呪いを肩代わりしてくれて、元々呪いを大分弱めてくれていた。
その呪いが今や、イーリスを蝕む効力を失わせ、逆にイーリス側から“王”を攻撃するためのシステムへと変貌していく。
■紅き月輪ノ王熊 > 「ふふん、王様は凄いんだぞーっ♪」
(とは言ったものの…だ。)
あれは王がその力で対処した……
否
今のは王の力ではない。
実に恐ろしい事に、だ。
あの手を打てなかったら
最悪…
"遠隔地点から一方的に攻撃を受けること"になりかねなかった。
それを悟られるわけにはいかないから、
まるで何事もなかったかのようにいつもの調子で笑った。
呪いは、着実に弱められている。
弱められているだけではない。
呪いはもはや、イーリスがこちらを攻撃できる踏み台と化している。
……"こいつはヤバい"
……"最優先撃破目標"
……"最も恐ろしい敵"
……"今すぐに、殺せ"
紅き屍骸の面々はDr.イーリスを皆が皆、
最上級の危険性を以って評価していた。
王は今まで"一方的に嬲り殺せる"と思っていた。
だが。
王すらも、ついに理解する。
■紅き月輪ノ王熊 >
(……イーリス、最高の敵にして、最凶の敵だよ、キミは……)
■イーリス・ロッソルーナ > 「…………残念ながら、あなたを賞賛するしかありません」
少なくとも、イーリスが“王”への対策として編み出したウイルスは破られたのだ。
不本意ながら、凄いと豪語する“王”を褒めるしかない……。
しかし、イーリスの目的は果たせた。
例えば、対処はされるだろうけど、この“呪い”を通してまたウイルスを流せる。
……あのウイルス、造るの苦労したのでそうすぐ出来るわけでもないし、無策でやってももうあまり有効ではないだろうけど。
ともかく、イーリス側から“王”に干渉できるシステムを構築できたので、後はいかようにも攻められるという事だ。
「久しぶりに私に話しかけてくれた要件、何でしたっけ? せっかくなので聞いてあげますよ。何かしら用があるのでしょう、“王”? 確か、準備期間いっぱい使ってプレゼントを用意してくださったのでしたか?」
どうせ悪趣味なプレゼントなのだろう、と思いつつ首を傾げる。
ロクでもない予感しかしない。
■紅き月輪ノ王熊 > …この呪縛…
これ以上置いておいたら、明確にこちら側の損失になる。
だが、もうこちらの意思で"途切れさせることは極めて困難"だ。
―――と思うだろう?
……実は、苦痛も、殺害欲も、呪いを構成する部品ではあれ。
"中核ではない"
弱められて、分けられて、壊されて、3度の弱体化をされてなお、
最重要部分は残っている。
(……ま、それはサプライズプレゼントでまだヒミツなんだけどね!)
「いやあ、王様の用事もあらかた片付いたんで~」
「これからイーリスにまた、ちょこちょこちょこ~っとちょっかい出させて頂きますよぉ!って事と。」
「いや~めでたい事にイーリスにもついに!」
「思い人が出来ちゃったんだね~」
「相思相愛だね~」
「うう~、王様というものがありながら~」
「グスン」
何とも小ばかにしたウソ泣きを聞かせてから。
「記念に山ほど"お花ちゃん"でも送ろうかな~と!」
「イーリスとエルピスきゅんの永遠の愛にかんぱ~い」
「ってね♪」
■イーリス・ロッソルーナ > イーリスは、その“中核”には気づいていなかった。
弱められて、分けられて、壊されて、があったからこそ呪いの複雑なプロテクトを解除して逆に利用できるところまできた。
だが、それでもまだ、“中核”には行き届かなかった。
もう呪いは、イーリスが利用できる立場だと思っている。
「それはお疲れ様です、“王”。アンデッドの“王”も色々と忙しいのですね」
凄く皮肉交じりの口調であった。
「呪いが役に立たなくなったのにまだちょっかいとは、“王”なのにとてもみみっちいではございませんか。レディに愛を伝えるなら、もっと大胆にいきませんか?」
挑発気味に軽口を叩く。
要は、そろそろ決着をつけませんか、というある種デートのお誘いのようなもの。終末デート。
だが、想い人という言葉に眉もぴくりと動かした。
「あなたはお呼びではないという事です。祝福ありがとうございます。お花を送ってくださるとは殊勝な…………お花ちゃん……?」
皮肉を皮肉で返しているつもりだったが、そこでふと危機感を覚え、椅子から立ち上がった。
「……紅き死ノ花でございますか……!? 何をする気ですか、“王”……!!」
■紅き月輪ノ王熊 > 「あっ!」
「わっかるぅ?!」
「そう」
「あれ!!」
"お花ちゃん"
その意味するところは明らかだった。
花壇からちょっと引っこ抜いて慈悲を与えて生み出した、あの花。
あれは王が作ったものだった。
「まずは"素敵な花束"で雰囲気盛り上げといてぇ!」
「大胆な愛情の告白はそれからにしよっかぁ、ねっ♪」
「殺害欲を伝えるための最高の前準備の計画をしていたんだよ~…!!」
挑発を返されると…今の今まで完全に沈静化した理由を明かす王。
「それもただの"お花ちゃん"じゃないんだ~」
「毒と風じゃ機械には手も足も出なかったし」
「溶岩の海に落とされたら一瞬で焼け落ちたよねッ」
「だから、パワア~ップ♪してみたよっ」
「ホラ」
「汎用量産型異能って、みんな弱そうって思ってるでしょ?」
「王様は全然そんなことないと思ってるけどねぇ…」
「より強くしたお花ちゃんを、たくさん、たーくさん、プレゼントしよう!」
「キミと!」
「キミの愛する彼にね!」
つまり。
■紅き月輪ノ王熊 >
殺害予告を、意味する。