2024/08/02 のログ
■イーリス・ロッソルーナ > 「……!?」
“王”の説明を聞いていると腹立たしくなり、別の注射器を取り出してイーリスの首から注入。
先程と同じようにウイルスがまずはイーリスの体内に、そこから呪いの“繋がり”を経て、“王”に流れた。
先程よりも厄介なものではない。
試作に造ったもので、“王”にあまり有効ではないからと廃棄しようとしていたものだ。
今回のウイルスは生物的なもののみ。アンデッドのみに有効は変わらず、“王”の体内から電気を発するもの。
例によって回復は通じないが、先程のものよりかなり消すのは楽。
呪いを支配下に置いたからと言って、何かの計画でも何でもなく、完全にイーリスが怒りに任せて感情的になってやってしまった。非合理的な攻撃。多少“王”に電気を浴びせられても、無駄と断言していいだろう。
「エルピスさんに手を出したら、承知しません……! “素敵な花束”……やはり、悪趣味ですね……! その花束はどこにあるのですか? あなたの告白を聞く前に、ブーケトスしに行かないといけません。そうですね、死ノ花ですからあなたにブーケとして投げ返すのもいいですね」
悪趣味な花束を投げ返す。ただ返却するわけではない。
ブーケトスはキャッチした人が次に結婚できるとすれば、死ノ花を投げ返すのはキャッチした“王”が次に滅される番、という事の暗示。
ある種の宣戦布告。
実際に投げ返してもどうにもならないので、お花を処理する事でブーケトスの代わりにしかならないが。
■紅き月輪ノ王熊 > 「あぁぁだだだだだァァッ?!」
不意に電気が体内に流れ、王の痛みを訴える声が聞こえる。
が、それも束の間だった。
「あー、分かった、今ので確信したぁ~!」
「イーリスったら、よっぽど彼の事が大切なんだねッ!」
「一生懸命呪いを分けて頑張ってくれてるもんなぁ~!」
「な、なんて涙ぐましい愛なんだ…王様感動しちゃった♪」
ほんのりと、彼に対する悪意が見え隠れする。
からかっているようだが、内心に秘めた残忍な殺意は本物だ。
「ああ、大丈夫大丈夫っ!」
「"どこにあるか"なんて知らなくって良いんだよ」
「王様は"常にキミたちの居場所を見ている"からね。」
「そしてお花ちゃんは……"転移"が出来るよね!」
「と、言う事は……!!」
「ふっふっふ……!!あっはっはっは……!!」
「キミ達は"素敵な花束"が届くのを、待っているだけでいいんだ!」
「でも、特別大サービスだ。」
「どんなものが届くか、魅せてあげよう。」
そういうと。
呪縛が。
幻影を。
描きあげ始める。
まるでライブ映像のように映し出されるは―――
■紅き死ノ花園 > 紅色に染め尽くされた、雑多な花々。
別離、失恋、離れる愛―――
悪意いっぱいの花言葉を秘めたる、死ノ花園がそこに。
■紅き月輪ノ王熊 > 「というわけさ。」
「ちょっとイーリスの小さな体でブーケトスするには、大きすぎるかなぁ…?」
「ま、がんばってちょーだい♪」
「それじゃあ、花束が届くまで……」
「震えて待っててね♪」
そう、言い残して。
王の声は、途絶えた。
■イーリス・ロッソルーナ > “王”の苦痛の声を聞きちょっとは腹いせにもなるが、続く言葉に眉間に皺を寄せた。
からかわれている。だが、確かに残虐な“王”であった。
「居場所を見ている……? 薄々気づいていましたが、そういう事でしたか……」
エルピスさんに呪いを分け合ってからは、エルピスさん側からでしかこちらの様子を見れなくなっていた事だろう。
そういう風に、エルピスさんと呪いを分け合ったからだ。イーリスが“王”に対抗するためにどのような準備を施しているかを悟らせないため。
だからこそ、今回のようなウイルスも用意できた。
エルピスさんと呪いを分け合わなければ“王”への反撃もままならなかったので、感謝したい。
「残念ながら、転移は届きません。拠点を守るぐらいの事はできますからね。死ノ花の転移は一度破られている事を忘れているわけでもないでしょう」
まだ設置してないが、後で転移ジャミングを発するアンテナを設置しよう。
わざわざ宣言してくれたお陰で準備の猶予ができた。
受け取り拒否の構えである。事務所が襲われてはいけない……。
ただし、この転移ジャミングはこの前の死ノ花戦で使われたものと全く一緒のもの。かなりピンポイントなジャミング。
別のタイプの転移を使われるだけで簡単に破られる。
ただし、“王”が対策すると口にすればイーリスもそれに対抗する考えになるだろう。
呪縛が描く幻影を見る。
そこにはなんとも不吉な死ノ花園があった。
「死ノ花がこんなにも……。相変わらずふざけていますね……」
目を見開いた。
一輪でも厄介な死ノ花が、まさしく花園である。
やっとの思い出倒した一輪だった。それが大量に咲いている。
拠点にはジャミングのアンテナを設置すればいい。
だが、他のところにいる時に狙われれば……? エルピスさんを狙われれば……?
「……“王”、よくもやってくれましたね!」
そうして“王”の声が途絶えた。
感情任せに、念のために“王”を倒す準備の一環としてある場所に設置したミサイルを“王”の居城にぶっ放すための操作をPCでしようと思ったが、それは踏みとどまる。
“王”の居場所を知れた事は大きなアドバンテージであり、その情報を得ている事は“王”にはおそらく知られていない事。
こちらの得た情報をわざわざ“王”に明かす真似はしなくていい。
イーリスがすべきことは、転移ジャミングを発するアンテナの設置を急ぐ事だ。
ご案内:「落第街の各所(遠隔)」から紅き月輪ノ王熊さんが去りました。
ご案内:「落第街の各所(遠隔)」からイーリス・ロッソルーナさんが去りました。